誘拐屋のエチケット

著者 :
  • 講談社
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感想 : 55
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065189870

作品紹介・あらすじ

「ルパンの娘」シリーズが大ヒット!
2020年大ブレイク必須、横関大!
大注目の最新刊!

SNS炎上、不倫スキャンダル、借金まみれ。
人生崖っぷちの人々を攫って匿って問題解決!それが、誘拐屋。
「誘拐されて、人生一発逆転しませんか?」

腕利きの誘拐屋・田村健一は、ある日、新人誘拐屋の根本翼とコンビを組むことになる。
あまりにもお節介な翼は、自らが誘拐した人物の人生相談に乗ってしまう。
淡々と仕事を全うしたい田村の抵抗もむなしく、いつの間にか二人は関係のないトラブルに巻き込まれていく。
だがすべての出来事は、実は田村の秘めた過去につながっており……。


「無口なベテラン」と「涙もろくてお人好しの新人」の誘拐屋。
犯罪から生まれた2人のコンビが奇跡を起こす。

感想・レビュー・書評

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  • 〈誘拐屋〉の田村に〈組織〉の命令で突然見習いの相棒が出来る。根本というその見習いはクールな田村と正反対で、何かと誘拐された人間に介入したがる困った性質だった。

    『だって、可愛そうじゃないですか』
    という根本のセリフが出る度にモヤモヤする。誘拐された人間の願い…家族に会いたい、残して来たペットに餌をあげて欲しい、彼氏に届け物をして欲しい…などを叶えてあげようとしたり、悩みを聞いてあげようとしたり。

    本来〈誘拐屋〉はターゲットを誘拐し指示された場所へ届けることだけが仕事であり、依頼人はおろかターゲットの心の内に介入するなど田村には考えられない。読んでる私にも考えられない。
    しかし根本はやたらとターゲットに介入し、悩みを聞き、果ては感情移入して泣いてしまう。根本は一体何者なのか、〈組織〉は何故裏稼業に向かないこんな男を見習いとして派遣してきたのか。

    後半になると、その根本が急にミステリアスな存在になってくる。同時に〈組織〉の周辺にもキナ臭い空気が漂う。
    人の心に過剰なまでに寄り添う男は仮面を被っていただけなのか。それとも…。

    同業者の三宅兄弟やパンプキンといい、根本といい、伊坂幸太郎さんを意識しているのかと思うようなキャラクターだが、その顛末はもちろん違っていた。
    横関さん作品を読むのは多分これが二作目だと思うが、こういう作風なのかな。

    裏稼業の人間らしいクールでシビアだった田村が次第に根本に感化されて変化するのは良いが、落ちについてはちょっと好みとは違っていた。
    たまたま田村が〈誘拐屋〉だったから思い付いたのかも知れないが、根本のキャラクターからすると首を捻りたくなる。むしろ「そんなこと止めましょうよ」と諭しそうな気がするけど。

  •  読み終えてレビューを書くのを忘れていたことに気がついた。

     誘拐屋の田村。新人の根本翼とコンビを組まされることに。ただ、この根本、涙脆いわ余計なことに首を突っ込むわで本来の仕事以外のことまでやらされるハメに。

     根本とコンビを組むようになり、田村も根本の性格がうつったのか、人の世話をしていくようになる。

     一つ一つの章はそれほど面白いということもないのだが、だんだん根本の人物像がベールに包まれていることに気づき、その辺から少しずつ読者は気になり始めるはず。

     そして、最終章。これまでの章で少しずつ仕掛けられていたことが明らかになり、やっぱり横関大だなぁと思わせてくれる。

     でも、本来の横関大はもっともっと面白いはずだ。

  • 腕利きの誘拐屋・田村健一。不倫や借金などの問題を誘拐で解決をしている。そんな田村に新人・根本がつくことになった。根本はお人好しで誘拐した人の人生相談に乗ってしまう。田村は早く仕事を終えたいが、根本が原因で大きなトラブルに巻き込まれてゆく。
    有能な誘拐屋とか話の流れでなんとなく伊坂幸太郎さんの物語を思い出した、明るく書いてあるし。この本では新人根本とのやりとりや一つ一つの章の結末、最後の章のまとめで大変楽しむことができた。最終章はきれいに纏め過ぎて、そんなばかなとも思ったりもした、根本にしてやられた感じです。そう、誘拐というとダークなことですがこの本に関してはそんなことはなくさらっと明るく全てがいいように流れて行ったよ、面白いエンタメ作品でした。

  • 神様は 休暇中

    この言葉 最高ですね。

    最後に 全部の物語を つなげる。

    こう来るか。

    続編が 楽しみですね。

  • プロの誘拐屋として地道に働くタムケンが
    組まされた相棒になんだかんだと振り回される。

    あー、なるほどね、
    そこで繋がりますか・・と面白かった。

    「ルバンの~」よりこういうののほうが私は好みかな。

  • 不倫スキャンダルで追われる女優や借金まみれの元ピアニスト。様々な訳アリ事情を抱えた人がその境遇を逃れるために誘拐される。その誘拐に一役買っているのが「誘拐屋」。主人公の誘拐屋・田村健一ことタムケンと助手(?)の根本。彼らが誘拐する人々には意外な共通点があり、最後の章ですべての糸が繋がる、横関さんらしい物語構成。
    最後の章で大体オチが見える展開が続くけれど、それでも読み進めたくなるのがいつも通り。キャラの色が濃くてカレー屋のアリなんてツッコミどころしかない。章を追うごとに根本の「可哀想じゃないですか」というフレーズがイメージとともに頭の中で再生される。彼の図太さや正体不明な雰囲気が最後の章へとつながっていると思うと、愛せずにはいられない。そして結婚披露宴についてしっかり下調べしているタムケンがかわいい。

  • 根本くんのお節介に、ややイライラしてしまった。

    でも、最後のつながり方がきれいだった。

  • 誘拐屋のタムケンが後輩の根本に影響され、
    いつの間にか拐った人の人生に巻き込まれてしまう話。

    私生活を明かさず2年ごとに引っ越しするほどドライなプロの誘拐屋タムケンが、
    誘拐屋に向いてなさそうな涙もろい根本に巻き込まれて行動するのが
    なんかしっくり来なかったなぁ。

    それぞれの章が完結してるようでしていないような気もして、
    横関大ぽくないなと思っていたら、最終章で来た!
    そう繋がるのか!
    現実的ではないけど、こういう展開がなかったら読後感はもやもやしたと思う。

  • 面白かったけどリアリティはないですね。
    誘拐屋は犯罪だよね。
    ポップな感じがします。
    これが良いのかな

  • プロの「誘拐屋」として凄腕を誇るタムケン。
    政府関係者、芸能人、さまざまな人物を誘拐する裏稼業を一匹狼でこなしてきたが、組織から、涙もろくてお人よしの新人とコンビを組まされたことから、仕事のテンポが乱される。

    関わるつもりのなかった誘拐相手や依頼人にかかわる羽目になり・・・コミカルに描かれるいくつものエピソードが、後半、ひとつにまとまってゆく。

    タムケンの職業も展開もあり得なさ過ぎて、気楽なエンターテイメントとして読んだ。

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著者プロフィール

1975年静岡県生まれ。武蔵大学人文学部卒。2010年『再会』で第56回江戸川乱歩賞を受賞。著書に『ルパンの娘』『ピエロがいる街』『沈黙のエール』『チェインギャングは忘れない』『スマイルメイカー』『グッバイ・ヒーロー』『炎上チャンピオン』『仮面の君に告ぐ』『いのちの人形』などがある。

「2023年 『ゴースト・ポリス・ストーリー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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