- Amazon.co.jp ・本 (354ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065190296
作品紹介・あらすじ
世界文学の旗手が紡ぎだす
国境を越えた物語(サーガ)の新展開!
失われた国の言葉を探して
地球を旅する仲間が出会ったものは――?
【本書の登場人物たち】
Hiruko ヨーロッパ留学中に「母国の島国」が消滅してしまった女性。同じ母語を話す人間を探して世界を旅する。
クヌート デンマークに住む言語学者の卵。Hirukoと出会い、彼女の旅に同行する。
アカッシュ ドイツに留学中のインド人男性。女性として生きるため、赤いサリーを身にまとう。
ナヌーク グリーンランド出身のエスキモー。語学の才能豊かで、日本人を演じていた。
ノラ 博物館に勤めるドイツ人女性。行き倒れていたナヌークを救う。
Susanoo 福井で生まれた日本人。ある時から歳を取らなくなり、言葉を喪失する病気になった……?
Hirukoがつくり出した独自の言語、〈パンスカ〉が見知らぬ人々を結びつける。
分断を超えた希望を描く、全米図書賞作家の新たな代表作。
感想・レビュー・書評
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失語症のSusanooのために集まって来る人達の物語。群像劇のように一人の語りが一つの章になっている。『献灯使』以降の世界?日本は消滅か見放された国になってる様子。真面目か冗談なのか言葉をめぐる考察と会話が面白い。『地球にちりばめられて』未読でも多和田さんの世界に酔いしれた。
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mofuさん、こんばんは(^^♪
うわぁ、これは面白そうですね。
多和田さんの作品は私も大好きです。
レビューにもある通り、言葉につい...mofuさん、こんばんは(^^♪
うわぁ、これは面白そうですね。
多和田さんの作品は私も大好きです。
レビューにもある通り、言葉についてのセンスが面白くて(*^-^*)
今「本にまつわる本」を集めているので、そちらが一段落したら読みたいです。
ポイントを押さえつつ丁度よい長さにまとめるmofuさんのレビューは、いつも読みやすいですね!!2020/09/07 -
nejidonさん、こんばんは♪
コメントをありがとうございます!
そしてお褒め頂いてありがとうございます(^o^;)
第一部の『地球にち...nejidonさん、こんばんは♪
コメントをありがとうございます!
そしてお褒め頂いてありがとうございます(^o^;)
第一部の『地球にちりばめられて』がとても好きな作品だったので続編を読めてとても嬉しいです。しかも第三部もあるなんて!
多和田さんの言葉遊びはいつもハッとさせられて、しかも笑えて、大好きです。
この作品を読むのなら、ぜひ第一部の『地球にちりばめられて』からお読みくださいね。
私もnejidonさんのレビューを楽しみにしています(*^^*)2020/09/07
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地球に住む全人類を順番に宇宙船に乗せて、外から地球を、この青い地球を眺めさせたら、いま起きている内戦や紛争はほぼなくなるのでは、とワタシは思っている。いや、本当に。
そして、本書の最終章である第十章は、そんなワタシの思いをさらに確固たるものにしてくれた。多和田葉子さんにはただただ敬服するしかない。 -
前作は言葉に対する考察が多かったけど、続編となる本作は人物像の深掘りが進み、人の多様性を感じる。多和田葉子さん×言葉の組み合わせが大好きな私にとっては言葉の占める割合が落ちたのは少し寂しい面もありつつ、ますますヨーロッパを縦横無尽に飛び回っていて冒険譚として面白い。
続きが楽しみ。 -
第一作でHirukoと繋がった人たちの言語を巡る旅。この旅はいったいどこへ私たちを連れていくのだろう。
日本神話のアマテラス、ツクヨミや星座の例え、性格を交換する2人。突然話しだすSusanoo。障害者のムンンとヴィタの独自の会話。
何かを暗示してるの?
意味を探らずに言葉遊びを楽しんでいればいい?
不思議だ。こんな本初めて。
読んでしまうのは、言葉や文体、表現のおもしろさだろうか。
旅はHirukoの失われた故郷へと向かいそうだ。
この後どうなるのか気になる。
最後まで彼らの旅に同伴させてもらおう。 -
日本と思われる母国を留学中に失い、手作り言語「パンスカ」を話すHirukoと、奇妙な縁で次々つながる仲間たちが母国語を話す同郷者を探す旅の第二章。
海外文学のような雰囲気で、英語、ドイツ語、フデンマーク語が飛び交う。「パンスカ」も日本語で翻訳されたもので、実態がないのに翻訳されている感じがなんとも不思議。マイナンバーならぬ「ドンマイナンバー」や、戸籍のことを「ドアドキュメント」と説明するあたり、楽しい皮肉な言葉遊びがたっぷり。
ノラとアカッシュが旅するあたりの、アカッシュの楽観的さ、行動力に憧れた。
ナヌークとクヌートが度々頭の中でごっちゃになるんだけど、この表記の違いが混同するのは私が日本人だからなのかな。
ラジオで著者がこの本についてインタビューを受けた中で、この話の舞台は近未来ではなく、パラレルワールドのようなものというようなことを言っていた。第三章について「コロナになったので船旅が出来なくなった。飛行機も現実的でないしもしかして徒歩の旅になるかも」と答えていて俄然楽しみ! -
『直進して障害にぶつかるようならば、右斜め前に進んで、左斜め前に進めばいい。』
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この作者はずっと連想ゲームをしているような本を書く。この作者の本を読むと害のない夢を見ているように現実から離れられるから電車にちょうど良い。
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偶然出会った多様な人たちは、これからどこへ辿り着くのだろう。
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消滅したらしい母国と、その自分の国の言葉を求めて旅に出たHirukoとその一行。それぞれの立場の者たちが語り手となり、第二部が進んでいく。
登場人物の個性と関係性がより明確になってきた第二部だが、言葉を失ったかに見えたSusanooが悪意を以てみんなの心の内をこじ開けようとする終盤に、物語は大きく動いて何やらより大きな船出を予想させる。
続刊が出る頃には前作を忘れてしまうから、二冊同時に図書館で借りたのに、どうやらまだまだ続きがあるらしい。
野田秀樹の舞台にも通じる皮肉混じりの軽妙な言葉遊びもさることながら、古事記の神話をなぞった名前をつけられた登場人物たちがいったいどこまで進んでいくのか、楽しみだ。