ファーブル君の妖精図鑑

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 105
感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (306ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065190333

作品紹介・あらすじ

特別奨学金までもらって進学した美術大学を中退し、母親の地元で働くことになった遠野真亜梨は、移動の電車の中で不思議な青年に出会った。社内の盗難事件の容疑者にされていた彼は、全身黒づくめので、虫眼鏡、虫取り網に胴乱を持ち、昆虫学者ファーブルのような出で立ちだった。刑事から、彼の持ち物であるスケッチブックを間違って渡された真亜梨はそこに記されていた観察記録に目を奪われた。そこには聞いたことのない生き物が、未来の死体の周りでスキップすると書かれていた……。不思議なもの達が生息する村で真亜梨とファーブル君のペアが謎の事件を解決する。

感想・レビュー・書評

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  • 美大を中退し母の故郷・彩野辺に帰る列車の中で、遠野真亜梨は不思議な青年に出会う。
    黒づくめの服に虫眼鏡の、“ファーブル君”と呼ばれる青年のスケッチブックに書かれていたのは、昆虫でも植物でもなく、彼の目にしか見えない“いきもの”の観察記録だった。
    二度と絵筆を持たないと決めていた真亜梨だったが、彼の奇妙な文章に刺激され、再び絵を描き始める。そして、封印されていた幼い頃の記憶をも少しずつ取り戻し…


    ウィリアム・モリスの植物画を使った装丁にひかれて手に取った。
    井上雅彦さん、初読。

    事件の痕跡を“擬態したいきもの“として見ることができるファーブル君と、その文章を“妖精画”として表現できる真亜梨のコンビが心通わせるようになり、不可解な事件を解決するミステリ。
    …というだけならすっきりするが、どこかホラーファンタジー風だったり、親世代の秘密だの政治的な陰謀の気配だの、何かと思わせぶり。
    主人公の真亜梨も、繊細なのか強引なのか、よくわからない。

    うーん、好みの問題かもしれないが、どうもこの世界に入り込めなかった。

  • メフィスト2018年VOL.2〜2019年VOL.1掲載のものに加筆修正して、2020年10月講談社刊。顔のない薔薇、歌うシメール、湖の精霊たち、燦めく輪の中で 、みえない友だち 、ミチオシエ、みどりの指、の7つの連作短篇。真亜梨の出自や能力の謎がちらちらと各編に出てきて、気になりました。ところどころで、少しずつ明らかになって行くのは、楽しかったです。登場人物達の謎は、出揃ったのか、それとも残っているのかが、気になります。

  • 図書館で借りたもの。
    ファーブル君と呼ばれる青年と、元美大生・遠野真亜梨。不思議な縁で出会ったふたりは、原因不明の数々の事件を解き明かしていき…。連作短編ミステリ。
    初読みの作家さん。

    なんかよく読み取れないというか
    何がどうしてどうなった?というか。
    理解力の問題か?
    文章の流れがわかりづらいところが…。

    最後いろいろ詰め込みまくった感。

  • 最初が世界観に入りずらい。ラスト1/3くらいでようやく入れた。

  • 美大をやめて母親が民宿をやっている実家へ帰ってきた真亜梨は、元は唯一の図書館だった本館で喫茶のアルバイトを始めた。そこで新館と本館の庭な手入れをしている不思議な青年ファーブル君と出会う。ファーブル君の書いた昆虫の観察を読むと、真亜梨には妖精が見えてくる。

    ミステリーというか、ファンタジーというか、あまり好きなタイプの話ではなかった。

  • 推理小説もファンタジーも両方好きだがミックスされた作品を読んだ体験はあまりないかもしれない。彩野辺という町の描写がとても美しくて魅力的。私も行ってみたいな。そしてこういう小さな町の中というある種隔離された空間で起こる小事件を解決していく作品良いよね。例えばジョジョ4部、カードキャプターさくら等…。続きが出そうな終わり方なので続編も期待。

  • 特別奨学金までもらって進学した美術大学を中退し、母親の地元で働くことになった遠野真亜梨は、移動の電車の中で不思議な青年に出会った。車内の盗難事件の容疑者にされていた彼は、全身黒づくめので、虫眼鏡、虫取り網に胴乱を持ち、昆虫学者ファーブルのような出で立ちだった。刑事から、彼の持ち物であるスケッチブックを間違って渡された真亜梨はそこに記されていた観察記録に目を奪われた。そこには聞いたことのない生き物が、未来の死体の周りでスキップすると書かれていた……。不思議なもの達が生息する村で真亜梨とファーブル君のペアが謎の事件を解決する


    ファーブル君→無自覚系不思議なムシ博士
    真亜梨→無自覚系不思議なムシが見える女の子

  • 『ファーブル君と真亜梨の妖精謎解きミステリー』

    他の人が見ることのできない妖精を、観察し記録しているファーブル君。そのノートを元に妖精の絵を書くことができる真亜梨。二人の力で、身近で起きた事件を解決していく、ファンタジー風ミステリー。二人合わせてコナン君、そんな雰囲気がよかったです。

  • お伽話のようにメルヘンチック、だけれど少しばかり恐ろしいような気もする「妖精」たち。実際には存在しないはずのそれを視ることができるらしい謎の青年ファーブル君。彼が見ているものはいったい何なのか。そして妖精たちの物語になぞらえて、現実の事件の真実が思いもよらないところから語られる、ファンタジックな要素もある連作ミステリ。
    読み始めた雰囲気としては、ファンタジー路線かなと思いましたが。たしかに雰囲気はファンタジーながら、きっちりとミステリ。一見甘やかに見える空想の世界に潜む、鋭いとげのような現実の手掛かりが効いています。幻想的な空気に流されてふわっと読んでいたら、まさかこんなところに真相があったのか! という驚き。事件そのものには超常的要素はまったくないのですが、それでもこのファンタジックな読み心地は何とも心地よくって不思議です。とても美しい一冊でした。

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著者プロフィール

鳥取大学大学院 医学系研究科

「2019年 『公認心理師 実践ガイダンス 2.心理支援』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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