地磁気逆転と「チバニアン」 地球の磁場は、なぜ逆転するのか (ブルーバックス)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 122
レビュー : 9
  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065192436

作品紹介・あらすじ

2020年1月17日、日本初の地質年代「チバニアン」がついに誕生!

千葉県市原市の地層「千葉セクション」が、地質時代の国際標準模式地(GSSP)に認定されました。
日本の地名に由来する地質年代(地球の歴史区分)が誕生するのは初めてのことです。

地質年代を決定するのに重要なカギを握っていたのが、「地磁気の逆転」。
この千葉セクションには、もっとも最近、地磁気(地球の磁場)が逆転した貴重な記録が残されています。

地球の磁場は、過去に何度も逆転しているということが記録からわかっているのですが、
最後の逆転は約77万年前――私たち人類は、この地磁気逆転を経験したことがありません。
人類が誕生する前の地球で、何が起こったのかを教えてくれるのが、この地層なのです。

いったいなぜ地球には磁場があるのか。
なぜ地磁気は逆転するのか。
次に地磁気が逆転するのはいつなのか。
そのとき、この地球はどうなってしまうのか。
――地磁気逆転のメカニズムは、地球科学最大の謎ともいえる重要なテーマとなっています。

チバニアン認定のための研究・申請プロジェクトをリードしてきた著者が、チバニアン命名の意義を分かりやすく解説し、地磁気逆転の謎に迫ります。

■おもな内容
・チバニアン命名の意義
・地質年代とは?
・地磁気とはなにか
・地磁気逆転の発見
・地磁気の変動
・いったいどうやって地磁気を測るのか
・地磁気はいつから存在するのか
・もしも地磁気がなかったら
・次の地磁気逆転はいつなのか
……など

感想・レビュー・書評

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  • ◯この本は一言でまとめるとプロジェクトX。いつものブルーバックスよろしく、噛み砕いた説明で、地学の歴史から最新の研究まで網羅しているものの、読み物として面白いのである。
    ◯地学に対する知的好奇心を満たすように読み進めていたが、終盤に至って、それまでとは異なり、不穏な空気に包まれる。「団体」の登場である(調べてみると、どうも個人のようだ)。なんのことだと二度見した。注釈がここまでに記載されていたいわゆる注釈ではなく、筆者の思いが溢れている。団体からの抗議、妨害活動が語られ始めるのだ。
    ◯学術的なものがどのように合意されていくのか、過程を知らない者にとっては、様々な紆余曲折やよく分からない拘りの元に遅々として進まぬことがあることを知る。とりわけ驚いたのは、地学において地中海近辺でなければならないという主張。もはや近代以前の発想である。科学とは平等ではないのか、、
    ◯国際地質学連合における審査の二度にわたる延期、団体からの妨害、様々な困難を乗り越えて選定されたチバニアン。見に行ってみるのも感慨深いのかもしれない。

  • いやあ、おもしろかった。磁気の研究の歴史から始まっているのも良かった。勉強になった。それにしても、チビアンにしなくて本当に良かったですね。なんかちょっと安物のミネラルウォーターみたいですし。さて、このチバニアン決定までにはいろいろな障害があったようで、なんかドラマみたいでした。池井戸潤あたりが小説の題材に使うのではないかなんて。地磁気逆転についてはいくつかの本で読んでいるし、その影響は伊与原新さんの小説などでなんとなくイメージしていた。しかし、その原因について、大きな間違いをおかしていた。マントルの対流による電流で磁界ができると思っていた。実際には外殻の中で溶けた鉄が移動し、電流が流れて磁界ができるようだ。そんなに詳しく授業で扱うわけではないが、磁界が反転することがあるという事実、そしてそこから起こりうる影響、また磁界がある理由、地球内部が未だ冷えて固体になっているわけではないという事実などなど、小中学生でも十分に興味を持ってもらえる内容ではないだろうか。そう思って話をしてきたのだけれど、間違っていました。申し訳ありません。でも、どこでどう間違ったのだろう? ところで、P.220の人類世というのは人新世の間違いだろうか?

  • 千葉県市原市地層の GSSP 認定と、更新世「チバニアン」期命名のニュースは記憶に新しいところ。その旬を逃さずに、地磁気研究の歴史、基礎から最新の研究成果までを網羅した著作を出版に漕ぎつけたブルーバックス編集部の手腕は驚きを通り越して、人外の何かを見ているようだ。池谷裕二、中川毅などの著者発掘に続く快挙で、最近のブルーバックスは本当に元気だ。

    惜しむらくは本書にも触れられている「団体」の存在だが、論理と理性が主体的役割を果たす学術研究の世界と言えども、こういった障害を乗り越えられなければ、事は成せないのだと思ってあきらめるしかない。そういう障害をものともせず、GSSP認定と地磁気の謎の究明に邁進した(している)著者や関係各者に最大限の賛辞を送りたい。

  • 地球史に初めて日本の地名が刻まれた地質年代「チバニアン」をニュースで耳にしたことがあるかもしれない.実は,その決め手となったのは千葉の地層から見つかった「地磁気逆転」の痕跡だった.地磁気という言葉は知っているだろうがそれが逆転する,つまり,かつての地球には磁石が南を指す時代があったというのだ.本書を通してなぜ地磁気は逆転するのか,次はいつなのか,そのとき地球はどうなってしまうのかなどの地球科学の謎に迫りつつ,研究者ら(著者も含む)によるチバニアン申請から誕生に至るまでの過程を知ることができる.
    本書を読んで私の印象に残ったことは,地磁気強度低下と地磁気エクスカーション,ベリリウム10の関係性に関する内容である.地磁気逆転はそれだけが単純に起こるのではなく,溶岩や海底堆積物に残留磁化として逆転した証拠を残している.なぜ地磁気が逆転するかは本書をよく読むことをお薦めするが,地磁気が逆転するときにはその強度が段階的に低下する.そのとき同時に,地磁気エクスカーションと呼ばれる地磁気極の位置が北極または南極より45度以上離れるダイナミックな動きが地質学的にはかなり短い期間で起きており,さらに銀河宇宙線と大気が反応して生成されるベリリウム10の量がより多く氷床や海底に蓄積されるのだ.ここに全てを記すことはできないが,目では見えない地磁気の証拠が様々な形で地球上に記録されており,そこから過去の地球の姿も知ることができる.
    古地磁気を明らかにすることで,海洋底拡大説やプレートテクトニクス,ネアンデルタール人の絶滅などに根拠を加えることができる上に,気候変動の将来予測までできるのだ.その最先端の研究が行われているのが「チバニアン」であり,本書を読むことで環境問題や地球科学全般に対する深い理解や新たな視点を導入できるだろう. (地球惑星科学コース 3年)


    地質年代のうち初めて日本の地名が刻まれることになった「チバニアン」。私は地球惑星科学を学習する日本人学生として、ぜひともそのことを知っておきたかった。
    チバニアンは78.1 万年前から12.6 万年前までの期間を指し、46 億年の地球の歴史から見ればごく最近であり、千葉県房総半島の地層(以降、千葉セレクション)に登録された。しかし、この期間において千葉セクションの持つ最も重要なことは地球史上最後の地磁気の逆転が克明に刻まれていることである。地磁気の逆転とは文字通り地球を一つの磁石だと考えるとN 極とS 極がひっくり返ることで、この現象は長い地球の歴史で何度も起こっており、世界の様々な場所の地層からその記録は残されている。その中でも千葉セクションが特別な理由は地磁気が逆転する過程が1000 年分の土砂が約2 m の厚さで堆積している点である。一般的な地層では1000 年分の土砂は数10 cm の厚さであり、この期間に起こる詳細な環境変動を解析するのは難しい。千葉セクションを詳しく解析することで地磁気が逆転する様子を綿密に推定できる。
    本書では、地磁気の発見から地球環境と地磁気の関係、そして地磁気の逆転とはいったい何かまで基本から書いてあり、また科学用語があまり使われていないため地球惑星科学に従事していない一般の人々にも本書の意を理解しやすいと考える。ぜひ、興味をもった方は読んで欲しい。 (地球惑星科学コース 4年)

  • 請求記号 450.12/Su 25/2132

  • 地磁気逆転の本は何冊か読んでいるが、その痕跡が千葉の地層から見つかったというのは凄いことです。

    チバニアンという名称は何となくゆるキャラを連想するのでそのうちイメージキャラクターとか出来るかもしれませんね。

  • 「チバニアン」の名前は話題になったが、その意義は本書で初めて理解した。意外だったのは、今から77万年あまり前という地学的スケールではつい最近、ジュラ紀とか白亜紀よりずっと現在に近い時期を示すものということと、そこに地磁気逆転と氷期・間氷期の境を含んでるということ。
    本書は、地磁気逆転の発見やその調査方法について詳しく描かれている。ただ、本書のサブタイトルを見て地磁気逆転のメカニズムが知りたかったのだが、それはまだよく分かっていなのか、あまり触れられていないのが残念。いずれにせよ、岩石や氷床に含まれる微小な情報を読み取るという極めて高い感度の技術に驚かされる。
    それにしても、地磁気があるからこそ地球に大気や生命が存在しているのだと思うと、あらためて地球という存在の絶妙さに感慨を覚える。

  • 【配架場所、貸出状況はこちらから確認できます】
    https://libipu.iwate-pu.ac.jp/opac/volume/526613

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著者プロフィール

(すがぬま・ゆうすけ)
国立極地研究所 地圏研究グループ 准教授
1977年、長野県生まれ。2000年、茨城大学理学部卒業。2002年、東京都立大学大学院理学研究科修士課程、2005年、東京大学大学院理学系研究科博士課程を修了。博士(理学)。産業技術総合研究所ポスドク研究員、東京大学大学院理学系研究科特任助教、国立極地研究所助教などを経て、2016年より現職。専門分野は、地質学、古地磁気学。海や湖の地層や氷河地形などから過去の地球環境の変動メカニズムを解明することを目指している。過去6回の南極調査と、南極氷床上で150日以上のキャンプ経験も持つ。千葉県市原市の地層「千葉セクション」のGSSP認定と地質年代「チバニアン」の誕生を推進した研究グループの中心メンバーで、GSSP申請の論文執筆責任者をつとめた。



「2020年 『地磁気逆転と「チバニアン」 地球の磁場は、なぜ逆転するのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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