あぶない法哲学 常識に盾突く思考のレッスン (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 377
感想 : 39
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065193778

作品紹介・あらすじ

私が自由意思で自分の臓器を売ることがなぜ禁じられるのか?
ギャグに著作権を認めたらどうなる?
カジノは合法なのに賭け麻雀が違法なのはなぜ?
全人類に共通の良心なんてある?

法と道徳、功利主義、人権、国家、自由、平等……私たちが生きていくうえで目をそらさずに考えたい「法哲学の問い」を、たくさんの具体例を紹介しながらわかりやすく解説!青山学院大学の”個性派教授”による、読んで楽しい法哲学教室!

感想・レビュー・書評

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  • 「法哲学は、法律に対してその思考を向ける。つまり、人間社会のさまざまなルールの中で、なぜ法律だけが国家権力による強制力を持つことができるのか、そのような法律を成立させ存在させるものは何なのかを問う。また、はたして議会で制定される法律だけが法なのか、制定法を凌ぐより高次の
    法があるのではないか、あるいは制定法よりも人間社会の多様な営みの中で自生する法こそ重要なのではないか、などと考えたりもする。古代ギリシアに起源を持ちヨーロッパで発展した、歴史のある学問なのだ」(本書「はじめに」より)

    ちなみに、「その思考」とは、同じく「はじめに」に記されているが、「既成の知を疑い、<存在すること>の根拠はなんであるのかを探求し続ける思考」のこと。

    そして著者は、法哲学には具体的な法学がよりよく正義を実現できるようにするための指針を示す「天使の顔」と、人間社会の習俗とか常識それ自体を徹底的に疑い、容赦なく批判してゆく「悪魔の顔」の二つの顔があると主張する。

    本書では、その二つの主張に基づき各章で「カジノは合法なのに賭け麻雀が違法なのはなぜ?」、「自発的な売春、是か非か」、「自分で飲む酒を自分で造って何が悪い?」等々、言われてみれば何でだろう?と思う様々な問いを多数立て、法哲学の観点から考証している。

    なお、それぞれの問いには当然のことながらこれが正解という答えはなく、著者の提示した様々な考え方をもとに読者自身が自分で考えて答えを出す形になっており、良い思考のトレーニングにもなる。

    非常に乱暴にまとめてしまえば、本書の言いたいことは、常識を徹底的に疑い、闇の部分は白日の下にさらし、まっさらの頭でそれらにつき考えてみよう!ということだと思う。

    ところで「まえがき」によれば、著者はセックス・ピストルズの大ファンとのことなので、ピストルズ好きの私と趣味が合うことも本書に好感を持ったところであります。

  • 【目次】(「BOOK」データベースより)
    第1章 社会が壊れるのは法律のせい?-法化の功罪/第2章 クローン人間の作製はNGか?-自然法論vs.法実証主義/第3章 高額所得は才能と努力のおかげ?-正義をめぐる問い/第4章 悪法に逆らうワルになれ!-遵法義務/第5章 年頃の子に自由に避任させようー法と道徳/第6章 大勢の幸せのために、あなたが犠牲になってくださいー功利主義/第7章 人類がエゾシカのように駆逐される日ー権利そして人権/第8章 私の命、売れますか?-どこまでが「私の所有物」か/第9章 国家がなくても社会は回るーアナルコ・キャピタリズムという思想/第10章 不平等の根絶は永遠に終わらないーどこまで平等を実現できるのか/するべきか/第11章 私には「誰かに食べられる自由」がある?-人はどこまで自由になれるか

  • 法哲学は、「行き過ぎた実定法上の運用がされている場合、その現状からどうやって課題を解決すればいいのかをさまざまな角度から検討する」学問だと思いました。
    そのため、卒論を書く際や憲法や刑法のリーディングケースを考える際などに多様な視点から応用できる気がしました。

    この本は、法律を学ばない人にも面白い視点から社会科学(法学)を俯瞰できる本だと思います。
    また、「法律はなぜ守るのか? 」「自分の体はなぜ売れないのか?」「ワクチン接種は誰が優先?」など、言われてみれば疑問に思ったり、答えに困るような疑問を、法哲学の視点から解決に導いてくれる一冊だと思います。おすすめしたくなります。

  • 法が存在する「根拠」を探求する学問である法哲学の入門書。興味を引く問題(「自発的な売春、是か非か」「自分で飲む酒を自分で造って何が悪い?」「ワクチンがわずかしかない時、誰を優先して配る?」「臓器を売るのはなぜダメなのか?」など)を設定しウイットに富んだ回答を示していくところが楽しい。

  • 法律や法哲学の知識がない人でも読みやすい。
    常識を疑う姿勢を持つことの大切さを学んだ。今までタブー視されてきた問題について、法哲学の視点からズバズバと切っていく様がかっこいいと思った。最後に読書案内があり、いくつかおすすめの本を紹介されていたので読んでみようと思う。

  • 桃山学院大学附属図書館電子ブックへのリンク↓
    https://web.d-library.jp/momoyama1040/g0102/libcontentsinfo/?cid=JD202006000043

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  • もともと法学部で法哲学も少しだけかじったことがあるが、興味が一旦離れていました。ですが、作者の方の切り口が面白く、また改めて法哲学を学んでみたいと思えました。ありがとうございます。

  • 「常識」への疑問を提起し、法哲学的な視点に気付かせてくれる入門書。非常に読みやすく、思想に馴染みのない人間にはありがたい一冊。

    ただ章末などで紹介される筆者や過去の思想家のたとえ話には極論が多く、それまでの議論との連続性に疑問を抱かざるを得ないこともあった。せっかく各章ごとにメインとなる疑問が提示されているのだから、投げっぱなしにせず筆者なりの妥当な結論への収束を図ってほしかった。あるいはこの考え自体がソクラティック・メソッド慣れしていないインプット教育の産物、悪くすれば「家畜」との誹りを受けるかもしれないが。

    また門外漢ゆえ的外れかもしれないが、もう一つ不満を挙げるなら、法哲学固有のディシプリンや方法論を(もしそういったものがあるのならば)示してほしかった。単にそういう分野なのかもしれないが、政治学や経済学、哲学との関連性があまりに高く、読了時点でも結局「法哲学」とは何なのかが分からない。例えば実定法の具体的な規範の検討など、法的思考を用いる研究の紹介があれば更によかったのにと思う。

    とはいえ道徳や規範の持つ強制力に関する、いわゆる「常識」の限界を示すという意味では本書の目的は十分に達成されているといえ、また紹介される著名な思想家たちの理論もちょうど「知っておきたい」ライン。読了コストの低さも相まって、一冊目に読む本としては及第点以上のものをつけたい。

  • 法哲学についてのトピックが簡潔にまとめられてて面白かった。法実証主義vs自然法論の対立構造は覚えておきたい。それぞれの哲学的な問いについて著者の「答え」が書かれることはなく、読者自身であとは考えるようにと促されている。まとまった結論をある程度出してくれないと書きものとして成立していないようにも感じるのだが、一方で問いを立てることそのものが哲学なのだとも思う。常識に盾突く「思考のレッスン」と副題にあるように、当たり前の常識だとあなたが思っていることこそが法哲学の疑うべき対象なんだと読者に伝えることが、著者のとりあえずの狙いだったのではないか。

  • 法哲学なんていう面白い学問分野があったことが驚き
    後半に入るにつれどんどん加速していきます
    著名な思想をつまみ食いできるのが嬉しい

    銀幕女優を目指してたピストルズ好きの法哲学者ってかっこいいーー笑笑
    法学は堅いイメージがあったけれど、そういう法学界にロックな人がいるっていうのは安心

    講談社現代新書は青少年向けに書かれているような気がするけど、本書もとても読みやすいので法哲学を志す人が増えたらいいな〜と勝手に思いました

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著者プロフィール

1961年、北海道生まれ。北海道大学大学院法学研究科博士後期課程修了。博士(法学)。山形大学人文学部助教授を経て、現在、青山学院大学法学部教授(法哲学)。著書に『哄笑するエゴイスト――マックス・シュティルナーの近代合理主義批判』(風行社)、共同執筆書に『法の臨界[2]秩序像の転換』(東京大学出版会)、『ブリッジブック法哲学』(信山社)、『問いかける法哲学』(法律文化社)などがある。

「2020年 『あぶない法哲学 常識に盾突く思考のレッスン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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