社会と精神のゆらぎから

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065194539

作品紹介・あらすじ

「若い世代に、先に逝った故人に、今、世界がどうなっているのか、伝えてみよう」。野田正彰が、精神科医の視点から振り返る戦後史。

感想・レビュー・書評

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  • 比較文化精神医学を始めとして、気骨のある文章を紡ぎ出している著者の、これまでの生き様を振り返る書。著者が主に文化人類学的手法にて様々な調査を行ってきたこと、ヤスパースの現象学的精神病理学を基本とした社会精神医学的手法で臨床を行ってきたこと、その実践が若き日の長浜日赤での臨床経験に裏打ちされていることが述べられている。当時は革新的であった精神科医療の開放化は、学生時代の学生新聞編集、学生運動、青医連運動から培われていることが赤裸々に述べられている。若い精神科医が読んでも一昔までピンとこないことも多いだろうが、かつての荒くれた時代の当事者の方々がこのような形で文章を残してくれるのは後進のものとしては参考になる。ただ綺麗事だけではない部分もあったのだろうとは思われるが。それ以上にこの文章が連載されている高知新聞の気概にも感嘆を受けた。この連載を読んでいる高知の人の感想を聞いてみたみたい。

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著者プロフィール

野田正彰(のだ・まさあき)
1944年生まれ。高知市出身。土佐高、北海道大学医学部卒業後、長浜赤十字病院精神科部長、神戸市外大教授、ウイーン大学招聘教授、関西学院大学教授などを歴任。パプア・ニューギニア高地、ロシア、リビアなど文化変容の研究を重ねた。『コンピュータ新人類の研究』(文藝春秋)で大宅壮一ノンフィクション賞、『喪の途上にて』(岩波書店)で講談社ノンフィクション賞。『戦争と罪責』(同)や『虜囚の記憶』(みすず書房)など著書多数。京都市在住。


「2020年 『社会と精神のゆらぎから』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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