七月に流れる花/八月は冷たい城 (講談社文庫)

  • 講談社 (2020年7月15日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (352ページ) / ISBN・EAN: 9784065197660

作品紹介・あらすじ

 呼ばれた子どもは必ず行かなければならない──。
「夏のお城」への林間学校へ招待された少年少女たち。
 全身緑色をした不気味な「みどりおとこ」の引率のもと、古城での共同生活がはじまった。彼らはなぜ城に招かれたのか? 
同じひと夏を少女の視点で描く「七月」と少年側から描く「八月」を一冊に収録。

みんなの感想まとめ

少年少女たちが不気味な「みどりおとこ」と共に過ごす夏の城での共同生活を描いた物語は、淋しさと悲しみが交錯するひと夏の体験を通して、深いメッセージを届けます。少女の視点から語られる「七月に流れる花」と、...

感想・レビュー・書評

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  • 6月初めに、夏流(かなし)という名前の土地に転校してきたミチルは、全身緑色の「みどりおとこ」に出会い、夏のお城夏流城(かなしろ)での林間学校に参加する。
    主人公が中学生の、淋しくて悲しいひと夏の物語。

    「七月に流れる花」は少女の視点で、「八月は冷たい城」は少年の視点で描かれていて、「七月」を読んでから「八月」を読むので、物語に入りやすく、より鮮やかなものに感じられる。
    物事の裏と表が透けて見えるような感じがして、面白かった。

    彼らが夏の城に呼ばれた理由が謎に満ちていて、真実がわかるとほっとする反面、近い将来起こってもおかしくないような出来事だと思うと怖くなってくる。
    悲しいおとぎ話のようだ。

    「悲しみは夏流城の水路に流していきなさい。ここを出たら未来のことだけ考えなさい」という言葉に、前向きなメッセージが込められていて、全体的に恩田陸さんらしいダークな雰囲気がよかった。

  • これはまぎれもなくファンタジーなのだけれど、コロナ禍を経た今は、少しリアルにも見える。
    ことごとく最後まで残酷で、でも魅惑的な世界にズブズブと引き込まれました。

  • ミステリー?ホラー?の展開を、後半数ページで恩田さんの世界観に引き込まれる?引き戻される?不思議な作品。

    なんとも言えない読了感が心地いいです。

  • みどりおとこにお城に招待された少女たち、少年たち、それぞれの視点で書かれたお話で、元々は2冊の本だったそうです。
    みどりおとこなんて、何?って思ってしまいましたが、童話のような、ホラーのような、ミステリーのような色々な要素がつまったお話でした。
    底のテーマはかなり辛いものなのですが、そこが今一つ、想像しにくかったような気がしました。

  • 面白かった。面白かったけど怖くて心臓バクバクしながら読んだ。特に8月の方。
    みどりおとこを想像しながら読むと色んなシーンが脳裏に焼き付いて怖い、、

  • 少し悲しくて少し怖い、ゾクゾクするダークファンタジー。
    古城、夏流城での林間学校に参加する少年少女たち。
    なぜ招待されたのか?「夏の人」って何?
    分からない事ばかりでドキドキの前編。
    同じ夏の林間学校を別の視点から描いた後編。
    こちらはある程度秘密が分かった上で読むので、また面白い。しかし、やっぱり怖い。
    題材が、今のコロナと重なる部分があり、また恐ろしい。

  • 少年少女たちの冷たい夏のお話だった。
    小説の初出しは2016年、でも今読むのとでは気持ちが違うだろうなと思う。
    未知というものは社会的動物にとって、ライオンよりも恐ろしい。

  • 講談社タイガの方を持っていますが、二部作共一つに纏まっていると聞いたので買いました。恩田陸先生が書く中学生や高校生キャラが凄い好きです。こういうお話がもっと増えてくれたら嬉しいです。

  • 一時期たくさん読んだけど、久しぶりの恩田陸。
    親を亡くす子供たち、もの悲しいまま終わってしまった。ちょっと消化不良感。

  • 少女たちの淋しいひと夏。恩田陸ワールド全開。全体を通してなんだか薄暗い静謐な描写の中で、あまり派手に描かれない少女たちの内面が、揺れ動くのを静かに感じることができる。

    “皆慣れていて料理も上手だった”という何気なーーーーい描写が、明らかになる結末の伏線になっているってどうして思うか、、、


    対する少年側。
    少女たち側に比べるとかなり不気味でグロテスク。不穏な空気。それが土塀を挟んでわずかに少女側へ伝染していく瞬間も。

    予告編に当たるらしい、みどりおとこの短編集読んでからきて良かったです


    久しぶりに味わった恩田陸のゴシックミステリー、、、読んで良かったです

  •  「7月」は主人公のミチルと同じ視点で話が進むので、全体的に薄暗い霧の中を、有無を言わさず引きずられていく感じで進む。後半、状況を理解すると、今までのことがひと夏の悲しい思い出になり、みんなの希望でありながら孤独な「夏の人」へ、畏怖にも近い念を感じるようになった。夏の人が、最後に蘇芳に言った、「佐藤先生は、、、」の言葉は、ひょっとしたら人によって違う言葉に聞こえるのかもしれないなと思った。

     それに対して状況が分かった上で読み進める「8月」は事情が違う。ここでは起こるはずのないことが次々と起きる。母屋で見つかった首の折れた4本のひまわりは何を指すのだろう。光彦は「あいつ」の仕業と言った。「あいつ」は夏の人のことだと思うけど、一体、夏の人はひまわりで彼らに何を伝えようとしたのか。それとも私が見落としただけで幸正がやったことだったのかな。
    最後の「親を亡くした悲しみはこの夏流に置いて行きなさい、真っ直ぐ前を向いて歩いて行きなさい」という言葉に希望が見えた。

    そして、読みながら理瀬シリーズを思い出した。

  • この連作は最初に講談社タイガ文庫で見かけたのですが、買おうか迷っているうちに一冊になってくれて幸いでした。
    「夏の人」というファンタジーな存在から始まって、謎めいた夏流城での林間学校に参加する女子組の方はミステリー風、男子組の方はサスペンス風と趣向を変え、一気に結末になだれ込むあたりは流石かと。ただ…緑色感冒のナゾ部分だけは、ちょっといただけない。そもそも夏だけ、ってのもなぁ…あのペースで花が流れてるのに。

  • ダークファンタジーを描かせたら恩田陸さんの右側に出るものはいない、と思っています。
    この物語の雰囲気が好きです。この恩田陸さんが紡ぎだす、この物語の雰囲気がなんともいえなくて、またよみたくなります。
    個人的にはミチルと光彦が出会ってほしい。

  • 七月に流れる花
    単行本で読みましたが、ブクログでの検索では出てこず文庫での登録です。
    かつて子供だったあなたと少年少女のためのミステリーランド。
    シリーズで刊行されたもので、箱入り、装丁は祖父江慎。
    豪華です。
    すべてにルビが振っているのが、少し読みづらいけれど、少年少女向けなので。
    ぞっとするようなシーンもあり、ミステリーであり、思春期の不安定な気持ちもうまく表現出来ていると思います。
    酒井駒子の挿絵も美しい。

  • 昔読んだ本の再読。

    意外と覚えていないもので楽しめました。
    こんな世界観を思いつけるのがすごい‥

    コロナ後のいま読むと、あながちありえない出来事ではないのかも‥と思います。

  • ひさびさの恩田陸作品。

    『七月に流れる花』『八月は冷たい城』
    同じひと夏に、「夏のお城」に招かれた6人の少女と4人の少年。同じお城で男女別々に過ごす彼らが体験する奇妙な時間を、少女と少年両方の視点から描き出す2つの作品。

    正直、なにもこんな時期(新型コロナウイルスの流行期)に読まなくてもよかったなと思った。いや、読むならもっと早くに読んでおくべきだったな。あまりにも時勢に合いすぎている。
    決して馬鹿ではない子供、幻想的で不思議な建物や景色、謎が深まり、それがパズルのピースがはまるように明かされるときの焦燥感と快感。そうした恩田節はそのままに、人の死というものが、死を身近に経験して遺されるということがひたひたと迫ってくる。

    まだひとつわかっていないのは、なぜみどりおとこが、「気を付けないと、カマキリに喰われちゃうわよ」と忠告したのか。みんなの考察を読むのが楽しみ。

    あとはやはり表紙が好き。読む前には多くを語らず、ひたむきに何かを訴えてくるだけなのに、読了後に眺めると実に雄弁に語っていて。

  • こう言う恩田陸は大好き。雰囲気がとても良いし不思議な城に集められる少女たちと少年たちの不安な感じや不思議な行動とかが読んでいて楽しい。今回は結末も放り投げらる感じてはなく良かった(笑)

  • 大好きな北見隆さんの絵
    ホラーと非現実感が強いのかと思ったけど人間らしさが詰まった作品だった
    この世界がどこかで存在しててもおかしくないから没入できていい

  • 読み終わると少し寂しい気持ちになる。どっちも少しだけホラーっぽい要素があってドキドキする。一気に読み進められる

  • お城シリーズらしく、読みすすめやすい。内容は他と比べると薄いかなと思った。

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著者プロフィール

恩田 陸(おんだ・りく):1964年、宮城県出身。小説家。92年『六番目の小夜子』でデビュー。2005年『夜のピクニック』で第26回吉川英治文学新人賞および第2回本屋大賞、06年『ユージニア』で第59回日本推理作家協会賞、07年『中庭の出来事』で第20回山本周五郎賞、17年『蜜蜂と遠雷』で第156回直木三十五賞、第14回本屋大賞を受賞。ほかの著書に『spring』『なんとかしなくちゃ。青雲編』『鈍色幻視行』『夜果つるところ』『夜明けの花園』『珈琲怪談』『酒亭DARKNESS』、エッセイ集『土曜日は灰色の馬』『日曜日は青い蜥蜴』『月曜日は水玉の犬』など多数。

「2025年 『spring another season』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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