これはミステリではない

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 219
感想 : 23
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  • Amazon.co.jp ・本 (242ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065199763

作品紹介・あらすじ

「読者への挑戦状」ーー!!
しかし、それは誰がためのものなのか?
「これまで僕が書いてきたなかでも最大級に歪(いびつ)」ーー竹本健治

ミステリ界の金字塔『匣の中の失楽』『涙香迷宮』の鬼才が放つ最新作!

香華大学ミステリクラブの夏合宿で悲劇は起きた!
メンバーをモデルにした犯人当て小説「読んではいけない」の問題篇が披露された翌日、小説通りに湧き起こった濃霧のなかで、出題者は解決篇の原稿とともに消え去ってしまう。
偶然同じ施設に居あわせた「汎虚学研究会」の高校生たちも渦中に巻きこまれ、事件の謎に挑むことになるが、肝腎の探偵はやる気なく、誰彼なくおかしな夢を見るばかり――。
果たしてこの重構造の事件で問われているのは何か。そんな問いなどどこにもないのか。

ミステリ最大のタブーは快楽となり得るのか――
それともここにあるのは作家・竹本健治の終焉か!?

感想・レビュー・書評

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  • これはなんだったんだろう…
    確かにミステリではなかったのかもしれない。
    でも…
    "ミステリではない"と謳えば何やってもいいのか。
    でもこれをやりたかったから、"ミステリではない"と言っているわけで、文句言われる筋合いはない、と作者は思っているのか。
    残るのは不条理。回答が得られたような得られなかったような…。
    とりあえず人物相関図は欲しい。

  • いやあ、これは参った!
    ラストの「マサムネ」の台詞に大爆笑。
    どうしよう。笑いが止まらん。お腹痛い(笑)。

    そもそも、爆笑の理由は、もう不条理の極みですよ。ネタバレは、全てが台無しになりそうなのでしませんが、これもアンチミステリか、メタミステリになるのだろうか? タイトルがタイトルだけに。

    いや、でも、最初の「犯人当て」は一応、折り合いを付けているし、登場人物、皆の推理のやり取りもあるし、よくぞ気付いたというような、本当に細かい点まで蒸し返してる、これぞ本格推理だと思えるが、しかし。

    こういう作品を読むと、私はまだまだミステリのこと、全然知らないなあと真に実感します。勢いで「☆5」にしたくなる気持ちもあり(冷静に考えて自重しました)、それは推理ものとしての素晴らしさというよりは、ラストですね。むしろ、途中の展開は迷走気味で読み辛さもあったのだが、ラストは凄かった。脱力し、恐怖し、空虚さを覚えていたら、笑わされた感じだろうか。最後のウィットに富んだ台詞が、最も推理ものに出て来る探偵らしいというのが、この作品の一番の皮肉なのかもしれない。

  • 図書館で借りた本。
    登場人物が多すぎて、誰が誰で本当にいるのが誰で、今は現実なのか、お話の中なのか、夢の中なのか。自分がどこにいるのかわからなかった。理解力が乏しい人(私)にもそれなりに楽しめたが、中断したら最後、なんの話だっけ?って少し後退してから再度読み始めるを繰り返してやっと読み終えた。

  • クローズド・サークルは大好きだし
    メタ・ミステリもけっして嫌いではないけど
    残念ながら、この作品は
    キャラもストーリーも
    私の好みではなかったなぁ。

    実は、読み終わってから
    シリーズ2作目って知りました。
    そうか!
    先に前作読んでキャラ慣れしてたら
    もう少し違ったかしら?

  • 確かにミステリーではなかった。

    大学と高校のミステリー研究会(名前は違う)が、問題編を聞き答えを考えるというゲームを行う。
    だが…。

    密室殺人かと思いきや。

    作中作、夢、現実が錯綜する。
    なんとも言えない読後感。

  • ミステリではないと銘打ちながら、ミステリであり、最後に有り体な収拾がつけられない。ホワイダニットにこの答えはアリなのか。いや、これも答えだ。推理小説として求められる謎と解答を提示するものではなくて、読み手のエゴを満たすミステリでは無いと言う事か。誰が為の挑戦状かと言う一文にそれを感じる。読み取りたいと言う願望を完無視して嘲笑いながら、登場人物を読み手のエゴから解放している。読み手の為の登場人物では無く、彼らが彼ら自身の為に蠢き夢想する様に読み手側が巻き込み事故され、ミステリな人間のありようを見せつけられる、そう言う意味でのミステリなのかと思った。

  • 「汎虚学研究会」続編。しかしこのタイトルは……ミステリではないの? いきなり冒頭からミステリっぽい絵図が出てきたりするのですが? と思いつつ読みましたが。
    ミステリではあります、たぶん。でも有り体なミステリではないかも。二重構造になった犯人当ては、「誰が犯人か」だけを考えるなら実にシンプルと言えるかもしれません(でも解らなかったけれど)。ただし、普通に問題が提出されて解答が提示されて、というようなものではないので。この真相はきちんと明かされるのか? とやきもきしちゃいます。解かれないままということもありえそうだものね……。
    たしかに「歪」ではあるかも。だけどまごうことなきミステリだよなあ。謎はいっぱいいっぱい、というよりこの物語そのものが巨大な謎なのかもしれません。

  • 挑戦的なタイトルです。改題したみたい。

  • 竹本健治 これはミステリーではない

    確かに本格推理小説ではない

    ミステリーの作中作

    ミステリーマニア群

    趣向の犯人

    まだ続きそうです。

    ここまでが、序章とした感じ、もっと長編にした改訂版、新しい小説にも期待します。お願い致します。

  • 湖畔に浮かぶ保養所で起きた殺人事件、という物語を語った大学生がその後、同じような状況下で殺害される。
    一応ミステリーの体をなしているけど、夢の中の描写が結局物語の大筋にどう絡んでいたのか分からなかった。確かに歪。

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著者プロフィール

竹本健治:
一九五四年兵庫県生れ。佐賀県在住。中井英夫の推薦を受け、大学在学中に『匣の中の失楽』を探偵小説専門誌「幻影城」上で連載。デビュー作となった同書は三大奇書になぞらえ「第四の奇書」と呼ばれた。
ミステリ・SF・ホラーと作風は幅広く、代表作には『囲碁殺人事件』『将棋殺人事件』『トランプ殺人事件』の「ゲーム三部作」をはじめとする天才囲碁棋士・牧場智久を探偵役としたシリーズや、自身を含む実在の作家たちが登場するメタ小説「ウロボロス」シリーズなどがある。近著に大作『闇に用いる力学』。

「2022年 『竹本健治・選 変格ミステリ傑作選【戦後篇Ⅰ】』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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