戦国大名の経済学 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 167
感想 : 15
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065200155

作品紹介・あらすじ

兵士の装備一式70万円、鉄炮1挺50万円、兵糧米代1000万・・・1回の合戦の費用はしめて1億!「銭がなくては戦はできぬ」
戦国時代はその名の通り、日本全国が戦乱に明け暮れていた時代でした。しかし戦争は、単に個々人が武力に優れていさえすれば勝てるようなものではありません。なによりも必要とされたのはお金です。刀、甲冑、そして新兵器、鉄炮から馬にいたる武器・装備品に始まって、後方兵站への非戦闘力の動員にいたるまで、先立つものはまず「お金」。お金がなければ戦争など、できうるべくもなかったのです。
そのため戦国大名は平時から、自領内での経済力の増大に、つねに意を注がなければなりませんでした。農作物を安定的に収穫するための治水事業や、流通を潤滑にするための道路整備などのインフラ整備、「楽市・楽座」令による経済の活性化、金・銀・銅などを獲得するための鉱山開発、さらにはこの時代に初めて我が国に登場した、ポルトガルなどの海外交易に至るまで、あらゆる手段を講じて「富国強兵」に励んでいました。
資料に限界があるために、当時、個々の案件にどれほどの費用がかかったのかを算出することは難しく、専門家が書いたものとして1冊の新書全体でこの問題を扱ったものは、現在、ほぼ皆無に近い状態です。本書は、戦国時代の経済の専門家があえて蛮勇をふるい、この問題に挑むものです。

感想・レビュー・書評

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  • 著者の先生は存じ上げないが、貨幣経済史のご専門とか。戦国時代における大名たちの領国経営については類書も多いのでさほど目新しい記述はなかったように思うが、ところどころ最新の研究成果も盛り込まれていて、興味深い部分も多かった。とくに第7章「混乱する銭の経済—織田信長上洛以前の貨幣」と第8章「銭から米へー金・銀・米の「貨幣化」と税制改革」の部分。ほかにも第5章で論じられている織田信長の楽市令に関する考察なども。

    結論はごくごく当たり前の話になってしまうのだが、旧来の秩序再編成に当たっての戦国大名の革新性について、過大評価はできないということ。とくに市場経済・貨幣経済のコントロールは、戦国大名といえどもそう簡単ではなく、旧来の秩序と折り合いを付けながら漸進的なものであった。

  • 332-K
    閲覧新書

  • 大名の経済状況を数量的に分析している。こういった視点の本は珍しい。面白い。

  • 図書館で借りた。米がなぜお金になったかが分かった

  • 332.104||Ka

  • 貫高制がなぜすぐ消滅したのかが腹落ちした

  • 序章 戦国時代の経済と戦国大名の経営
    第一章 戦争の収支
    第二章 戦国大名の収入
    第三章 戦国大名の平時の支出
    第四章 戦国大名の鉱山開発
    第五章 地方都市の時代ーー戦国大名と城下町
    第六章 大航海時代と戦国大名の貿易利潤
    第七章 混乱する銭の経済ーー織田信長上洛以前の貨幣
    第八章 銭から米へーー金・銀・米の「貨幣化」と税制改革
    終章 戦国大名の経営と日本経済
    参考文献
    あとがき

  • 東2法経図・6F開架:B1/2/2575/K

  • 兵士の装備一式70万円、鉄炮1挺50万円、兵糧米代1000万…。戦国時代の懐事情を専門家が平易に解説する。

    序章 戦国時代の経済と戦国大名の経営
    第一章 戦争の収支
    第二章 戦国大名の収入
    第三章 戦国大名の平時の支出
    第四章 戦国大名の鉱山開発
    第五章 地方都市の時代ーー戦国大名と城下町
    第六章 大航海時代と戦国大名の貿易利潤
    第七章 混乱する銭の経済ーー織田信長上洛以前の貨幣
    第八章 銭から米へーー金・銀・米の「貨幣化」と税制改革
    終章 戦国大名の経営と日本経済

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著者プロフィール

川戸貴史(かわと・たかし)
1974年兵庫県生まれ。一橋大学大学院経済学研究科博士後期課程単位取得退学。博士(経済学)。現在、千葉経済大学経済学部教授。専門は貨幣経済史。主な著書は『戦国期の貨幣と経済』(吉川弘文館)、『中近世日本の貨幣流通秩序』(勉誠出版)、『戦国大名の経済学』(講談社現代新書)など。

「2021年 『新説戦乱の日本史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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