証券会社がなくなる日 IFAが「株式投資」を変える (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 235
感想 : 25
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065201480

作品紹介・あらすじ

社長表彰の常連社員、労組の委員長経験者
海外修練生に選抜された営業成績優秀者…。

将来を嘱望されていた大手証券会社の
エリートたちがいま続々と転身している
IFA(独立系ファイナンシャル・
アドバイザー)とはいったい何なのか?

2兆円規模ともされる日本のIFAビジネスを
補助線としながら、ネット専業証券の
明暗を分けた理由、
業界が固執する「儲けのカラクリ」に迫る
ととともに、次の時代に存続する証券会社の
姿を考える。

日本の証券業界を代表する「野村」は
はたして生き残ることができるのか?


【本書の内容】

序 章 証券ビジネスを変える「IFA」とは何か
 これまでとは異なる人材流出の動き
 相次いで辞めていくエリートたち
 米国ではIFA=巨大証券会社の社員に比肩する存在
 IFA説明会の実態 ほか

第1章 証券業界が固執する「儲けのカラクリ」
 販売手数料無料化の衝撃
 「回転売買」と「はめ込み営業」
 テーマ型ファンドを保有していない投信会社の元役員
 放置されたままの「残骸ファンド」
 仕組債「早期償還条項」の罠 ほか

第2章 米国の証券業界で「いま起きていること」
 注目すべきはチャールズ・シュワブの「変貌ぶり」
 米国で主流の「ゴールベース・アプローチ」とは
 常勝軍団「エドワード・ジョーンズ」の独創性
 米国では支店長が「どぶ板営業」
 激化する買収合戦の中心的存在
 あのGSが個人向け無担保ローン事業に進出 ほか

第3章 誰が信頼できる「IFA」なのか
 むやみに数は追わない…GAIA 中桐啓貴
 相場の話をしない…
  ファイナンシャルスタンダード 福田 猛
 投信はやらない…
  Japan Asset Management 堀江智生
 売れる商品でも売らない…いちよし証券 武樋政司

第4章 進化を止めた絶対王者・野村の苦悩
 金融業界が色めき立った「野村買収」情報
 野村HD前CEOが吐露していた「潰れる恐怖」
 ソフトバンクの株式上場時に演じた「厳しい結末」
 時代遅れの「日本型総合証券モデル」
 野村HD新CEOの考え ほか

終 章 いまの証券会社がなくなる日
 IFA転職支援サイトの近況
 在宅勤務が助長したIFAへの“民族大移動”
 SBIと楽天が勝ち、
  マネックスと松井が引き離された理由
 玉石混交のIFA法人とプラットフォーマー ほか

感想・レビュー・書評

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  • 大和証券•野村証券が進むべき方向性
    今年のマーケットは過去にない規模の過剰流動性相場で、市場最高値に向かって進んでいる。これまでならマーケットがこれだけ上がっている環境下では証券会社の株は少なくともマーケットドリブンに上昇して然るべきであるが、両社の株価は低迷したままだ。何が国内の証券会社に起きているのか?
    厳しい言い方かもしれないが、マーケットは衰退業者と見ているのであろう。そんな中業界トップの野村証券は社長も交代しこれまでの営業部門出身者ではないトップとなった。
    『投資コンサルタント』または『投資アドバイザー』を野村証券の奥田社長は指向していると言われているが、野村も大和も今後チャールズ•シュワブの様な顧客チャネル多様化による、顧客とウィンウィンの関係を構築するノンセグメント戦略か、それとも米国投資銀行的な富裕層特化モデルなのか、いずれにしても、利益相反を完全に防止出来るシステムを構築する必要がある。完璧な解はなかなかないが、全て顧客とウィンウィンな関係をまず構築するためには、アップフロントの収益追及では無くて、チャールズ•シュワブ型の顧客の資産増を顧客と共に喜び、会社はそれに対しての収益を貰い、対価を営業の評価としする。我が国のIFAはまだ歴史が浅いということもあるが、残念ながらIBD(Independet Broker Dealers)が今のところ大半で、チャールズ•シュワブ型のRIA(Registered Inbestment Adovisers)は少ない。大和証券•野村証券の目指す方向性は顧客との目指すゴールが同じ方向となるRIAと私は考える。チャールズ•シュワブの経営理念は『全ての人に投資の機会を提供』し、『顧客の利益のために事業する』である。正直言って1997年に支店長研修で米国に行き、チャールズ•シュワブにも行ったが、その時にはこの様な変化を遂げるとは思ってはいなかった。そして様々な資産増以外の経営や法律•税務等に対してのコンサルティングは高度な知識を持った外部機関と連携しながら自社の社員も高度化をはかり、コンサティングフィーの増加を図っていく事も従来の証券会社からの脱皮の為には必要であろう。今ある顧客資産と新たな顧客資産は全て出来たら包み込んだ形にして売り買いの手数料は取らずに、年間の預かりに対する一定の率のフィーにし、預かり資産の増加が営業員の評価とする。株、投信、債券全てこの対象とすべきだと思う。お客様のニーズはそれぞれで有り、変わらない場合もあるが、また変化していくものである。一つの商品にこだわることもないし、海外だろうが、国内だろうが、お客様のニーズに沿って資産を増やす事に純粋でいい。またお客様にとって必要と思われるニーズも本来あるはずで、プロならアドバイス出来ないといけない。ただ最終的な判断はもちろん顧客が下すもので、思い上がってはいけない。お客様にプロとして多方面からアドバイスして、気づきを与えて顧客と共にゴールに向かってより良い方向へ進むことがこれからの証券会社の進むべき道である。しかしより良いニーズは換気出来るものでもある。さらに資産増に対しての成果型フィーの導入もやっていく必要があるだろう。プロは真剣に学び尖った者で有り、一時的な成果ではいけないが真のプロフェッショナルならば成果を上げられなくてはならないはずだ!さもなくば去るのみ!ボロボロになって路頭に迷ってからやるんではなくて、少しでも余裕が有って出来る可能性がある時に退路を絶ってやるべきだ!(『証券会社がなくなる日』浪川攻著 講談社現代新書を読んで)

  • 証券業界の理解に向けた読んだ一冊。野村證券のエースたちが退職して、日本の腐った金融業界を立て直すために動いているという話。米国証券会社のチャールズ・シュワブから始まった手数料無料化が日本の証券業界を飲み込もうとしている。これまで顧客本位と言いつつ証券会社本位の営業が限界に来ており、証券会社はどんどん淘汰されていくのではと。ここで思うのは、最先端の事柄を自分ごとのように受け止め変化し続けていかないと、気づかず腐っていくかもという危機感であった。新しいことすべてに反応するのは得策ではないものの、その背景を理解し危機感を持つべきかどうかの判断はする必要あるなと自戒も込めて感じる。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/747364

  • 経済ジャーナリストの著者が、人口減少や顧客の高齢化を背景に証券会社の手数料ビジネスの限界を論じた上で、資産形成アドバイスを行う新たな証券の担い手・金融商品仲介業(IFA)について述べています。
    証券会社の現状を知る上で参考になる一冊です。

  • 無料で手に入ったので読んでみた。

    野村證券ネタとIFAビジネスに終始している印象。
    特に得たものはないかなぁ。

  • IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)とは、証券会社から業務委託を受け、独自に顧客に対して資産形成のアドバイスを行う業態のこと。

    背景には、証券会社の問題点がある。
    ・アメリカでの売買手数料ゼロ化の動き+手数料の低いネット証券の台頭→従来の手数料ビジネスが成り立たない。
    ・厳しいノルマを達成するために短期売買を繰り返させる→本当に顧客のためにならない。

    投資におけるパラダイム
    ・手数料→ゼロへ
    ・無知な大衆→賢い大衆
    ・売買手数料で稼ぐ→資産連動で稼ぐ(アメリカ大手証券会社のビジネスモデル)
    ・短期的、高リスクな高騰狙い→長期的、低リスクな資産防衛

  • 投資アドバイスやFP

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/747364

  • 338.17||Na

  • 楽天証券が知らない間に非常に面白いポジションにいる事がわかって目から鱗

    説明会に一度参加してみることにした

    気になったので楽天証券に口座も開設してみたが、楽天の買い物をした際につくポイントで投資信託の投資を即す流れなどがあり、
    そこで投資をするとその月の楽天ポイントが多くもらえる、
    といった良い導線も出来上がっておりなかなかの戦略

    IFAも気になったが、楽天のビジネスに興味が湧きました。

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著者プロフィール

金融ジャーナリスト。1955年東京都生まれ。上智大学卒業後、電機メーカー勤務を経て記者となる。金融専門紙、証券業界紙を経験し、1987年株式会社きんざいに入社。『週刊金融財政事情』編集部でデスクを務める。1996年退社し、ペンネームで金融分野を中心に取材・執筆。月刊誌『Voice』の編集・記者、1998年に東洋経済新報社と記者契約を結び、2016年フリーとなって現在に至る。著書に『銀行員はどう生きるか』『証券会社がなくなる日』(以上、講談社現代新書)、『地銀衰退の真実 未来に選ばれし金融機関』(PHPビジネス新書)、『金融自壊 歴史は繰り返すのか』『前川春雄 「奴雁」の哲学』(以上、東洋経済新報社)などがある。

「2021年 『「型破り」な銀行の新ビジネス戦略』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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