時間は逆戻りするのか 宇宙から量子まで、可能性のすべて (ブルーバックス)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 321
感想 : 20
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065202104

作品紹介・あらすじ

物質には反物質があり、力には作用と反作用があるように、この世のすべてのものは、ほんのわずかな破れはあったとしても、対称性を持っています。ところが時間の進み方だけは対称ではなく、宇宙ができたときから現在まで、一方向だけに進んでいると考えられています。このことを「気持ち悪い」と感じている物理学者は少なからずいるようです。筆者もその一人です。
本当に時間は一方向だけなのか。宇宙は逆戻りしないのか。じつは時間も宇宙も、反復し、逆戻りしているのではないのか。一見、荒唐無稽なこの疑問を大真面目に検討してみることで、宇宙や時間についての新しい見方を呈示しようという狙いです。
量子重力理論研究の期待の新鋭にして、日本人としては最後の「ホーキングの弟子」ともいわれる著者が、量子論的な視点を突破口にして、「反復する時間」の可能性をわかりやすい言葉で探っていきます。

感想・レビュー・書評

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  • 時間が未来への一方通行という認識が本当に正しいのか、当たり前と考えられていることに一石を投じる一冊。
    とんでも科学や似非科学が蔓延る中、正真正銘の物理学における時間の概念を検証していきます。
    読了してまず感じたのは理系にとっても小難しいという印象で、多少の基礎知識が必要であると思います。
    とはいえ、量子世界では既に時間が過去へ戻る現象を観測したことや、時間が未来へ流れる膨張と時間が過去へ流れる収縮を繰り返すサイクリック宇宙といった劇的なシナリオが紹介されたり…、文理問わず楽しめる内容です。
    サイクリック宇宙が正しかった場合、この宇宙は50回目位の宇宙で私は50人目位の私であるようなので、確定した未来へのレールを歩んでいることになるのでしょうか。
    人生観が変わってしまうほど、色々と考えさせられます…。
    過去へのタイムトラベルが可能であれば夢はありますが、同時にそれが閉鎖した時間を何度もループすることを意味するならば虚しくも感じますね。
    遠い未来の人類が時間と空間の秘密を解き明かして限界を突破していることを、食事をしてエントロピーを減少させ排泄をしてエントロピーを増大させながら期待します。

  • 映画『TENET』を見て興味を持ち読了。時間に関する近代以降の科学的歴史から相対性理論、量子力学までのトピックの概観をざっくりと学べた。極めてミクロな世界と極めてマクロな世界の中では時間は逆行しうるというのは体感的にりかいしがたいが、とても興味深いと感じた。文章もロヴェッリを支持しているように、フランクな感じで読み易い。

  • 夏休みの終わりが近づいてきました。時計を巻き戻せないかなと思ったあなたにオススメです。

    所蔵情報:
    品川図書館 421.3/Ta43
    越中島図書館 408/B 1/2143

  • 令和4年のGW後半の中日、天気も良くどこかへ出かけようかと思いましたが部屋の大掃除が途中でもあり、読み終わった本の整理をすることにしました。レビューを書きたい本が50冊以上部屋の片隅にありますが、半分を目標にしたいと思います。従って、付箋をつけた箇所全てを書いていると処理しきれないので、各々10箇所程度に絞ることにしました。

    以下は気になったポイントです。

    ・天体の順番は地球から遠いと思われる方から並べられ、土・木・火・太陽・金・水・月とされてこれが基本的な天体の並びとなった。これを順番に24時間に当てはめていくと1日目の最初の1時間は土曜日となる、1日24時間には7つの天体が全て3回ずつ割り当てられたあと、土・木・火の3つのみ、もう1回割り振られる。すると次の二日目の最初の1時間は火の次の太陽、つまり日曜日となる。もともとは土曜日から1週間が始まっていたのが、なぜ現在は変わってしまったのかはよくわかっていない(p22)

    ・微分とは、ある瞬間に蛇口から出てくる水の量、積分とは、ある瞬間から次の瞬間までに浴槽に溜まった水の総量、とイメージすると良い(p39)

    ・生物はエントロピーが支配する宇宙の「時間の矢」に立ち向かい、真逆の方向に独自の「時間の矢」を発射し続けている、今のところわかっている唯一の存在である(p50)

    ・星が作れる元素は原字番号26の鉄まで、それより大きな元素はここまで元素を作ってくれた星が死んでしまわないとできない。星の死を超新星爆発というが、この時に生じる凄まじいエネルギーによって宇宙に散らばったレゴ(元素)たちが合成され27以降のコバルトが作られていく(p80)

    ・素粒子が起こす現象として「ものをすり抜ける」「同時に二つの場所に存在できる」などがある(p82)

    ・生物とは、1)外界と仕切られている:細胞膜、2)代謝を行う:光合成・呼吸・摂食行動、3)自分の複製を作る、生殖・遺伝、に加えて「何らかの目的を持って行動する」ことも挙げられる。自発的に合目的な行動をするかどうかは生命かそうでないかを大きく分ける要素である(p233)

    2022年5月4日作成

  • 桃山学院大学附属図書館電子ブックへのリンク↓
    https://web.d-library.jp/momoyama1040/g0102/libcontentsinfo/?cid=JD202008000931

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  • 今まで読んだ時間関する本の中で1番初心者向けだったが、しっかり物理。時間の次元は考えたことがなかったため、2次元や3次元だったらという考察は面白かった。
    裏表紙のぺこぱもユーモアがあって良い。

  • タイムトラベルの可能性をマクロとミクロの観点から探っていく一冊。
    人間が稀に遭遇するデジャヴの正体は、脳に保存された未来の記憶が何らかの不具合で事前に具現化されたことから生じるのかなと勝手に想像を巡らせている。

  • 時間というテーマに対して様々な理論を用いて考察をしている一冊。

    難しい言葉が少ないので物理学に明るくない人でも読める、と言いたいところだが、難解な理論を扱っているため理解が及ばないところもあるし、時間への複数の解釈について思考を巡らす必要がある。

    私は「TENET」という映画を見て時間遡行について興味が湧いたので読んでみたのだが、予想以上に話が複雑で宇宙という専門家でも意見が分かれる得体の知れないものをどう捉えていくか考えると頭がパンクしそうになる。
    しかしながら、本書を読んだことにより名前だけ知っていた量子力学やエントロピーについて触れることができたし、サイクリック宇宙や人間原理など面白そうなトピックをさらに知ることができたので満足している。

    知識をもう少し付けてから再度読むのも面白そうだなあと思った。

    (捕捉)
    確かに本書は簡単な読み物ではないが、著者と編集者の手によって読みやすい本となっていることも記しておく。興味を持って本書を手に取ったなら時間を忘れて読み進めることができるはずだ。

  • 《生命とは、因果律や熱力学といった物理法則にしたがうだけでは決して成立しえない、最終的にめざすある状態(=目的)を、高い確率で実現させるという合目的性をもつ何かではないか、と思われるのです。そうした合目的性は、生命の部品となるアミノ酸やタンパク質がつくられる過程で、すでに実現されていたのではないでしょうか。そこにはすでにエントロピー増大の法則に抗うような、一見すると実現不可能な状態ができあがっていて、それが、生命が合目的性をもっていることの根本的な原因になったのではないでしょうか。宇宙の絶対法則に抗って、ある状態を高確率で何度も再現できるように形成されたからこそ、それが生命たりえたのです。》(p.234)

  • 「これは主人公が過去のさまざまな時点に飛ばされる、いわゆる「タイムワープ」をテーマにしたSFです。主人公は、すでに何度もタイムワープを経験し、何回目かのワープでは、前にもワープしてきていて命を落とした自分自身の遺体を見つけたりもします。」って書いてあるけどデンゼル・ワシントンのデジャヴってそんな映画じゃなくないか、どのデジャヴだ

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著者プロフィール

筑波大学計算科学研究センター研究員

「2022年 『面白くて眠れなくなる宇宙』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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