- Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065203309
作品紹介・あらすじ
ある日、死刑囚・中村は、出版社の社員から、これまでの半生について手記を書くよう手紙で促される。そこで中村は自身の半生と、因縁の男・島田との関係を綴り始めることになった。困窮した家庭に育った中村と、地元でも有数の実業家一族の島田の二人は、一度は中学で同じ不良グループに属していたが、島田の度重なる裏切りに業を煮やした中村が殴り合いの喧嘩の末、島田と縁を切ることに。
その後、上京して会社員となり、結婚して幸福な生活を送っていた中村は、父の重篤の報を受け、看病のため久しぶりに帰郷する。そこに一族の経営会社を引き継いだ島田が現れ、二人は十数年越しに再会を果たす。直後に襲った株価暴落もあり、過去の蟠りを払拭して彼の会社に入社することを決意した中村だったが、そこにはなんと犯罪や不貞が横行する世界が待ち受けていたのだった。島田に妻を寝取られ、またしても裏切りにあった中村は、遂に怒りを爆発させ凶行へとひた走る。
29歳、戦慄のデビュー。第14回小説現代長編新人賞奨励賞受賞作。
感想・レビュー・書評
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軽快なリズムで読者を引き摺り込む作者の筆の運びに瞳が輝きながら惚れ惚れとした。単純にエンターテイメントとして楽しめるし、難しい言葉をつかっているのは敢えてなのかまだ読んではいないけれど作中にもあるように永山則夫の「無知の涙」に影響されたのかなあ、と。良かった。悪は悪で悪を成さん。
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漢字がたくさん使われているのが良い。今では目にしない漢字がわさわさ出てきてそれがリズムにのり心地よい。
確定死刑因の主人公はなるべく真実を書こうと手記を書き進めるが、中途で終わってしまい、死刑に至った事件の全容は分からない。それを補う形で青木君が『後記』で、事件のあらましを語る。手記と後記がそれぞれ補って、死刑因の復讐の物語が形となすのだが、最後まで読んでもモヤモヤが残った。これで全部ではない。語られていないことがまだまだある。まだ何かがある。それはきっとここに語られていたこと以上の恐ろしいことだ。主人公は首を吊るされる直前まで島田や佐倉を呪っている。地獄で輪廻転生した後で、二人を殺してやると誓っている。それほどの復讐心を抱かせる何があるのだ。そんな想像を作者は読者にさせたかったのではと思う。 -
なんだか恐ろしげな装丁
なんで買ったか記憶にない
本屋大賞ノミネート作とか
ちょっとキラキラしたものばかり読んでたので
そろそろ重めのやつ読みたかったのかも
なかなか事件ってのがなんなのか
明らかにならないもんだから
読んでて
「オイオイ、もう頁がなくなるぜ?!」
って心配しちゃったぜ
別に事件はどうでもよくて
こいつがどうなんのか気になる…
ってそれだけで読める
変な魅力があった
誰にでも起こりうるかというと
起こらねーよと思う
怨みを爆発させるヤツだらけじゃない
主人公が変なのか
ガマンできるほうが変なのか
あなただってそうなりかねませんよ
ってことを書きたかったのか
ちょっとわかんないけど
サクサク読めたから星3つ
でもあんま部屋に置いときたくない本ではあるなぁ -
2020年12月5日読了
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2020冬の文芸書フェア
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