5G 大容量・低遅延・多接続のしくみ (ブルーバックス)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065204955

作品紹介・あらすじ

「5Gは何が新しいのでしょうか?

いまどきCPUの世代が変わったからパソコンを買い換えようと思う人はけっこうなマニアで、仕事に支障が出なければ壊れるまで使い続ける人も多いでしょう。

スマートフォンでも、多くの人は“伝送速度が速くなっても関係ない”と同じ機種を今の回線のまま使い続けるようになるのでしょうか」(本書より)

【伝送速度→下りで20Gbps、上りで10Gbps】
【待ち時間→1ミリ秒】
【接続密度→1平方キロメートルあたり、1000000台】

このように規格を定められた「5G」。いよいよ本格的にサービスが開始されるが、その本領は「伝送速度」にあるのではない。
残りの2つ「待ち時間」「接続密度」にある。
5Gが4Gと根本的に異なるのは、タイムロスなく無数の端末に接続できることで、「移動通信システムをスマートフォン以外のものへ解放する役割」を持っているということなのだ。

スマートフォンを超え、自動運転システムをはじめとするあらゆる設備に、遅延なく大容量の通信ができる――。
どうしてそのようなことが可能になったのか。
「そもそも携帯電話がつながる理由」からはじめ、通信技術の本質がわかるよう、平易に解説する決定版。

感想・レビュー・書評

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  •  とても分かりやすい。
     アナログとデジタルの違い、FSKとかASKとかの無線通信技術の説明が。

     特にQAMは大学で全く理解できず、通信系は無理だなと諦めた15年前に教授がしゃべっていた内容がようやく理解できました。

     5Gというよりは、1Gからの無線通信技術の変遷を素人が読むには理解しやすく、よい読み物だった。

  • 移動通信システムについて非常にわかりやすく書かれていた。電波の話から始まり、第1世代から5Gまで順序立てて説明されているので、すんなり理解できた。
    『5G』というタイトルだが5Gがどうのという話だけでなく、移動体通信事業者や国際標準規格等を絡めて、移動通信システムの進歩の歴史を綴ったものであり興味深いものだった。
    また普段目にする英文字の羅列(LTEだのLANだのWiMAX等)やの理解も捗る。LTE≠4Gとは知らなんだ。

  • 仕組みを知るのは面白いです。LTEの意味は知らなかった。

  • 無線通信技術の発展の歴史と技術の解説をしている本。1Gから5Gの特徴を取り上げ、当時の社会の反響なども取り上げている。

    最近5Gという言葉をよく耳にするため、詳しく知りたいと思いこの本を手に取った。その判断は正解で、通信技術をめぐるニュース(Huaweiと欧米企業との開発競争など)の思惑や、Iotがもたらす社会の変化などがよく分かったからだ。
    なによりも興味深かったのは6章の内容である。5Gを取り巻く変化によるリスクについて書かれたものだが、それは監視社会が進行するということである。
    Iotによるセンサーの増加によって、一個人の身体感覚は大きく拡張される。それはIotの恩恵ともいえる一方、世界中に張り巡らされたセンサーによって個人のデータが明らかにされ、サービス提供者である企業に管理されていく。そんな、監視社会が進みつつあると著者は警鐘を鳴らす。しかし、「1984」や「ブレードランナー」の描いた世界のようにはならなかった。「現実に展開されている監視網は、もっとずっと紳士的」p214なのだ。

    このように本書は単なる通信技術解説のみならず、これからの未来のビジョンを示したといえる。

  • 話題の5Gに限らず、新旧の移動通信の仕組みを的確に説明した一冊。これを読んで、なぜ、駅に無料のwifiがあるのか(今までは、ただの撒き餌だと思ってた)、WiMAXとは何か(今まではただの商標だと思ってた)など、数々の誤解が氷解した。ブルーバックスの分量で、ここまできちんと端折らず、かつ、読み手の目線で説明してあるのは素晴らしい。そして、通信のフロンティアの一端にも触れられるので、読んでいてワクワクした。

  • 1Gから5Gまでの技術進歩の軌跡を学ぶことができる。もちろん4Gから5Gの変化を知ることができるため、通信技術や5Gをざっくり知りたい人にオススメ。

  • 2021.2.4読了。
    仕事上、購入して読んだ本。5Gまでに至る経緯が噛み砕かれて記されていたので、分かりやすかった。さらに便利になる反面、監視社会に進んでいるという記述は考えさせられた。5Gはこれから本格的に進歩していくだけに、注目していきたいと思った。

  • 本書は、電波とは何か、携帯電話が伝わる仕組みから説き起こされ、5Gに至るまでの変化を追いかける。
    技術的なことに全く疎い自分にも、きちんと理解できる。
    「電波が強い」とはどういうことか(振幅が大きくなる、周波数が高くなる)から、丁寧に説明してくれるのだ。
    まず、その説明にわかりやすさがありがたい。

    5Gをテクノロジーの黒船のように扱う論調も見かける。
    たしかに、これから進んでいくであろうIoTに不可欠な技術であることはよくわかる。
    岡嶋さんのいうように、自動運転の車で1秒通信が遅滞したら、えらいことだ。

    一方で、一エンドユーザーとしては、5Gになっても、実際問題生活が大きく変わらない気もする。
    これは本書の説明が悪いからではない。
    いまだにスマートスピーカーに背を向け、個人情報を取られるのを拒んでいる私には、生活に関わる実感としてイメージできないからだ。

    6Gで目指されるという無線給電が実現する話に、わくわくする。
    そういえば、天野浩博士も、この技術の開発について講演で取り上げていた記憶がある。
    テスラの夢が、現実になる、と。

    至るところにネットワークがあり、私たちが至る所でセンサーとして入力し続ける。
    幸福な監視社会がやってくるのかなあ?
    これも何ともわからない。

    もっとも、電力をこれからの時代、どう作るかが問題な気もする。

  • そもそも電波を使ってどうやって情報をやり取りしてるの?っていう基本からわかりやすく解説されていてめっさ勉強になる。
    当たり前のように使っているローミング、ビット、バイト、ギガ、IPとかが何かって説明もあり。
    5Gは第五世代移動通信システムのことを指す。普通はそう呼ばれない1Gはアナログで、従来型の固定電話の仕組みを無線化し、外でも使えるようにしたもの。2Gはデジタル化され、データ通信が容易になった。3Gはケータイの通信プロトコルが世界標準化されたもの。4Gでは音声通話もパケット交換網に統合された。これらはITUという組織が定義づけたもの。
    そして5Gでは、高速大容量、低遅延、多数同時接続が要件となっている。
    4GまではB2Cがキーワードだったが、5G以降はB2B2Xがキーワードになる。一般消費者には訴求しない通信技術の進展を、例えばテーマパークが通信事業者に代わって夢として語る。そして身体感覚は地球全体へと拡張され、パノプティコンのような監視社会が実現し、移動が贅沢品になるという大胆な予測をしている。

  • 専門用語が思ったより多く、読みにくかった。しかし、第6章の「その先にあるリスク」で、Amazonが、利用者の動向を見て、「これは購入に至りそうだ」と確信したら、実際に買う前に商品の配送を始めてしまうという特許を取得している、ということを知って驚いた。5G に限らず、便利なものは何かしらのリスクもあることを改めて認識した。

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著者プロフィール

中央大学国際情報学部教授

「2021年 『デジタル/コミュニケーション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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