大人の発達障害 グレーゾーンの人たち (健康ライブラリー)

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感想 : 11
  • Amazon.co.jp ・本 (102ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065206102

作品紹介・あらすじ

発達障害の傾向がある=グレーゾーン。診断されなくても発達障害と同様に生きづらい。現場の医師と当事者の声から問題と対策を解説。

感想・レビュー・書評

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  • ▼「生きづらさ」を感じる理由の説明として、今まで読んできた発達障害関連書籍の中で一番フィットした。仕事の選択に関してもそうだなぁと強く共感した。

    以下のあたりが、まさにそう。

    ★グレーゾーンは何か?を定義するには2つの条件がある。
    1:発達障害の傾向がある。
    2:適応障害を発症している。

    ・自分がグレーゾーンだと認識するのは、進学や就職など環境の変化があり、なにか適応できない(適応障害を発症)困難があるから。

    ・二次障害はグレーゾーンの人の方が多い可能性がある。完全な自閉症の人よりも、自分の状態を客観視できてしまうため、落ち込みや不安をより感じやすい。

    ・グレーゾーンのひとが悩む「向いている仕事・向いてない仕事」の見極めは、「できる仕事こそ、向いている仕事」。

    つまらないと思うかもしれないが、比較的支障なくこなせる仕事をやるようにするのが良い。


    † 以下、メモ

    発達障害のグレーゾーンには、特有のつらさがある。明らかな理由が無いのに生きづらい。これを「何となく生きにくい症候群」と名づけることができる。

    違和感、孤立、無理をする、疲れる。

    ・コミュニケーションはとれるが、人間関係を継続することができない
    ・ある程度の仕事はこなせているのに、うまくいかない
    ・できないことばかり注目して自己評価が低すぎる
    ・失敗や叱責を恐れ、不安感が強く萎縮しがち
    ・苦手な部分をカバーしようと常に緊張し続けて、疲れ果ててしまう

    ★グレーゾーンのひとが悩む「向いている仕事・向いてない仕事」の見極めは、「できる仕事こそ、向いている仕事」。

    つまらないと思うかもしれないが、比較的支障なくこなせる仕事をやるようにするのが良い。

    やりたい仕事を「向いている仕事」自分自身誘導している可能性があり、その結果が「就労継続不能」といえる。

    ・発達の凸凹があると、出来ること・できないことの差が大きい。できないことばかりにも注目すると自己評価が下がる。社会は100点を求めておらず、「人並み」である。60点くらいでオッケー。

    ★幸福をどこに感じるかは難しい問いだが、良い対人関係があることは重要。そのためにはどうすれば良いのか?を考える。

    グレーゾーンの人たちは自分の認知にこだわる傾向があるため、周囲が悪い、周囲の理解が足りないと嘆き、自分で自分で不幸にしている。ここを妥協していく必要がある。

    ★グレーゾーン=環境への適応が、良いときと悪いときの両方がある人。環境によっては発達障害だが、時には健常である状態。

    ・発達障害は病気では無いため、診断された人を患者とは呼べない。環境に適応できないため、困難が生じている状態である。

    ★発達の偏りがある人には共通の特性がある。
    ・抑制機能障害
    ・能力のバランスが悪い
    ここに「多動・不注意的特性」や「自閉的特性」が加わる。

    ★共通の悩み
    ・人間関係がうまくいかない
    ・生きづらさを感じる
    これらから自己否定的になり、二次障害を発症しやすい。受診するひとの困りごとのトップも対人関がうまく作れないこと。イジメやハラスメントを受けやすい。

    ★自閉的な人の困難は疎外感に苦しむこと。陥りがちなパターンがある。グレーゾーンの人は、人と関わることを求めるが、うまく付き合えない。そんな自分の状況がわかるので孤立感や疎外感に悩むことになる。

    ・グレーゾーンの人が増えているのは、社会構造が複雑になり、「発達に偏りを持つ人」が適応できない場面が増加しているのでは無いかと推察されている。

    ・発達障害の原因は最近までわかっていなかったが、脳機能の偏りや形や機能に特徴があることなどが明らかになってきた。

    ・あらゆる精神疾患は発達障害がベースにあるといえそう。発達障害やグレーゾーンによる不適応を念頭に置いて考える必要がある。

    ・統合失調症と発達障害は共通する遺伝子が多い

    ・グレーゾーンは適応障害を必ず発症する。

    ・適応障害=明らかなストレスがあり、それにより様々な症状を呈するもの。

    ストレスが発症してから3ヶ月以内に症状が現れて、日常生活に支障をきたしている場合に「適応障害」と診断される。

    抑うつ、攻撃的、不安、引きこもりなどの変化となって現れる。

    ★グレーゾーンは何か?を定義するには2つの条件がある。
    1:発達障害の傾向がある。
    2:適応障害を発症している。

    ・自分がグレーゾーンだと認識するのは、進学や就職など環境の変化があり、なにか適応できない(適応障害を発症)困難があるから。

    ・二次障害はグレーゾーンの人の方が多い可能性がある。自分を客観視できてしまうため、落ち込みや不安をより感じやすい。

    ・治療としては、二次障害には薬物療法・精神療法を。

    ★生きづらさを感じるのであれば、最終目標を「社会への適応できるようになること」として、治療を行うか、生活環境を変える。貧しくても穏やかな暮らしの方が良い、という選択肢もある。

    ・「傾向があります」「発達障害ではなさそうです」という診断では、原因はわからず対策も立てられず、途方に暮れてしまう。 → 診断名より対処法考えるのが現実的である

    ・グレーゾーンの人たちは常に気をはって頑張れば、ギリギリで仕事が出来る。サボっているように見られないよう、常に全力で仕事をせねばならず、その結果疲れ果ててしまう。

    ※完璧じゃないと提出できない。もコレ。

    ・現代は、ひとりの人に求めるスキルが多すぎる。それがグレーゾーンの人にとって「うまく仕事を進められない」と思わせてしまう大きな原因になっているようだ。

  • 「グレーゾーンって何?」から検査/診断、二次障害の治療、職場/家庭側からの対応まで幅広く取り扱った本。ページ数は薄いけど、とっかかりには良いと思う。

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    「グレーゾーン」とは、「発達障害の診断が定まらない人」という意味だけではありません。「環境への適応がいいときと悪い時の両方がある人」という意味もあります。つまり、ときには発達障害なのですが、ときには健常である人です。(p16)
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    自分は手帳は持っているものの、グレーゾーンに近いと思っているので、診断に対するモヤモヤ感や人間関係の悩みなど当事者の声はわかるなあ、と思って読んだ。本文でも触れられているけど、自分の課題は「普通」「完璧」を求めてしまう自己評価に対するある程度の「妥協」かな……。

    グレーゾーンといっても幅が広いので、具体的なケース例が載っているともっと良かった(診断がつかない/あやふやな人、クローズドで働いている人、結果的に手帳を取得できた/できなかった人など、本当に幅広いと思うけれども……)。職場/生活での工夫、セルフケアは他書の方が詳しいかと(佐藤恵美「「判断するのが怖い」あなたへ」など)。

    発達障害〝傾向〟の人も、診断が下りていても生きづらさを感じている人も、もっと生きやすくなる世の中になればいいなと思う。

  • グレーゾーンの人たちは、手に取りやすいかな。
    でも、ちまたの類書とそんなに内容変わりません。
    グレーゾーン特化もそんなになく、可もなく不可もなく、といった感じ。

  • グレーゾーンは困りながらも同じ場所で働き続けれるのだろう。しかしストレスを抱えてギリギリのところで頑張っている人も多いのだろう。
    そういう方への支援はまだ不充分である。

  • けっきょく。
    知りたいことが何なのか。





    自分が。

    そして、どうしたらいいのか。





    わからんかった。

    つらつらと、ページをめくって、
    自分に「おっ」っと当てはまりそうなところを見たものの。








    けっきょく診断名は関係ない。

    お薬が必要なら、関係あるけど。

    もう既に、他の精神の病気を持ってる。
    処方されてる薬もある。





    それで?





    である。

    『なぜこんなに生きづらいのだろう?』
    でなくてな。







    やっぱ見えてこなかったな。

    「なかぽつさんに相談だ」。
    それくらいの対処法にしか辿り着かなかったなぁ。




    所詮、書籍だ。

  • 発達障害のグレーゾーンについてとてもわかりやすく解説されている。イラストが多く読みやすい。
    「診断名より対処法を考えよう」のメッセージがこの本のメインテーマ。

  • 1時間ほどでさらっと読了。
    本書タイトルにもある通り、他書にはない、「グレーゾーン」の人に向けたアドバイスがたくさん。特に、診断が降りないことから行政の穴になりやすい彼等に向けた、「障がい者手帳がなくても頼れる機関リスト」は逸品。

    また、精神科等で行われる検査の方法まで詳しく解説しているのは他にはない工夫。そこに不安を抱える読者もいるだろうし、気持ちがわかっているなぁと…!

    ただ、少し紙面が賑やかすぎるので、目のやり場というか、どこから読んだら良いかを迷ったこと数回。親しみやすくする工夫が逆に裏目に出ている?

    p.56 グレーゾーンでも生きづらさがあるなら
    医療を選択する。グレーゾーンの場合、まず医療を受けるかどうかを考慮します。もっとも考慮すべきは生きづらさでしょう。生きづらさがあるなら、医療機関で相談してみても良いかもしれません。どちらの場合も、最終目標は社会に適応していけるようになることです。

    医療を受けるかどうか→受ける→治療の2本柱で→ADHDには薬物療法があります。自閉症スペクトラム症では常同的過剰反応を経験する薬はあります。精神療法やカウンセリングを受ける事もできます。→社会に適応できるようになる

    医療を受けるかどうか→受けない→生活の場を選ぶ→ トレスの少ない生活環境を整えます。その場合、経済的な苦しさに直面するかもしれませんが、貧しくても穏やかな暮らしが良いと言う選択もあります→社会に適応できるようになる

  • 装丁が素晴らしい。普通より薄めで、最後まで挫折せず読み切れる文量。イラスト多様で理解しやすい。
    内容も良かった、俯瞰で自己分析することは難しいけれど、これを読むと自分のことが書いてあるようで、もっとこうすればいいのに、と思いつく。

  • 対人関係が上手くいかない、
    何かと反感を買うことが増えてきて、
    生きることに自信がなくなって手に取りました。

    解決方法が載っている訳ではないけど、
    症状とか知れてよかった。

  • 発達障害グレーゾーン、

    新聞の広告欄に出ていた、
    自分も発達障害かと思うし、狭間のグレーなのかと思うところがあり購入、


    正直、内容が薄い、
    結局のところ、グレーの人はどうしたら良いのかと言う肝心な部分がほぼ無い、

    逆に発達障害の話しは結構しっかり書かれている、
    部分もあるが、

    コレを読んだところで自分はどうしたらよいのか、
    具体策はない、

    グレーゾーンの人のことを世に広めるための本なのかもしれない、

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著者プロフィール

話題の女性を写真集クオリティとボリュームで特集するバズガールマガジンです。

「2023年 『WHITE graph 010』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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