同調圧力 日本社会はなぜ息苦しいのか (講談社現代新書)

  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (184ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065206621

作品紹介・あらすじ

新型コロナウイルスがあぶり出したのは、日本独自の「世間」だった! 
長年、「世間」の問題と格闘をしてきた二人の著者が、自粛、自己責任、忖度などの背後に潜む日本社会の「闇」を明らかにする緊急対談!

●戦争中から変わらない「国民総自粛」
●日本人が名刺をもらうとホッとする理由
●「世間=同調圧力」を生み出す日本独特のルール
●西欧は「社会」、日本は「世間」の大きな違い
●感染者はなぜ謝罪に追い込まれるのか?
●学校でも会社でも「先輩」が強すぎる不思議
●日本では「批評」がそのまま「人格批判」となる
●言霊の国なのに、言葉が信用されない謎
●ネット上の匿名が圧倒的に多い日本人
●若者の自己肯定感が低い理由
●なぜ出る杭は打たれるのか――芸能人の政治発言
●不寛容の時代に窒息しないために

生きづらいのはあなたのせいじゃない。世間のルールを解き明かし、息苦しさから解放されるためのヒント。

感想・レビュー・書評

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  • 社会と世間は違う、わかっていることではあっても明確に言葉にされると「もやっと感」は確かに少し減ったような。
    本書を手に取る人は大なり小なり「同調圧力」というものを自分なりに何とかしたいと思っているんではないでしょうか?
    まぁ本書を読んでも根本解決にはなりませんが対処するための参考には多少出きるかと思います。

    ちょうどタイムリーに、国会議員の感染第一号になってしまった方が当事者を差別するのを止めようというような制度を作りたいとネットニュースで語っていた記事を見ましたが、それまではまさしく「感染は自己責任」と思っていたそうです。
    立場変わって考え方も変わらざるを得なくなった分かりやすい例だと思います。気持ちはわかるしそのような決まりを作る発想もわからなくはない。
    しかし本書に書かれているように、いくら法や制度を究めても残念ながら同調圧力は日本からはなくならないでしょうね。

    佐藤先生の加害者バッシングについての話に興味を引かれました。著作も気になります。

  • いま読むのに最適な本。

    社会と世間の捉え方がおもしろい。

    会社というのは一つの強い世間。
    サークルや地域の共同体に参加することで
    会社や家庭という一つの強力で
    狭い世間で支えない。
    ホントにそう思う。
    会社という世間だけで自分の存在基盤を
    支えている人がどれだけ多いか。

    人を信用する基準は、
    どこに属しているかで判断している。
    つまりその世間から外れてしまったら
    ただの人になってしまう。

    また、自分の属してる世間だけが
    自分の唯一の世界だと勘違いしてしまう。
    ここで何かあったら生きていけない、
    くらいの気持ちになる。
    万が一コロナにかかってしまったら
    何が怖いかって、死ぬことや周りにうつすこと
    それ以上に、会社からなんと言われるか
    自分のせいで仕事を止めてしまう、
    そうなったら周りからどれだけ
    バッシングされるんだろう、と。
    そう思わざるを得ない空気。

    この本にもあるようにコロナで謝罪会見。
    なんでも最初はすみません。
    どうしてこんなに謝ってばかりいるのか。
    風邪ひいたり、病気になってしまっても
    出社したらすみません、
    旅行に行くのにもすみません、、

    同調圧力に慣れすぎてしまって
    自分がその圧力になってることすら
    気がつかないのかも。

  • 20210128
    なんで、定時に帰りにくいのか?ずっともやもやしてたことの答え?がすこしみつかるかもしれない。と期待して読んでいます。
    同調圧力。

    2021202
    読了。
    んー。世間の圧力がすごすぎて、気まずくなるのは自分のせいではないってことが書いてあり。
    知ることは大事だけど、息苦しさはかわんないなぁ。
    風穴を自分で開けるしか無いって、書いてあったけどそれこそ困難を極める風土にわたしたちは住んでるらしい。

  • 海外の人々は法とルールに従うのに対し、日本人は「世間」のルールに従う。日本には個の確立した「個人」によって構成された「社会」というものは存在せず、「世間」が存在する。「世間」とは“日本人が集団となったときに発生する力学”。日本人の行動原理は、この世間の中で“世間様”を意識して“暗黙の内に合意されたルールを遵守しないとハブられる”という事を恐れた結果のものであり、“みんな一緒主義”。「同調圧力」はここから生まれて来る。“世間様に顔向け出来ない”“親の顔が見たい”“犯罪者の親をバッシングしたり、コロナ感染者に謝罪求める雰囲気”等は同じ心理から生じている、等など納得。
    それにしても「忖度」をフィナンシャル・タイムス」が定義した「与えられていない命令を先取りし、穏便に従う事を示す」は見事。

  • なぜ自殺者が多く、生きづらい世の中なのかが
    よく分かる一冊だった

    読み出したら止まらなく
    あっという間に読み切ってしまった

    なぜLINEの既読無視をすると
    ハブられてしまうのか
    コロナにかかってしまった人が
    謝罪をしなければならないのかが
    少し分かった気がする

    日本人はいかに小さな世間の中で
    生きているのかが分かったのと同時に
    自分も社会には目を向けられていないと感じた

    個人が個人として尊重される社会がない日本
    知らずしらずのうちに同調圧力にやられていた

    関係のある人たちで成り立っているのが世間
    何も関係がない人たちがいる世界が社会

    世間という強力な敵をよく知った上で
    社会とつながる言葉を獲得する。
    同時に弱い世間をできれば複数見つけて参加する

    自分自身を生きやすくするためには
    大切な考え方だと思った

  • 日本人の自殺や、母子心中が多い理由の分析が「なるほど」と思えました。
    イギリス人がじゃんけんに激怒した理由というのも興味深かった。平等に決めるのがベストという日本のお国柄と、議論して権利は勝ち取るものというイギリス人の発想。
    大人から子どもまで必読の書だと思います。佐藤直樹さんの他の著書も読んでみたいです。

  • これまで自分が無意識の内に恐れていたもの(世間)を知るとともに、世間とどのように向き合うかを知ることが出来た。
    ただ、この本では世間という日本固有のものを否定的に捉える部分が多く散見された。
    つい最近読んだ「島はぼくら」という本からいわゆる島に存在する世間というものの良さ、課題を様々な角度、様々な人によって考えるとことができたたため、一概に世間全てが悪いという印象までは持てなかった。
    だからこそ、この本を読んで、世間、同調圧力というものを一概に否定するのではなく、きちんとメカニズムを考えた上で、適切に対応していきたい。
    具体的には「ほんの少し賢い個人」として、色んな世間にゆるく所属しながらも、社会と繋がりを持ち、自分肯定感を高め、個人としての意識を高めていきたい。
    自己肯定感を高めれば、現在出来ていない身分以外で人を判断する眼力を養うことができ、他人を信頼することに繋がると感じる。
    自己肯定感の低さは他人(世間)に迷惑をかけちゃいけないと教えられてきたことが原因だと考える。その弊害として、他人の迷惑にも敏感になることが挙げられて、より一層、人(社会)を信頼できないのではないか感じる。
    何かの記事でインド人は「あなたは、何をやっても他人に迷惑をかけるんだから、その分他人が迷惑をかけたら助けてあげなさい」という教育をするという話を見たが、まさに今の日本人が見習う考えだと思う。
    私自身も、今後社会人になる身として、一年目はわからないことだらけで、大いに迷惑をかけることがたくさんあると思うが、迷惑にならないようにではなく、思いきり迷惑をかけようと思う。
    おそらく、迷惑をかけないようという行動を取ることがより迷惑をかけることにつながると思う。そして、自分が上司になった時に、これまで迷惑をかけた分、部下に思い切りサポートしたい。
    日本が世間に縋り付く要因は多神教(アニミズム)という世界から見ると稀な状況という背景にも納得感があった。ただし、本書でもあった世界にも無宗教という若者が増えてきているため、神以外にすがる手法が世界各地で現れるのではないかと感じた。そうした手法が悪い方向ではなく、日本の世間を緩和するような良い方向のものであればと考える。
    本書の内容とは関係ないが、本書の中で日本独自の言葉というものが多々あった。こうした日本独自の言葉は日本の文化や、特徴を如実に表すと感じたため、他にどのような日本独自の言葉があるのか気になった。また、言葉の訳し方として、英語と日本語とのニュアンスの違いからもその国の背景を考えるという手法は今までにない新しい発想だった。

    同調圧力:「みんな同じに」という命令 その時の一番強い集団に同調する
    世間:「所与性」と呼ばれる「今の状態を続ける」、「変化を嫌う」という特徴

  • 日本は治安がよくて住みやすい反面、自殺者が多いのが残念だ。 世間学について納得する部分はあるが、じゃあ自分はどうすればいいのか結局よくわからなかった。

  • 同調圧力とは、その時の一番強い集団である多数派や主流派と同じようにしろという命令。
    日本には社会の他に世間があるから、社会のルールが崩壊しても世間のルールが機能し、緊急時でも略奪や暴動が起きない。
    世間とはステークホルダーにより形成される世界と、その集団の力学で、社会は知らない人たちで形成された法的な世界。
    社会は一つしかないから排他的にならないが、世間はたくさんあるから排他的になりうる。
    日本人はすぐにじゃんけんや多数決をして物事を決めるため、議論が下手になった。
    「他人に迷惑をかけない人間になれ」という教えにより、「他人から迷惑を受けること」に敏感になった。
    結果を残しても、「世間」(身近な環境)のおかげとしてしまうことで、個人としての自己肯定感は低くなってしまう。

  • 初めはすごく偏った思想の本なのかと思ったが、妙に納得してしまった。

    それは自分自身が偏った思想をもっているということなのかもしれないが、モヤモヤしていたものを言語化されている感覚で読み進めていけた。

    世間と社会の違いや、日本独特の同調圧力という文化などについて対談形式で語られてゆく。


    日本における人間関係を考える上で、一つの物差しになる本だと思う。

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著者プロフィール

著者等紹介
鴻上尚史[コウカミショウジ]
1958年8月2日生まれ。愛媛県新居浜市出身。早稲田大学法学部卒業。劇作家・演出家・エッセイスト・小説家

「2023年 『ヘルメットをかぶった君に会いたい』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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