私は女になりたい

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 889
感想 : 82
  • Amazon.co.jp ・本 (274ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065208281

作品紹介・あらすじ

これは私の最後の恋、なのだろうか。
妻でもなく、母でもなく、娘でもなく、ひとりの女になりたい。
恋愛小説の名手があなたを揺さぶる。

赤澤奈美は47歳、美容皮膚科医。カメラマンだった夫とは別れ、シングルマザーとしてひとり息子を育て、老いた母の面倒を見ながら仕事一筋に生きてきた。ふとしたことから、元患者で14歳年下の業平公平と、事故に逢うように恋に落ちてしまう。心を閉ざすように生きてきた奈美の、モノクロームだった世界が、色と音を持ち始めた。

感想・レビュー・書評

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  • なんと偶然にもハロウィンの本日読了。
    この意味は最後まで読んだ方なら判ります。笑
    つまり恋も偶然のタイミングなのかと思い本を閉じた。
    そんな、異性との素敵な恋愛は心身共に健全な事かも知れない。

    各タイトルは全て花の名称である。その花言葉の意味を深く受け止めたい。本当の純愛である。

  • 「私は女になりたい」という直球なタイトルが、読む前からこちらの鳩尾を殴ってくる。
    アラフィフでバツイチの美容皮膚科医である赤澤奈美は、薄毛治療でやってきた患者の業平公平とやがて恋人関係になる。二人の年齢差は14歳差。
    自分がかなり年上であることに引け目と余裕を感じながら始まった恋だったけれど、屈託なく愛してくれる公平との関係に溺れ、仕事と子育てに忙殺され忘れかけていた"女"の自分自身を取り戻していく。
    しかし患者と関係を結んでしまったことが医院のオーナーである佐藤にバレて、公平の元婚約者にもバレて、息子の玲からも責められて……。

    女性はいったい人生でどれほどの役割を担わされるんだか、と改めてうんざりする。
    娘、妻、嫁、母、仕事の肩書き。さらにその役割において求められる振る舞いはそれぞれまるで違う。
    女性はどうしてわざわざ「女になりたい」と後ろめたく思わなければならないんだろう。なろうと思わずとも、いつだって一人の女であるのに。
    女性に14歳下の恋人がいることは、どうしてグロテスクな響きを伴ってきこえるんだろう。女性の美しさは、魅力は、単なる加齢や老いと共に失われてしまうものなのかな?
    まだギリギリ20代だけれど、最近着実に老いへのスタートを切った自覚がある私にとってものすごく考えさせられるテーマだった。
    私って、もしかしてもう一生恋できないの?日々ただ漫然と子育てをして、それで?
    子供たちが巣立って行った時には、もしかしてしわしわよぼよぼだるだるのオバサンになってる?
    考えただけで恐ろしかった。老いというものは、常にイコール人生のアップデートであって欲しい。
    女であることの楽しみや幸福だけは忘れずそして失わずにいたい。女になりたい、なんてわざわざ思わなくたって大丈夫でいたい。

  • 『私は女になりたい』窪美澄著 男だろうと女だろうと人生は至難 47news
    https://www.47news.jp/culture/entertainment/5407532.html

    アラフィフの恋愛には複雑な事情があるーー窪美澄『私は女になりたい』が描く、女性の人生|Real Sound|リアルサウンド ブック
    https://realsound.jp/book/2020/09/post-627286.html

    これは最後の恋──妻でもなく、母でもなく、娘でもなく、私は女になりたい。|今日のおすすめ|講談社BOOK倶楽部
    https://news.kodansha.co.jp/8425

    『私は女になりたい』(窪 美澄)|講談社BOOK倶楽部
    https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000344705

  • 47歳の自分より、遥かに年上の男性。
    そして14歳年下の男性。
    年齢差は不変なはずなのに、自分が年をとればとるほど、年齢差が“迫ってくる”

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    美容整形外科の雇われ医院長として働く、47歳・シングルマザーの奈美。
    オーナーは自分より年上の佐藤という男で、月に1回、自分と“一緒の時間を過ごす”ことを条件に、奈美を雇い入れる。

    そんなある日、奈美の勤める美容整形外科に患者としてきたのが、奈美より14歳年下の公平だった。
    やがて2人はつき合うようになるのだが…

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    奈美と佐藤との年齢差、奈美と公平との年齢差は、お互いがいくつになっても差は縮まりも伸びもしないはず…なのに、そこに妊娠出産可能な期間が絡んできた途端、年下の相手との年齢差が女性である奈美に迫ってくる感覚があり、なんともいえない気持ちになりました。
    自分と相手との間にある愛は変わらないのに、肉体的に年をとることで自然と相手に与えられないものが出てきてしまう…それは性質が違えども、女であっても男であっても“喪失感”があるのだなと、奈美と佐藤の姿を見てそう思いました。
    奈美が美容整形外科医という、外見を技術的に整えられる職業であることも、肉体的に抗えない内面の変化との対比されているのかなと感じました。

    窪美澄さんにしてはエグさが少なめだな、と思って油断していたところに、ガッとエグミをぶち込まれまして、、、油断大敵でした。
    主人公・奈美のことはあまり好きになれませんでしたが、美容整形外科スタッフの柳下さん、そしてその患者さんである箕浦さんは、後半の重要なキーマンでもあり、そして2人の考え方がとても好きでした。

  • 「恋なんて、時間や気持ちに余裕がある人がするもんなんだよ。・・・私が抱えている荷物の重さをあなたは知らない」

    大した恋愛もしがらみも経験したことないからこそ、この言葉は心に突き刺さりました。

    恋ってほんと難しいですね…

  • 窪さんらしいなぁ。

    このどストレートなタイトルがいろいろと抉ってくる。
    女はいつまでも女でいられるのか。
    女でいてもいいのか。
    女でいることは傲慢なのか。

    読者の性別年齢で評価が分かれそうな作品。

    わたしはナミさんのことわりと好きなのだけれど、賢いわりに脇が甘いのが気になったかな。それともそれも恋の醍醐味だったのか。

    息子くんは結婚して自身の家族持って初めてナミさんと向き合えるようになるのかなぁと思ったり。この子も拗らせててたいへんかわいらしい。常に自分を被害者だと思ってるのは、結局ナミさんの息子やなぁと思ったよ…青くてかわいいよ。

    女でいさせてくれる男に出会ったのなら、突き進むのもまた人生よね。(しみじみ

  • いくつになっても女を忘れないでいれる女性を尊敬する。
    女性ホルモンが減少していくにつれて、女を忘れていくというのが自然な気がして、それに抗えるパワーがあるって羨ましい。

    この本は、大人のラブストーリーで、アラフィフのバツイチ子持ちの美容皮膚科の女医が14歳も年下の男性と恋に落ちるお話。
    窪さんの文章や空気は澄んでいて大好き。スッと入るラブストーリーで久しぶりのドキドキ感を味わいました。
    アラフィフの女性の心理描写(恋愛にだけ盲信的に突っ走れない、世間体とか大人の柵に捕われる心情)が丁寧に描かれていてとても読みやすい。

  • タイトルから勝手にジェンダーな話なのかと思いきや、アラフィフ美容皮膚科医の年下男性との恋物語で、びっくりした。そういう『女』になりたいだった。わたしもいくつになっても誰かの女でありたいと思う派なので、最後泣いちゃいました。母である前に女でありたいという考えはダメなのだろうか。医院長の前に女でいちゃだめなのか。
    佐藤とのシーンは吐き気を催すほど生々しく、さすがR18文学賞出身だなーと。
    そして息子玲とのシーンは、窪さん自身がシングルマザーであるのもあってリアルで、玲ってすごくいい子…泣いちゃったよ。。
    最後がなんとなく好きじゃない。結果的にバツイチになってるし。うーんってスッキリしない感もあるけど面白かったです

  • アラフィフのシングルマザーで、美容皮膚科医院の雇われ院長でもある女性が主人公。
    14歳年下の元患者と恋に落ちたことから、人生が大きく動いていく。

    自分を捨てた母親を介護施設に入れ、収入のない夫に子育てを任せたあげくの離婚、引き取った息子からは冷ややかに扱われ、病院経営者とは特殊な関係に。
    主人公はしたたかだけれど弱者を見捨てることもできないため、結局のところ不器用にしか生きられない。いつもながら、きれいごとではないリアリティのある女性像だ。

    社会的には成功者と見られながらも、そのじつ生活することに追われて疲弊している彼女に足りないのは「女であること」。それを埋めてくれる相手との恋愛は、痛々しさを伴いながらも微笑ましくもある。
    苦労している人の努力が報われないのはつらいので、出来すぎとも言える終わり方、これはこれでよかった。

  • みんな自分勝手。元夫も、息子も、若い恋人も、その元婚約者の女も、クリニックのスタッフ達も、クリニックのオーナーも、そして主人公も。みんな身勝手で、自分のことだけで精一杯。

    ただただ不気味で何考えてるのか分からなかったオーナーの最後に語られる意外な一面が印象的だったな。

    恋の終わりは年齢関係なく、やっぱり苦しくて過酷だけど、それを見てきたからこそあの結末は心から祝福できた。

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著者プロフィール

窪 美澄(くぼ・みすみ)
1965年東京都生まれ。09年「ミクマリ」で女による女のためのR‐18文学賞大賞を受賞しデビュー。11年『ふがいない僕は空を見た』で山本周五郎賞、12年『晴天の迷いクジラ』で山田風太郎賞、19年『トリニティ』で織田作之助賞、22年『夜に星を放つ』で直木賞受賞。他の著書に『雨のなまえ』『じっと手を見る』『いるいないみらい』『たおやかに輪をえがいて』『ははのれんあい』『朔が満ちる』など多数。

「2023年 『私は女になりたい』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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