数学者の夏

  • 講談社 (2020年9月9日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (314ページ) / ISBN・EAN: 9784065208489

作品紹介・あらすじ

天才的な数学の才能を持った高校生、上杉和典は校内の理数工学部に所属している。今年から部員でリーマン予想の証明に取り組んでいたのだが、和典は皆で議論を戦わせながら進めていく方針にどうにもなじめない。皆は合宿でリーマン予想に取り組むというが、和典はひとりで証明に挑戦するため、長野の山奥で夏休みを過ごすことにした。ここは古くから高校生や大学生、予備校生を対象に学生村を開設しており、和典の学校でも募集の告知があった場所の一つだった。
和典はそこで、ホームステイをしながら数学に没頭しよう、そう意気込んでいた―ー。

ステイ先に到着するやいなや、問題に取り組む和典。だが、不注意により書き込みをしていた紙を飛ばしてしまう。すべて回収したと思いきや、一部垣根を越えてよその家まで飛んでいってしまったことが分かる。
そしてこの飛ばしてしまった紙が、和典に思いもよらぬ出会いをもたらすことになるとは、誰も知る由もなかった―ー。

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

数学をテーマにした物語は、天才高校生の上杉和典が自信を失いながらも、夏休みを利用してリーマン予想の証明に挑む姿を描いています。彼は長野の山奥にある学生村で数学に没頭しようとする中、思わぬ出来事から再会...

感想・レビュー・書評

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  • 数学を心の拠り所としている主人公が
    一夏の出会いで成長してゆく物語。

    歴史的事実と過疎化する村の問題を絡めつつ、
    主人公が村で起こる不審な窃盗事件の犯人を
    突き止めようと奔走する。

    事件の謎を解きたい願望は、数学の才能に
    限界を感じて壁にぶつかり、鬱々としている
    主人公にとって、眼前の問題から逃げだす
    格好の言い訳にもみえました。

    でも、現実逃避と分かっていても
    犯人を知りたい欲求と解を目指す嗜好を
    重ねて話が組み立てられていた気がします。

    数学用語が多々出てくるため、
    理系でないわたしには読みづらかったので、
    途中、何度か折れかけましたが、
    『終わりよければ全てよし』
    暗い結末でなかったのが救いでした。

  • 探偵チームKZのティーン向けシリーズ。主人公は上杉君。高校二年になり、大好で実力あった数学で自信をなくしかけ、逃げるように伊那谷の山間夏期合宿のようなツアーに参加した。そこで久しぶりに彩と再会!彩と上杉の中学時代の関係語られます。もしもし悩み相談室で黒木くんと小塚くん登場します。
    数学や満州、日本における田舎の立ち位置など、KZあるあるの雑学小ネタがやや中ネタ語りになりながら話が進んで行きます。KZ大好きで難しい本も読めるようになってきたら、二人の関係にえ~っそうなの!と読めます。猥褻や盗撮等変態さんが出てくるので、中学校から(たいした描写ではない)。ソ連国境からの引き揚げで、もしかして踏み込んでくるか?と思ったけど、慰安系はなしです。

  • 数学には詳しくないのでわからないけどいつもの史実を絡めた内容が好きでたまらなく夢中で読んだ。今回の満蒙開拓団については知らないことも多く知ることができてよかった。最初はわかりにくかった方言も読んでいくうちに心地よく、山際医師の年寄りについての言葉に胸を打たれる。戦前戦後、国のために未来どころか命まで差し出した若者たちが今のお年寄りであり、楽しみどころか食べ物さえなかった時代を生き抜いてきた人たちを思うと言葉もない。和典の行動には多少辟易するし数学が全てなところは困るけどそれが人を救う結果となってよかった。

  • 相変わらず、藤本ひとみ先生は読者を惹きつけるのが上手い。まさかアーヤが登場するとは思わなかった。二人の関係に、手汗が止まらなくてニコニコしぱっなしだったから表情筋が痛い。今回のお話も高校と大学の受験用紙に出るのかな?藤本ひとみ先生のそういうお話チェックしなきゃ。

  • KZシリーズ読者がちょっと大人になって読んだら、泣いて喜びそうな話。
    上杉たち主要メンツが高校生になって出てくるシリーズ。
    自信に満ち溢れていた小学生時代を眩しいものとして語ってくれるのがいい。

    夏休み、数学のためにとある田舎へ出向いた上杉が出会う事件の話。アーヤとの再会が胸アツ。

    学校図書館に置くには話が割とディープなので中学生以降かな。

  • 数学に魅せられた少年が、行き詰まりを感じて田舎の合宿プログラムに参加。そこでは不可解な事件が次々と起こり、数学で培った論理的思考力を解決する、というミステリ。『羊と鋼の森』と同じく人生に行き詰まりを抱えた若者が、自分の進むべき道を決める、というテーマ。数学をしていると時間を忘れてしまうと言う経験のある人は共感ポイント多数でオススメです。

  • しっかり事件が起きるがこれまでのKZとは少し違いあまり派手さはなく、彩との恋模様に焦点が当てられている
    上彩過激派としてはかなり有難かった。いつアーヤが登場するかとページを捲りまくり、二人が話すシーンは齧り付くようにして読んだ

    とはいえ事件解決の道程もしっかり面白く、楽しく読めた。

  • 子供の頃から数学が好きで得意だったのに
    高校生になって行き詰まった和典。
    山村の学生交流イベントに申し込み
    静かな環境で難題に取り組もうとするが。

    宿泊先になる稲垣家をはじめ
    村人たちは親切にしてくれても
    なんとなく、こう、不穏な空気がある。
    戦後、満州からの帰還者が殺されたという
    村でたったひとつの未解決事件があるし
    主人の稲垣さんが働く工場では
    親会社と何か揉めてるみたいだし
    最近、空き巣や窃盗が続いているらしいし。
    あと、中学生の双子の行動が
    なんか横溝的に意味ありげに感じる。

    気になっておちおち勉強できん!
    何のためにこんな田舎まで来たんだ!
    とか思いつつ、謎解きに首を突っ込む(笑)
    そんな彼が数学の問題に取り組むシーンでは
    『数字であそぼ。』と同じで
    ちょっと何言ってるかわからん
    本格的な数学用語がバーッて出てくるけど
    難問が解けるかもしれないという高揚感は
    一緒に味わえました〜。

  • 他の方の感想を見ると、この作者さんの、コバルト文庫のシリーズの続き(スピンオフ?)のようです。そちらを未読なため、人間関係がなんでこんなに仲が良いの?と、思ったり。あんまり数学は内容には絡んでこない感じ。一部、そのオチで良いのか?と、思ったりも。(工場の事とか)

  • その村で見たのは未来。

    和典は数学に取り組もうと長野県の村を訪れる。そこは夏の間、勉強する学生を受け入れる事業をしていた。心が騒がしくなかなか数学に取り組めない和典がそこで出会ったのは、人情深い人たちと、盗難事件と、隠された天才と、立花。

    彩がとうとう出てきた! 空回りする上杉先生が断然かわいく見えてくる。結局謎解きの方に時間もエネルギーも向けてしまう上杉先生。彩への言葉も態度も間違いまくる上杉先生。でもそういうところを彩が好きならそれでいいんじゃないかと。

    井の中の蛙と突きつけられて挫折、母親との共依存関係、人と交わらないプライドの高さなど、共通点を感じる男に出会った和典が、ブルーハーツを真面目に因数分解しているのは笑いそうになったが、本人には笑い事じゃないな。放火を止めようと一所懸命に探して説得しようとした和典だが、あれはあり得る未来の自分を救おうとする行為なのではと。KZのメンバーとの繋がりがあれば和典は大丈夫だと思うが。

    入れ替わりは割と早く気付いた。理由はわからなかったけど。このシリーズは割と戦争の残したものが関わってくる展開が多い。確かに戦中戦後の混乱や、そこから生まれた秘密はミステリの基本だけど。ところで黒木が長岡京にいるのって前の事件と関係あるのかな。

  • 私が小学生だった頃のコバルト文庫時代から続いてるKZ‘シリーズ。
    アッパーファイルの本作、主人公は高2になった上杉。

    前作まで気にならなかったのに、上杉のもの言いに違和感。目上の人へ無遠慮な質問や、彩へのぞんざいな態度は、自己中が全開。それはなぜか。

    KZ’小中学生時代といえば、メンバーは全員非現実的な切れ者揃いで、世界を股にかけて活躍していたではないか。彼らがどんな大人に成長するかと、読者である私は親戚のおばさん目線で期待していたのだが。

    神童と呼んで差し支えない上杉は、多少偉ぶっても当然と受け入れられてきた。ところが、等身大の上杉は俺様キャラに成り下がっているではないか。黒木から「上杉先生」と呼ばれていたのは、尊敬でなく皮肉だったのか。往年の読者にとって辛い現実である。

    上杉の辛さにこれほど共感してしまうのだから、小説として成功しているのだろう。
    だけど小説なんだから、ファンとしてはいつまでも孤高の存在でいてほしかった、いっそ世代交代してくれれば良かった、なんて身勝手な感想か。

  • なんとなく読み始めたところ、続きが気になって結局一気に読み終えました。
    数学者の資質、性格的な部分を物語の軸に置き、村の中で起きる様々な謎に巻き込まれ、色んな人との関わりの中で、最後にはあちこちに張り巡らされた伏線が回収され、同時に主人公も大きく成長していくのが見事だと思いました。

  • 数学に悩む臨場感を高校生らしさを感じられる言動が描写されつつ、恋愛模様が随所に入っていて面白かった。

  • 勝手にだけど思っていた感じとは違くあまり入り込めなかった。主人公があまり心に残らないと言うか淡白で真面目な感じなのもある。

  • 所々、数学が分かんなかったが、彩が出てきたのは本当に嬉しかったし、最後の上彩の絡みではニヤケが止まらなかった。上杉の一喜一憂が目に見えてわかり、流石の表現力だなと思った。
    この本の影響でベートーヴェンのピアノ協奏曲第3を最近よく聴いちゃってます笑

  • 913/フ/

  • 2023.6.22

  • 思考は個人がするものだが、感情は人と人との間に生まれる。
    人間である以上、その思考は必ず感情に影響を受ける。
    リーマン予想の行き詰まりと今の和典の人生における壁が対比されながら物語が展開され、伊那谷村の村民、偶然の再会を果たした立花彩との関わりの中で数学に閉じこもっていた自分から脱却する。

  • 約300ページの中で形成された人間関係が鮮やかだった。また、私は進路に悩むことがあって上杉が数学に挫折する所では自分と重ねてしまったところもあった。

  • 伏線、トリックなどは平凡でミステリを読み慣れている人ならすぐわかる。
    ただし、数学の比喩と絡めると主人公の心情があざやかに浮き上がり、各種問題の本質と心情の絡まりが心地よい。ミステリではなく、青春小説として大いに評価できる

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著者プロフィール

長野県生まれ。西洋史への深い造詣と綿密な取材に基づく歴史小説で脚光をあびる。フランス政府観光局親善大使。著作に、『新・三銃士』『皇妃エリザベート』『シャネル』『アンジェリク緋色の旗』『ハプスブルクの宝剣』『王妃マリー・アントワネット 華やかな悲劇のすべて』『幕末銃姫伝』『i維新銃姫伝』など多数。青い鳥文庫ではKZのほかに「妖精チームG(ジェニ)」シリーズ、『マリー・アントワネット物語』『三銃士』も手がけている。

「2019年 『探偵チームKZ事件ノート 特装版 校門の白魔女は知っている』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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