- Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065209202
作品紹介・あらすじ
本書は、現代最高峰の人類学者クロード・レヴィ=ストロース(1908-2009年)の全貌を描いた決定版の誉れ高い1冊です。
ベルギーに生まれたレヴィ=ストロースは、フロイトやマルクスに触れた青年期を経て、南仏で高校教師になりました。その中で育まれた情熱を抑えられなくなった1935年にブラジルへ旅立ち、カデュヴェオ族やボロロ族、そしてナンビクワラ族の調査に乗り出します。その後、第二次世界大戦の勃発を受けて従軍しますが、1941年にはユダヤ人への迫害を回避するべくアメリカに亡命したレヴィ=ストロースに、ニューヨークで決定的な出来事が訪れました。それが言語学者ロマーン・ヤコブソン(1896-1982年)との出会いです。
のちに『音と意味についての六章』として公刊されるヤコブソンの講義の内容は、レヴィ=ストロースの中で若い頃からあたためられていた「構造」の概念と交錯しました。そうしてヤコブソンの勧めを受けて書き始めたのが、構造主義の誕生を告げる『親族の基本構造』であり、4年をかけて完成されたこの大著は1949年に刊行されることになります。
ここから旺盛な執筆活動を開始し、『人種と歴史』(1952年)、『悲しき熱帯』(1955年)、『構造人類学』(1958年)を生み出したあと、1959年にはコレージュ・ド・フランス教授に就任したレヴィ=ストロースは、一世を風靡した『野生の思考』(1962年)を発表すると、ついに全4巻に及ぶライフワーク『神話論理』(1964-71年)に着手しました。
その後も100歳で逝去するまで活躍し続けた偉大な人類学者が残した数々の仕事を、その生涯や時代との関係を描きつつ明快に解説してみせた本書は、1996年の刊行以来、概説書のスタンダードとして四半世紀にわたって読み継がれてきました。このたび、最新の書誌情報を追加するとともに、生前の著者と深い交流のあった小泉義之氏の書き下ろし原稿を併載した文庫版としてお送りいたします。
[本書の内容]
序 章 構造主義のエシックス
第一章 歴史の影のなかで
第二章 声とインセスト
第三章 旅の終わり
第四章 神話と詩のあいだに
第五章 幻想から思考へ
第六章 新石器のビルドゥングスロマン 1――南半球の森から
第七章 新石器のビルドゥングスロマン 2――北半球への旅
終 章 「構造」の軌跡
主要著作ダイジェスト
キーワード解説
読書案内
レヴィ=ストロース略年譜
解 説 小泉義之
感想・レビュー・書評
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ジャケを見て予想していたのはストロースが構造主義について、補強するものだと思っていたのだが………(通販なんで立ち読みが出来なかった。)
特に目新しく感じた所は無かったが、構造主義は思想ではなく、認識の方法というのは凄く腑に落ちた。あと猫についての愛情行き過ぎのバカポエムには笑った。いや、小生も猫を飼ってたし、凄く分かるのだが、基本あいつらって万年寝正月だよ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/768308 -
「構造主義」って何?というところから入った本.
本自体は人類学者レヴィ=ストロースの生涯と功績を綴った本. 半分くらいでリタイア.
「構造主義」が意味すること自体は普段我々が使う「構造」と変わりないものということが確認できた.
”「構造」とは要素と要素感の関係からなる全体であって,この関係は一連の変形過程を通じて普遍の特性を保持する.”
「◯◯主義」とあるから何かイデオロギーを指すものかと思ったけどそうではなく,研究や観察において物事をどう捉えるかという思考のメタフレームワーク的なものであるということがわかり,またレヴィーストロースはそれを文化人類学においてそれを発揮した人なんだなあということがぼんやりと分かった.
「はじめての構造主義」という本があるらしい.そちらの方がもっと入門者向きかな?いつか読んでみたい.
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Connecting dot
本質を見抜くの一つの取り組みが構造主義?
”天然痘で死んだ患者の病菌で汚れた着物を病院でもらい受け,それを他の贈り物と一緒にインディアンの諸部族がよく通りかかる道に吊るしておく”
ブラジルのインディアンは20世紀にもまだ存在していて侵略者による虐殺が行われていたというのは俄かに信じ難い.時間のスケール感が.
別の本でジャレドダイヤモンドの本に1930年台に白人と初めて出会ったニューギニア高知人の写真があったから20世紀は案外そういう時代だったのかもしれない.変化が早すぎてもっと昔のように思えるだけで
器用仕事 ブリコラージュ
インセストの禁止と外婚制は表裏一体 外婚制→親族の女性を手放すコト。
(なぜ、男性でない?子供を産めることも資産たる側面があるからか?)
構造主義は、対象の観察のレベルを変えて、たとえ「物自体」が私的に把握できないとしても、物の間の関係は理解可能であることを明らかにすると言う -
原書を読んでいないのでいまいちわかりにくかったが、大掴みには理解できたような気がするし、原書を読んでみたいと思った。
トーテミズムの否定がピンと来なかった。
ただこの人は、西欧から見ると未開と言われた人たちに自分を置くことで、価値の基軸、文明の糸口を見つけたかったんやろなと理解した。
この選民意識は学歴社会と言われた時代を通じて、今の社会の中にもそのような偏見はある。多様性を重視し、かつ一方(西欧もそれ以外も)に寄りかからないための鍵を構造という視点で切り開こうとしたのではないのんかと思う。
神話の具体例が出ているところは印象的。
尻を食われる男
男は母親を犯す、その罰としてハゲワシに尻を食われる。
など