日本史サイエンス 蒙古襲来、秀吉の大返し、戦艦大和の謎に迫る (ブルーバックス)
- 講談社 (2020年9月17日発売)
本棚登録 : 1007人
感想 : 93件
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
Amazon.co.jp ・本 (248ページ) / ISBN・EAN: 9784065209578
作品紹介・あらすじ
蒙古は上陸に失敗していた! 秀吉には奇想天外な戦略があった! 大和には活躍できない理由があった!
日本史の3大ミステリーに、映画『アルキメデスの大戦』で戦艦の図面をすべて描いた船舶設計のプロが挑む。
リアルな歴史が、「数字」から浮かび上がる!
【謎の一】蒙古軍はなぜ一夜で撤退したのか?
最初の蒙古襲来「文永の役」で日本の武士団は敗北を重ね、博多は陥落寸前となったが、突然、蒙古軍が船に引き返したのはなぜか?
【謎の二】秀吉はなぜ中国大返しに成功したのか?
本能寺の変のとき備中高松城にいた羽柴秀吉が、変を知るや猛スピードで2万の大軍を率いて京都に戻り明智光秀を破った「中国大返し」はなぜ実現できたのか?
【謎の三】戦艦大和は「無用の長物」だったのか?
国家予算の3%を費やし建造された世界最強戦艦は、なぜ活躍できなかったのか? そこには「造船の神様」が犯していた致命的な設計ミスが影を落としていた――。
小さな「数字」を徹底して読みとり、積み重ねていくと、
大きな「真実」のかたちが見えてくる!
各界からも絶賛の声!
「面白かった! 歴史を科学的・客観的データで捉え直すという学際的なアプローチは素晴らしい」
大隅典子さん(神経科学者・東北大学副学長)
「結論として、秀吉の大返しは常識的な行軍ではほとんど不可能だったということになる」
藤田達生さん(三重大学教授/『本能寺の変』(講談社学術文庫)著者)
「排泄物の量まで計算して秀吉の不都合な真実を暴き出すとは! 物理という刀で斬り込んだまったく新しい歴史書だ」
山崎貴さん(映画「アルキメデスの大戦」「STAND BY ME ドラえもん2」監督)
「文献だけでは歴史は解明できない。理系の光が史実を照らし出す!」
溝上雅史さん(国立国際医療研究センター研究所)
「戦艦大和は決して無用の長物ではなかった。戦後の日本の造船、電機、機械産業の発展の礎となったのだ。面白くて一気に読んだ」
加藤泰彦さん(前日本造船工業会会長 元三井造船会長)
読者の声
「秀吉の大返しには、ファクトデータに基づかない通説に疑問を抱いていた。事実を検証する犯罪捜査のような手法は見事」
(男性 70歳代)
「無味乾燥な数字の羅列のなかに、歴史に翻弄された人たちの喜びや哀しみが感じられて切なくなった。不思議な読書体験でした」
(女性 30歳代)
「この本を読んで、大河ドラマ『麒麟が来る』を観る視点が変わった。科学の眼で謎解きすれば歴史は刺激的だ」
(男性 50歳代)
みんなの感想まとめ
歴史的事件を科学的な視点から深く掘り下げている本書は、蒙古襲来や秀吉の大返し、戦艦大和の活躍の謎に迫ります。著者は物理学や気象学、統計学を駆使し、従来の通説に疑問を投げかけることで、歴史の裏に潜む真実...
感想・レビュー・書評
-
生物学者が恐竜絶滅の原因を生物学的な学説で説明したいと思うように、
歴史学者も歴史上の出来事を組織学や、ある人物の優れた戦略や統率力の賜物だとして説明したがる傾向がある。
900隻もの大群で九州に押し寄せた蒙古軍が九州を攻め落とせなかったのは、神風が吹いたからと言われていて漠然と日本は運がいいねと思っていた。
日本は海に囲まれており、しばしば暴風雨に見舞われるので確かに攻め入るほうにとっては厳しい条件だろう。
だが、冷静に状況を考えてみると気象条件が全てではない。
何百隻もの船が着岸し人や物の乗り降りをするのにどれだけの時間がかかるのか。
何万人もの蒙古軍が、一斉に上陸して攻めてくるなんて無理だということが分かる。
本書は、物理学、気象学、統計学を駆使して、歴史上の出来事を科学的に検証してみたものだ。
戦艦大和については、実際にどんな活躍をしたのか(別段興味もなく)知らなかったが、活躍することなく敵の攻撃であえなく沈没していた。
時代は既に空中戦に突入していたということだ。
まさに今ウクライナ戦争で、ロシア海軍の艦船が相次いで黒海で炎上・沈没しているのも同じ理由だ。
私にとっては、戦艦大和は宇宙戦艦ヤマトに姿を変え宇宙船として大活躍した姿しか記憶にない。
歴史好きの人が読むと少しくどいと感じそうですが、私のような理系人間が歴史的事件の真相に触れるにはいい本ですね。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
元寇で蒙古軍が1日で撤退したのはなぜか。
秀吉の中国大返しは本当だったのか。
戦艦大和は本当に無用の長物だったのか。
これらについて科学的観点から説明がなされている良書。
筆者は造船関連の専門家であることから特に海の浮力等についての造詣に詳しい。 -
リアリティのある具体的な検証が非常に興味深いです。特に、戦艦大和は単なる無用の長物ではなく、戦後の復興や日本人の誇りとして役立った話は嬉しくなりました。
-
第一印象は、とても良い本を読んだ。と言うものです。今、日本を動かしていると自認している人達に一番に読んでほしい。また若い人達に読んでほしい。日本ガンバレとエールを送られているような、私も頑張るという気持ちを興させてくれる本です。
-
猛虎襲来や秀吉の中国大返しなど、歴史的なミステリーを科学的に解析している一冊。
歴史が好きでないと、捗らないかも。
読んでいて、なるほど!と思ってしまうほど、解説は分かりやすかった。 -
蒙古襲来、中国大返し、戦艦大和という三つの歴史的事件に焦点を当てて、大胆な仮説を立てた本書。
著者は船の設計者であり、歴史学者ではないので、歴史学的に見れば一笑されるものかもしれない。
(私も詳しいわけではないので、何がおかしいのか、といった指摘はできない)
だが、中国大返しに船を使ったのでは?という仮説はとても興味深い。
現代人の体力(訓練された自衛隊員)と当時の騎馬武者の体力、兵站など考えなくてはいけないことはたくさんあるが、そこで船を使えば早かったのでは、なんて今までに聞いたことがない!
蒙古襲来も、いかにも船の技術者と言った内容。
造船技術、航海技術その他従来の歴史書では捉えられてこなかった視点が面白い。
実際に模型まで作っているのだから、技術者とはすごいもんだと感嘆する。
歴史学者だけではなく、このような技術者の視点というものも必要と感じた。
大発見やパラダイムシフトは、専門家だけではなく、門外漢からだって何度も生まれているのだから。 -
サイエンスと言いますか,工学的な知見で,日本の歴史上の主な三つの出来事について書かれている本です.特に秀吉の大返しについては,本当にそれが現実的に可能であったかを,様々な観点で数値的に見積もり,真偽はともかく,興味深く読める本でした.歴史は,古文書だけを頼りにするのではなく,このような工学的知見での検証も,有用なのかも知れません.
-
ブルーバックスのラインナップの中でも異色の一冊になるのではないか。「元寇」「秀吉」「大和」の三題で、歴史上の「通説」を、エンジニアリングの眼で、ロジスティクス、プロジェクトコントロール、ストラテジーなどの観点から、物理法則に則った数値シミュレーションで検証するもの。古今の英雄譚も、人やモノを実際に動かすにあたって必要なカロリーや時間を真剣に評価してみれば、別の解釈が浮かび上がる。人文畑の研究者には一般的でない視点であろうが、教科書や人の話を鵜呑みにせず、自分の頭で可能な限り検証することの大事さを若い世代に伝えるこのうえないテキストだ。
終章を読み終わって、つくづく思い出されたのは、いろいろな危機に際して「できることは何でもやれ!」と安易に吠えることがリーダーだと勘違いしていている人が多いということ。この本に示されたような考え方の基本を身につけていない、勢いだけの人や熱意だけの人では、真の危機は乗り越えることはできないだろう。 -
最近このような科学的なアプローチをする歴史研究が増えてきているが、中でも船の設計者としての専門性を活かした研究は納得性もあり非常にワクワクした。
このようなアプローチの歴史研究が進んで欲しいと思うと共に、従来の史料の文献を中心とした史学を専門とする学者の方にも広い視野を持って他の知見を採用して言って欲しいと思う。
あとがきにもあるように、狭い範囲で凝り固まった常識に囚われてしまうことはもったいないし危険だと思う。 -
-
数字という嘘のつけない根拠を基に、歴史上の伝説とも奇跡とも思える通説に疑問点を投げかける本作。理工系の老舗新書のブルーバックスから、何故日本史の本が?と思ってたが、読んで納得の内容。
鎌倉時代の元寇、戦国時代の秀吉の中国からの大返し、第二次世界大戦の巨大戦艦大和の存在意義についての3本立て。
どれも日本史における大きなポイントではあるが、共通点はなかなか思いつかない。
それは、著者は、長年の造船に関わったエンジニアという経歴によって明かされる。
歴史学者では無いが故、通説と言われた内容でも、実現不可能なものを客観的に疑問に感じての検証となったのだろう。なるほどなあと唸る内容。
-
蒙古襲来、秀吉の大返し、戦艦大和――日本史に刻まれたこれらの出来事を船舶の専門家である筆者は科学の視点から読み解く。
蒙古襲来で吹いた「神風」は単なる偶然かそれとも自然現象として説明できるのか。秀吉の大返しは短期間での大軍移動を可能にした兵站の工夫に秘密があった。戦艦大和の沈没には設計や戦術の問題が隠されていた。
著者は最新のデータや科学的手法を用いてこれらの歴史的事象に新たな光を当てる。科学の視点で歴史を紐解くことで出来事の背景や因果関係が浮かび上がり歴史が単なる英雄譚ではなく自然や人間の営みの結果であることが明らかになる。
過去を科学で読み解くことで未来への教訓を得ることができるだろう。歴史を歴史学者ではない新たな視点から読み解く。目から鱗が落ちる事々が楽しい。
-
とっても面白かった。役に立つ本。もう一度、『アルキメデスの大戦』が見たくなった。田中泯演ずる平山忠道技術中将のモデルが「平賀粛学」で知られる平賀譲だと、本書で知った。続篇にも期待大。その後、続編読んだ。充分面白かった
-
観点が面白く、一読の価値があると思います。日本刀の優秀さを強調されている箇所など「どうなんだろう?」と感じるところも少しありますが、全体的に「科学的観点から考察しよう」という考えで書かれていて面白いと思います。
-
これ面白い本です。歴史上の不思議な「事実」を科学の目で見ると,違うことが見えてくる…という。以前,板倉聖宣氏が『歴史の見方考え方』(仮説社,1986)という本で,人口の増減で見る新しい日本の歴史というものを提案して《日本歴史入門》という授業書を作ったことがあります。数量的にもの(歴史)を見ることで,これまでとは違ったことが見えてくるんですね。それでワクワクしたことを思い出します。
さて,本書の中身も似ています。扱っている内容は,3つしかありませんが,いずれも,具体的に数量的な基準を出してくることで,これまで一般的に言われてきた歴史的な事実?に対して「それはありえんな」「そんなばかな」「どこかに脚色があるのか」という疑念が沸いてきます。
例えば,1582年本能寺の変のあと,明智光秀の謀反を知った秀吉が,毛利と休戦を結んで「中国大返し」をして京都に戻って光秀を討ったという話。
その秀吉軍2万人が,数千頭の馬と共に,たったの数日間で京都まで行けたというのは,本当なのか。それを,2万人+馬分の食糧調達,2万人+馬分の糞尿の処理,武器や弾薬を持って歩くという強行軍,2万人分の寝る場所…などなどを考えると,とても急にこれだけ準備するのは難しい。しかも,やっとの思いで京都に着いたらすぐに光秀軍と戦う力は兵隊に残っているのか…これもまた,不思議だといいます。
文献の解釈は歴史家に任せるとして,科学的に考えると,どうなのか。そういう本なのですが,わたしは,こういう数量的な見方・考え方をしっかりしてこそ,歴史学者と言えるのではないか…と思います。古文書の解釈ばかり詳しくしても,それが事実かどうかは,分かりません。こういうことは,すでに40年近くも前に『歴史の味方考え方』に書かれています。
解釈ではなく,予想を立てて数量的に考えていく。それにより,本当の姿が見えてくるのではないでしょうか。
最後に,筆者の言葉を引用しておきます。
蒙古の撤退にしても秀吉の大返しにしても,歴史の謎とされているものは,「奇跡」とか「伝説」といった文言を纏っていることが多いようです。それが後世の人間の目までも曇らせているのかもしれません。歴史の研究の本道が文献の発掘や精査であることはもちろん承知していますが,人間が行う解釈という作業にはどうしても先入観を排除しきれないところがあります。物理や数学の観点も採りいれた研究によって、日本史の未解決問題の謎解きが進むことを願わずにいられません。(本書,227ぺ) -
元寇
秀吉の中国大返し
戦艦大和
いずれの戦いや行動の可否、戦力などを数学や科学で検証。
元寇については神風が吹いて元寇は失敗し、集団戦法で戦う元に対して、ひとりで立ち向かう日本の武士というステレオタイプの考えがありました。
実際は台風はなかったし、日本の武士の騎馬隊の活躍、敵方の戦意の低さや、地形などで存分な戦力を送り込むことができなかったことが原因でした。
秀吉の中国大返しについても、陸路でなく海路を利用したのではというお話や、2万人の戦力を当てにしていなかったことも面白い話だと思いました。
大和についても、ほとんど活躍の機会が与えられないまま海の藻屑と消えましたが、当時にして最先端の戦艦を作り出せた日本人の凄さを目の当たりにした感じがします。
どんなに素晴らしい技術的があっても、それを活かせるのは、結局は人なんですよね。
未来においても技術立国と呼ばれる様な舵取りを、本気で政治家のひとには考えて頂きたいです。 -
タイトルに魅かれて読んでみました。歴史は「素人」だとおっしゃる、船の設計者の方が書かれた本でした。
なるほど、タイトルが「日本史」+「サイエンス」なのはそういうことなのですね。
蒙古襲来の謎を、船の設計者の視点で検証するところからこの本が企画されたそうです。
面白い見方ですよね。
まるでイノベーション。既知のものと既知のものの組み合わせで新しいものができる。新たなジャンルの誕生ですね。
蒙古襲来の謎を解いた後は、本能寺の変。
移動距離、兵士や軍馬の数、物資、気候、地理的条件から考察するという、これもまた面白い切り口だと思いましたが、よく考えたら当たり前のことですよね。
学校教育の「日本史」ですり込んだ見方が頭に凝り固まっている自分に気づかされました。
最後に、時代は進んで戦艦大和が取り上げられています。単に、軍用というだけでなく、日本経済の発展に寄与したこと、確かにそうだと思いました。
3つの史実を、少し違った角度から分析するという面白い内容でした。様々な専門家が、このような切り口で過去の出来事を紹介してくれると、歴史的事実を立体的に理解できるでしょうね。 -
理系の見方というのはなかなか面白い。
日本は理科教育の時間を大幅に減らしてきたという告発もその通りだと思う。しかし日本は文系だとて容赦はしない。
ようするに、科学などへでもないという人間どもが政治をやっているのだ。
播田さんの分析は楽しい。が人間は大切にされているのかと疑問も持った。
この本が好きな人におすすめの本
著者プロフィール
播田安弘の作品
