未来の医療年表 10年後の病気と健康のこと (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065211373

作品紹介・あらすじ

医療未来学の第一人者が描く、病気と医療の未来予想図、そして健康にまつわる新常識

2025年 初の本格的認知症薬誕生
2025年 病院へのフリーアクセス廃止
2030年 AIドクターが主流に
2030年 感染症の脅威から解放
2032年 安楽死法制定
2035年 がんの大半が治癒可能に
2040年 神経難病克服
2040年 糖尿病解決

★イノベーションで変わる医療
・人間不要! 診察の主役はAIドクターに
・効く理由はわからなくてもOK! ビッグデータ創薬
・不整脈も血糖値もうつ病も、スマホでかんたん測定
・非医療系企業も続々参入! 医療ビジネスは巨大市場に

★健康にまつわる新常識
・医者と患者で「治る」の意味が違う?
・自前の臓器は「節約」が得策
・60代からは小太りが健康長寿の秘訣
・おススメはゆるい運動

★日本のガラパゴス医療が生き残る道
・日本は世界の「二番手」でいるのが巧みなやり方
・日本のお手本は「医療情報管理先進国」エストニア
・外国人観光客への医療提供を本気で考える時期に
・日本流「おもてなし」クラウドで世界競争へ

感想・レビュー・書評

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  • 【はじめに】
    成毛さん『2040年の未来予測』の中で、医療の未来についてはこの本を参考にした、と書かれている本。著者は、東大医学部で医学博士を取得し、放射線科の臨床医として長年医者として現場にいて、そのMBAも取得した後に製薬会社や薬事コンサルティング会社など医療ビジネスに転身し、今はこの本で書かれているような内容を伝道する医療未来学者として活躍中。放射線科にいたことで、広く疾病についての知見を得る機会があったことや、医者だけではない複数の立場で業界を見ることができたことから医療の未来について包括的な視点を持つことができた、と自らの強みについて説明しいてる。

    前著『Die革命』でも言っていた通り、医療の完成までに今は9合目まで来ているという。

    【概要】
    本書の表紙には、この本に書かれた衝撃の事実として次のような記載がある。
    2025年 初の本格的認知症薬誕生
    2025年 病院へのフリーアクセス廃止
    2030年 AIドクターが主流に
    2030年 感染症の脅威から解放
    2032年 安楽死法制定
    2035年 がんの大半が治癒可能に
    2040年 神経難病克服
    2040年 糖尿病解決

    ユヴァル・ノア・ハラリの『ホモ・デウス』でも予言されているように、飢餓と疫病と戦争を克服した人類が次のターゲットとして「老化」の克服に向けて総力を挙げて取り組んでいることがよくわかる。その武器は、遺伝子工学であり細胞学というミクロな世界であり、そしてより根本的な原因対処に向かっている。

    例えば、がんについてもかつては不治の病であり、今となれば信じ難いことでもあるのだが、患者本人に告知するかどうかが大きな問題となっていた。現状は、手術だけでなく、放射線治療、抗がん剤の組み合わせで、がんの一定期間後の生存率も向上してきた。さらに遺伝子工学の進化とともに、分子標的薬の効率が上がり、免疫チェックポイント阻害剤との組み合わせで最適解を見つけ出す、というのが現状で、シッダールタ・ムカジーが2010年に『病の皇帝「がん」に挑む』でそれまでのがんとの闘いをまとめたころからもたゆまず進歩しているのである。

    アルツハイマー病に代表される認知症も、人類が闘いを挑まなければならない敵のひとつである。名著『アルツハイマー征服』に書かれた免疫治療薬アデュカヌマブも期待されるところである。

    また多くの人の生活の質を落とす原因になっている糖尿病の治療や予防も大きく前進することが期待されている。糖尿病は、生活習慣病と言われているが、遺伝の影響が大きな疾患であるという。2035年ごろには糖尿病の原因遺伝子はほとんどすべて解明され、2040年には糖尿病を完全に解決できている可能性があるとまで言い切る。

    また、人の臓器を耐用品として捉えて、過度な使用は早く期限か切れてしまうことにつながるのではという仮説を持っている。もちろん、定期的に動かすこと(=運動すること)は必要だし、いいことだけれど、酷使してはいけないというのである。面白いのは脳という臓器も同じように過度な使用はよくなく、脳トレにもその観点から否定的だ(それでも全く脳を使う機会がない人はやった方がいいという理屈にはなるが)。
    また、「治る」という感覚も調整することが必要だし(病気にはずっと付き合う必要があり、それは悪いことではない)、中長期的な予防という概念もますます重要になる。

    やや意外ではあったが、かつ著者の意見の客観性を少しではあるが高めるのではと思うのは、iPS細胞に対するやや否定的な見解である。再生医療についてはiPS細胞意外にも元からあったES細胞などの選択肢がある中で、日本発ということで勝算が薄くなった中でも賭けを続けてしまい、予算削減という判断に対しても批判的な声が上がり軌道修正ができなくなるという状況を批判している。著者は、[iPS細胞で回り道をしたかもしれない」とまで断定的に言うのである。

    【所感】
    著者の主張における特長のひとつは、医師法への批判的態度にある。多くの人が医師法の老朽化に気が付いているが、その改正は莫大な利益を上げている医師の既得権益に関わることであり、日本医師会の反対に会うために不都合がそのまま放置されている。今の医師法は、AIのない時代、いやコンピュータもほとんどない時代に作られたものであり、これを改正することが、日本において根本的に必要なことであることはわかる。著者が人生の多くの時間を医師として過ごしながら、現在はその医師という職業から離れているからこそ主張できるものであり、個人的にはこの分野でも大きな声を上げ続けてほしいと思うところである。特にオンライン診療については、医療リソースの効率的な活用や、患者の負担を減らすことにもつながるためにも広がってほしい。
    また、これだけ医学が進歩するのであるから、医師免許更新の仕組みの必要性を上げているが、ものすごい抵抗があるかと思うが、ぜひ実現してほしいとは思う(ちなみに、中小企業診断士も知識拡充のための更新制度がある)。

    著者は日本の医療制度についてもいくつか批判的な指摘をしている。国民皆保険と病院のフリーアクセス制度がどこまで維持できるかという問題、「ドラッグラグ」の問題、理系高校生の医学部偏重、「死」の定義がないことの問題(安楽死、臓器移植)、医療情報のデジタル化、などである。医療がこれから大きく変わるときに、医療制度は適切に変わる必要があるのである。

    副題に「53の未来予想図」と書かれているが、バラバラのエッセイが並んでいるというものではなく、前著『Die革命』に続いて、医療の未来について、元医師であり、現在は医療革命を起こす側にいるという比較的稀有な立場からまとめられた有益な本。ここから10年で変わる必要はあるが、果たしてどうなるのか。非常に重要な問題を提起している本。

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    『病の皇帝「がん」に挑む ― 人類4000年の苦闘』(シッダールタ・ムカジー)のレビュー
    上巻 http://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4152093951
    下巻 http://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/415209396X
    『2040年の未来予想』(成毛眞)のレビュー
    https://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4822288900

  • 未来の医療年表 奥信也

    東大で医学博士を取得し、MBAホルダーでもある著者の医療における未来展望。
    医学の最新情報とともに、医療×ビジネスで展開される未来予測は非常に引き込まれる。
    面白かったポイントは下記の通り。
    ・新型コロナで公衆衛生意識が伸長?
    公衆衛生という考え方自体の重要性を改めて認識した。公衆衛生とは個人一人ひとりの医療と社会全体の医療のバランスを取ることであり、ワクチン接種やウイルスへの対応策の基本的な考え方。
    ・2030年にはほとんどのがんが治癒可能に?
    分子標的薬と免疫チェックポイント阻害剤により、がん治療は極めて進展しており、2030年までにはほとんどのがんが治癒可能になると予測。
    ・AI時代の医師の役割は医療をデザインする人/患者に寄り添う人
    AI時代において、医師は二分化され、新しい技術が登場するごとに医療にあり方をデザインする人、そして、カウンセラー的な役割に特化し、患者に寄り添うことを中心的な仕事にする人となる。中間的な診断や治療薬の処方などはAIの精度が高まっており、これらを担うのは将来的にはAIとなる。
    ・ディジーズマネジメントの台頭
    保険会社主導で患者や患者予備群の集団に働きかけ、様々なアプローチでリスク集団の疾病リスクを低減させる疾病予防支援サービスをディジーズマネジメント、DMと呼ぶ。
    アメリカでは国民皆保険制度がないため、健康保険では企業が福利厚生として完備している。それぞれの企業は魅力的な福利厚生制度を整備することで優秀な人材の確保に努めているが、その保険は保険会社がもちろん引き受けている。
    保険会社としては保険金請求が少ないほど、保険収益は良化するため、保険会社主導で患者群に対してリスク低減として予防医療を斡旋するインセンティブが働く。そうした背景によりDMがアメリカでは一般的である。さらに、乳がん検診を受けなかった人は保険の自己負担額を引き上げるなど、保険給付のコントロールによる健康マネジメントをある種強制する仕組みもある。
    日本では保険会社の兼業は保険業法で厳しく制限されているが、アメリカの場合、カイザー・パーマネントのように医療機関と保険業を兼営している企業もある。日本の場合、公的な健康保険制度に頼っている部分もあり、予防医療の浸透が遅い傾向にある。
    しかしながら、日本も公的な健康保険制度は収支マイナスが続き、健康保険組合に関しても年々収支悪化は顕著である。日本においても、DMの定着や、健保組合においても健康維持に対して給付金コントロールの面で一定のインセンティブを持たせる施策は有用であると考える。
    しかしながら、現在、経済格差が健康格差につながるという社会問題もある。経済的にハードな人々ほど、栄養の偏った不規則な食事により、健康を害しやすいというデータもある。給付金コントロールにいるDMも一定の効果はあると考えるが、経済的にハードな環境下で、健康診断も受けられず、健康意識も低い人に対して、給付金を減らすのは本末転倒であり、自助制度内での解決も限界である。
    ただ、DMに関する議論は日本でも活発化されるべきであり、企業としても健康経営やESGの文脈でより社員への健康マネジメントは進む傾向にあり、ここに保険会社として医療機関と連携した健康管理のインセンティブを促進することは、社会的にも有用な視点であろう。
    ・60歳くらいからは小太りぐらいがちょうどいい。
    サルコペニア(老齢による筋肉低下)が現在問題になっており、60歳以上の過度なダイエットなどは逆に健康を害する可能性もある。その点、60歳まではメタボ対策を重点的に行い、60歳以降はサルコペニア対策として小太りくらいがちょうどいいということである。
    ・高額医療費制度は弾力性を持たせるべき
    日本では、一定額以上の医療費が発生した場合、自己負担額に上限を設ける高額医療制度がある。非常に良い仕組みだが、濫用されすぎると社会保障費の財政がひっ迫される。
    線引きは難しいが致死性が高い分野に高額医療費の自己負担制限を設け、致死性が低い病気に対しては自己負担を引き上げる。保障が必要な場合は、個人で民間の医療保険に入るなどの弾力的な制度運用が今後必要になる。
    ・医療ツーリズムの導入について
    日本では一流の医師と二流の医師でも基本的には同額で診療や手術を行っている。しかしながら、一流の医療、巨額の診療費を対価にグローバルに提供するということも議論されるべきである。
    人口減少と高齢化の課題先進国である日本の医療・介護のノウハウ蓄積は、今後、輸出可能な主力産業になりうる可能性がある。日本の財政健全化のために、外貨を調達するために、高度な医療を一定レベルで医療ツーリズムに開放するなどの施策もあってもおかしくない考え方でもある。

  • 人生100年時代という言葉は、私が記憶するに数年前から言われ出したように思います。年金支給時期を遅くするための宣伝文句と理解していたのですが、この本を読んで考え方が少し変わりました。医療技術が進んで、今までに治らないとされていた病気である癌が治癒可能になり将来的には平均寿命が上がることが予想されているからの様です。

    この本のタイトルでもあり、本の帯に書かれていますが、未来の医療年表によれば、認知症薬の誕生、AI治療の進展、癌・感染症・糖尿病を克服することが予想されているようです。また2032年を目処に日本においても安楽死法が制定される模様です。

    長生きできることは確かに良いことだと思いますが、それには条件があると思います。食べることに困らず、自分のやりたいことができて、家族を含めて他の人に迷惑をかけずに自立して、生活するために体を壊す働き方をしない等を私は挙げることができます。

    日本でも私が生まれた50年以上前には、平均寿命が60歳程度であったように思います、その時には確かに長生きすることは国民みんなの願いであったと思いますが、あれから半世紀経って、平均寿命が80歳を超えた今、いつまで長生きすることが本人にとっての幸せかを、改めて考える時期に来ていると思いました。

    以下は気になったポイントです。

    ・2035年、ほとんどの癌が治療可能に、その理由は、癌の本質は基本的に遺伝子の異常によって引き起こされるいでんししっかんであり、2000年代に入ってから個々の人々の遺伝子配列を解析する技術が飛躍的に高まったから。この結果、直接アプローチする「分子標的薬」という治療薬とそれを中心に据えた治療法が開発、確立されたから(p17)さらに、ゲームチェンジャー(ある分野の状況を一変させてしまう)が存在する、2018年にノーベル医学賞を受賞した、本庶佑博士らが開発して「免疫チェックポイント阻害剤」、さらには楽天メディカルでは「光免疫療法」という治療法に取り組んでいて、2020年6月に承認申請が成されている(p21)現在は、分子標的薬と免疫チェックポイント阻害剤をどう組み合わせるかの段階に入っている(p22)

    ・ワクチンの場合は、健康な人に投与することが前提になので、安全性に関する要求度は、病気の人に使う治療薬と比較してさらに高くなる。(p25)

    ・iPS細胞について現時点で疑問視されているのは、多様性の部分である。どのような組織、臓器にでも分化できるはずと当初は考えられていたが。実験を重ねていくうちに意外とそうでも無いということが見えてきた(p46)再生医療は壁にぶち当たっている(p159)

    ・加齢により水晶体が白く濁って視力が低下する白内障は、症状が悪化すると人口水晶体(眼内レンズ)に交換する手術を施す。これも立派な臓器交換である(p49)

    ・インフルエンザワクチンの予防接種は、弱い人たち(高齢者、乳幼児など)が死ななくて済むように実施されている面が多分にある(p57)

    ・現在の日本においてAIによる画像診断ソフトウェアの開発で先頭を走っている、脳動脈瘤を見つける画像診断ソフトが動脈瘤を見つけた割合は、人間医師よりも10ポイント高い数値出会った。医師法による制約もあり、運用面となると簡単でないが、少なくとも技術的にはAIが人間の画像診断をすでに凌駕している(p69)

    ・現在の日本では法的に認められていない安楽死についても、オランダ、スイスなどの一部の国では終末期の患者の自己決定権として認められている。医師法を改正して医師の役割を明確化出来次第、2032年頃というのがあるべきタイミングだと思われる(p82)

    ・2016年からは処方を含むレセプトに関するデータが公表されるようになった、病院や調剤薬局のレセプト(保険診療で行われる医療行為について診療報酬を請求するための書類)などの情報を集める「ナショナルデータベース」の事業が形になったから(p90)

    ・制度関連年表によれば、2023年:オンライン診療定着、2025ねん:病院へのフリーアクセス禁止、医師の働き方改革法制定、2028年:国民皆保険負担率5割。2030年:医師法大改正、看護師法、薬剤師法等改正、2032年:AI医師法制定、安楽死法制定、70年以上も医師法が変わらなかったのは、17万人以上の医師を会員にする日本医師会が、反対してきたから(p96)

    ・2018年には初心および急性疾患を除いてオンライン診療も健康保険が使用可能になった、さらに2020年4月には初診でさえも、コロナ感染が終息するまでという期間限定であるが、解禁された。これによりオンライン診療を多くの医師達が実践することになった(p103)

    ・オンライン診療が本当に使えないかどうかは、人間が五感によって得ているのと同レベルの情報が入手できる段階になってから判断すべき、それができるのは2023年くらいであろう(p108)

    ・2008年にオリンパスが日本で発売を開始したカプセル内視鏡は、口から飲みこんだ薬サイズの内視鏡が体の中を旅して周り、消化器系の異常を報告してくれる装置である(p117)

    ・自動運転の技術が実用段階に達して、さらにAI診断と連携されれば、自動運転車は、自動で往診に行って帰ってくる無人の診療室、に応用できる可能性がある。自動運転と、AI医師による自動診断との共通点が多い。(p129)

    ・日本の医療保険は、全国健康保険協会の運営する「協会けんぽ」(比較的小さな企業が加入して共同運営)と、大企業が独自に運営する健康保険組合がある。どちらでも事故負担率は3割であり、アメリカに住んでいる人の状況に比べると、持っている保険証の種別で受けられる医療に本質的な差はない(p140)

    ・テニスは対戦相手とさえ合意できればいくらでもゆるくできるスポーツである(p153)

    ・理想的な考え方としては、50代までは生活習慣病対策としてダイエット(内臓脂肪を減らす)を心がけて、60歳以降の目標は体重を維持(筋肉を落とさない)すること、太り過ぎはダメだが「小太り」が長寿である(p158)

    ・日本では、臓器移植法や医師法も含めて「死とは何か」を明確に定義していない。呼吸停止・心停止・瞳孔拡大、という3つの徴候を持って人の死の診断基準とする「三徴候説」が昔から有力な説としてあるのみ(p202)

    2021年1月23日作成

  • 小論文対策推薦図書 医療系

  • AI、ビッグデータ、遺伝子解析などが技術的ブレイクスルーのきっかけになるようだ。
    イン・シリコ(コンピューター上で薬の臨床試験の候補品をスクリーニングできる)とか、リキッド・バイオプシー(体液中の疾患成分を分析したガン遺伝子の同時検査)など聞きなれないワードに、へぇと思った。
    その他にも人工角膜、皮膚培養、分子標的薬などなど。治療よりも予防が進みそうだ。
    医学の分野でも情報技術が重要になってくるんだなあ。最優秀な頭脳の若者たちは、医学部ばかり目指さずに理工学系に進んでもらいたいものだ。

  • ●新型コロナ。700,000人の死者。死亡率となると0.01%以下。1919年のスペイン風ではアメリカはたった1年で国民の平均寿命が約12歳低下した。
    ● 2035年、ほとんどの癌が治癒可能。
    癌の本質は基本的に遺伝子の異常によって引き起こされた遺伝子疾患である。
    ● 2020年8月現在、指定難病が333疾患がある。わずか5年で200以上も増えてしまった。
    ●アイピーエス細胞ストック事業は4年間ロードマップは更新されてない。
    ● 2025年、本格的認知症薬誕生。タウ・タンパク質の蓄積こそが認知症の原因なのではないか?
    ● 2040年糖尿病解決。有望な糖尿病薬が続々登場している。
    ●画像診断の精度はすでに人間を凌駕している。医学的知識がデータベース化可能である。
    ●人間医師の役割は「寄り添う人」に
    ● 20年後は医師のステータスは高いものでなくなるかもしれない。
    ●オンライン診療。病院に行くことのリスクとコスト。
    ●カプセル内視鏡。
    ●筋肉量減少と骨折は、認知症へ。
    ●痩せた方が良いのは50代まで。60代からは小太りで健康長寿。
    ● OTC医薬品でも効き目は充分である。
    ●致命的でない疾患への高額医療はそぎ落としていくべき。致死的な疾患だけカバーできれば良いのではないか。
    ●海外からの医療ツーリズム。医師会は反対している。混合診療の全面解禁につながる。しかしビジネスとして大きな可能性があると思っている。
    ●医学部過剰人気は、日本の知的リソースの壮大な無駄遣い。

  • 医療について全く疎いのですが、現代と未来の医療技術が幅広く且つ素人にも分かりやすくまとめられている良書と感じました。(日本の未来は?だけど)もっと病に怯えなくて済む世界になっているんだろうと希望を持たせてくれる内容でした。

  • 医学の世界でも、人間が必要とされない分野が大半を占めてしまうのか?

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/744786

  • 専門家が読んだとき、見解は分かれる話のような気はするが、全体的な説得力はあった。iPS細胞は意外とうまくいってないというのが現在のメインの意見だという知見を得た。

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著者プロフィール

1962年大阪府生まれ。医療未来学者、医師、医学博士。東京大学医学部医学科卒。英レスター大学経営大学院修了。専門は医療未来学、放射線医学、核医学、医療情報学。東京大学医学部22 世紀医療センター准教授、会津大学教授を経てビジネスの世界へ。著書に『Die革命――医療完成時代の生き方』(大和書房)、『未来の医療年表――10 年後の病気と健康のこと』(講談社現代新書)、『未来の医療で働くあなたへ』(河出書房新社)など。

「2022年 『人は死ねない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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