- Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065212950
感想・レビュー・書評
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民主主義について曖昧な理解しかなかったが、古代ギリシャから現代に至るまでの変容の理解、そもそもの意義について理解することができた。
特に民主主義における当事者意識の低さ、若者の政治に対する無関心が浮き彫りになった。
兎にも角にも、もっと政治に関心を寄せなければ、明るい未来は来ないと感じた。
(選挙に投票してる)多数派が必ずしも、公共の利益に結びつくことはない。
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とても面白かった。民主主義の歴史をふりかえりつつ、民主主義とはなにかを考える。とくに自由主義と民主主義が、実はお互い相容れないものであるという指摘が、非常にわかりやすく書かれていて勉強になった。
具体的には、バンジャマン・コンスタンのルソー批判のところ(一三八頁~)のところで、「主権の力が強大になり、その及ぶ範囲が拡大すれば、どうしても個人の自由や権利が侵害されることになります」という点。
そしてこの二つを結び付けようとしたのがトクヴィル。トクヴィルは、自由に人びとが行動した結果、「個人主義」になってしまう危険性と、民主主義がもつ「多数の暴政」の危険性を回避するために、自治と結社を重視するという。自治は市民が自らにかかわる利害について判断し、それを超え社会的に共有する諸利害については、平等な相互調整によって決定すること(一四六頁)。結社は、日常生活において、人が他者と結びつき、他者とともに何事かを実現する訓練の場(一五四頁)。このふたつの仕組みが「デモクラシー」を実現させるという。
僕は民主主義と自由主義の緊張関係について、あまりちゃんととらえきれてなかったので、不勉強を恥じるしかない。
また、古代のアテナイの民主主義は、「真剣な討論と決定」と、さまざまなしがらみから開放された「市民の独立」(五九~六〇頁)が必要だという。そうすると、古代と近代を分けるのは何なのだろうか・・・。僕は近代を「個人」の成立に見ていたのだけど、古代もそれと同じ、ということになってしまいかねない。これは困った。モーゼス・フィンリー『民主主義 古代と現代』は読まないと行けないが、古本しかなくて、高い。 -
概要)古代ギリシアで行われた政治制度、いわゆる民主主義の源流から近現代の民主主義までの変遷について、その内容の簡単な解説及びそれらに対する評価・批判を取りあげている。また、著名な論者の本から汲み取れるポイントや今に通ずる課題を素人にも分かりやすく伝えている。そうした現在までの状況を前提に著者の展望も述べられている。
感想)日本の政治について無頓着だった私ですが、大学のレポート作成のために仕方なく本書を手に取りました。
まず、民主主義はその登場から現在までどれだけ姿を変容させてきたかが理解できました。それゆえ、これを理解するのは容易ではないことも痛感しました。民主主義の後退が問題視されている今、いかにしてそれを防ぐかを議論していくためにはその本質を理解していることが前提となるでしょうから、この本はそうした点で大きな意義を有していると言えます。当然ですが、この本を読んだだけでは民主主義の本質を完璧に理解することは不可能です。しかしながら、この本を通して将来的に議論していくための民主主義という理念・制度に関する初歩的な知識を養うことができます。 -
私は頭が悪いもので、言い回しが回りくどく感じてよくわからなかったです。
民主主義の成り立ちを説明なさってるのはわかるんですが…
民主主義とは「制度」か「理念」なのかそれとも国民による「選挙」そのものか、ということは考えさせられます。 -
前半のギリシアから西洋までの接続は面白く読めた。後半は少し駆け足な感じがして,記述も不十分に感じた。新書なので仕方ない気もするが
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「民主主義について過不足ない本を書いてみたい」という著者の思いが見事に実現した良書です。既に、2021年度の石橋湛山賞を受賞し、書評等でも高評価になっていますが首肯できる内容です(この一冊で、大学のテキストにもなるくらいコンパクトかつ親切なつくり)。政治思想史とも言え、古代ギリシャから現代までの考えを紹介の上、日本の民主主義について考察します。「結び」の20ページほどで著者の考えを述べていますが、相対する考え方を両論併記しつつも中庸の考えを展開しており、著者のバランス感覚が垣間見れます。
民主主義とか日々の生活からは縁遠い印象を受けますが、この本が多くの人に読まれ、その上で政治論議が活発になることを期待したくなる1冊です。 -
政治体制を知り尽くしている宇野先生が、これまで人類が採ってきた民主主義を平易に、すべからく解説した本です。
圧倒的な情報量なので全てを消化できた訳じゃないけれど、読みやすかったです。