揺籠のアディポクル

著者 :
  • 講談社
3.73
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本棚登録 : 451
感想 : 54
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  • Amazon.co.jp ・本 (338ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065213094

作品紹介・あらすじ

孤立した無菌病棟に、少年と少女。
翌朝、一人だけになった。

ウイルスすら出入り不能の密室でーー
彼女を誰が殺した?

☆☆☆

『ジェリーフィッシュは凍らない』の著者による
甘く切ない青春の痛みをまとった
本格ミステリ

☆☆☆

半人形――それがコノハの最初の印象だ。
隻腕義手の痩せた少女が、タケルのただひとりの同居人だった。
医師の柳や看護師の若林とともに、病原体に弱い二人を守るはずだった無菌病棟、通称《クレイドル》。
しかし、ある大嵐の日、《クレイドル》は貯水槽に通路を寸断され、外界から隔絶される。
不安と焦燥を胸に、二人は眠りに就き、
――そして翌日、コノハはメスを胸に突き立てられ、死んでいた。

外気にすら触れられない彼女を、誰が殺した?

感想・レビュー・書評

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  • 静かに本を閉じたくなる一冊。

    舞台は嵐の中の孤立した病院、無菌病棟。

    取り残されたのは少年タケルと少女コノハの二人。

    不安感押し寄せる二人に翌朝待ち受けていたのは孤独だった。

    誰がコノハを殺めたのか…。

    無菌病棟という菌さえ侵入できない完全密室に漂うのは孤独とせつなさだけ。

    それを胸に携え真相に迫る過程は緊迫感はもちろん、究極の選択、次から次へと溢れる疑問、孤独感故の自問自答に最後まで惹きこまれずにはいられない。

    そしてたどり着いた真相。

    思わずため息ホロリ、涙ホロリ。

    この願いに静かにそっと本を閉じたくなる。良かった。

  • 2021/05/15読了
    #市川憂人作品

    少年少女2人だけの密室無菌病棟で
    ある日少女が殺される。
    タイムリーにもコロナ禍で読んだが、
    結構怖かった。
    あまりにも悲しい話だが
    考えうる最善のエンディングでよかった。

    読後感はさておき
    今までの市川作品の中でも
    インパクトのある作品になっている。

  • 厳重なセキュリティの隔離病棟に2人しかいない少年少女。自然災害により、外界との接点がなくなり、クローズドサークルに閉じ込められた中で、少女が陵辱された死体となる。謎の感染症アディポクルの謎は、、、

    第一印象はヒロインや登場人物の極端に少ないノベルゲームのシナリオみたい。ゲームシナリオだとしたら、ボリューム不足で没になりそう。コードは完全にミステリなんだけど、多分作者さんの趣味もあり、SFやボーイミーツガールの要素を盛り込んでいると思う。伏線回収の仕掛けもあり、叙述もあり。
    いわゆるどんでん返しは好み分かれるかも。クオリティ高く、一気に読める。

    改めて思うがラノベとミステリの境界ってなんだろうか。これラノベよりの話だと思うけど、表紙がオシャレでソフトカバーだし、違うんかな。

  • 面白かったです。
    これがミステリーなのかは分からないけど、すごく綺麗なお話しでした。
    一番驚いたのは若林看護師のことかな。

  • はい、面白かったです。
    これまたどんでん返しもので、
    とんでもない結末を迎えます。

    同著の「灰かぶりの夕海」を彷彿とさせますね。
    市川先生はどんでん返しものを書くのが上手いなぁ。

    現在と過去が交互に進行して、
    少しずつ謎が解き明かされていきます。
    正直最後まで謎の糸口すら掴めませんでした。

    とにかく騙されたいと思う方にはおすすめですね。

  • ★4.5
    壮大な愛の物語。
    クローズドサークル。絶海の孤島かつ、閉鎖された病院空間で起こる殺人事件。
    現在進行形で動く主な登場人物は一人。なのに、深く読ませる。
    毎度のことながら、途中で世界が反転する手腕、お見事!

  • 読んでいてRPGをやっているような既視感がありました。

    冒険に出た!
    何かを見つけた!的な。

    謎が深まるから先を急いで読みましたが、置かれた状況や犯人?はだいたいの人が恐らく予想できる流れです。

    傍点が多用されているのが少し読んでいて気になりました。

  • おすすめの人
    ・若干SF込みでも好き
     (アイアムレジェンドとか)
    ・森博嗣先生作品が好み
    ・余韻のある作品が好み

    ある程度タケルの推測で導かれている事柄があるから探偵もののように全てはっきりと補完できるわけではない。なので市川先生の他作品のようなものを期待しない方が良いかも。
    個人的にはとても好きな世界観、オチ。人によっては、こじんまりと纏めてきたなと感じるかもしれないけど。
    あと、表紙が最高に良いと思う。

  • 21.05.01読了
    満足。市川さんは、相当賢い人なんだろうなと。出てくる話は、難しいし、ついてくので精一杯。だけど、読み応えがあるし、最後の話のまとまり方が気になる展開。
    実際こんなことはないんだろうけど、あったらこんな感じなんだろうか?と思わせるような話だった。
    これだから、次も読みたくなるんだよなー

  • 近未来の新たな感染症、アディポクル。
    東京都下のさる場所の隔離病棟が舞台。コノハとタケルという少年少女の闘病とそして確執。殺人事件しかも、クローズドサークルとドンデン返し。ミステリ好きにはたまらない本です。
    あの三部作以来のファンで、着目していて良かった!といえる作家さんです。

    絶対、ネタバレになるので詳しくはレビューとして書けないのがジレンマ。

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著者プロフィール

1976年、神奈川県生まれ。東京大学卒。2016年『ジェリーフィッシュは凍らない』で、第26回鮎川哲也賞を受賞しデビュー。他の著書に『ブルーローズは眠らない』、『グラスバードは還らない』(以上東京創元社)、『神とさざなみの密室』(新潮社)など。

「2023年 『東大に名探偵はいない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

市川憂人の作品

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