図書室で暮らしたい (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065213148

作品紹介・あらすじ

辻村深月の”好き”は無限大!

辻村深月が好きな小説、漫画、アニメ、音楽、映画、美味しいもの……etc.
読めば、辻村ワールドがもっと好きになること間違いなし!

感想・レビュー・書評

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  •  本書は2015年(単行本)刊行で、辻村さん2冊目のエッセイ集。今年3月刊行の『Another side of 辻村深月』も良かったのですが、これまでエッセイを未読だったのと、タイトルに惹かれ読みました。

     目次から何となく既視感を覚えました。多分「好きなもの、自作解説」など、『Another side〜』と重なる部分があったからでしょう。
     それでも、新聞連載の「週刊エッセイ」を中心に、日々の些細なことを敏感に吸収・消化し、それらを言葉で昇華させる技は、以前からお持ちなのだと改めて実感しました。

     ただ一個だけ‥。本書を手にされた方の大半は、「おぉ、これは本に囲まれて過ごす幸せを、愛あふれる言葉で綴ったエッセイに違いない!」と確信したはず!(私もその一人‥。え、私だけ?)
     ちょっと残念‥、内容全体に関係する共通テーマという訳ではないんですね‥。

     でもこのタイトルは出色ですね。図書「館」でなくて図書「室」。この代表格が学校です。先生でなければ、もはや大人は立ち入れない場所‥。ノスタルジーさえ感じます。「暮らしてみたい」という願望は、痛く分かります。
     手が届かないからこその憧れ、大人は誰もがもっている(かつてもっていた)のではないでしょうか? 叶わないから輝いて見えるのかもしれませんね。

     このキャッチーで秀逸なタイトルに導かれながら、辻村深月さんの人となりを覗いてみてはいかがでしょう。

  • 題名に惹かれて買いました
    辻村深月さんの本を初めて読みました

    とても有名で人気の本をたくさん書かれていることも知っていて、積読にしている本もたくさんあるのですが、なかなか手に取る気にならず、、

    今回、辻村深月さんを知るエッセイを読んで、人気の作家さんですごい人!
    でも、保育園のお迎えの話を読んで同じお母さんで、同じ様に子育てしている普通の人なんだな
    と身近に感じることができました。

    これから少しずつ辻村深月さんの作品も読んでいきたい!と思える導入の本になりました

  • ほっと息がつける優しい一冊。
    疲れた時に、こーいう作品が読みたいと思う。
    心から癒される。

  • 文庫本ではなく、単行本が発売された時のレビューですので、ページなどが異なっています。ご了承ください。<(_ _)>

    私が大ファンである辻村深月さんのエッセイ集。
    幼い娘さんとのやりとりなどは、実にほほえましいし、彼女がまだ作家になる前、憧れの作家に会いに行く場面での緊張感なども愉快で、読んでいてとても心が安らぐ。
    「子供たちは夜と遊ぶ」の“浅葱”のその後を書く予定、という彼女の意志表示もされており、辻村深月ファン必読。

    漫画「ジョジョの奇妙な冒険」(作者の荒木飛呂彦氏は、仙台の私の中学、高校とも後輩になる)に対する思い入れなども面白い。
    ここには彼女が小説に対峙する姿勢が描かれている

    “「大人が薦める本」の一つになどなってたまるか、という意地があった。”
    (P113)

    しかも、私はこのエッセイを読んで不覚にも落涙してしまった。
    エッセイを読んで泣いたことなど長い人生のなかでおそらく二度目。
    初めてエッセイに感動して泣いたのは瀬尾まいこさんの「ありがとう、さようなら」だ。

    そんなわけで、印象に残った文章の引用を多く用いてレビューとさせていただきます。

    「成人式の日」
    彼女は小学生の時から小説を書いて、周りの友人たちに読ませていたと言う。
    だが、大学に入ってもその欠片(小説家になるという)も見せることができず、成人式で高校時代の友人たちに会うのが後ろめたかったそうだ。

    それから数年後、「メフィスト賞」を受賞し、本物の作家になった彼女に対して周りの友人や職場の人たちは「おめでとう、夢がかなったんだね」と喜んでくれたが、高校時代から彼女の小説を読んでいた友人たちだけはこう言ったそうだ。
    「おめでとう、でも、いつかなれると思っていたから驚かないよ」)

    そして、最後に彼女はこう締めくくる。

    “今でも時々、思い出す。成人式の日の私に、そして、こう言ってやりたくなるのだ。後ろめたく思うことはないから、顔を上げて、堂々と笑っていればいいんだよ、と。あなたのことを、あなた以上に信じてくれている人たちが、きっといる。“(p179)

    「うちの子へ」
    ここにはまさに、彼女の二歳の娘さんに対する愛情が凝縮された文章が綴られている。

    「十七歳のサイン会」
    “作家になり、かつて憧れていたフィクションの向こう側に来た今だからわかることがある。
    読者が作者以上に、その作品や、登場人物を愛することはある。自分が書いた以上のものを読者がそこに見ることは多分あるし、その意味で、作品は読者を絶対に裏切らない。そんな小説を、これからも送り出して行きたいと思う。
    私を生かしてくれた小説とフィクションは、そういう、とても優しい世界だった。
    私をここまでつれてきてくれて、ありがとう。この恩に報いる道を、私はこの場所から一生かけて探していく。“(283P)

    この彼女の決意(特に最後の一行)を読んで胸が熱くなり、何故か涙があふれ出た。
    彼女の作品に登場する”コウチャン”も”環”も”ふみちゃん”も”いつか”も”あすな”も、私は実在の人物のように愛おしかった。彼女が言うように、作品は世に出た瞬間から作者のものではなく、読者のものになる。そこに描かれた実在しない人物、或いは虚構の世界に私たちは共感し、感動する。
    小説というのはそういうものだ。

  • 『ネオカル日和』は未読だが、先に読んでしまったエッセイ集。週刊エッセイは面白かったが、著者の好きなもの、自作解説が特に興味深かった。
    共通するのは何事にも“誠実”であるということ。多彩な変化球をもちながらも、結局、勝負球は直球なんだなぁ...。

  • 新聞に連載されていたエッセイをはじめとして、
    様々な雑誌でのエッセイをまとめた本書。

    ジャンルごとに章分けされていますが、
    分け方や章タイトルも秀逸

    最初から順番にじっくり読んでもいいし、
    目次から面白そうなものを選んで
    スキマ時間に読んでも楽しめます。
    ※私は後者でした。

    「V 自作解説」で読んでいない小説が
    まだまだあることが悔しくもあり
    嬉しくもあり…

    まずは辻村深月さん(本人でも作品でも)が好きな人は、是非手に取ってください

  • 辻村深月の好きなもの、学生時代のこと、子育てのこと、色々と詰まったエッセイ。過去の作品に絡めての章もあって、「オーダーメイド殺人クラブ」を読んでからこれに来て良かったー。
    「リリィ・シュシュのすべて」を観たい、読みたい。

  • 温かい。本当に温かい。辻村深月さんの作品を読んでいるとき、一つ一つの言葉を拾いたくて、いつもより読むスピードを落とす。丁寧に紡いでいる言葉が脳内にスッと入ってきて心地良い。小説に辻村深月さんの人柄がよく出ているんだろうなと思っていたけれど、このエッセイにはやっぱり遥かに人柄が詰まっていて、ぼくも辻村深月さんのように、深く、温かい人間になりたいなと思わせてくれました。また、小説やエッセイを書いてみたいな、そんな気持ちにもさせてくれました。心がしんどくなったとき、どこかの一章だけでも、一人で、丁寧に言葉を拾って、これからも読んでいきたいなと思える本でした。辻村深月さんの本を読んだ後はいつも、出会えてよかった、そう思うのです。

  • 辻村さんの事を色々知れて良かったです。
    感動したり共感したり…。
    辻村さんの感性が好きです。

  • エッセイ集。
    辻村深月氏の私的な部分を垣間見ることができた。

    日経新聞の週刊エッセイや好きなもの、育児を中心とした生活、自身の作品解説などなど。

    「学生時代を舞台にした小説を書くことも多く、登場人物の心情を通じて、青臭い葛藤や淡い悩みに、社会人になった今も対峙し続けている」
    「大人が薦める本にならなければよい、エッジが効いた作品を書きたい」印象的。

    『子どもたちは夜と遊ぶ』の浅葱の作品をいつか書きたい、と! 期待に胸が膨らんだ。

    年を重ねて、ますます作品の幅はひろがるのは間違いないことでしょう。

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著者プロフィール

1980年山梨県生まれ。2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。11年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、12年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、18年『かがみの孤城』で第15回本屋大賞を受賞。『ふちなしのかがみ』『きのうの影ふみ』『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』『本日は大安なり』『オーダーメイド殺人クラブ』『噛みあわない会話と、ある過去について』『傲慢と善良』『琥珀の夏』『闇祓』『レジェンドアニメ!』など著書多数。

「2023年 『この夏の星を見る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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