脳から見るミュージアム アートは人を耕す (講談社現代新書)

  • 講談社
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本棚登録 : 318
感想 : 28
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065214404

作品紹介・あらすじ

ミュージアムに入れば物の見方がガラリと変わり、3年後、10年後の生活の糧となる。脳科学と博物館学の権威による脳に効く対談。

感想・レビュー・書評

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  • 猫丸さんの本棚にあって、
    面白そうだなと思って手に取りました。

    脳科学者の中野信子さんは、2018年から
    東京芸術大学でキュレーションについて学び
    共著の 熊澤弘先生 の講義を受けていたのだそうです。
    これは、お二人の対談集の形を取っています。

    中野氏は、ミュージアム(美術館・博物館)の仕事は
    脳のある種の機能に似ていると述べています。
    人生の3分の1を占める睡眠の間
    脳は記憶を整理しているのだそうで、
    その作業は、ミュージアムの裏方の作業に似ていると。
    つまり、ミュージアムでは表に見えないところで
    作品を整理したり研究したり…。
    何年もかけて次の展示会の準備をする作業にこそ
    重要な使命があるから、ということのようです。

    たしかに、私たちが楽しむ展示会は
    キュレーターさん達の大変な努力の上に実現しています。
    膨大な作品を保管し、整理し、展示するという
    お客さんの目に触れない作業は
    見えない頭蓋骨の下の働きに似ているのかも。

    中野氏は、ミュージアムに行くと
    自分の中で化学反応が起こることがあると述べます。
    「明日の私は変わらないかもしれない。
    でも、3年後、10年後の私のために観に行く」
    この考え方、面白いと思いました。
    ずっと前に観た絵がふっと頭に浮かんで、楽しくなったり
    観た時と別の意味を持ったりすることってありますから。

    興味深かったのは、「松方コレクション」の話。
    神戸の実業家・政治家の松方幸次郎さんが
    現地で選んだ名品を購入したものの、世界大戦のため
    敵国財産としてフランス政府に差し押さえられた話。
    これって、原田マハさんの
    『美しき愚か者たちのタブロー』に描かれていた世界!
    大感動して読んだマハさんの作品 ☆彡

    熊澤氏は、こう力説します。
    「ミュージアムを衰退させてはいけない。
    なぜなら、ミュージアムは
    人間世界の文化・歴史の森羅万象を記録した
    『脳』のような場所だから」と。
    時間を見つけて 観に行くしかないですね。

    追記:
    昨日レビューにあげたばかりですが、 
    松方さんの絵画購入経緯について
    内容に間違いがありました。
    それで、児島虎次郎さんのお名前を削除しました。
    児島氏は大原美術館を創設した大原孫三郎さんから
    留学支援を受けた方でした。
    大原氏と松方氏、お二人のコレクターの経歴が
    混ざっちゃった~~のです。
    すみませんでした _(._.)_

     

  • 書評『脳から見るミュージアム~アートは人を耕す~』 – NEWS SALT(ニュースソルト)
    https://www.newssalt.com/36011

    脳から見るミュージアム | 現代新書 | 講談社
    https://gendai.media/list/books/gendai-shinsho/9784065214404

    『脳から見るミュージアム アートは人を耕す』(中野 信子,熊澤 弘):講談社現代新書|講談社BOOK倶楽部
    https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000346123

    • yyさん
      猫丸さん

      この本、面白そう♡と思って、ポチッとしました。
      届くのが楽しみです。

      そして、たくさんの いいね をありがとうござい...
      猫丸さん

      この本、面白そう♡と思って、ポチッとしました。
      届くのが楽しみです。

      そして、たくさんの いいね をありがとうございます。
      ハッピーな気持ちになりました☆彡
      2023/02/28
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      yyさん
      中野信子って着眼点が面白いですよね(「怖い絵」の中野京子も)

      yyさんがニル・ベルクマン「旅立つ息子へ」を挙げてくださったので、...
      yyさん
      中野信子って着眼点が面白いですよね(「怖い絵」の中野京子も)

      yyさんがニル・ベルクマン「旅立つ息子へ」を挙げてくださったので、偏見からスルーしていた作品に興味が!有難う御座いました、、、
      2023/02/28
  • 中野信子さんは今、東京藝術大学大学院でお勉強されているそうです。
    この東京藝術大学大学美術館准教授熊澤弘さんに
    ミユージアムという世界にいざなっていただく
    時々信子さんの脳科学的な話を入れながら、という本。

    「皆さん、実際にミュージアムに足を運んでね」
    ということだと思います。

    アムステルダムに行ってみたくなりました。
    行けるかな、いつか。

  • 森美術館の売店で買った一冊。話題の脳科学者が東京芸大美術館の先生に聞く形式の美術館・博物館についてのお話。脳科学はあんまり関係なかった。中野信子さんは最近、東京芸大のこの先生の学科の大学院に入学したそうです。
    学芸員の仕事とか「コレクション」の意味とか書いてあります。ところでこの本を買った森美術館や近所の新国立美術館は自分ではコレクションや常設展がない「箱だけ」美術館なのだけどこの本の定義から言えば美術館としては半人前ですかね。学芸員とかはいるのだろうけど、企画展の準備専業なんだろうな。

  • 夏休みで時間取れず残念!斜め読み

    無知が故に起こる事象(ハーケンクロイツ、旭日旗)
    鳥獣戯画
    コレクションと断捨離についての考え方
    近代資本主義とミュージアム
    第4章にVTSの記述有り!
    72.73ページ興味深い
    作品を検索しながらもう一度読みたい

  • 目先の利益より先を見通す力を養う。それがミュージアムに触れる意義である。倫理や、正しい表現より、美しい振る舞いが大切になる。

  • めちゃ面白かったです。

    脳科学者の中野信子さんと、東京藝大大学美術館准教授の熊澤弘さんとの対談、という本になるかと思うのですが、体裁としては。

    熊澤さんの博物館とはなんぞや?の講義を、中野さんが生徒として受講する、みたいな感じ、だと思います。

    ただ、熊澤さんが「博物館とはこーゆーものなんですよ」と、中野さん(と、この本の読者)に教えるのとは別に、中野さんも「脳科学的見地から見ると、博物館って、コレコレこーゆーものだとも言えますよね」と、熊澤さん(と、この本の読者)にも教える、という体裁にもなっている。

    即ち、熊澤さん(主)→中野さん(従)という単純な構図になっているわけではなくて、熊澤さんと中野さんの対談が、エエ感じに相互補完、相互補助の関係になっているんですよね。

    で、お二人が、お互いに対して敬意を持っていることが、見事にお互いの口調から感じられる、という、なんとも読んでいて心地よい、温かな関係性を感じられる一冊なのです。こういうの、なんか、すっごく良いなあ~ってね、思いながらね、読んでおりました。

    ちなみに、自分は、ミュージアムには、いわゆる博物館、美術館、みたいな所には、ほとんど行ったことがないです。図書館と映画館には、ガンガン良く行くんですが。ちょっとジャンルが違いますよね笑。

    ですが、もうね、こういう良書を読むと、こらもう行かなきゃ博物館!とかね、ガンガン思う次第ですね。というわけで、ちょっと新型コロナウイルス禍が落ち着いてきたら、是非とも行くぜ博物館。美術館。間違いなく、そう思いました。そういう気持ちにさせてくれたこの本は、間違いなく僕にとっては、抜群の良書でございましたね。いやあ、エエ本だったなあ~。

  • 脳科学者と藝大美術館の先生による対談。ミュージアムの成り立ちとか、意義とか、絵の見方等の広い話題が、とても面白かった。

    脳が美をどう捉えるかを知る本かと思ってたけどそちらはやや薄め。でも無問題。

  • 前書きが一番楽しかったです。

    もう少し、脳科学者としての観点からアートを話してほしかったなと思った。

    美術館を脳に例えらメッセージは、読む前から割と想像できてしまう。

  • 美術館の意義や楽しみ方については参考になったが、脳科学との関係性は全くわからなかった。

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著者プロフィール

脳科学者、医学博士、認知科学者。1975年、東京都に生まれる。東京大学工学部卒業後、同大学院医学系研究科修了、脳神経医学博士号取得。フランス国立研究所ニューロスピンに博士研究員として勤務後、帰国。現在は、東日本国際大学教授として教鞭を執るほか、脳科学や心理学の知見を活かし、マスメディアにおいても社会現象や事件に対する解説やコメント活動を行っている。著書に『サイコパス』『不倫』(ともに文藝春秋)、『人は、なぜ他人を許せないのか?』(アスコム)、『脳の闇』(新潮社)などがある。

「2023年 『賢くしなやかに生きる脳の使い方100』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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