なぜネギ1本が1万円で売れるのか? (講談社+α新書)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 144
感想 : 12
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065214473

作品紹介・あらすじ

ミシュラン3つ星の名レストランをはじめ、グルメを驚嘆させるうまさのネギを作り、さらに1本1万円のネギを販売。
清水寅、身長158センチ。「初代葱師」を名乗る彼は、「ねぎびとカンパニー」という会社の経営者でもある。
20代で消費者金融会社の営業トップ、そこから30歳でまったく無縁だった農業の世界に飛び込み、多くの失敗を重ねながら、持ち前のバイタリティと探究心、そしてサラリーマン時代に培った経営感覚で、農の世界で大きな渦を巻き起こしている。
彼はどのようにして、農の世界を変えようとしているのか。風雲児による農業論と経営論。

感想・レビュー・書評

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  • それは、それだけの価値があるものだから
    です。

    年に数本しかつくれず、他のどのネギより
    立派で美味しく、甘いネギなので需要もあ
    るそうです。

    ただ、それだけがビジネスの目的ではなく
    真の狙いは「他のネギも高く売ることがで
    きる」点です。

    「ちょっと高いけれど、これだけ美味しい
    立派なネギを作っているのだから、他の普
    通のネギも美味しいに違いない」とお客様
    が思ってくれる、それが戦略です。

    さくらんぼやブドウのような果物と違って
    野菜、特にネギは品種や等級もなく、価格
    は単なる収穫量に左右されるだけです。

    そこにブランドされたものを作り上げれば
    それは注目を浴びるのは当然です。ビジネ
    スの王道です。

    そんな王道のヒントを学べる一冊です。

  • すごいオトコが、農家に参入してきたものだ。とにかく、日本1を目指すのだ。なかなか、農業に参入してくる新規就農者でも、日本1を目指して取り組む人はいない。いわゆる一番をとって、天下人になるということなのだ。てっぺんを取らなければ、世界は見えない。とにかく、集中力や細部にまで疑問を持って取り組んでいる。スピード感がある。まさに、農業は前途洋々たる未開拓分野がいくらでもあるのだ。山形天童市で、ネギを始めるのだが、最初から1ヘクタール。日本の農家の石橋を叩いて行き詰まる手法とは違う。私も、中国、雲南省にいて、農業会社のトップから言われたのが、トマトを作りたい。温室で4ヘクタールだという。その方が、早く結果が出るという。確かにそうだ。清水寅は、現在ネギを10ヘクタール近く作っている。
    この本を読みながら、気がついたことが多かった。目標はあくまでも日本一なのだ。そして、問題意識が鮮明であるがゆえに、当たり前とされている農家の壁を突破する。日本一になるには、どんなネギを作るのかが、実践の中で理解していく。「1町歩なんか不可能だ。最初は1反歩から始めるほうがいい」という周りの農家なんかに耳を貸さない。まぁ。よく働くのだ。1日18時間働くというから、それはモーレツ農家なのだ。そして、参入して400万円売り上げれば表彰されるという農協職員の言葉に驚き、市場で値段が決められて、自分で値段が決められず、安すぎることだった。どうやって食っていくのか?ということが鮮明なのだ。つまり、趣味の農業ではなく、ビジネスそして経営としてネギ農家を営むのだ。
    「物量は力なり」という言葉に、感激をして取り組む。ネギは水はけがいい土地で栽培する。2Lのサイズのネギの方が単価が高く、作業が楽である。虫や病気になるのは、硝酸態窒素が多いことで、それを減らせば、虫も減り、病気も減る。とにかく、現場観察力が芯をつかむ。そのためには、有機肥料を使う。彼は、有機の中で、アミノ酸やペプタイドを直接吸収するという研究成果もきちんと知っている。なぜなのか?という質問を常に持っている。例えば、ネギだけではダメなので、加工食品を作る。いわゆる農水省が推進した6次産業である。ネギのあらゆる加工食品を作るが、結果として、加工食品メーカーは味の素など巨大メーカーに太刀打ちできないことを知る。結局は、農水省の予算稼ぎの口実なのだ。結局は苗に向かうのは正解である。私も、農業に参入しようとした時に、自分で価格が決められる農業は苗事業しかないと思って、苗から入った。
    何と言っても、営業することが自分の得意とすることだということで、5Lのネギをモナリザとして1万円で売ろうとする日本一ネギ戦略は、素晴らしい。自分でブランドを作り上げている。いいなぁ。
    清水寅。日本一を目指して、どこまでも伸びて行くだろうね。何を疑問に思ったかということこの本には書いてあって、若き農業者、新規就農者は学ぶべきである。私も、随分教えられた。

  • 前半の自慢話コーナーでは読むの止めようかと思ったが、特に後半はサラリーマンにもダメになる内容だった。万人にできるかは疑問だが、、中盤の農業の専門的な話の箇所は読み飛ばした。

  • たかがネギだと思って読んだが、数字を用いて客観的に分析した経営をされている方で、非常に考え方が参考になった。

  • 農業のイロハも知らない状態でネギというニッチな市場に挑んでいった著者の実体験の話で、心構えやビジネスのやり方の参考になる内容でした。
    営業の基本は相手を知ること。
    ブランド品を1つ作ることで普通の商品の商品価値を上げることに成功した話はかなり参考になった。
    あとはいかに仕事を競技化して効率良く楽しめるような仕組みを考えて実行していくところも感心させられた。
    常に実験、検証、研究し続ける姿勢に見習おうと思わされた本でした。

  • ●ねぎびとカンパニー。のモナリザ。8本一万円の真の葱を上回る1本一万円。
    残りの2,000,000本の葱も少しでも高く得るため。
    ●嫁さんの実家、山形の天童市。
    ●抜根代が200,000円でも、行政から70,000円の補助が出るからかかる費用が130,000円。その果樹園を叩きに変えて1,500,000円の売り上げが立つなら使うべきじゃないですか。
    ●農協に出さないなら、まずは蕎麦屋。
    ●多くの病気には気温と湿度が関係している。湿気を防げば、病気はある程度まで予防できる。だから雑草対策が最大のテーマ。
    ●毎日2時間は見回りする。

  • 農業しか知らない人では、このようなアイデアは浮かんでこないなと思った。
    やっぱり異業種から学ぶことはたくさんあると思うし、なにか真剣に打ち込んできたからこそ、そこで学んだことを次のステージに生かせることがある。

    憧れの仕事が農業というのはまだまだ難しいが、こういう方が何人もいれば農業という職業が憧れの仕事になるのも遠くはないと思った。

  • 面白い。

    タイトルがキャッチー。

    文字通り泥臭くやっている著者が、ネギにかけた想いが伝わってくる。面白いのはこの時、想いであればビジネスはそこまでというのもあるのだが、ガンガンそこをビジネスにしていくのが見てみて気持ち良い。

    一章では消費者金融というところでやや引いてしまったが、100%努力であるところがやはり面白く、そのままネギでも結果を出せるというところにもっていったのがやはりすごいと思う。

    アンチテーゼではないが、では自分が出来る人は人の教育はどうだろうかというところで、やはり最初は色々あったように思うが(翌日にだれも来なかったくだり)、その人の適性を見てコミュニケーションしていくところはさすがといえる。

    あとはやはり、ネギ以外の副収入としてのトライアルも非常に面白い。成功している、例えばモナリザや真の葱のようなものはすごいので、それだけ見るととても失敗をしているようには見えないだろう。だがしかし、失敗もめちゃくちゃしているからこそ、いくつかの成功を得られている。これはもう著者の生き方ややり方がそのままといえるが、それくらいやらないと捉えるのでなく、どこならスイートスポットとして無理なく、それこそ楽しみながら出来るか。そこを探るということに力を入れたほうが良いと再確認出来る。

    ネギで10億の売上。ぜひ見てみたいと感じた。
    見かけたらネギも買ってみます。

  • 1本1万円のおいしいネギの話と思っていたら、そうではない。ビジネス、働きかた、農業のヒントがたくさん。

    データに基づいた農業を会社を設立してやつている。一生懸命やっても、自然災害には勝てない。それでも挑み続けていることに感服。

  • ・1本1万円のネギ:モナリザは、残りの200万本のネギを高く売るためのF1マシン。
    ・営業の肝は、相手の事情を知ること。
    ・細分化してでも日本一を目指す意味はある。
    ・プレゼントにできるネギ。
    ・雑草には勝てない。戦わなくてすむ方法を探すべき。
    ・市場のズレを見つけることが、ビジネスの肝。

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