攫い鬼 怪談飯屋古狸

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 96
感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065214992

作品紹介・あらすじ

怪談を聞かせるか怖い話に出た場所を訪れると無代になる妖しい飯屋「古狸」に通う檜物職人修業中の虎太。子供が迷子になった幽霊の母に頼まれ、その子供を捜すことに。そしてこれまた行方不明である「古狸」の主人・亀八についても調べるのだが.......。好評シリーズ、これにて完結!

感想・レビュー・書評

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  • 怪談話を披露するか、その話を裏付けるために現場に張り込むかすれば食事代が無料になる一膳飯屋〈古狸〉。
    店を営む四兄妹と常連客・治平、同心・千村らに良いようにあしらわれからかわれながらも事件の真相に迫って行く虎太。

    シリーズ第三作は怪談話としては軽い。第一話の子を亡くした母親の霊が子を探してくれとしつこく頼む話くらい。
    あとはピンチを救う不思議な犬の話や、陥れた商売仲間が霊となって現れるが本筋には関係なし。
    全体の本筋としては子供を拐われる事件と、調べる先々の話に出てくる伝説の怪盗・鎌鼬の七。

    怪談がメインではなかったからか、虎太が良いようにあしらわれ使い走りされるシーンが多かった。
    苦手なかぼちゃを恋するお悌に無理矢理食べさせられたり、智三郎の挑発に乗って危険人物に近付けさせられたり。
    お調子者ですぐに忘れてしまう虎太のキャラもあって、これまでの二作は悲壮感を感じなかったのだが、さすがに今回は虎太がただただ苛められているように感じて辟易した。
    虎太ももう少し賢く立ち回れば良いのにと思うが、それが虎太でありそれがこのシリーズなのだろう。

    これまではポンコツ虎太がポンコツなりに事件の真相に踏み込み、千村らの助けもあって見事悪人をやっつけたり事件を解決したりしていたので最後にスッキリ出来たのだが、今回は最後もモヤッとしたままで、虎太もやるじゃないかと思えるシーンがなかったのが残念。

    終盤いきなりシリーズとしての核心部分が明らかになったのは驚いた。これで完結ということらしい。
    しかし元々の設定、怪談好きな父親を探すために怪談話を集めているという四兄妹のアイデアは一体何だったのか。
    虎太の受難はまだ続くのは輪渡さんのパターンだから致し方ないとしても。

    怪談話や猫や古狸メンバーのために度々仕事を休んで、親方に何も言われない虎太が心配。本当に一人前になれるのかしら。
    完結編らしくスカッとした結末を望んだが、最後までモヤモヤして、輪渡さん作品にしては残念な読後感だった。
    特にお悌ちゃんは意地悪なようで実は…みたいなところがなく、本当に意地悪なまま終わってしまった。虎太よ、お悌のどこが魅力的だったの?

    ※シリーズ作品レビュー
    第一作「怪談飯屋古狸」
    https://booklog.jp/users/fuku2828/archives/1/4065173302
    第二作「祟り神」
    https://booklog.jp/users/fuku2828/archives/1/B084VNVX4Y
    第三作 本作

  • シリーズ第三弾にして、完結編。

    怪談を聞かせるか怖い話に出た場所を訪れると無代になる飯屋「古狸」。
    主人公の虎太は、怖がりなのに「古狸」の看板娘・お悌を目当てにせっせと「古狸」に通い、皆に丸め込まれて心霊スポットに行かされる羽目になり、結果的に事件解決に貢献(?)する、というパターンです。
    今回も“行方不明の子供を探してほしい”と懇願する幽霊の出るスポットに行かされる話から、子どもの連続誘拐事件や、伝説の(?)盗人“鎌鼬の七”が絡んできて、いつものように虎太が大変な目にあいつつ、同心の千村さんの思うツボ的な働きをします。
    そして、飯屋「古狸」の怪談話を集めるもともとの目的である、四兄弟の父・亀八が見つかったはいいですが意外な正体が明らかになったりと、何だか一筋縄ではいかないファミリーですよね。「古狸」でまともなのはお母さんのお孝くらいで、親父は食えないし、四兄弟は性悪だし、とくに今回のお悌は虎太に苦手なかぼちゃばかりを食べさせるという意地悪っぷりで、“虎太は「古狸」に食べに行かなきゃいいのに・・てか、もうお悌ちゃんはやめておけ”と思いながら読みました。他の方のレビューでも“古狸四姉弟”の虎太に対する仕打ちに若干引いているようなので、私も“ひたすら虎太が不憫”という事でまとめたいと思います。

  • なんだかあっさり。
    やはりお悌ちゃん苦手。

  • 怪談飯屋「古狸」シリーズ完結編。
    この飯屋が実際にあった怪談を聞かせてくれたら一食タダにするわけは、一家の失踪した父親・亀八を探すためであった。怖がりなのにどういうわけか幽霊に遭ってしまう虎太は、生来のお人好しと惚れた娘にいい格好をしたいがために、またもや怪談の場所に出かけて行くのだが‥
    今回は、お悌ちゃんに苦手なカボチャをずっと食べさせられるのが可哀想すぎた。
    怪談を探っていたら人間の悪事を暴くことになるという感じで、初期の頃よりは幽霊的な怖さはあまりなし。でも亀八の失踪の謎も判明したし大団円でよかった。

  • シリーズ全て読了。
    楽しかった。

  • うっかり順番を飛ばして読んでしまった(・・;)
    読んでて困る部分はなかったけど…

    行方不明の子供を探す母親の幽霊のために子供を探す虎太。
    また、誘拐されかけた孫を助けた不思議な犬の話。
    一作目で未解決だった神隠しの長屋で消えた女の子。
    一見別々の話が一つにつながっていき、思わぬ結末を迎える。

    虎太の恋は実るのか、かなり心配になってしまう…
    今回は努力が報われてる感じしなかったなー

  • おもしろかった。面白かったんだけど、どんどん怪談からミステリーになってく笑
    虎太のすっとぼけ具合がまたおもしろいー
    ただ、あまり兄弟は好きになれずにおわったなー残念

  • いい感じ。大好きな江戸があるね。少し追いかけてみようと思いました。このシリーズはいけそうな気がします。怪談飯屋古狸。

  • 虎太が自分に馬鹿正直すぎる呆れたキャラとはいえ、さすがに気の毒になってきた。せめて茄子は食べさせてあげてほしい。盗賊の正体にも驚いたが、千村がそんなに関わっていたとは。まだシリーズ続けられそうなのに完結なの?残念。

  • 完結編。
    あいかわらず不憫な虎太だった。
    いやがらせに虎太の嫌いなものだけを出し続ける古狸のみんなってどうなの?特にお悌の性格の悪さに磨きがかかったような。
    亀八の居所はびっくりだった。
    鎌鼬の七の件で千村があんなことを言うから何かあるとは思ったけど、亀八と関係があるとは思わなかったし。
    帰ってきて完結でよかったと思いきや、虎太の試練はまだまだ続くみたいね。
    もっといい子を好きになればいいのにー。
    亀八は、また出奔するようだし、虎太、がんばれ。

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著者プロフィール

1972年、東京都生まれ。明治大学卒業。2008年に『掘割で笑う女 浪人左門あやかし指南』で第38回メフィスト賞を受賞し、デビュー。怪談と絡めた時代ミステリーを独特のユーモアを交えて描く。『古道具屋 皆塵堂』シリーズに続いて『溝猫長屋 祠之怪』シリーズも人気に。他の著書に『ばけたま長屋』『悪霊じいちゃん風雲録』などがある。

「2023年 『攫い鬼 怪談飯屋古狸』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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