コンタミ 科学汚染 (講談社文庫)

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  • 講談社 (2020年11月13日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (384ページ) / ISBN・EAN: 9784065215562

作品紹介・あらすじ

【注意】この本には、「信じたくない」真実が含まれています。東京大学大学院出身の著者が放つ、私たちの身近に蔓延る「汚染された科学」に迫るサイエンス・サスペンス! あなたは真実を知る覚悟はありますか?
「ニセ科学」――それは、根拠のないでたらめな科学用語をちりばめた、科学を装う「まがいもの」。大学院生の圭は、新進気鋭の生物学者・宇賀神と共に、ニセ科学批判の急先鋒である蓮見教授の元を訪ねる。そこで告げられたのは、宇賀神のライバルであり、想い人でもあった女性研究者の美冬に関する信じ難い事実だった。神秘の深海パワーで飲むだけでがんが治る、「万能深海酵母群」。「VEDY」と名付けられたニセ科学商品の開発に手を貸し、行方をくらませたのだ。
ニセ科学を扱うことは、研究者にとって「死」に等しい。なぜ彼女は悪魔の研究に手を染めたのか? 圭は宇賀神に命じられ、美冬の消息を追うが……。 すべての真相が明らかになったとき、「理性」と「感情」のジレンマが、哀しい現実を突きつける――。
新田次郎文学賞受賞作『月まで三キロ』の著者が放つ、われわれの身近に蔓延する「汚染された科学」に迫るサイエンス・サスペンスミステリー。

みんなの感想まとめ

科学と人間ドラマが交錯するこの物語は、疑似科学の影に潜む真実を追い求めるサスペンスです。主人公の圭は、優秀な研究者である美冬の行方を追い、彼女が関与した「万能深海酵母群」というニセ科学商品の謎に迫りま...

感想・レビュー・書評

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  • コンタミとは(コンタミネーション、Contamination)、汚染。
    特に科学実験等の場における不純物や異物の混入を指す。

    ということで、これはこの物語全体に流れるテーマです。
    謎解きミステリーであり、人間ドラマであり、コメディであり、重いテーマあり、もちろん科学的な要素もあり、盛りだくさんだけど読みやすい!
    科学エンタメ小説(違ってたらごめんなさい)という感じで、とても楽しめました。

    途中、ときどき挟まる「ある患者のブログ」が切ない。
    もし重病にかかった人が周りにいたら(今のところいないです)、真剣にその人の気持ちに寄り添ってあげたいなと思います。

  • 疑似科学批判派の蓮見教授から頼まれた、研究者の桜井美冬探し。
    しかし、同期の准教授・宇賀神も、連絡が取れなくなっていて……。

    美冬と〈VEDY〉の謎を追う物語。

    超優秀な研究者だが、横暴な准教授の宇賀神と、就職のためと割り切っている、雑用係の圭。
    癖が強めの探偵コンビ。

    水素水に、ホメオパシーのレメディ。
    問題になった商品たちを思い出す。

    弱い立場につけこんで食い物にしようとする、疑似科学の問題がテーマ。

    一方、愚かな人々を啓蒙してやろうという批判の仕方の問題点や、心のよりどころを求めてしまう人間の性にも触れられている。

  • 今まで読んだものがシリアスなものばかりだったのであれっと思いましたが、面白く読めました。それでもやっぱり前に読んだ本の雰囲気の方が好きです。

  • こういう本、すき。
    疑似科学と戦う体で読者にやさしく、科学について教えてくれている、気がする。

  •  コンタミが物語の核と思い込んでいたが、そういう意味付けのタイトルではなかった。疑似科学批判批判派なる集団も存在することなど、普段意識しないトピックに自分はどちら寄りなのか考えながら読んだ。大筋のストーリーがコンパクトだったので、もう少し起伏に富んだ展開でも良かったように思う。各章の冒頭に挟まれる手記を書いた人物はもちろん、そんな優しい結論に落ち着くのかとまるで予想外だった。苦手と敬遠してきた科学の世界に、どんどん興味が湧いてきている。

  • なんやいうたら血液型で話題振ってくるヤツが嫌い、朝から星占いやってる民放テレビが嫌い、黄色い財布もってるヤツなんか敬遠する。でも乳歯が抜けたら「ネズミの歯になぁれ」と放り投げるし、流れ星見たら「金くれ金くれ金くれ」と唱えるし、トイレとか耳の裏とか綺麗にしてたら人生エエことが起こりそうな気がする…。

    エセ科学で年寄りや無学なヤツ相手に暴利むさぼる連中の考え方はキラいやけど、かといって科学的論理的じゃないからと冷たく切って捨てる言動のヤツとも仲良くしたくない(スポック氏を除く)

    そういう矛盾した一面を持っている人々は、この本を読んで楽しめると思う。ただ主人公格の登場人物があまり魅力的じゃないねんなぁ、科学知性の塊的キャラのはずが宇賀神は賢そうに見えないし、町村に至ってはワトソン役とコメディリリーフ役を必死でこなしている姿が、しんどどそうなだけで「それやったらコンビニでバイトした方がラクやで」って言いたくなる。

    タイトルにも無理感があるし、全体的にアラっぽい。今の伊代原さんなら、もう少しなんとかするんだろうけども、まだ成長途上って感じの作品。

  • 博士号を取ることも、論文が学術誌(サイト)に掲載されることも、学会で発表することも、その気になればどうにでもなるってことがよくわかる。コロナ禍で散々目にしましたが、素人がその信頼性を判断するのは難しいのでそれっぽい事触れを鵜呑みにしちゃダメですね。

  • 擬似科学に手を染め失踪した桜井美冬を追う宇賀神准教授と圭…明らかになる真相…詐欺まがいの擬似科学を売り物にするVEDY研究所の鍵山と宇賀神准教授の論争が良かったです。夢と詐欺の境界はどこなのか考えさせられました。

  • 似非科学と新興宗教は子供の頃から教育が必要。

  • まあ別にという感じでした

  • こちらも面白くて、帰省中に一気読みした。科学とニセ科学の描き方がこれ以上なく上手に描かれていてプロットも良かった。ただ、宇賀神のスタンスと町村の日和見の酷さは、小説の面白さを減じていて勿体ない。

  • 悪意で汚されたニセ科学商品。科学は人間をどこまで救えるのか。衝撃の理知的サスペンス。

  • 興味深くスイスイ読みました。
    近くの農園では子どもたちと一緒に「とある菌」撒いてますね。
    ちょっとフクザツな笑顔になりそう。

  • 病気でも環境汚染てもなんにでも万能効果がある深海酵母を扱う会社とその創業社長。似非科学を嫌悪していた優秀な研究者がその企業に関わり行方不明になり、その行方を追うなかで明らかになる過去の事実。科学者のもとめる事実と、民間療法にすがるしかない立場の人間、そこに付け入る悪意ある似非科学商法。科学的な正しさと主観的な安心のギャップ、人によって求めるものが違う中で、正論を押し付ける科学者の傲慢とか、色々と組み込まれている。この分野の対立に関与したことがないと、なにをそんなに騒ぐのかがわからないみたいな話かも。個人的には、某大学の先生とか、テラヘルツ系のなんとかとかにリンクしながら楽しく読めました。「科学というのは、学べば学ぶほど、人を謙虚にする。研究を進めるたびに、自然の精緻さと複雑さを思い知り、その深淵のほんの入り口しか覗いてないことを思い知る」、その通りだ。

  • 科学はこの世のすべての人間に等しく同じものを見せる、と言う宇賀神。
    どれだけ教育を受けようとも、
    ほとんどの人間は、自分の見たいものしか見ず、
    信じたいことしか信じないだろう。
    そうでもしなければ、この世はあまりに生きづらい、という圭。
    ある意味、ニセ科学、擬似科学というものは、
    人間の宿命が生み出すものなのかもしれない。
    宇賀神と圭のコンビ、続編が読みたいです。

  • ニセ科学のまやかしに挑むという切り口は、好みで期待して読みました。

  • タイトルを見て、あーあれね、とピンと来る人は生命科学に知見のある方でしょう。
    実験の話ではなく、世の中に蔓延る”疑似科学”のメタファーとして使っているようです。
    ミステリータッチの謎解きといえば謎解き風で、主人公の二人のうち大学院生と准教授もキャラが立っているし、准教授の心のライバルであり、憧れ・理想の女性であるヒロインも、設定や背景が深堀されており、生命科学系の研究に関係している方でも充分リアリティを感じるのではないでしょうか。
    疑似科学やウソ・デマにたいして科学者サイドが目くじら立てても、手を変え品を変え、世間に絶えず湧き出てくる理由が人の不安や善意につけこんで商売する輩がいるのと、それを信じたいという感情を持つ人がいるから、というのは本当にそう思います。まあ、個人的にはマスコミも悪いと思うが、マスコミの科学リテラシーの低さもそうだし、世間も分かりやすく単純さなものを特に好む性質があるかもしれません。
    科学は100%や0%を言い切ることはしないため、ズバリ言わないところに歯がゆさを感じて、結果騙されていることを知らない、逆に信じていることにケチをつけられて怒る人も多いのでしょう。主人公の大学院生に合コンで仲良くなった女子大生が言っていた台詞「あたしは楽しいかどうかが大事なの!せっかく人が楽しんでいるのに、疑似科学だのインチキだの、と言われるのは、気分が悪いの。(中略)好きでやっていることだから、もしそれに意味なんかなかったとして、誰かのせいにしないんだから」が、”私は理系じゃないから”という人の気持ちがよく表れていると思いました。
    本書では、個人だけではなく、怪しいVEDYと名付けられた深海酵母を川に投げ込んで水質を浄化する、という運動がむしろ環境破壊を促進しているというネタもあり、実害が出てしまうケースは個人の問題で収まらないだけでなく、人の善意に付け込んで公共の被害を出すという、すぐには解決できないであろう話もあり考えさせられました。

    が、上記のVEDY関係の会社が制裁されることもなく、挿話的に挟み込まれた、主人公のラボに所属している4年生の女子学生が、なんどもコンタミ事件を起こして、ラボ中のシャーレをダメにしてしまうというネタも、准教授の雑用係である大学院生の主人公がなさけなく原状復帰して終わるだけで、解決することもなく、なんか伏線が回収しきれずに終わってしまった、というのが読直後の感想でした。

    その他、主人公のラボにテレビ取材が来て、学生さんが「終電や徹夜は当たり前です」みたいなセリフも、”ブラック・ラボ”的だしどうなんだと。実際あるのかもしれないど、企業のラボでは残業規制が厳しく許されませんよ、本当に、と突っ込みたくなるところも、ままあり★は3つか3.5くらいかな。

  • 「ニセ科学への道は善意で舗装されている」と言われているように、最初は悪意のある人がつくったものでも、それを善と信じる人々が熱狂して広めてしまう。

    善意や正義を盾にして人を攻撃する人も、この理論によるもの。

  • ニセ科学と呼ばれるものは世の中に溢れているし、自分が信じているものもあるだろう。科学的根拠に基づいたものをと思っても、結局は自分が信じたいものを信じている。
    被災者の一縷の望みをも食い物にするような手法は許せないが、人は昔から非科学的なものに拠り所を求めてきた。

    「科学は人のよりどころはならない、科学は人を幸せにするための営みではないのだから。ただ、科学はこの世のすべての人間に等しく同じものを見せる」

    科学者であっても、真摯に真実と向き合うのは難しいかもしれない。感情や解釈が介在して、導き出される結論にも色が付く。ではどのように向き合えばいいのだろう。一般の人々にしたら情報を選別するだけで一苦労だ。

  • 人は感情の生き物で信じたいものを選ぶ。たとえそれがニセモノでも。それは科学的知識をもつ人々にはとてもはがゆく映るだろうな…。
    「科学は人に優しくない、科学はよりよい生き方を教えてくれたりはしない。科学はただ世界の仕組みを知りたいという欲求に応えるのみでそれ以上でもそれ以下でもない」
    何においてもどう使うかが重要なのだ、結局。

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著者プロフィール

1972年、大阪府生まれ。神戸大学理学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科で地球惑星科学を専攻し、博士課程修了。2010年、『お台場アイランドベイビー』で第30回横溝正史ミステリ大賞を受賞し、デビュー。19年、『月まで三キロ』で第38回新田次郎文学賞を受賞。20年刊の『八月の銀の雪』が第164回直木三十五賞候補、第34回山本周五郎賞候補となり、2021年本屋大賞で6位に入賞する。近著に『オオルリ流星群』がある。

「2023年 『東大に名探偵はいない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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