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Amazon.co.jp ・本 (346ページ) / ISBN・EAN: 9784065215647
作品紹介・あらすじ
東南アジアでの巨大リゾート開発推進のため日本のスーパーゼネコンから現地役員として「島」に乗り込んでいた青木は、資金として投入された莫大な裏金の一部を着服して会社を離れ、計画が頓挫した後も島で隠遁生活を送っていた。現地で飼い殺しにされている元同僚の西村から、カジノを中心とする新たな開発計画の存在を聞いた青木は、その利権に食い込むため動き出す。
一方で青木は、島の男の二番目の妻になっていた日本人の女ミチコを「飼って」いた……。
金、酒、官能、暴力、逆転に次ぐ逆転……すべてが“過剰”な物語。
みんなの感想まとめ
人間の思い込みや過信が引き起こす悲劇を描いた物語で、主人公はかつての成功から転落し、再びチャンスを掴もうと奮闘します。東南アジアのリゾート開発を舞台に、彼の人生の波乱と、精神的に病んだ女性との奇妙な関...
感想・レビュー・書評
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自分の立ち位置を客観的に捉えることは本当に難しい。なぜ人は、自分は他人より賢く、強い存在だと思い込んでしまうのだろう。その思い込みが判断を狂わせ、やがて取り返しのつかない悲劇を招く。高く高く自分を信じた者ほど、落ちるときの速度も衝撃も桁違いだ。
終盤の展開にはやや強引さを感じたものの、中盤までは圧倒的な没入感があり、読み応えは十分だった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
過去の成功体験から自分の力量を誤って、最後には破滅する男の話。
もはやこの展開は、赤松利市の独壇場だ。
だって、キャラクターの立場・職種は違えど、本人の経験によるものだから重みが違う。
今回は、東南アジアのリゾートの島の村の一角で残りの人生を過ごしている男の話。
青木はかつてスーパーゼネコンの出世競争の中にいた。
その国がまだ独裁政権だったとき、リゾート地の巨大開発案件を担当し、次の出世に手をかけていたが、独裁政権が崩壊したと同時に巨額の負債を抱えることになった。
出世街道から外れた青木は冷や飯を食わされたのち、原発清掃作業の所長時代に手に入れた一億円の裏金を元手に日本を脱出し、かつて失敗したこの島の村で暮らしている。
そんな青木には秘密がある。
この家では、精神を病んだ女を一人飼っている。
既に人生が終わったはずの青木に、再び機会が訪れる。
それは、一兆円を超える新たなリゾート計画だった。
この計画に乗った青木の人生の歯車が、再び狂いだす。
前半までの勢いがすごくよかった。
落後した男の怒涛の半生が語られ、同じく怒涛の計画がいきなり落ちてきて、これに縋りつくという展開。
その半面では精神を病んだ女を檻で飼うという男や、他にも普通じゃない男たちが酒池肉林を繰り広げるありさま。
島の風土を練り込んだストーリーは面白く、どんどん先へとページをめくった。
そのせいで、後半は失速した感が否めない。
前半での大風呂敷を広げ過ぎて、無理やりラストをまとめたという感想が残った。
大きいストーリーを広げると、畳み方が難しい。
著者の同じストーリー展開の「鯖」のほうが、大風呂敷を広げない分、話がコンパクトで読後感は"鯖"のほうがよかった。 -
カッコいいヒーローが存在しない赤松作品。
負け組ビジネスマンが奮闘、企み、騙し、
南の島でのおぞましい日常。
最高。 -
ぎらぎらとした南の島で、男と女と獣、血と体液と金と神と悪魔と欲望。ぐるぐるぐちゃぐちゃ絡みあって終始あつさを感じる。はじめから金脈にむかう船は泥舟なんだろうなと感じて読み進めるのがつらくなるけれど読まずにいられなかった。アオキも気づいていて船に乗らずにいられなかったのかも。ああ面白かったです!!!
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27これまでに作風とは違った国家間や大規模ゼネコンのしがらみなど、背景を感じさせる。30年という月日は大きな差になるのか、それとも進歩しない主人公の勘違いか。深い一作でした。
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02月-11。3.5点。
東南アジアのある国で、カジノ案件が持ち上がる。
元商社社員の主人公、利権を手に入れようと奔走。
この作家らしい、ハチャメチャなストーリー。上手い。
ラストの一気怒濤の攻防が面白い。 -
かなりアブノーマルで過激な話から始まり、ちょっとしんどいかなぁと思うあたりで本題が見えて来て、そこからはググっと惹きつけられ俄然面白くなって、気付けば最後まで読み切ってしまうという赤松ワールドの真骨頂な作品でした。
今回の話はバリ島が舞台で、マフィアや国家プロジェクトという大きな話でハラハラドキドキがあり、ダイナミックな構図に対する人間の小ささというコントラストが良かったです。様々なテーマが盛り込まれていて面白かったです。(旦那さんが赤坂のデベロッパーに勤めているので大手ゼネコンもすぐにピンと来たし、とてもよく知る業界で私は読みやすかったというのもあります)
赤松さんの作品の特徴は普通の作家さんが描きたがらないリアルな感情と欲望を描くところです。悪意とか殺意とか、狡くて汚くて昏い、誰にも見せたくない感情をメインにして反対側の感情を浮き立たせる作家さんはあまりいないと思います。「それが人間てもんだろ?」「どんなだって必死に生きりゃあいいんだよ」と言っている気がします。
綺麗事がないから色んなことが伝わってくるし、心に響きます。とは言え、過激すぎるのは読めないのですが(苦笑)
ラストが良かったです。どう終わらせるのかと思いながら読んでいて、その終わり方にやられました。最後の一文が全てって感じで、すごく良かった。ジーンとしました。
それから、全体のそれぞれの内容に充てられるボリューム配分がうまい感じました。ダレさせず最後まで一気に読ませてくれます。
著者プロフィール
赤松利市の作品
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