- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065216088
作品紹介・あらすじ
ロス市警ハリウッド署深夜勤務担当女性刑事レネイ・バラードが、ハリー・ボッシュと共演。深夜勤務からハリウッド署に戻ってきたバラードは、古い事件ファイルを見ず知らずの男が漁っていたのに気づく。男はロス市警を引退したハリー・ボッシュだった。ハリウッド分署管内で発生した古い未解決事件のファイルを調べていたのだった。ボッシュを追いだしたバラードだったが、その事件に興味を示す。十五才の家出少女がハリウッドの路地で殺害された事件だった。バラードはボッシュと協力して、殺人事件の真相解明に向かう。amazon video 人気ドラマBOSH原作小説最新刊。
感想・レビュー・書評
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マイクル・コナリー『素晴らしき世界(下)』講談社文庫。
マイクル・コナリーの32作目の長編にして、ボッシュ・シリーズの21作目。さらには『レイトショー』に登場したロス市警ハリウッド署深夜勤務担当女性刑事レネイ・バラードとハリー・ボッシュの共演作となっており、ボッシュ・シリーズ前作の『汚名』からの続きが描かれる。
下巻では、我等がボッシュが主役の座を奪回。スリリングで結末まで予断を許さぬ展開は、なかなか面白い。さすがは現代最高峰のハードボイルドと賞賛されるシリーズのことだけのことはある。
ボッシュとバラードによる未解決事件の捜査は続き、ボッシュに最大の危機が訪れる。ボッシュの危機を救うバラード。そして、ボッシュは15歳の少女デイジー・クレイトン殺害の未解決事件に自ら決着をつけるが、悲しい事実がボッシュを待ち受ける。
扶桑社ミステリーの『ナイトホークス』以来、読み続けているが、まさかハリー・ボッシュ・シリーズがここまで長く続くとは思わなかった。次作もボッシュとバラードの共演で、さらにはミッキー・ハラーも登場するようだ。
本体価格900円
★★★★★ -
そういうことか~。ボッシュと「レイトショー」のバラードが一時的に「共演」するのかと思っていたら、どうやら合流してボッシュシリーズは新展開を迎えるようだ。こういう所もこのシリーズの魅力の一つなんだと思う。探偵自身はほとんど変化せず、颯爽と事件を解決していくパターンとは違って、ボッシュは事件によって傷つき、身辺も変わり続け、年相応の弱さを見せるようになってきている。そこが若い頃のタフなカッコ良さとは違った味わいをかもし出していると思った。
とうとう警察組織を離れたボッシュ。ラストでバラードに告げているように、より制約のない形で悪と対峙していくことになるんだろう。それでも、「悪には悪で対抗する」ことは、迷い苦悩しながらでも拒んでいく姿勢は変わらないはずだ。そこがボッシュの真骨頂なんだから。 -
怒涛の結末へ。
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『レイトショー』のレネイ・バラード・シリーズと、『汚名』のハリー・ボッシュ・シリーズが、どちらもそれぞれの前作の続編という形で合流する。これ以上ない読者サービス。しかも素晴らしいリーダビリティをどちらも前作から受け継いだままのリズムで。離れ業。
コナリーは、そもそもシリーズ主人公たちを一つの事件で引き合わせて、話を展開させることが上手い。新主人公をすぐ次のボッシュ・シリーズで合流させ、主流に持ってゆくというサービス精神に富んだ作家なのである。
C・イーストウッド主演監督で映画化された『わが心臓の痛み』のテリー・マッケイレブも、マシュー・マコノヒーを起用した『リンカーン弁護士』のミッキー・ハーランも、『ザ・ポエット』の主人公である新聞記者ジャック・マカボイも、いずれもハリー・ボッシュのシリーズに合流する。初主演作では独立しているものの、作者はより彼らの活かそうと、使い捨てにはせずに、再登場させてシリーズを互いに合流させてきた。
最新デビューを果たした魅力的なナイトシフトの刑事レネイ・バラードは、すぐに直後の作品である本書にてボッシュとのシリーズ合流を果たした。バラードとボッシュが引きずってきた直前のストーリーとシームレスに繋がるいくつもの事件に向かい合う形で。
ボッシュの前作『汚名』では、リンカーン弁護士が契約する探偵シスコの手を借りている。キャラの強い者はサブであれ流用されるのがコナリーの世界なのだ。そしてそれは見事に活きている。
本作では、ボッシュとバラードの世界が交互に描かれて、複数の事件を互いの協力のもとどれも解決に導いてゆくものなので、見た目にはオムニパス・ミステリーのように見える。一時期、流行った映画『パルプ・フィクション』『バベル』『クラッシュ』などの形式みたいに。複雑に関係し合う短編作品集みたいに。それでいて大きな激流の中で、互いに岩にしがみつき合う孤独な二つの魂みたいに。
ストーリーテリングの上手さは、相変わらず。最強のページターナーぶりを誇ったまま。時間を前に押しやる推進力と、そこに野太く息づくヒーロー&ヒロインの個性の強さと、信頼すべき彼らの尊厳と力強さと、そして優しさを読者へと確実に受け渡して見せる。これまた、職人技、ここに極まれり、としか言いようのない一作なのである。 -
ボッシュとバラードがコンビを組んだ第一作。ボッシュが調べている未解決事件、前作『汚名』から続く捜査にバラードが加わり二人で動き出す。過去の事件、過去の人物を追っていく中で二人の理解も深まっていく。社会の裏、そこを狙う犯罪者とボッシュたちとの対決。そしてラストが良かった。二人の思いがとてもいい。長く続いてるシリーズだけれどまだまだこのシリーズは面白くなっていきそう。
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ボッシュと女性刑事バラードがバディに! 孤高のふたりがLA未解決事件の謎に挑む。
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コナリーらしくテンポ良く読めた。バラードがボッシュなみに強引に単独プレーに走る感じ、今後二人はうまくいくのかなー。ボッシュを続けるのはこうするしかないか。
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ドラマBOSCHと連動した前作を引き継ぎ、さらに「レイトショー」で初登場した自然派女性夜勤刑事バラードとBOSCHがタッグを組むと言う夢のような作品。
ドラマでもそうだったけどエリザベス・クレイトンはBOSCHにとって特別な存在だったのだな。そしてドラマとは少し異なる結末に持っていくのかと思ってドキドキさせるあたりが本当に心憎い。
還暦を過ぎたからなのか、バラードに優しすぎるBOSCHがちょっと心配だ。
相変わらずの4.2
著者プロフィール
マイクル・コナリーの作品





