生贄探し 暴走する脳 (講談社+α新書)

  • 講談社
3.13
  • (13)
  • (29)
  • (65)
  • (27)
  • (5)
本棚登録 : 677
感想 : 58
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065218327

作品紹介・あらすじ

なぜ人は、他人の目が怖いのか?
なぜ、誰かが得すると自分は損した気になるのか?
なぜ、人と比べないと幸せを感じないのか?
GoToトラベルでは、本来それが経済をよくするためだとしても、「あの人だけ、いい思いをするなんて許せない!」とモヤっとした人は少なくありませんでした。
ヒトは放っておけば生贄を探してしまう生き物なのです。パンデミックが私たちにつきつけたのは、人間の心の闇でした。社会不安から噴出した正義中毒。脳は暴走し、ネットだけでなく、コロナ禍で奮闘する医療者までも生贄探しの対象になったのを目の当たりにした日本人。
脳科学者の中野信子さんと漫画家・随筆家で世界各国に暮らし異文化を経験したヤマザキマリさんが、そうした経験を無駄にせず、知恵に変えるために、ヒトの本質を鋭く分析。心豊かに生きる方法が得られます。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 私はこのお二方の愛読者で、ヤマザキマリさん29冊
    中野信子さん17冊すでに読みました。
    共著はこれが二冊目です。

    魔女狩り、ネロ、フェデリーコ二世、ハドリアヌスなどについても書かれていますが、結局彼女たちが言いたいのは
    誹謗中傷の分析と対策ではないでしょうか。

    こういう形で活躍している彼女たちにも、
    ネットの誹謗中傷は襲いかかります。
    繊細な人は自殺に追い込まれました。

    私だったら相当ダメージを受けると思うので、
    「自分はここまで」と線を引いています。
    しかしヤマザキさんと中野さんはタッグを組んで
    立ち上がった、そういう本だと思いました。

    中野さん「明日の見えない、不安な時代に、「空気」という群衆のあいまいな意見に振り回されず、自分自身の選んだ道を正解にできる力強さを、多くの人が持つことができるよう願っています」

    ヤマザキさん「正義というのは、他者の苦しみに対し、無意識に手を差し伸べてあげられてこそ、本当の意味を成すものなのではないかということを感じたのでした。
    自分が信じている信念に従わない他者を戒めることは、それがたとえ自分にとって、どんなに理想的な宗教的理念や政治思想が根拠になっていようと、所詮は同調への強引な圧力というものでしかなく、正義とは言えません」

  • 本書で書き留めておきたい言葉

    「危機的な状況がおこれば、はみ出し者は生贄に捧げられてしまう、ヒトはそういうことをしてしまう生き物だから、知性でそれを押しとどめる必要がある」

    「人間にはさまざまな解釈やものごとのとらえ方があるのだということを認めさえすれば、今後生きていくうえで全てを受け入れ、毅然と前に進んでいくことができるはず」

    「地球という惑星の、大気圏の中で生きているという意味では、どんな動物たちもみな同じ仲間。群れとして生きるうえでの安心の基準はそれだけで十分」

  • ヤマザキマリさんも中野信子さんも、好きです。
    本当にそう。

    魔女裁判、皇帝ネロ…
    その時代から、人間の嫉妬による残虐性、間違った正義、毒親などなど…
    とても興味深かったです。

  • #生贄探し #中野信子 #ヤマザキマリ #講談社α文庫

    こわ〜いタイトルですが日本社会を客観的に見るのに良い本でした。正義と名の下に攻撃的になるのは心理学的にも歴史的にも事実なのですね。こわいこわい。自分もそうならないようにしないと!!と蛍光ペンでいっぱい線を引きたくなる一冊でした。

  • 話題作だったので読んでみました。
    著者ひとりひとりの章である1章と5章は面白く読みましたが、間の2.3.4章の対談部分は、知っている、分かっている、を前提とした読者を意識しない二人だけの会話が続くので分かりづらかったです。話もあちこち飛ぶしね。
    古代ローマ史についてある程度の知識がないと楽しさ半減かも。今の世の中にはプチネロがあふれかえっている、と言われてもネロがどんな人か知らなければ前後の文脈で想像しながら理解するしかないし、フェデリーコ2世も頻繁に登場するけど、私には元々のイメージがないから二人が盛り上がっていても置いて行かれてしまったよ・・・

    ただ、中世ヨーロッパの魔女狩りを例に、「正義」の名のもとに他者にどこまでも残酷に制裁を下す現代のSNS上の攻撃(→人類進歩ナシ)や、日本特有の「出る杭は打たれる文化」、ある意味宗教よりも厳しく縛られている日本の「世間体感」の話などは面白かったです。
    また、努力を誉めるのではなく、頭がいい、といった能力について褒められると自信はかえって失われてしまったり、噓をつくことがわかっているというのも印象的。

    最後にヤマザキさんが言っていた、想像力の欠如がいつでも人々を野蛮化させ、人間としての全体的な社会組織そのものの崩壊も招き入れかねない、地球という惑星とうまく折り合いをつけて生きていきたいのなら、そういった危機感をもっと日頃から感じるべき、という言葉はしっかり胸に刻みました。
    多様性を認める世の中、ぜんぜんできてないねーと暗い気持ちになってしまいました。

  • 「異質者を排除する集団バイアス」に自覚的であることの大切さが、ずしりと胸に響きました。

    そして「正義」の制裁を加えることに喜びを感じる、人の心のあり方について、魔女狩りを例にとりあげられていましたが、それは今でも当てはまることにはっとしました。

    自分が排除する側にもされる側にもならないように、どのように振る舞っていくのがよいのかを考える、よい機会になりました。

  • 正義を正義と思い込んでいる人ほど厄介である。
    というのを他の本でも読んだが、
    この本でも同じような事が書いてあって
    やはりそうなのか、と思った。

    人の不幸を嬉しいと思うのは自分が損したと
    感じるから。というのは初めて知った。

    日本のや村八分の文化が
    他の国がそうではないと知り
    日本はすごく生きづらい国なんだなと思う。

    嫌われないように、ひとりぼっちにならないように。
    自分の学生生活を振り返ると
    本当にしんどくて、苦しかったなと思った。



  • 対談部分より、お二人がそれぞれ執筆した箇所のほうが読みごたえがありました。
    この本から初めて知ったことはトム・ハンクスやミシェル・オバマがそうだという「インポスター症候群」という自分を否定的に見てしまうという病態。
    そして、中野先生が解説していた「魔女狩り」の歴史も勉強になりました。
    ヤマザキマリさんが書いていましたが、落語の噺のように、人生お互いに失敗したり、迷惑をかけたり、かけられたりすることって当たり前だよね…と見守り、支えあう考え方が行き渡れば、ギスギスした世の中にならないんだろうなぁと思いました。

  • ここで言う「コロナでの世間体」とは、テレビの影響力だったのではないか?他国に比べてテレビの言うことをそのまま信じる人の割合が日本はズバ抜けて高いらしい。

    全体的にあまりしっくりこなかったです。そういう本との出会いも悪くはありません。

  • 正義中毒になる前に、一度引いて冷静になろうと思える

全58件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

【原案】中野 信子(なかの・のぶこ)
1975年、東京都生まれ。脳科学者、医学博士、認知科学者。東京大学工学部応用化学科卒業。同大学院医学系研究科脳神経医学専攻博士課程修了。フランス国立研究所ニューロスピンに博士研究員として勤務後、帰国。脳や心理学をテーマに研究や執筆の活動を精力的に行う。科学の視点から人間社会で起こりうる現象及び人物を読み解く語り口に定評がある。現在、東日本国際大学教授、京都芸術大学客員教授。著書に『人は、なぜ他人を許せないのか?』『世界の「頭のいい人」がやっていることを1冊にまとめてみた』(アスコム)、『サイコパス』(文藝春秋)、『空気を読む脳』『ペルソナ 脳に潜む闇』(講談社)、『「嫌いっ! 」の運用』『フェイク』(小学館)など多数。また、テレビコメンテーターとしても活躍中。

「2022年 『人生がうまくいく脳の使い方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

中野信子の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
伊坂 幸太郎
カズオ・イシグロ
宇佐見りん
ひろゆき
朝井 リョウ
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×