生贄探し 暴走する脳 (講談社+α新書)

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本棚登録 : 411
感想 : 33
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065218327

作品紹介・あらすじ

なぜ人は、他人の目が怖いのか?
なぜ、誰かが得すると自分は損した気になるのか?
なぜ、人と比べないと幸せを感じないのか?
GoToトラベルでは、本来それが経済をよくするためだとしても、「あの人だけ、いい思いをするなんて許せない!」とモヤっとした人は少なくありませんでした。
ヒトは放っておけば生贄を探してしまう生き物なのです。パンデミックが私たちにつきつけたのは、人間の心の闇でした。社会不安から噴出した正義中毒。脳は暴走し、ネットだけでなく、コロナ禍で奮闘する医療者までも生贄探しの対象になったのを目の当たりにした日本人。
脳科学者の中野信子さんと漫画家・随筆家で世界各国に暮らし異文化を経験したヤマザキマリさんが、そうした経験を無駄にせず、知恵に変えるために、ヒトの本質を鋭く分析。心豊かに生きる方法が得られます。

感想・レビュー・書評

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  • 私はこのお二方の愛読者で、ヤマザキマリさん29冊
    中野信子さん17冊すでに読みました。
    共著はこれが二冊目です。

    魔女狩り、ネロ、フェデリーコ二世、ハドリアヌスなどについても書かれていますが、結局彼女たちが言いたいのは
    誹謗中傷の分析と対策ではないでしょうか。

    こういう形で活躍している彼女たちにも、
    ネットの誹謗中傷は襲いかかります。
    繊細な人は自殺に追い込まれました。

    私だったら相当ダメージを受けると思うので、
    「自分はここまで」と線を引いています。
    しかしヤマザキさんと中野さんはタッグを組んで
    立ち上がった、そういう本だと思いました。

    中野さん「明日の見えない、不安な時代に、「空気」という群衆のあいまいな意見に振り回されず、自分自身の選んだ道を正解にできる力強さを、多くの人が持つことができるよう願っています」

    ヤマザキさん「正義というのは、他者の苦しみに対し、無意識に手を差し伸べてあげられてこそ、本当の意味を成すものなのではないかということを感じたのでした。
    自分が信じている信念に従わない他者を戒めることは、それがたとえ自分にとって、どんなに理想的な宗教的理念や政治思想が根拠になっていようと、所詮は同調への強引な圧力というものでしかなく、正義とは言えません」

  • ヤマザキマリさんも中野信子さんも、好きです。
    本当にそう。

    魔女裁判、皇帝ネロ…
    その時代から、人間の嫉妬による残虐性、間違った正義、毒親などなど…
    とても興味深かったです。

  • 本書で書き留めておきたい言葉

    「危機的な状況がおこれば、はみ出し者は生贄に捧げられてしまう、ヒトはそういうことをしてしまう生き物だから、知性でそれを押しとどめる必要がある」

    「人間にはさまざまな解釈やものごとのとらえ方があるのだということを認めさえすれば、今後生きていくうえで全てを受け入れ、毅然と前に進んでいくことができるはず」

    「地球という惑星の、大気圏の中で生きているという意味では、どんな動物たちもみな同じ仲間。群れとして生きるうえでの安心の基準はそれだけで十分」

  • 話題作だったので読んでみました。
    著者ひとりひとりの章である1章と5章は面白く読みましたが、間の2.3.4章の対談部分は、知っている、分かっている、を前提とした読者を意識しない二人だけの会話が続くので分かりづらかったです。話もあちこち飛ぶしね。
    古代ローマ史についてある程度の知識がないと楽しさ半減かも。今の世の中にはプチネロがあふれかえっている、と言われてもネロがどんな人か知らなければ前後の文脈で想像しながら理解するしかないし、フェデリーコ2世も頻繁に登場するけど、私には元々のイメージがないから二人が盛り上がっていても置いて行かれてしまったよ・・・

    ただ、中世ヨーロッパの魔女狩りを例に、「正義」の名のもとに他者にどこまでも残酷に制裁を下す現代のSNS上の攻撃(→人類進歩ナシ)や、日本特有の「出る杭は打たれる文化」、ある意味宗教よりも厳しく縛られている日本の「世間体感」の話などは面白かったです。
    また、努力を誉めるのではなく、頭がいい、といった能力について褒められると自信はかえって失われてしまったり、噓をつくことがわかっているというのも印象的。

    最後にヤマザキさんが言っていた、想像力の欠如がいつでも人々を野蛮化させ、人間としての全体的な社会組織そのものの崩壊も招き入れかねない、地球という惑星とうまく折り合いをつけて生きていきたいのなら、そういった危機感をもっと日頃から感じるべき、という言葉はしっかり胸に刻みました。
    多様性を認める世の中、ぜんぜんできてないねーと暗い気持ちになってしまいました。

  • 「異質者を排除する集団バイアス」に自覚的であることの大切さが、ずしりと胸に響きました。

    そして「正義」の制裁を加えることに喜びを感じる、人の心のあり方について、魔女狩りを例にとりあげられていましたが、それは今でも当てはまることにはっとしました。

    自分が排除する側にもされる側にもならないように、どのように振る舞っていくのがよいのかを考える、よい機会になりました。

  • 正義を正義と思い込んでいる人ほど厄介である。
    というのを他の本でも読んだが、
    この本でも同じような事が書いてあって
    やはりそうなのか、と思った。

    人の不幸を嬉しいと思うのは自分が損したと
    感じるから。というのは初めて知った。

    日本のや村八分の文化が
    他の国がそうではないと知り
    日本はすごく生きづらい国なんだなと思う。

    嫌われないように、ひとりぼっちにならないように。
    自分の学生生活を振り返ると
    本当にしんどくて、苦しかったなと思った。



  • 中野信子さんの書いた部分は、今までの著書と同じく説得力ある記述となっており、参考になった。ただしヤマザキマリ氏の記述部分は、感覚的な意見の羅列であり勉強にならない。対談部分もバラエティー的で、学術性に欠ける。全体的に内容の薄い本。残念。

    「(多様性への抵抗)異なる内面、異質な外見を持った者を、(集団が)執拗に排除しようと何年も忘れずに叩き続ける。体内に取り込まれた異物を排泄するがごとく、集団は異質な者をどうにかして排除しようと足掻く。体中の免疫系の細胞を総動員するようにして、この異物を攻撃します」p3
    「自らを「正義」と思い込んでしまうと、人間は、どんなに残虐なことでも心の痛みをあまり感じません」p16
    「人間の脳は他人に「正義」の制裁を加えることに喜びを感じるようにできています」p28
    「協調性の高さと収入のレベルは反比例するといいます。いい人は搾取されてしまうということです」p39
    「ドローンやブロックチェーン、自動運転といった新たな技術が出てきても、普及させるうえで些細な問題が起きるたびに、足を引っ張るいい口実ができたとばかりに、責任追求ばかりに終始する。ネガティブな側面ばかりがクローズアップされて、規制のオンパレード。これでは、新しいことにチャレンジするインセンティブがなくなってしまいます」p44
    「(正義中毒)新型コロナウィルス以上に、正義中毒のパンデミックが起きた、と言ってもいいかもしれません。人々の脳は、社会のルールを破る相手を見つけて制裁を加え、自分があたかも正義の味方になったかのような全能感を覚えて、満足し快楽を感じているように見えました」p50

  • 日本人は、、、出る杭は打たれる。これが面白かった

  • 最後の方は『たちどまって考える』と似てるから、どっちかだけでもいいかも

  • うーん。
    2人の頭の中が悲観的&シビアすぎて未来に希望なんて持てないな…と不快だし気持ちが暗くなった。
    脳科学はいずれ精神性の領域と融合していかないと限界があるという印象。
    ちょっと、最後まで読むに耐えなかった。久しぶりに。
    ペルソナという著者の本と2冊購入しているけれど、あちらもこんな感じ?!と思うと、ちょっとげんなり。
    本を書けるような人なのかな?と思った。
    限界を感じるし、数値や研究したものしか信じない人なのだろうなー、と行き詰まりを感じる。
    あくまで個人的な感想です…。

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著者プロフィール

1975年、東京都生まれ。脳科学者、医学博士、認知科学者。東京大学工学部応用化学科卒業。同大学院医学系研究科脳神経医学専攻博士課程修了。フランス国立研究所ニューロスピンに博士研究員として勤務後、帰国。脳や心理学をテーマに研究や執筆の活動を精力的に行う。科学の視点から人間社会で起こりうる現象及び人物を読み解く語り口に定評がある。現在、東日本国際大学特任教授、京都芸術大学客員教授。著書に『脳はなんで気持ちいいことをやめられないの?』『人は、なぜ他人を許せないのか?』(アスコム)、『サイコパス』(文藝春秋)、『空気を読む脳』『ペルソナ 脳に潜む闇』(講談社)、『キレる!』『「嫌いっ!」の運用』(小学館)など多数。また、テレビコメンテーターとしても活躍中。

「2021年 『世界の「頭のいい人」がやっていることを1冊にまとめてみた』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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