オードリー・タン 自由への手紙

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  • Amazon.co.jp ・本 (202ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065220955

作品紹介・あらすじ

次代の世界的カリスマとして注目を集める台湾IT担当大臣のオードリー・タンが、日本の若者に向けて語る自由になるためのメッセージ!
IQ180超の天才的頭脳、性別なしというジェンダーレス、世界のグローバル思想家100人に選ばれる先見性、新型コロナ対応でわずか3日で全国民にマスクを配るシステムを構築した実行力。どれをとっても、これまでにないタイプの若き指導者の言葉は、新しい時代を生きる指針となるだろう。

【主な内容】

Chapter0 日本の皆さんへ
「権威のAI」に自由を奪われてはならない
私がスマホを使わない理由
自分の自由のために傷つけあってはいけない
ドラえもんの「かわいさ」が日本の強み

Chapter1 格差から自由になる
格差を拡大するソーシャルメディア
マスクを「すべての人」に
ベーシックインカムの可能性
若い世代に必要なスキルセットとは?
ネット上の対立を回避するには?
ツイッターがリプライ機能を制限した理由

Chapter2 ジェンダーから自由になる
愛する対象はホモサピエンス
ピンクがヒーローの色になる
カミングアウトがしやすい社会
「結婚を祝福されたい」という願い
「家と家」から「個人と個人」の結びつきへ

Chapter3 デフォルトから自由になる
アナキズムと老子の教え
安全な居場所から思いやりは生まれる
強制せずに協働する方法
参加型社会のリーダー像とは?
絶望の切れ間に光がある
政治家よりも#(ハッシュタグ)が力を持つ

Chapter4 仕事から自由になる
AIが怖くない2つの理由
「ハンコ問題」は、ハンコの話ではない
「見えない人たち」を見る目をもつ
理想とお金をセットで考える
経済活動のゲームを超えた働き方
日本人は「改善」の人々

感想・レビュー・書評

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  • 私にとっては、台湾で、コロナウイルス対策のすごい人くらいのイメージでしか知らなかった、台湾デジタル担当政務委員(大臣)の、オードリー・タン。

    しかし、読んでみると、何をしたのかもすごい人だと思ったが(どこの薬局に行けば確実にマスクが入手できるかを示した、マスク在庫管理アプリは有名)、様々な弱さを抱えた人たちへの細やかさや、活動をネット上で全世界に明らかにしていること、一人のリーダーでなく、多くの人の力が不可欠という考え方や、古きものも新しいものも大事にする考え方、要するに、固定観念に囚われない柔軟な発想ができる方なのだなと思いました。

    「私たちは誰もがマイノリティです。みんなかたちが違うだけで、それぞれに弱さを抱えた人間であり、その弱さを共有することが大切です」

    「その人が何かのグループに当てはまるから、愛するのではない。その人がその人だから愛する」

    「透明性は重要だが、もう一つ、政府がこれをしているのはなぜなのかということを、国民に説明する、アカウンタビリティ(説明責任能力)も重要」

    「危機が訪れると、繰り返し、二者択一の価値観が顔を出します。予防か経済か、自粛要請か個人の自由か。しかしこれは、台湾ではまったく支持されない方針です。民主主義を深め、経済活動を活性化させつつ、左でも右でもない場所に行かなければなりません」

    台湾は、二重国籍を認めていたり、アジアで唯一、法的に同性婚を認めた国であることも知り、私の中で、俄然、台湾という国に興味が湧きました。

    もちろん、これ一冊だけで全てを知ったとは思えないので、彼女に関する他の本も読みたいと思います。

  • コロナ禍においてマスクの奪い合いにならなかった台湾の,デジタル担当大臣のインタビュー本です.

    自由とは何かというところから始まり,それを達成するためにできることは何か,書かれています.新しい時代の思想だと思います.著者の考えを受け入れるのには,勇気がいるかと思います.でも,未来のためにはさらに勇気を出して行動するのもありかもしれないと感じはじめました.思想はグローバルに,行動はローカルに!

    −忘れずにいたいことは「自分の人生の中で実際に学べることは何か?」と現実的に考える姿勢です。−

    という文章には気持ちがキリっとしました.

  • 朝日と産経が一緒に

    書評『オードリー・タン 自由への手紙』クーリエ・ジャポン編集チーム編 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)
    https://dot.asahi.com/ent/publication/reviews/2021022600003.html

    【書評】『オードリー・タン自由への手紙』 ジェンダーなど17の話題語る - SankeiBiz(サンケイビズ):自分を磨く経済情報サイト
    https://www.sankeibiz.jp/econome/news/210226/ecc2102260534002-n1.htm

    『オードリー・タン 自由への手紙』(オードリー・タン,クーリエ・ジャポン編集チーム)|講談社BOOK倶楽部
    https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000347841

  • 台湾におけるコロナ対策のキーパーソンとして、一躍有名になった感のあるオードリー・タンさん。かく言う自分も、この方を知ったのは2020年に入ってから。良い機会なので、インタビュー本である本書を手にとってみた。

    冒頭からいきなり引き込まれる。

    > ネガティブフリーダムからポジティブフリーダムへ。前者は個人の自由の獲得。後者は外界の他社や何かを解放してやること。

    まさしくこれまでの自分の人生とは、ネガティブフリーダムの積み重ねだった。20代は自分のために、30代からは人のために生きようと決めていた。そして自分はいま29歳。なんという良いタイミングでこの本を選んだんだろうか。

    インタビュー内容は多岐に渡る。ジェンダー・仕事・言語・AI・価値観、など。多岐にわたるが、語り口は易しい。おそらく若い読者や、読書慣れしていない読者でも問題なく読めると思う。

    さらに、台湾の社会体制についても学びを得られる1冊。台湾が2重国籍を認めているのは知らなかった。バイリンガル教育にも力を入れているようで、かなり国外にも開けている印象。自分の将来の選択肢として、台湾に一定期間滞在して、現地で働いて、そして国籍まで取得してしまう。そういう未来も無くはないんだよなと。

    面白かった。インタビュー本なのでそこまで深い内容ではないけど、読み物としては面白かった。

    (書評ブログもよろしくお願いします)
    https://www.everyday-book-reviews.com/entry/%E8%87%AA%E7%94%B1%E3%81%B8%E3%81%AE%E6%89%8B%E7%B4%99_%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%B3

  • IQ180の人が今の世界についてどんなことを考えているのか、感じているのかを知りたくて読んだ。 
    無意識のうちに依存してしまう対象や考え方から少し距離を置いていて、世間一般の人よりも何段か視座が高いと思った。

    以下、印象に残ったフレーズ

    ・p5
    私の電話にできないことは、指でスクロールすることだけ。(中略)指ですぐに操作できるとなると、常にスマホをスクロールしてしまいます。しまいには依存症になってしまうでしょう。

    ・P8
    人は合意に至らないとき、戦争をしまく。「未来の世界平和のために」という理由で戦争を始めますが、そのために「今の平和」を壊すというパラドックスになっています。暴力は恐怖と不安から生まれますが、恐怖から自由にならなければ問題は解決しない。解決策はお互いの文化の理解と外交ではないでしょうか。

    ・P11
    自由とは受け取るものではなく、惜しみなく与えるものです。

    ・p41
    公共サービスとは、最も大変な状況にある人たちの声に耳を傾け、彼らの考えを反映させなければならないという極めてシンプルな一例です。

  •  雑誌クーリエジャポンでのインタビューを編集した本。新型コロナの大流行で、台湾の画期的な対応で注目を浴びたデジタル担当大臣。類まれなる才能や36歳で入閣したこと、マスク・マップをたった3日で作り上げたこと、トランスジェンダーを公表してるとこなどなど。語り口も穏やかで、優しい眼差しで話す姿は何度か動画でも見たことがある。
     chapter1 格差から自由になる
     chapter2 ジェンダーから自由になる
     chapter3 デフォルトから自由になる
     chapter4 仕事から自由になる
    各章での話は、たくさんの文化、言語、価値観がミックスされることを怖がらずに受け入れていくと、自分の考えも自由になり、周りも自由にすることができるのでは?という提案。

  • タン氏の思考の柔らかさに触れられた気がします。

    分かりやすい言葉で訳してくれているし、巻末の用語集で知らない単語の説明があって非常に助けられました。

  • こんな考えの方が国のトップにいる台湾って凄いな

    友人と話したり、いろいろな経験をする中で、最近自分が無知だなあと感じたこと(生理用品.マスクの貧困)教育は平等に与えられるべきなのか、国家戦略として希望者だけエリートを育てるのか?最低限保障されるべき権利のラインはどこ?言葉で言語化できるということは、世界全体にあり得る関係性なのか?(アプリでの出会い等)人それぞれのhome拠り所とは、
    これらについて考える種になった本でした

    インタビューの翻訳本だからか、自分の知識不足からか、少し意味が分かりにくい部分もあったが、オードリー・タンという人自身のことも、その考えも知ることができてよかった

    ソーシャルメディアにより立ち現れる格差
    無力感→自分への問いかけ→ソーシャルへ
    怒りという「蛍光ペン」

    ダイバーシティ(多様性)とプルラリティ(多元性)
    インターセクショナリティ(交差性)の視座をもつこと

    その人の生き方や社会的期待に働きかけるべき
    人生を通して学び続ける
    共に学び、共に創造し、共に発想する仲間

    メディアコンピテンスを身につけること

    台湾の内閣「ジェンダー共同参画委員会」によるジェンダー主流化プロセス
    同性婚が合法化されている国、世界のおよそ2割
    オランダ/ベルギー/スペイン/ノルウェー/スウェーデン/ブラジル/南アフリカ/オーストラリア/アメリカ/台湾(アジア初で唯一、タイはパートナーシップ法が閣議決定)

    語の意味とは、部分的な共通性によって成り立っている

    保守主義(コンサバティザム)
    無政府主義(アナキズム)
    「保守的アナキスト」老子の教え

    これからはプログラミング言語が英語に匹敵する共通語になる?JavaScript/スクラッチ/Python

    自主性や相互関係、共有の価値観を大切にすること→AIを補助機能として使える

  • マスクを公平に配分する仕組みを作った人、オードリー・タンさん。そのときに存在を知って興味を持ち、その後『サピエンス全史』などの著者ユヴァル・ノア・ハラリさんとの対談の公開映像(英語でしたが日本語字幕付き)を見てすっかり好きになりました。ご自身で書いたものではなくインタビューをまとめられたものではありますが、著作を読むのは初めてでした。けしてページ数が多いわけでもなく、難解な言葉を使っているわけでもない(IT用語やなじみのない外来語については巻末に解説集が付いていて助かりました)のですが、問題やものごとの表面的なことだけでなく本質的なことが重層的に語られているので、さらっと読んでしまうと何も残らず理解も伴わないような感じで、ゆっくりと噛みしめるようにして読みました。最近「大海原のソングライン」という、台湾から海を渡って各地の島に住み着いた人たちの映画を見たばかりだったので台湾が20を超える言語と文化を持つ先住の民族と、中国から入ってきた漢民族とで構成されていて、ニュージーランドの先住民族のルーツは台湾の人々だという話が出てきたときには、タイミングの妙を感じました。読みながら台湾で実現して進化し続けている仕組みや制度を知るにつけ、どうしても日本の現状を憂いてしまいましたが、憂いているだけではつまらないですよ、と温かく優しく鼓舞してもらったような、そんなような読後感でした。

  • 平和で自由な世界のためには
    この人が大臣になって腕を奮える台湾ていいな
    日本の政治家ときたら、、、
    若い人に読んでほしい、日本の将来のためにも

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著者プロフィール

台湾のデジタル担当政務委員(閣僚)、現役プログラマー。1981年4月18日台湾台北市生まれ。15歳で中学校を中退し、スタートアップ企業を設立。19歳の時にはシリコンバレーでソフトウエア会社を起業。2005年、トランスジェンダーであることを公表(現在は「無性別」)。アップルやBenQなどのコンサルタントに就任したのち、2016年10月より、蔡英文政権でデジタル担当の政務委員(無任所閣僚)として、35歳の史上最年少で行政院(内閣)に入閣。2020年新型コロナウイルス禍においてマスク在庫管理システムや「ショートメッセージ実聯制」を構築、台湾の防疫対策に大きく貢献。デジタル民主主義の象徴として、世界にその存在を知られる。

「2022年 『まだ誰も見たことのない「未来」の話をしよう』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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