強制終了、いつか再起動

著者 :
  • 講談社
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感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (242ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065222126

作品紹介・あらすじ

「薬物なんてさ、一生自分とは関係ないって思ってたし。前の学校で、そういう授業受けたとき、こんなのやるわけねー、って思ったし。でも、ふわっと目の前に薬物が現れると、思いがけなさすぎて現実味失う。仲いい人がやってて、その人が異常者でもなく、ごくフツーに見えるとさ」(本書より)

地方から東京の中高一貫の私立中学に編入した加地隆秋(かじ・たかあき)は、勉強の進度に追いつけず、運動神経も悪い自分が周囲から浮いていると自覚している。そんな加地は、家庭教師の大学生、安岡を慕い、自宅に遊びに行くことになった。安岡の部屋で見つけたプラスチックケースから出てきたのはガラスのパイプと苔色の何かだった。加地はすすめられるがまま、大麻を吸った――。
薬物の魅力に抗しがたく変わっていく加地。その変化に気づいたのは、チャンネル登録者数をとにかく増やしたいYouTuberの伊佐木周五(いさき・しゅうご)、そして動画作成を手伝うことになった麻矢夕都希(まや・ゆづき)だった。

「チーム」シリーズなど児童向けエンタメをヒットさせる一方、犯罪加害者の家族に光を当てた硬派な物語も手がけてきた吉野万理子氏。彼女が今回テーマに選んだのは、児童書の世界で取り上げられてこなかった「中学生の薬物依存」です。薬物依存者の回復サポートにあたる団体「日本ダルク」で、薬物にどっぷりと依存した経験のある人たちへの聞き取りを行うなど、さまざまな取材によって裏付けられた社会派のヤングアダルト小説です。

感想・レビュー・書評

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  • タイトルが印象的だなぁ。と思いながら読み始めたが、終わりまで一気に読め、最後のところでこのタイトルに納得し、言わんとすることにも、大いに共感でき、読後感も良かった。

    物語の形は、章ごとに語り手が変わっていくタイプ。新潟から東京へ転校したばかりの加地隆秋と同じクラスの伊佐木周伍、麻矢夕都希(ゆづき)の3人。中学生という設定だが、少し大人っぽく感じた。それぞれに悩みもあり、能天気には生きていられなかったのかな?

    薬物を扱っているし、中学生の話なので、中学生が読むのに最適かもしれないが、小学校でも薬物を注意喚起する為にゲストティチャーで授業を行ってもらう事もあるから、高学年でも良いかと思った。

    個人的で勝手な要望だが、強いて言うならこうなりたいと思えるような頼りになる大人の存在が欲しかった。のと、他のクラスメイトにも良いところのカケラが欲しかったな。

  • これは中学生の子供に読ませたいですね。
    小学校高学年からでもいいかもしれません。わたしたち大人、親や教師があれこれ言うよりも、説得力があるかもしれません。
    それにしても、最近の児童書ってどんどんテーマが重くなってますね。

  • 悩みはあるものの平穏な家庭の中学生男子に、いきなり大麻が出てきて、その設定に驚いた。危ういところを、主人公はどうやって前向きに切り抜けて行くのか。
    ブログ・YouTube・TikTokなど、SNSと切れない生活を送る現代の少年をハラハラしつつ、吉野万里子さんだから安心して読めたかな。

    #中高生

  • 中高一貫の私立中学に編入して三ヶ月の。長身のくせに運動神経が良くないところが悪目立ちして、未だに学校に馴染むことができずにいて、揶揄いや好奇の目に晒されている。
    望んでもいない父親の転勤に振り回されている中で、唯一感謝していることは、家庭教師の安岡さんをつけてくれたことだ。大学生の安岡さんは自分の話に共感してくれて励ましてくれる。
    ある時、大学を案内してくれた安岡さんに、うちに寄っていくか?と誘われた。二つ返事で遊びに行かせてもらった先で、目にしたものは…。

    中学生の薬物使用を取り扱ったお話。
    YouTubeやTikTokなど中高生にとって身近な題材を使っていて、その背景に、想像以上にすぐそばに薬物が存在するのだということを思い知りました。
    始まりはこんなに簡単なのだと。大人の目線で読んでゾッとします。

  • 前知識なしで読み始めたので、見返しのあらすじに大麻の文言が踊っているのを見て、なんと!中学生が薬物に手を出してしまう話なのか!と仰天。現実でも中高生が薬物で逮捕されることはあるし、薬物の低年齢化も進んでいるのだと思う。大学生の家庭教師に誘われ、大麻に手を出してしまった中学生の話。堕ちるところまで堕ちなかったのは彼には周りに良き友人がいたからなのだろう。

  • 一回だけ、という安易な気持ちで手を出してはいけないということがとてもよくわかるお話だった。主な登場人物三人の持つ特徴がお話の中で上手く配分されていて、ラストに救いがあるのも良い。
    メインの話ではないが、YouTuberが出てくるので、高学年男子にちょっと勧める時に食いついてくれそうな気がする。
    でも、表紙が残念。もっと子どもが手に取りたくなる表紙にして欲しかった。

  • 新潟の中高一貫校に通う中学3年生の加地隆秋(かじ たかあき)
    父の栄転で東京の系列中学に転校したが、クラスに馴染めず落ち込んでいる

    励ましてくれた家庭教師の部屋で見つけたパイプは……大麻

    「おまえもやってみる?」

    好奇心で手を出した加地はのめりこみ、やめられなくなってしまう

    そんなカジに気づいたのが、いっしょに動画をつくっているクラスメイトの伊佐木周伍(いさき しゅうご)と麻矢夕都希(まや ゆづき)

    二人が来ていることに気づいた加地は三階のベランダから身を乗り出して……

    誘惑に負けた中学生の“強制終了”と、友情の“再起動”を描く《著者渾身の社会派ヤングアダルト小説》

  • サードブックでおすすめされていた本。

    薬物乱用をするまでの過程やそこから更生するまでを描いている。

  • テーマがちょっと…

  • 関係のない世界だと思っていたけれど、
    こんな「断れない状況」に自分が遭遇してしまうとしたら。
    それはどういう状況なのか。(←ここが新しい)
    そして、その時自分はどう行動するのか。
    ということを、考えるきっかけになった。

    小中学生に読んでもらいたい。
    そして、感想を共有してもらいたい一冊。

    最後にグラフのデータが載っていたけれど、
    コロナ禍で増えているのか、減っているのかが気になった

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著者プロフィール

神奈川県出身。2005年『秋の大三角』で新潮エンターテインメント新人賞を受賞。『劇団6年2組』で第29回うつのみやこども賞受賞。作品に、『チームふたり』からはじまる「チーム」シリーズなど多数。

「2014年 『新装版 チームシリーズ 全6巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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