ハロー・ワールド (講談社文庫)

  • 講談社 (2021年3月12日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (384ページ) / ISBN・EAN: 9784065228227

作品紹介・あらすじ

エンジニアの文椎(ふづい)が作った広告ブロックアプリがインドネシアで突如売れ始めた。そこに隠された驚愕の事実とは。検閲や盗撮などの問題を描いた表題作「ハロー・ワールド」をはじめ、インターネッ
トの自由を脅かす行為に、知識と技術で立ち向かう文椎の、熱く静かな闘いの物語。第40回吉川英治文学新人賞受賞作。

GoogleカーやAmazonのドローンが次々集まってくる「行き先は特異点」、バンコク出張中にドローンを使った政治運動に巻き込まれてしまう「五色革命」、Twitterが中国に門戸を開いたのを機にTwitterクローン〈オクスペッカー〉をアップデートしてインターネットの自由を守ろうとする「巨象の肩に乗って」、マレーシアのビットコインセミナーに参加中に拉致されてしまう「めぐみの雨が降る」。
単行本刊行時にAmazonランキング1位を獲得した話題作が、これまでKindle版でしか読むことのできなかった「ロストバゲージ」を新たに加え、待望の文庫化!

みんなの感想まとめ

自由なコミュニケーションをテーマにしたこの作品は、エンジニアの文椎が主人公の連作短編集です。彼の作った広告ブロックアプリがインドネシアで人気を博し、技術やネットの現状を反映したストーリーが展開されます...

感想・レビュー・書評

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  • 正直、技術的なところはさっぱり理解できていない。それでもお話としては面白かった。
    もっと専門知識のある人が読んだら楽しめるんだろうなぁと思ったり。

    この本は積読チャンネル(YouTube)で紹介されて、手に取った。積読で解説されていたのは、5つあるお話の1話目だけ。ぜひ他の4話も解説してほしいなぁ。


    余談だけど、へぇ。と思ったところ。

    ・コンピューターは情報を「移動」させるよりも「複製」することが得意な機械。そんなコンピューターで通貨を実現するために、取引伝票に目を付けた。送金した記録の複製を世界中のサーバーが持っていて、その記録が同時に改ざんされなければ情報に嘘を混入することはできない。それがビットコインの発想。


    ・スマホのカメラにシャッター音があるのは日本だけ(実際調べると日本と韓国)

  • 主人公は何でも屋と自分を卑下していますが、何でも屋であるがゆえに人を結びつけるハブとして機能してる。この小説は2020年ころのネット事情や技術を描いていますが、メインテーマは自由なコミュニケーションだと思う。
    技術的な素養は求められないけど、楽しむためにはある程度のネットリテラシーは必要かも。

  • IT技術にフィーチャーした現実寄りのSF連作短編集。
    「ハロー・ワールド」3…広告ブロックアプリ
    「行き先は特異点」3…ドローン
    「巨象の肩に乗って」4…マストドン
    「めぐみの雨が降る」4…ビットコイン
    web業界で働いているので耳慣れた言葉が多く興味深かった。
    ちょっとだけ村上春樹臭がした。

  • 最近注目している藤井さんの小説。
    テクノロジー系のSFっぽいけど、現実感を忘れていない、
    そんな微妙なラインで物語を提供してくれる著者です。
    以前読んだ「ビッグデータ・コネクト」も面白かったので、こちらも読んでみました。

    ※ビッグデータ・コネクト
    https://booklog.jp/users/noguri/archives/1/4167903288#comment

    読んでみての感想は、「(残念ながら自分には)難しくて、分かり切れない」!
    色々な最新のテクノロジーが出てくるのですが、
    テクノロジーにそこまで詳しくない自分には著者の意図が完全には理解できなかったです。。
    ちょっと悔しい。。
    きっと小説は面白いはずなんだけど、その面白さが完全には理解できないモヤモヤ…。
    それでも、後半に行くにつれて、物語も展開し出して、それなりに楽しむことができました。
    特に、後半のBIを仮想通貨で構築する構想は、どこか別のところで聞いたことがあるようなないような…、
    でも著者の構想力には感服しました。
    最後のエピローグ的な物語(バゲッジロスト)の意味はよく理解できなかったけれど。。

    著者の小説が本当の意味で楽しめるように、自分も研鑽したいと思いました。

  • ひとりのエンジニアを主人公にした連作短編集。まさに「エンジニアの夢」がいっぱい詰まった小説!動くものを作るワクワク感がヤバいです!なんか作りたくなる~!!

    色々な技術を取り入れているが故に…ストーリー上の都合だと思いますが…技術的にやや不自然な描写があるのが(わりといつも大なり小なりあるのですが)いつもより気になってしまいました(汗)。あ、でも51%攻撃を多数派攻撃と表現したのは、わかりやすいなぁと思いました。


    いつも“Hello World”じゃなくて“test”とか適応に書いちゃってますが、これからは新しい言語を始めるときは、“Hello World”でいきましょう!

  • エンジニアのなんでも屋の文椎。日本、アメリカ、ベトナム、中国を渡り歩く。短編集

    slack,ブロックチェーン.シンギュラリティなどのIT用語も登場しますが、最後の「めぐみの雨が降る」はブロックチェーンの仕組みが分からないと理解しにくいなと感じましたが、総じて分かりやすかったです。

    ITで世界を変えるといった時に最後は人との繋がりではないかと感じます。またネットで世界が繋がるということは資本主義や社会主義を越えて世界がより良くなること。理想論もあるかもしれませんが。

    自分のまわりに、主人公の様なコミュニケーション力、技術、英語も話せてなんてスーパーエンジニアがいないのは自分の世界が狭いのかなと思う。

  • 自称「何でも屋」のIT技術者、文椎(ふづい)が、プログラミングで世界を変える!
    日本にとどまらず、世界に影響を与えるアプリを開発するが、予期せぬ形でデモや政治活動に利用されてしまう。
    IT技術を使えば何でもできてしまうことに、夢を感じるが、生々しい問題も起こりうるんだなぁと怖くもなる。
    自分を「何でも屋」と思っている文椎さん、実は英語もできるし、交渉術も長けているし、とてもできる人。
    ITに携わっている人には、今のトレンドも分かるし、面白いお仕事小説だと思う。

  • Hello, World!プログラミング齧った人なら、みんな知ってるこの言葉。
    そこから始まるインターネットの自由を守る大冒険。
    僕は藤井太洋さんの描くチームがドライブしてゆく姿が大好き!!

  • 僕は世界と、人と?がっていたい。インターネットの自由を守る、静かで熱い革命小説。

  • エンジニアなんでも屋の主人公•文椎(フヅイ)に降り掛かるネットワークの問題点に自身が納得出来る方法を提案していく短編集5本+番外編。
    プログラミング知識が無い私でも読み進めることが出来る。帯に書かれている通り「インターネットの自由と豊かさを守り世界を少しだけ良くするための熱く静かな闘いの物語」。現実的な内容が興味深い。
    現在において文椎のようなエンジニア達が居てくれることを祈ります。

  • 面白かった!
    短編集なのでサクッと読むことができる。

    SFというジャンルだと「オデッセイ」や「AI崩壊」のような派手なファンタジーを思い浮かべがちだけど、この作品は極めて日常に近い。
    エンジニアの日常がここまで物語として面白く昇華されていることに感激です。GoogleやGitHubみたいな固有名詞が出てくるのもリアリティがあってよい。
    作者がエンジニアだからなんですね。コードも書けて小説も書ける、すごい才能だ。

    どれも面白かったけど、「五色革命」が1番好きかなあ。

  • 藤井太洋 著『ハロー・ワールド』講談社

     日本SF作家クラブ会長の池澤春菜氏がTBSラジオでお薦めしていたのがきっかけで購入したこの小説ですが、その経緯とカバーデザイン、タイトルからてっきりSFだと思っていました。

     ・・・いや、SFなんでしょう。SFと呼んで間違い無いとは思うんですが、なんとも凄いものを読んだな、という読後感です。主人公の文椎泰洋(ふづい・やすひろ)が最後まで活躍する連続した物語なのですが、5章立てでそれぞれが独立したテーマを持ち、舞台となる国も変わり、1話で完結する連作短編の体裁をとっています。

     スタートアップとして広告ブロックアプリの販売をしていたらとある国の政府による国民監視システムの存在に気付いてしまうという1話目「ハロー・ワールド」。勤め先が売り出すドローンをラスベガスの展示会に出展するために出張してきたが、挙動のおかしなグーグルカーと接触事故を起こし立ち往生した荒野で、Amazonの配送をしているドローンまでも不思議な振る舞いを見せ始めその原因を探る2話目「行き先は特異点」。出張先のバンコクで革命に巻き込まれ、会社の機材であるドローンを革命家に接収されて協力を求められるが、さて自由と平和を欲する他国の市民革命に対してどういう姿勢をとるべきかという3話目「五色革命」。自由の旗手であったはずのTwitterが中国進出を決め、引き換えに検閲用のバックドアを中国共産党に差し出した事件を契機に権力からインターネットの自由を守るべくアプリ開発に乗り出す4話目「巨像の肩に乗って」。中国共産党の幹部職員から持ちかけられた暗号資産のシステム開発を軸に資本、再分配、徴税という近現代の統治システムに疑問を投げかける5話目「めぐみの雨が降る」。

     主人公がITエンジニアなので、ストーリーは全てテック系の内容です。そこがまず一つ目のこの作品の魅力でしょう。これまでビジネスが題材のエンタメはどうしても金融か製造が中心でした。ITが題材となるとどうしてもウィザード級ハッカーが登場するクライム・サスペンスになりがちです。それがこの作品はAppleもGoogleもAmazonもTwitterも阿里巴巴集团(アリババ)も百度(バイドゥ)も微博(ウェイボー)もSlackも実名で登場しますし、著者のソフトウェア企業務めのバックグランドが十二分に活かされたテック系「実業」エンターテイメントになっています。実はこれって新しいし他にはなかなかない風味だと思うのです。サイバーパンクよりぐっと身近で生々しい。iOSアプリの認証を取るプロセスであったり、オープンソースのソフトウェア開発者たちの連携であったり、コードの流用をする過程でオリジナルの作成者への敬意を忘れないところであったり、この業界の文化や風土が伝わってきて本当に面白いです。

     二つ目の魅力は主人公の造形でしょう。飄々としているようで礼儀正しくて信念の人。各章ごとにヒロイン的な登場人物が出てくるのですが、そんなキャラとの距離感も絶妙、というかほぼ何も起こらないのですが、それでもあるがままに魅力を感じていることを時折ぽろりと説明される温度がなんとも好ましいのです。さらに、主人公の海外出張の振る舞いなんかがいかにもビジネスパーソンあるあるで親近感が湧くし、「自分はiPhoneでもコーディングする」と自称「専門分野を持たないなんでも屋」が開発環境の多少の悪さを意に介さない描写なども同じ働き手として大いに共感するし勇気づけられます。滞在先でサンミゲルを飲む描写や朝食の自炊シーンなんかも楽しいです。ところがそんな主人公も章がすすむごとに明らかにステップアップしていき、業界での知名度や影響力を増していきます。勝負にベットする金額も数十億円になったりする。あるビジネスパーソンの成長物語としても十分に楽しめる作品になっています。


     各章の感想ですが、私は2話目の「行き先は特異点」が一番好きです。この一冊の中では最も牧歌的で平和な話ですが、群れて飛ぶ鳥の描写にはJ・G・バラード作品のような凄みがあります。 最終話の暗号資産の話も面白かったです。参考文献としては斉藤 賢爾『信用の新世紀』をお薦めします。とはいえブロックチェーンに関する基礎知識が無くても問題なく楽しめますし、作中にさらっと上手に解説が加えられていますので、逆にそこでご興味を持たれたようであれば『信用の新世紀』を読んでみられるのも良いかと思います。こちらもスゴ本ですから。

  • 近年実用化されたIT技術を下敷きにした連作。
    とは言え、難しい内容ではない。プログラムを書けなくても、普段PCを使っていてそれぞれの技術の存在を少しでも知っている人ならば容易に読み進められる。
    また、時間軸が現在なので、違和感なく物語の世界に入り込める。

    何でも屋と自嘲する主人公。しかし、インターネットに関してはあるべき姿、ある種の理想を抱いていて、それが行動原理ともなっている。

  • あとがきにもあったが、藤井さんのすごいところは、IT関係者にも、関係していない人でも面白いと感じさせる文章と話の構成の組み立て方だと思う。
    今作は自身に近い人物を主人公として、いくつかの短編で構成されており、ビジネスを含めた緊張感のある対人でのやりとりも、ソースを書くときのそのシステムの思想もうまく言語化されていて、純粋に話として面白かった。
    表題のハローワールドも面白かったが、個人的には特異点が好き。

  • 面白かった。

    時が経つごとに住む場所や関わる内容は変わっているが、何でも屋という立場と隠し持つ熱い気持ちは変わらない主人公。
    内容はIT周り(検閲、ドローン、仮想通貨等)の様々なテーマを取り上げられてつつも、読みやすい。

    ・TwitterやFacebook、そしてGoogleは移動を許さない、サービスにへばりつくか、やめるかだ
    ・西海岸の連中はたまたま手に入れた成果をたまに与えられた政治力であるかのように考えている
    ・何より悪かったのは、僕が「無理だ、助けて」と声を上げることができなかったことだ

    というように、フィクションでありながらもリアルさも感じられる1冊。

  •  「面白い」VS「難しい」のせめぎ合い……! 現実、というか現代におけるネット社会で実際に起こり得る題材をエンタメに仕上げている、の、だと思うのですが……畑違い過ぎて「事実」と「創作」の境界線がさっぱり分からず; 驚きどころも笑いどころもピンとこない自分の知識のなさが憎い……orz
     分からないながら、ビットコインのルーツや仕組み、検閲の問題など、物語以前に大変興味深くて面白かったです。自分の全く知らない世界を覗き見たという印象。一技術者ながら、倫理観を持ってネット社会の闇に真っ向から立ち向かう文椎さん、格好いいですね。世界はこういう人たちが回しているんだなぁ……。

  • 白髪を蓄えた著者の風貌が記憶に新しいので、私小説的なフィクションと言われると妙に納得する。作中で取り扱う題材はアプリにGPS、ドローンにSNS、そして極め付けが仮想通貨。ITにとことん疎い私には現存技術と創作との境界線を判別出来ないが、知識と経験で苦難を乗り切る文椎の姿には爽快感を覚える。相変わらずキャラクターの掘り下げが浅い印象は否めないけれど、これも著者の作風だとようやく腑に落ちた気がする。こと今作においては、IT社会を巡る問題、課題、そして著者の描く展望そのものが作品を司る主人公格だった様に思えた。

  • 社会と自由とテクノロジー

  • わかってなくてもわかったような気になって読んだ。

  • 大抵の章で取り上げられたトピックについて、仕事で得た土地勘もあり、ITよもやま話という内容だがとてもリアリティを伴ってのめりこめました。

    コロナ禍で一度分断されなかった世界はこういうかたちになっていたのかもしれないと、しみじみと思いました。

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著者プロフィール

藤井大洋:1971年鹿児島県奄美大島生まれ。小説家、SF作家。国際基督教大学中退。第18代日本SF作家クラブ会長。同クラブの社団法人化を牽引、SF振興に役立つ事業の実現に燃える。処女作『Gene Mapper』をセルフパブリッシングし、注目を集める。その後、早川書房より代表作『Gene Mapper -full build-』『オービタル・クラウド』(日本SF大賞受賞)等を出版。

「2019年 『AIが書いた小説は面白い?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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