- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065228234
作品紹介・あらすじ
今、猛威を振るうコロナウィルスにより、私たちの「日常」が脅かされています。
ですが、そんな「非日常」の中でも、大切な「日常」は続いていきます。
いえ、「日常」を続けていくことこそが、私たちの戦いです。
そこで、ミステリにおける「日常の謎」というジャンルを今回は「非日常の謎」と置き換え、
日々の生活の狭間に突如訪れる、刹那の非日常で生まれる「謎」をテーマとして、
創刊5周年を迎えた講談社タイガが期待する、六人の著者に短編を寄稿いただきました。
物語が、「非日常」を乗り越える力となることを信じて。
創刊6年目となる講談社タイガは、小説を楽しめる「日常」を守り続けます。
「この世界には間違いが七つある」芦沢 央(あしざわ・よう)
「成人式とタイムカプセル」阿津川辰海(あつかわ・たつみ)
「どっち?」木元哉汰(きもと・かなた)
「これは運命ではない」城平 京(しろだいら・きょう)
「十四時間の空の旅」辻堂ゆめ(つじどう・ゆめ)
「タイトル未定」凪良ゆう(なぎら・ゆう)
感想・レビュー・書評
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非情に中途半端なミステリーばかりでがっかり。読み応えもない。短編なら短編でぴりりと推理の妙味を効かせるべきなのだろうが、編集者の要望に無理やりひねり出した感じで、ミステリーとはいいがたい。阿津川辰海のものだけが推理を働かせているが、ほいほいと一人が解いただけで物足りない。あとの5人のものは、題材をほいと放り出しただけ。ちゃんと最後まで書いてもらいたいものだ。
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凪良ゆうさんの短編を読みたくて手に取った本。
日常の中にひっそりと潜む謎の世界を6人の作家が綴る短編集。
どれもちょっと怖いお話ばかり。
それぞれ面白いけれど、やはり凪良さんの短編が好き。
表面上は何の変哲もない平和な日常。
登場する人物はごく普通の人たち。
下宿の管理人と、作家の弟。
かつてその下宿に住んでいた女性。
お寺の長男と よくできた嫁。
そして、お寺の次男は幼稚園の園長。
下宿を取り壊す過程で発見された謎のお札が軸になって話が進む。
お札の発見以外、特に何かが起こるわけではない。
ところが、それぞれの人物の独白を読み進めるうちに、
そこはかとなく怖いものが迫って来る。
最後の短編、芹沢央氏の「この世界には間違いが七つある」ですが、
シュール過ぎて理解不能でした。
知らない世界が伏線になっているようで、私には解説が必要! -
どの作品も、それぞれ趣向が凝らされていて面白かった。特に芦沢央さんの短編には衝撃を受けました。普段は手に取らない人の小説を読めるのがアンソロジーのいい所ですね。
辻堂ゆめ「十四時間の空の旅」
ほろ苦く心温まるストーリー。主人公の不安や苛立ちが丁寧に描かれていて、共感しやすい内容でした。
凪良ゆう「表面張力」
すみれ荘ファミリアを先に読みたかった。あと少しでコップの水が溢れてしまうような、ギリギリの関係性。不穏な空気を感じるストーリー。作中で、作家が編集者に話した一言が、この話の全てを表している。
城平京「これは運命ではない」
虚構推理を読んでいない為、説明が欲しい部分があって少し残念。読後感はスカッとしてよかった。
木元哉多「どっち?」
イヤミス。細かい仕掛けが面白かった。登場人物が全員嫌な人で、もやもやする。
阿津川辰海「成人式とタイムカプセル」
青春ミステリー。日景が完璧な存在だったりと、リアリティは薄いけれど、予想外の展開でほのぼの。
芦沢央「この世界には間違いが七つある」
遊びを効かせたサイコスリラーで面白かった。まさかの展開にやられました!世界観も狂気を感じる。 -
辻堂先生と芦沢先生の短編が特に心に響きました。
「十四時間の〜」は、空港の雰囲気や聴こえる(それこそ非日常の代名詞のような)アナウンスを感じられる緻密な描き方がとても好み。父親への微妙な心境や、スマートではないけど愛あふれる展開が心温まります。
芦沢先生のは、奇作?なんだけれども、みていると責められそうなゾクリとした発想がとても面白い。 -
6名の作家陣による短編アンソロジー。
裏表紙にはコロナによって失われた’日常’を守りたいからこそ『非日常の謎』を嗜もう…という、わかるような、わからないような内容紹介が載っている。
さておき、南波タケ先生による表紙絵「出会いすぎる曲り角」が興味をそそりまくる。
〈十四時間の空の旅〉…何回乗っても飛行機ってワクワクしますよね。そもそも’飛行’自体が非日常の象徴のようなもの。香水さんと迷子は何だったのか?
〈表面張力〉…視点がカチカチ切り替わりながら真相が見えて来るこういう構成好き。何かの拍子に弾け飛んでしまいそうな、抜き差しならないバランスの上に築かれた張り詰めた平穏にハラハラする群像劇。
〈これは運命ではない〉…ややもしたらバカミスに含まれるのかもしれないが、本アンソロジー・テーマを代表する作品だと感じた。二人の会話の空気感がすごく良い。
〈どっち?〉…しっかりした伏線が張られていて納得感はあるんだけど、本オチがやっぱり苦しいような気がする。
〈成人式とタイムカプセル〉…キャラクター性が強い作品。もうちょっと雄馬と友人との関係性を拾って貰えたら引き込まれたかもしれない。
〈この世界には間違いが七つある〉…趣がガラリと変わる作品。例えうっかりでも、決して読み進むより先に図版を見てはならない。
うーむ、もっと奇想天外・トンデモトリック満載な『非日常』を期待したんだけどな。
1刷
2022.8.16 -
とにかく作家がとても豪華!!さすがにどれもハズレなしで楽しめました。中でも木元さんの「どっち」は女性の裏の顔というか、それこそどっち??私ならそんな疑惑があったら怖くてその先一緒に居れない。城平さんの「これは運命ではない」はたまたま漫画で虚構推理を読んだので九郎が出てきて嬉しかったし、辻堂さんのはお父さんにほっこりし、凪良さんの「表面張力」もとても良かったので長編を読んでみたい。
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装画が面白い。「出会いすぎる曲り角」、パンがたくさん落ちている。
『表面張力』(凪良ゆう)がよかった。「すみれ荘ファミリア」の番外編らしい。表面張力、という言葉は出てこないのに、たしかにずっと緊張を感じる不穏な一作。人には「みんな誰にも見せない顔」があり、また、「見ないふり」をするのもみな上手・・・という。
いつもそんなことを考えていては人付き合いなんてできないから、「沈黙の器になる。わたしはなにも考えない」――のは、賢い生き方の一つなのかもしれないなぁ・・・イヤだけど・・・。 -
非日常をテーマにしたアンソロジー。
『十四時間の空の旅』は飛行機が舞台。
主人公は、小学五年生で親の都合によりアメリカに渡り、また高校一年の途中で日本に戻る…。
これは思春期の子供には辛いことだろう。
私が通った学校にも帰国子女と呼ばれる子はいて、仲の良かったギャルは英語が得意だった記憶がある。
でも、みんな小学生で日本に戻ってきてから受験しているから、英語を褒めても「使わなきゃ忘れる」と、ちょっとうんざりした顔をしていたような。
本作の主人公は、中途半端な語学力、日本式の発音で辛い思いをした。
アメリカではガイジン、日本では垢抜けて英語が得意なことを期待され、しかし仲良しグループはすでにできている、という洗礼を受ける羽目になる。
おまけに飛行機内で荷物は荒らされ、さらにアジア系の怪しすぎる人が後方にいる…。
本作は子供の不安をよく描いている。
この作品は同じような思いをしている人たちは自らと重ね合わせて感じるものもあるだろう。
救いはあって、終わり方は旅をテーマにした物語らしい終わり方で、清々しい。
『この世界には間違いが七つある』は、著者らしいちょっと不思議な世界。
イラスト付きで、そちらも楽しめる。
まさに日常と非日常を描いた作品。
ライアーゲームや、金田一少年のように、マスターと呼ばれる謎の人間によって彼、彼女らは閉じ込められゲームをさせられる。
ド定番の怪しさなのだが、ラストの謎解きが驚きだ。
短編ならではの驚きと不可思議さで、戸惑いを覚えるその体験がたまらない。 -
面白かった!
人が死なないミステリーを求めて勧められて読んでみたけど、確かに人が死なないミステリーになっててよかったです。大抵死んじゃうんですよね、ミステリーって。
特に好みだったのは凪良ゆうさんのお話。
城平京さんは、リアタイで虚構推理見てた自分としてはニヤニヤしちゃったけど、原作知らない人からしたらいまいち腑に落ちないうまく言いくるめられた話になっちゃうのかも知れない。
でも一番面白かったのは、表紙のイラストです。
大量の食パンやおにぎりやら鳥までいて、思惑が渋滞しております。紫のはブルーベリージャムかなぁ、ベーコンエッグも美味しいよね! -
小説現代2021年2月号辻堂ゆめ:十四時間の空の旅、凪良ゆう:表面張力、城平京:これは運命ではない、木元哉多:どっち?、阿津川辰海:成人式とタイムカプセル、芦沢央:この世界には間違いが七つある、の6編のミステリーアンソロジーを講談社タイガから刊行。いずれも興味深く、タイトルを裏切らない面白いミステリーです。芦沢さんのものだけは、もう一度読み返して、ようやく納得。お気に入りひとつを選ぶのが、難しいくらいどれも上出来です。
著者プロフィール
芦沢央の作品





