薔薇のなかの蛇

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (322ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065230503

作品紹介・あらすじ

変貌する少女。呪われた館の謎。
「理瀬」シリーズ、17年ぶりの最新長編!

英国へ留学中のリセ・ミズノは、友人のアリスから「ブラックローズハウス」と呼ばれる薔薇をかたどった館のパーティに招かれる。そこには国家の経済や政治に大きな影響力を持つ貴族・レミントン一家が住んでいた。美貌の長兄・アーサーや、闊達な次兄・ディヴらアリスの家族と交流を深めるリセ。折しもその近くでは、首と胴体が切断された遺体が見つかり「祭壇殺人事件」と名付けられた謎めいた事件が起きていた。このパーティで屋敷の主、オズワルドが一族に伝わる秘宝を披露するのでは、とまことしやかに招待客が囁く中、悲劇が訪れる。屋敷の敷地内で、真っ二つに切られた人間の死体が見つかったのだ。さながら、あの凄惨な事件をなぞらえたかのごとく。

可憐な「百合」から、妖美な「薔薇」へ。
正統派ゴシック・ミステリの到達点!

感想・レビュー・書評

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  • 「黄昏の百合の骨」に続く理瀬シリーズの17年ぶりの長編作品…といっても、私はすべて最近読んだのだけれど(汗)。英国に留学中のリサ、友人のアリスからパーティへの招待を受ける…そこは「ブラックローズハウス」と呼ばれる館でレミントン一家が受け入れる…パーティでは一家に伝わる聖杯のお披露目されることになっていた…。「ブラックローズハウス」の近隣及び敷地内では、謎に包まれた事件が勃発する…。

    一貫して不思議な不穏な雰囲気を感じながらの読書になりました。この挿絵もこの作品にぴったりあっていて、たまらないです!この作品もミステリー要素が強い作品ですが、ラストになっても謎がかけられたまま…これ、続編すぐに読みたい…!恩田陸先生、続編の執筆、私がこの作品のストーリーが記憶に残っているうちに読みたいのでお願いします!

  • 大好き水野理瀬シリーズ。
    ミステリアスで、そこはかとなく邪悪なイメージ増し増しで、大学生になったのですね。

    事件が起きるのがハロウィンというのが、『麦の海に沈む果実』を彷彿とさせて良かった。
    アーサーという新しい登場人物も現れ、成長した理瀬で一周回って新章スタートという感じ。
    北見隆さんのふんだんな挿絵も、非常に不気味で見応えがある。

  • 雰囲気を楽しむ一冊。

    理瀬シリーズ4冊目。舞台は英国。大学生の理瀬。霧に包まれた館…という物語の森へ連れ出され彷徨い、館の中も彷徨いまくる感じ。

    ミステリとして読むよりもとにかくこの雰囲気を楽しむ、これを一番感じた巻でもあった。

    想像以上に理瀬の成長を感じ、彼女はまさに霧の中に煌めく凛とした真紅の薔薇。

    ミステリアスな雰囲気がたまらない。

    新たな出会いも含めて理瀬の周りはすっぽりダークな霧に包まれている感じだな。

    見事に花ひらいたかのような薔薇の微笑みを感じながら、また次作が…という楽しみを残されたのも良かった。

  • 後ろ暗い歴史を代々持つ英国貴族レミントン家。一族が一堂に会した現当主の誕生日前夜会で、当主の息子アーサーは妹の紹介でリセという女性と出会う。魅力的だが不穏な雰囲気を彼女に感じるアーサー。その夜、当主の失踪と近くの村で起きた事件を踏襲したような頭と手のない切断死体が敷地内の大岩の上で発見されるという事件が起きる。伝統ある英国貴族の屋敷に発見された謎の聖杯。アーサーを筆頭に個性豊かな登場人物が事件の謎に迫る過程全てにゴシックロマンの香りが漂い理瀬シリーズはこうでなきゃ、とうきうき。謎の真相はあっさりしてるけど一応収まる所には収まっているので放り出され感は薄い。気になる引きが満載なラストだけどまた十年単位待ちか?

  • 『麦の海に沈む果実』が2000年で、『黄昏の百合の骨』は2004年の作品。
    17年も間隔があいた理瀬シリーズ。
    このシリーズはどれも、恐ろしいものを秘めていて、美しく、妖しい。

    事件の残忍さや、思わせぶりな謎解きの結末。
    読後、霧の中に包まれてしまうような感覚。
    この物語には、まだ続きがあるように思う。
    いつの間にか、浮遊感の伴う別世界へといざなわれる。
    理瀬シリーズのこの独特な感じ、なぜか病みつきなる。

    今回、ヨハンは事件の聞き役として登場した。
    理瀬とは深いかかわりのある、昔からの知り合いだ。
    ヨハンに関しては、読み始めに感じた違和感が《第十章》で解消される。

    そして今回、アーサーというレミントン家の 美貌の長兄が現れた。
    素性は謎のままだ。
    次回作はそんなに遠くない将来にでるのでは、という気がする。

    最後に。作中にふんだんに盛り込まれた挿絵が素晴らしい。

  • 気になって一気に読んでしまいました。
    読み終えて知ったのですが、講談社「メフィスト」に
    13年もかけて連載されたもの。
    しかも、そのもっと前
    20世紀からシリーズが始まっていたのを
    他の方のレビューで知りました。

    最初から順番に読んでいたら
    もっともっと面白かったのでしょうね。
    でも、これだけでも一応楽しめました。

  • 恩田陸が明かす、17年ぶり“理瀬シリーズ”の創作秘話 「どのようにオチをつけるかは最初に決めていません」|Real Sound|リアルサウンド ブック
    https://realsound.jp/book/2021/05/post-766063.html

    恩田陸が趣味全開で描くゴシック・ミステリ『薔薇の中の蛇』インタビュー|今日のおすすめ|講談社BOOK倶楽部
    https://news.kodansha.co.jp/8825

    『薔薇のなかの蛇』(恩田 陸)|講談社BOOK倶楽部
    https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000350949

  • そこそこ面白かった。前作を覚えていればもっと面白かったのでは?と思われる。帯に「可憐な百合から、妖美な薔薇へ」って書いてたので、てっきりマライヒ的なのを連想してしまっていたが、そういうのは全くなし。健全にミステリ。人が死んだり、謎があったり、スパイが出てきたり。ただ、イギリスが舞台なんだが、イギリス人らしくない人々がたくさん出てきて、一種独特で面白いムードを醸し出している。恩田本はとても読みやすいので、前作も読み直してみようかと思った。

  • 久しぶりに恩田陸らしい作品を読んだと思った。

    ストーンヘンジに置かれた変死体。

    古い因習に囚われた一族。

    聖杯。

    そして、一族の長に送られた脅迫状。

    謎の組織。

    楽しかった。

  • ブラックローズハウスの当主オズワルドの誕生パーティーに招かれたリセ、何者かに事件の予告があり10月31日のハロウィンの日、そこで何が起きたのか。偶然にも読み始めたのが30日。お菓子を食べながらどんな悪戯が待っているのか読んでいた。
    読み終えたとき、この物語の続きが気になって仕方がなかった。恩田さんの本はいつもそう(笑)
    リセもヨハンも何者なのか気になるし、もうただの事件じゃなくて組織、いや、国が動いているよこれ。
    「トリック・オア・トリート」

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著者プロフィール

1964年宮城県生まれ。92年『六番目の小夜子』で、「日本ファンタジーノベル大賞」の最終候補作となり、デビュー。2005年『夜のピクニック』で「吉川英治文学新人賞」および「本屋大賞」、06年『ユージニア』で「日本推理作家協会賞」、07年『中庭の出来事』で「山本周五郎賞」、17年『蜜蜂と遠雷』で「直木賞」「本屋大賞」を受賞する。その他著書に、『ブラック・ベルベット』『なんとかしなくちゃ。青雲編』『鈍色幻視行』等がある。

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