ひとりをたのしむ 大人の流儀10

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  • 講談社 (2021年3月5日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (194ページ) / ISBN・EAN: 9784065230619

作品紹介・あらすじ

人は誰でも別れ、離れ、ひとりになる。そして誰にも静かな時間がやってくる。喧騒が消え、孤独が友となる。ひとりのときをじっと味わう。人生、こんなたのしみもあったのだと、気づく。ーー伊集院静 シリーズ累計206万部突破の大ベストセラー第10弾。

感想・レビュー・書評

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  • 1.著者;伊集院氏は、小説家・作詞家。電通のCMディレクターになり、松任谷由実や松田聖子のツアー演出を手掛けました。その後、作家デビュー。「乳房」で吉川英治文学新人賞、「受け月」で直木賞、「機関車先生」で柴田錬三郎賞、「ごろごろ」で吉川英治文学賞を受賞。また、伊達歩の名で作詞家としても活躍。「愚か者」で日本レコード大賞を受賞。マルチな才能を発揮しています。
    2.本書;本の帯にある言葉です。「人は誰でも別れ、離れ、ひとりになる。そして、誰にも静かな時間がやってくる。喧騒が消え、孤独が友となる。一人の時をじっと味わう。人生、こんな楽しみもあったのだと、気付く」と。四章構成で著者の考えを35項目綴ったエッセイ。「第一章;過去を振り向いたところで」「第二章;苦しい日々もいつかは」「第三章;ひとりもいいもの」「第四章;大切な人」。シリーズ合計で、200万部超えのベストセラー。
    3.個別感想(印象に残った記述を3点に絞り込み、感想を付記);
    (1)『第一章第7項;孤独と不安』より、『私は若い頃、教師にこう教わった。「良い本、良い小説は、一度読み終えてから、十年後、二十年後に読んでみると、初めて読んだ時には発見できなかったものを見つける事が出来る」人が生涯で何度か読んだ小説は、やはり良い小説なのだろう。・・・人も書も、接する側の成長によって見え方、読み方が違うからかも知れない』
    ●感想⇒読書の目的は、三つあると言います。❝①職業人としての専門知識を得る ②現代人としての時代の風潮や傾向を知る ③自分の生きる糧となる❞です。中でも、❝③は、自己形成の土台作り(考え方や生き方)❞になり重要と考えます。沢山の知識を習得した所で、陳腐な人生観・世界観では、如何なものかと思うのです。❝自分が選んだ良書を多く読んで先人に学ぶ事❞です。「人が生涯で何度か読んだ小説(本)」はそんなにはありません。私が良書と思う本の書評です。❝人間は強い意志さえ持ってれば、どんな逆境に陥っても、そこから必ず這い上がってくるものだ❞。良い本は、個人の生い立ちによって異なり、各人各様です。人生の糧となる本に巡り合える喜びを噛締めたいものですね。
    (2)『第三章23項;大人の男』より、「大の大人の男が、銀座のバーのカウンターで一時間半もの間、どこそこの店が美味いとか、裏メニューとか、アホ女優がお忍びで来るとか、果ては会社の経費で食べられた、と品性の欠けらもない話を延々と出来る事が、オカシイと言うより、そんな事を知っている事が君達の人生に何を与えてくれるんだ?」
    ●感想⇒若者3人の話です。バーテンダーが、伊集院氏の前に来て、「お席移られますか?」と訊いたようで、余程酷かったのでしょう。バカ話で盛り上がるのは分からないでもありませんが、TPOを弁えられない人達ですね。私も時よりそういう場面に出くわしました。キチットした身なりの若者達が、上司に対する愚痴・低レベルな芸能人の噂話・・・にうつつを抜かしていました。友人知人と酒を酌み交わしながら、高尚な話でなくても、時事・趣味・家族などの話題の方が刺激になると思うのですが。所で、最近はデジタル化の浸透で、新聞を取らない、読まない人が増えているそうです。若い頃、上司から「日本経済新聞をとって、会社に来る前に目を通してきなさい」と言われました。仕事の仕方は言うに及ばず、人間としてのあり方に関するアドバイスをしてくれた上司には、感謝あるのみです。師と言える人でした。
    (3)『第三章27項;不器用なほうがいい』より、「新人が応募する文学賞の選考会へ選考委員として参加する事が続いて、私が、これはと推した作品がことごとく落選した。・・・受賞作は分かり易くて、むこう受けしそうな作品だった。小説が以前より読まれなくなって、読者を広げるには、そういう類の作品がイイのだろうが、小説は何かの答え、結論を見つける為にあるものではない。むしろ逆で、答えがない、もしくは答えが見えない点が、何度も同じ作品を読む行為につながる」
    ●感想⇒「私が、これはと推した作品がことごとく落選した。受賞作は分かり易くて、むこう受けしそうな作品だった」。伊集院氏のような作家がいて安心しました。文学賞の裏では、人脈や金銭が動くと耳にします。真偽の程は分かりませんが、当たらずしも遠からずでしょう。今は亡き作家、S氏の逸話です。某文学賞の審査委員だった頃の話です。氏は審査の時に「金銭で受賞作品が左右される審査は出来ない」と言って、自分のコサージュを外し席上において退席したそうです。伊集院氏にもそうした気骨を感じ、拍手喝采です。次に、最近の小説に関する感想です。確かに読み易いと思いますが、立ち止まって考えさせられる本が少なくなりました。加えて、過去に読んだ本に比べ、言葉を辞書で調べる事も減りました。大江氏や遠藤氏の本は難解ですが、深慮する事が多く、読み答がありました。
    4.まとめ;本書冒頭の言葉です。「人間には一人になる状況が否応なしにやって来て、一人で生きる事と向合わねばならない事が、実は大半なのだ」。人間は、生まれる時も死ぬ時も一人です。その間の人生で諸々の人に出会い、交流し、喜怒哀楽します。当然に目標を定めその達成にも刻苦勉励骨身を惜しまず努力するでしょう。成功してもしなくても、良いではありませんか。プロセスが大切です。頑張った自分を褒めようではありませんか。そうした中で、いつかは一人で生きる事になります。現代は、戦争の恐怖や高齢化等の難題を抱え、将来の展望が見えず、私達を脅かしています。それでも生きなければなりません。一人になったら、読書で先人と会話し、楽しみを見つけたいものですね。(以上)

    • きたごやたろうさん
      「いいね」ありがとうございます。

      オイラもヒトリが好き笑。
      「いいね」ありがとうございます。

      オイラもヒトリが好き笑。
      2025/05/18
  • このシリーズも10冊目。コロナ禍真っ只中の発刊だけあり、あらためて伊集院さんの信念を強く感じることができました。ご自身の闘病もあったからか、負けない思いと励ましのエッセイが多く、勇気をもらえました。

    『働かざる者食うべからず』
    父上の教えを体現し書き続ける氏を、すごいなぁと思っていました。
    自分は、働かなくて良いならって、ずーっとぐうたらな思考でしかなかった。それが、少し変化があったんです、ここ最近。「なんか俺も頑張ってみようかな」って。。。
    答え合わせに正解したみたいで、なんか嬉しくなりました。

  • 2021年初版。著者の亡くなられたのを、きっかけに10作品目です。「大人の流儀」というメインタイトルよりも、サブタイトルにいつも惹かれます。さらに一つ一つにつけられたエッセイのタイトルも胸を打つものが多い。「大人の流儀」というよりも正確には「伊集院静の流儀」が正しいかな。相変わらず両親・若くして亡くした弟・家人とのエピソードが中心です。いつかくるであろう東北一のバカ犬との別れ、なんだか悲しい。

  • 発想やとらえ方が新たにできる本です。

    タイトルのとおりに、ひとりで生きていく練習をしないとね。誰かとはいつかはいなくなり思い出にしかならないかも…ひとりで考え感じて悩み喜び…生きていることの大切さを知る…
    ひとりは不幸ではない、ひとりにもなれない弱さが不幸を呼ぶ。
    もっと自分をわがままに自分らしく生きる自信と誇りをもとう。

    ぜひ〜

  • 結構辛口コメントもあるけど、私は好きだな。

    ネットで娘さんのこと調べていると、娘の西山繭子さんが父・伊集院さんに「この一冊だけ読めばいい」と言われたのが、ジェイムズ・ジョイスの『ダブリン市民』だとか。
    私も読んでみたくなった。

  • 書き残したいことが三つあります。

    この本は「週刊現代」2019年9月~2021年2月連載エッセイから抜粋修正したものです。
    盛んに書いているのが松山英樹さんのこと。
    〈松井秀喜氏の次にくる日本人のプロスポーツのスターは、
    私は松山英樹氏だと思っている。
    松山には同年代の中でも”たゆまず練習ができる姿勢がある”からである。
    実は松井秀喜さんにも同じものがある、と彼に近い人が語っている。
    では、なぜもっと勝てないのか?
    それは私にはわからない。
    彼のプレーを他の人よりよく見ている私としては、
    「あと少しのところで、松山英樹はメジャーも、他のトーナメントも圧巻の強さで勝つ日がそこに来ている」
    と信じている〉

    この4月11日松山英樹さんが日本人選手アジア人として初めてマスターズトーナメントを制したのは、ご承知の通り。

    二つ目は、大病をされたとニュースで聞いていて、
    気になっていました。
    無事復帰されたそうで、安心しました。

    三つ目。今月、新刊エッセイをこれで3冊読みました。
    村山由佳さん、群ようこさん、そして伊集院静さん。
    もともと興味のある作家さんですが、たまたまです。

    そしたら、三人とも、長いこと飼っていた老いた
    犬猫が亡くなった話を書いているのです!
    ペット(なんて軽いものじゃないと怒られそうですが)に疎い私にとって、その三匹は同一のように感じられました。

    それで思い出したのですが、
    ずっと前にちょっと気功を習ったことがあり、
    何もわからないままやめた、
    その時の先生のお話。
    この世に目に見えない気の流れがあって、
    それに嵌ると同じような経験が続くことがある。
    それは他愛のないものではあるが。
    そんな内容だった記憶があります。

    この二週間に読んだエッセイの中に老犬老猫が登場し亡くなるーそれは気の流れによるものなのか。
    そしていつまで続くのでしょうか。

  • 大病を克服された著者の力強い言葉に勇気づけられる幸せを噛みしめています。本当によかった。

  • 「大人の流儀10」
    齢ばかり重ねても「大人の流儀」に届かない私
    伊集院静のズバッと言い切るところがいい
    うなずくところが多い
    でも鼻につく

    「無頼作家」さん、お元気で
    ノボくん、がんばったね

    ≪ 味わえる ひとりの時間 いいもんだ ≫

  • 初めて読んだ伊集院静さんの本。
    エッセイなので読みやすかったです。
    結構バッサリ切り捨てていて、こんなこと言っていいの?とこちらが心配になるほどでした。
    前回のラグビーワールドカップのことやコロナ禍になってからのことも書かれていて、そんなに月日が経ったのかーと時の流れの早さにビビりました。

  • そうか、伊集院さんくも膜下出血だったのか
    よく回復したな
    長生きしたノボも亡くなった
    人に対する見方も伊集院さん独特で
    面白い
    でも鹿児島の男は、彼が書いているタイプばかり
    ではない
    人の顔色ばかりみて、卑怯な輩も
    けっこういるよ

  • とうとうノボさん亡くなったんですね。お二人のやりとり、最高でした。家族って凄い。奥様とお母様も。病気回復されて良かったです。

  • この作家の小説は読んだことがない。
    小説を読んでから、このエッセイ集を読むと、また違って見えるものがあるのだろうな。
    忠臣蔵を題材にした作品を読んでみよう。

  • 犬との17年間の暮らし、我が家の駄犬も17歳を超え虹を渡った。
    子供達と過ごした時間、家内と、家族の時間は犬を中心に回っていたのかもしれない。
    人生終盤の男の生き方、じっくり読むことができた。

  • ひとりをたのしむ、というより、人との繋がり方について言及されているように感じた。
    誰でもいつかは死ぬ。それを肌感で言語化して心に響くよう伝えることのできる作家だと思う。何度もこのシリーズを読み、泣いた。
    この本で、東北一のバカ犬(これは伊集院氏しか使ってはいけないワードです)ノボくんが亡くなってしまった、その寂しさがとても伝わってくる。一人と一匹ではなく、本当に二人、と書くにふさわしいと感じる。

    厳しくも少し優しいような今回の作品、伊集院氏は、私ごときが言えることではないが、優しく、こうありたいと思う理想の人間だと思う。
    私は、とても好きです。
    いつまでも、このシリーズを読めますように。

  • 10年前のコラムから読んでますが、ずいぶん先生の印象がかわりました。なんというか静寂というかきつく文章を書いていても、静かな印象の文体になりましたなあ。

  • 数年に一度読みたくなる大人の流儀シリーズ。
    辛口風だが愛犬やゴルフのネタが多く興味が湧く。
    とても心静かに読める本であり、読むと心が安らぐ。

    P115
    優秀な経営者はすべて、イラチで、短気で、瞬間湯沸かし器である。ゴルフを一緒にしていても、前の組がノンビリというか、あちこち行って前へ進まないと、こう言う。
    「何だ!あの連中は。バカなのか。アホなのか。何なんだ?」
    ゴルフが遅いプレーヤーは、作家でも、経営者でも、職人でも、全員役立たずである。

  • 深い。背筋が延びる思いです☺️厳しく、優しい。

  • 女子栄養大学図書館OPAC▼ https://opac.eiyo.ac.jp/detail?bbid=2000058026

  • ひとりをたのしむというタイトルと内容はかけ離れているように感じたが、今の時代に対する思いがつづられた辛口なエッセイだと思った。

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著者プロフィール

1950年山口県生まれ。’81年短編小説「皐月」でデビュー。’91年『乳房』で吉川英治文学新人賞、’92年『受け月』で直木賞、’94年『機関車先生』で柴田錬三郎賞、2002年『ごろごろ』で吉川英治文学賞、’14年『ノボさん 小説 正岡子規と夏目漱石』で司馬遼太郎賞をそれぞれ受賞する。’16年紫綬褒章を受章。著書に『三年坂』『白秋』『海峡』『春雷』『岬へ』『駅までの道をおしえて』『ぼくのボールが君に届けば』『いねむり先生』、『琥珀の夢 小説 鳥井信治郎』『いとまの雪 新説忠臣蔵・ひとりの家老の生涯』、エッセイ集『大人のカタチを語ろう』「大人の流儀」シリーズなどがある。

「2023年 『ミチクサ先生(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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