いのちがけ 加賀百万石の礎 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065234624

作品紹介・あらすじ

加賀百万石の始祖、前田利家。その若き浪々の日々も、大大名となった後も、常に付き従い、幾度も主君の危難を救った家臣がいた。
村井長頼、その知られざる忠義の生涯。そして、長頼が主君の肩越しに見た、信長・秀吉・家康ら天下人の姿――。
第2回「決戦!小説大賞」受賞。
デビュー作にして、珠玉。戦国は今、新たな語り部を得た!

感想・レビュー・書評

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  • 加賀百万石の礎を築いた前田利家とその家臣・村井長頼が、信長・秀吉・家康それぞれの時代を、共に歩んだ長編小説。激しい戦(いくさ)の中で、また泰平の世の中で、何に"いのちがけ"で臨むのか、そんなことを考えてさせられる物語だった。

  • 前田利家の家臣・村井長頼が主人公。その視点で語られる、信長、秀吉、家康、そして主君・利家の姿。
    当事者ではなく、一歩引いた視点で描かれているのがいい。決して聡くもなければ要領もよくない長頼の武骨な誠実さも好もしい。
    誰かを悪役にするのではなく、歴史の大きな流れを描いているところもいい。

  • 「高瀬庄左衛門御留書」が殊の外面白かったので、処女作を拝読。村井長頼が主人公という渋い設定時点で石川県生まれの私には垂涎。「高瀬~」ほどの小説としての醍醐味はなかったが、端正で流麗な文章は本当に読んでいてウキウキする。著者の優れている点は章の始まりの意表を突く見事さにもある。前章からの連続性を微妙にずらしながら入っていくところが新たな物語の進展をうかがわせ、とても興味をひく。本当に次回作が楽しみ。

  • 前田利家の家臣、村井長頼の物語です。
    信長に仕える利家が放逐されていた頃から利家のすぐ傍に仕え、信長、秀吉、家康…など、時代を動かした武将たちがそれぞれの思惑で動き回る乱世の中を生き残るために、周囲の動きを見極め立ち回る利家の姿と、それを支える長頼のちょっと不器用だけれど実直な姿が描かれています。
    武将としては駆け出しだった青年時代から、実績を積んで重要な武将として頭角を現す利家と一緒に成長していく様子を追いかけるのが頼もしいし、主従の信頼関係が深まっていく様子がじんわり伝わってくるのも気持ちいい。最初から関係が出来上がっているというよりも、主も、家臣も、立場をわきまえつつも互いにしっかりと思いやり、試行錯誤しながら関係を大事にしていく展開にぐっときました。
    青年時代の淡い恋バナも、伏線をちりばめ最後にきちん回収してくれているし、前田家からの目線で描かれる戦国時代の名シーンが、ドラマを見ているように目に浮かぶ感じで読めたのも楽しかったです。

  • 前田利家の家臣の目線からの本。時代が駆け足で進み、読み始めは物足りなさを感じたが、気づくとそれぞれの岐路での決断に心動かされていた。武士の生き様。命がけ。に感動。

  • 3

  • 図書館で借りてこの作家ファンになった。文庫で購入。

  • 前田利家とその家来、村井長頼。信長の怒りをかって尾張を放逐されていた時期から物語は始まる。砂原浩太郎の作品を神山藩シリーズから読んだので、実在した人物を描く作品を初めて読んだ。信長から疎んじられていた時期から百万石の大大名になるまで利家に従った長頼の目を通して、主君たる寿栄のほか、信長、秀吉、家康という天下人の「ある日ある時」の様子を描いている。英雄たる利家そのものではなく、豪傑でもなく、知将でもない、忠義の家臣の長頼を描いたところが砂原浩太郎ののちの作品を思わせる。

  • 長頼と利家の繋がりの強さ、読みごたえがあった。長頼が主と強く繫がる以前からのふたりをずっと追いかけていくのが楽しかった。長頼の成長が分かるのもまた楽しい。読み進めるにつれ、主従の絆が強まっていくのが分かる。

  • 2023.5.19

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著者プロフィール

1969年生まれ、兵庫県神戸市出身。早稲田大学第一文学部卒業。出版社勤務を経て、フリーのライター・編集・校正者に。2016年「いのちがけ」で第2回「決戦!小説大賞」を受賞。2021年『高瀬庄左衛門御留書』で第34回山本周五郎賞・第165回直木賞候補。また同作にて第9回野村胡堂文学賞・第15回舟橋聖一文学賞・第11回本屋が選ぶ時代小説大賞を受賞、「本の雑誌」2021年上半期ベスト10第1位に選出。他の著書に『いのちがけ 加賀百万石の礎』、共著に『決戦!桶狭間』『決戦!設楽原』『Story for you』(いずれも講談社)、また歴史コラム集『逆転の戦国史』(小学館)がある。

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