とにもかくにもごはん

著者 :
  • 講談社
4.01
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本棚登録 : 1669
感想 : 125
  • Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065237144

作品紹介・あらすじ

うまくて、泣ける。
子ども食堂を取り巻くひとたちの生きづらさと希望を描く、老若男女群像劇。

「この本は私にホッとする明かりを灯してくれました。子ども食堂は人の数だけ人生があり、その人生がつながっていく場所。分断を迫られている今、ぜひこの本を読んでもらいたいです。私はもう続編を期待しています」ーーはるな愛

午後5時開店、午後8時閉店。
亡き夫との思い出をきっかけに松井波子が開いた「クロード子ども食堂」。
スタッフは、夫とうまくいかない近所の主婦や、就活のアピール目的の大学生。
お客さんは、デートに向かうお母さんに置いていかれる小学生や、
娘と絶縁し孤独に暮らすおじいさん。
みんないろいろあるけれど、あたたかいごはんを食べれば、きっと元気になれるはず。

やさしくって、おいしくって、心にしみる。
子どもも大人もお年寄りも、みんなまとめていらっしゃい。

感想・レビュー・書評

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  • とてもよいタイトルだと思う。
    「とにもかくにもごはん」。そのとおりだな、と思う。
    ごはんを食べられれば、たいていのことはうまくいく。

    子ども食堂を舞台にした群像劇。
    登場人物同士のふれあいにうるっとくる。

    「子ども食堂」とは、地域住民や自治体が主体となり、無料または低価格帯で子どもたちに食事を提供するコミュニティの場のこと。

    食事が格安で食べられる、というだけでなく、子ども同士、親同士のコミュニケーションが取れる、アットホームな雰囲気で誰かと食事ができるなどと言った利点がある。

    コロナで黙食が求められているけど、誰かと話をしながら食事をすることって、特に成長期のこどもには人間形成のために、とても大切なことなのではないか。
    僕みたいな呑んべいのノミニケーションの何千倍も。

    日本は子どもの相対貧困率が高く、6人に1人が貧困状態ともいう。貧困状態になくても団らんの余裕がない家庭は多いだろう。

    子ども食堂は潜在的なニーズが高いと思う。
    かと言って、行政で(税金かけて)運営するものではない気がするし、ボランティアで継続するのはとても大変。
    零細な子ども食堂のために寄付を効率的に集めて使う、社会的な仕組みが必要ですね。

  • しみじみ感じた一冊。

    子ども食堂を舞台に彩られる物語。

    自分のために今、誰かが料理をしてくれた…この温かさ、大切さをしみじみ感じた。

    出来立ての温かさだけじゃない、気持ちの温かさが愛情という栄養になって老若男女誰もの心に行き渡るんだよね。

    生きるとは食べること。

    食べることが身体はもちろん心をもつくる。

    ここで温かさをいただいた子はちゃんと未来の自分への栄養をいただいて、羽ばたいていくに違いない。
    何かの折にこの温かさを思い出すに違いない。

    まるで一輪の花がパッと咲いたようなラストに思わず笑顔と涙こぼれた。

  • 大人側の気持ちと子ども側の気持ち。ボランティア側の事情。それぞれの家の事情。どれもよくわかる作品だった。
    親が離婚したとか、片親であるとか血の繋がりはないとかっていう家族は今時本当に多い。
    そんな家庭の子どもは小さいながらも親の事情を理解するし、どこか大人びて成長するし、親は親で、その人なりに必死に頑張っている。

    子ども食堂。私も子どものときに近くにあったら行っただろうか。
    確かに1人だと、知っている人がいないと、行きにくいかもしれない。

    だけどきっと、どんな子どもでも温かく受け入れてくれる場所。
    ボランティアはすべて自己満足でやっている、「やってあげている」という気持ちは持たない、ということは私も肝に銘じようと思った。

    最後、よかった。
    やさしくて穏やかな読後感だった。

  • 老若男女、誰もが抱えるような大なり小なりの家庭の問題が、陰と陽で表現されています。いくつになっても、人と適度な交流を持ち、冗談の言えるような居場所を築きたいなと思いました。

    小野寺さんの作品は、思っていることを全て言葉で表現してくれるところに、ぽっと温かさを覚え、救ってくれます。

    メモ:
    「ゴールなんてない。強いて言えば、ゴールを先へ先へと遠ざけていくことがゴール。すなわち、続けることそのものがゴール。」
    「ありがとうって言われたいっていう気持ちは、いつの間にか言わせたいに変わっちゃいそうだから。」
    2021.11/7-8

  • 子ども食堂のお話。
    こういう場所に救われる子は、たくさんいるんだろうなぁと思いました。私も近くにあったらボランティアに行ってみたい。いろいろな家庭があって重い話のようででも、読んでいてホッコリしました。
    最後の数ページは、泣けました。

  • 心が温かくなる。
    そして、人と人とのつながりはとても大切だと改めて思わせてくれた。

    「子ども食堂」を開いたのも亡くなった夫が公園で出会った男の子がきっかけ。
    そして店舗もカフェ「クロード」が閉店したところ。
    昔、息子がガラスを割って決して良い関係じゃなかった相手だが、何度もお願いして…。

    こういうスタートだが、スタッフたちにもそれぞれ抱えている悩みがあり、そして来てくれる子どもたちや親もいろんな思いがある。
    それが少し話しをするだけで心の中のモヤモヤが解けていくような…そんな気持ちになる。

    ここ最近、聞くようになった「子ども食堂」だが
    ちゃんとごはんが食べられてない子に提供する、だけではなく現在も模索して進化しているのだろう。

    孤食、にならず誰かと食べるのが一番いいだろうとは思うが貧困だけではなくひとりで食事をしている人はかなり多いだろう。
    そういう人は子ども食堂には入りにくいものだ。
    だが健康でやる気があればスタッフとして働けるというのも一理あると感じた。

  • 【目次】午後四時 こんにちは 松井波子/午後四時半 おつかれさま 木戸凪穂/午後五時 いただきます 森下牧斗/午後五時半 ごちそうさま 岡田千亜/午後五時五十五分 お元気で 白岩鈴彦/午後六時 さようなら 森下貴紗/午後六時半 ごめんなさい 松井航大/午後七時 ありがとう 石上久恵/午後七時半 また明日 宮本良作/午後八時 初めまして 松井波子 
     子ども食堂を始めた松井波子。子どもは0円、大人は300円。ボランティアと共に試行錯誤している。
     大学生ボランティアの二人はそれぞれ温度差があり、調理担当スタッフも家庭の事情を抱えている。そしておっかなびっくり食堂を訪れる子どもたちもそれぞれの思いを秘めている。
     波子の、押しつけがましくしたくないし、ありがとうを強制したくもない、自分がやりたいからやっているという姿勢は好ましい。ボランティアとはそういうもの。
     

  • 子ども食堂を舞台に登場人物それぞれの目線と立場から話が展開される。参加する人、来店する人の事情があって、それが食堂での触れ合いを通じて少し変化していく様子に心が温まるお話でした。

  • 子供は社会の宝、こんな形で子供の成長を見守っていけたら素晴らしい

    子供はあったかいご飯をいっぱい食べて、明るく笑って成長して欲しいけれど、なかなか今の世の中そう簡単なことではない

    不仲だった松井隆大と波子夫妻だが、
    「一度でもいいから、エイシンくんにウチでメシを食わしてやりゃよかったなあ」
    という急死した夫の言葉がきっかけとなって子ども食堂を始める

    してあげている、食べさせてあげているではなく、自分がやりたいからということに徹する波子さん
    「ありがとう」の言葉は期待しない、求めない

    まるで暖かい春風がさあーっと吹いて、桜の花びらをひと所に寄せていくように、いろんな人をさりげなく誘い包み込んでいく波子さんの行動力、包容力すごい!

    夫が最期まで気にかけていたエイシン君が、あんな形で最後に出てくるなんて、波子さんでなくても、鼻の奥なのか目の奥なのかとにかくツンとくる
    温かい気持ちで、私もこんなお手伝いがしたいなあと素直に思えた

    さすが小野寺作品、あったかい

  • 人の優しさはどこかで繋がっていく。最後の最後で波子さんの気持ちになって感激でした。

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著者プロフィール

千葉県生まれ。2006年「裏へ走り蹴り込め」でオール讀物新人賞、08年「ROCKER」でポプラ社小説大賞優秀賞を受賞。著書に『ホケツ!』『家族のシナリオ』『ひと』(以上、祥伝社文庫)、『まち』(祥伝社文芸四六判)、「みつばの郵便屋さん」シリーズ、『食っちゃ寝て書いて』『タクジョ!』『今夜』『天使と悪魔のシネマ』『片見里荒川コネクション』『とにもかくにもごはん』『ミニシアターの六人』など。

「2022年 『いえ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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