地球にちりばめられて (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
3.77
  • (14)
  • (15)
  • (13)
  • (3)
  • (2)
本棚登録 : 477
感想 : 19
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065238158

作品紹介・あらすじ

「国」や「言語」の境界が危うくなった現代を照射する、新たな代表作!

留学中に故郷の島国が消滅してしまった女性Hirukoは、ヨーロッパ大陸で生き抜くため、独自の言語〈パンスカ〉をつくり出した。Hirukoはテレビ番組に出演したことがきっかけで、言語学を研究する青年クヌートと出会う。彼女はクヌートと共に、この世界のどこかにいるはずの、自分と同じ母語を話す者を捜す旅に出る――。

誰もが移民になりえる時代に、言語を手がかりに人と出会い、言葉のきらめきを発見していく彼女たちの越境譚。

「国はもういい。個人が大事。そこをいともたやすく、悲壮感など皆無のままに書かれたのがこの小説とも言える」
――池澤夏樹氏(文庫解説より)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 『星に仄めかされて』の前日譚。Hirukoが消滅した故郷の言葉(日本語?)を話す者を探すことからはじまる物語。彼女の作った〈パンスカ語〉はじめいろんな言語を選び語り合う彼らの関係性の変化が面白く目が離せない。多和田さんらしい世界観素敵!

  • 大阪大学司馬遼太郎記念学術講演会・箕面新キャンパス開学記念国際シンポジウム - 大阪大学
    https://www.osaka-u.ac.jp/ja/news/event/2021/11/1401

    祝文庫化!

    『地球にちりばめられて』(多和田 葉子):講談社文庫|講談社BOOK倶楽部
    https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000351088

  • 祖国が消滅し流浪の民となったHirukoが欧州で知り合った友人たちと日本語を話す人を探しながら、折々に言語を様々な角度から考察する物語。各章で七人の登場人物の出自や現在に至るまでの経緯が語られ、友を増やしながら旅が続く。 作者の言葉への頴敏な嗅覚を楽しみながらも、国家内で古来の独自言語を持つ少数民族にとって母国語とは、ネイティヴとは、更には国家とは何かという根源的な問題が提示され自ら考えることを余儀なくされる。「地球人なのだから、地上に違法滞在するということはありえない。」という言葉に、「外国人」への排他的差別や偏見「難民」の受容に消極的な国の、庶民には意味不明の「ダイバーシティ推進」の掛け声は虚しく響く。登場人物は、北欧3国の言葉を統一したパンスカ語を作成しているHiruko。彼女に興味を持ったデンマーク人のクヌート、クヌートに好意を寄せるインド人でトランスジェンダーのアカッシュ、日本人になりすますグリーンランド人のテンゾことナヌーク、ナヌークの彼女のノラ、そして失語症のSusanoo。テンゾに会う為にトリアーで開催予定のウマミ・フェスに出かけたHirukoはテンゾがオスロから戻らずフェスは中止に、クヌート、ノラと一緒にオスロに向かう。テンゾが日本人ではないことに気づいたHirukoは次にアルルに住むSusanooに会いに行く。

  • 震災や、このコロナ禍で感じた危機の、さらに向こう側を、あくまで「物語」として描いているのだけれど、その「物語」に吸い込まれていけばいくほど、すぐそこの現実のような気がしてくる。前に読んだ『献灯使』を読んだときも同じように感じた。とにかく登場人物が魅力的。

    留学中に母国である島国が消滅しまい、生き抜くために独自の言語をつくった女性が、同じ母国語を話す人を探す旅をしながら、数々の出会いを重ねていく。読み終わると、『地球にちりばめられて』というタイトルが、ほんとにこの物語にふさわしくて、深い意味をもつ言葉だということに、なんというか、とても、満たされた。

  • 所属がない、漂っている不安感。

    留学中に故郷が消滅したHirukoは独自の言語を作り出し使っていたところ、その言語に関心を持ったクヌートと同じ母語を話す人間を探すことになる。

    国と言語の消滅というテーマで言語に重きを置かれた作品。インターネットの日本語のサイトも消えたの?とか図書館は?とかそもそも海外に日本人けっこういるよね?とか雑念が湧いてきて最初は読み進められなかったけれども、「性の引っ越し」をしている個性的なアカッシュが登場してからはがぜん読みやすくなった。

    話の輪郭がぼやけたようなにじんでいるような独特の雰囲気。それがまた不安感を煽るんですよね。

    1巻とは銘打っていないけれど、「次巻に続く」というような終わり方。『星に仄めかされて』のプロローグだったのかな?

    藤原正彦さんの『祖国とは国語』(2005年発行)をタイトルだけ思い出しました。シオランの「人は、国に住むのではない。国語に住むのだ。『国語』こそが、我々の『祖国』だ。」から引用されたそうです。内容忘れているのでまた読みたいな。

  •  Kindleのセールで買って積んでおいたのを読んだ。著者なりのディアスポラ物語という感じでオモシロかった。毎回たくさん気づきを与えてくれる作家で、ドイツ在住だからなのか日本に対して客観的な視点をスイングしまくりの日本語で提供しているところが唯一無二だなと思う。
     物語内で明示されないものの日本が何らかの理由でなくなっておりヨーロッパ圏で難民として生きていく状況を描いている。その中で言語、出身国がバラバラの登場人物が奇妙な関係を形成していく過程がオモシロかった。日本だと移民が少ない状況なので、出身国が日本であれば十中八九、母語は日本語になるものの、移民の受け入れが進んでいるヨーロッパ圏では言語、出身国は必ずしも一致しない。事実としては知っているけど小説で読むと身近さがグッと上がった。
     登場人物が誰もが曲者で全員揃うまでは正直掴みどころがなかったけど、揃ったあたりからは会話劇としてのオモシロさが加速度的に増していき終盤はかなり読みやすくなった。あとがきにもあったけど演劇を見ているかのよう。
     毎回のごとく直喩/隠喩の使い手としてのセンスの良さが炸裂しまくり。一番好きだったのはインターネットにまつわる以下のライン。著者は世代が違えば、とんでもないラッパーになっていたかもしれないと読むたびに思う。
    -------------------------------------------------------------------------------------------------------
    今日はディスプレイの放つ光を思い出しただけで嫌悪感を覚えた。人を無理矢理、明るい舞台に引き出すようなあの光。スポットライトがまぶしくて何も見えない華やかな舞台の上で僕は虚構のスターになる。

  • おもしろかった。やはり言葉、文章って大事で、すごい力を持っていて、それにざわざわしたり、心惹かれたりする。

  • 人生で読んだ本の中で1番良かったかもしれない。多言語話者の曖昧な感覚を、こんなに不思議に面白く、でも的確に表してくれた文章に初めて出会った。多和田葉子は天才だと思う。

  •  本屋で帯を見て、留学中に母国が消滅!?自分で作った言語!?と突飛な設定が気になって手に取ったんだけど、とても面白かった!!!
    ふわふわ浮遊しているんだけど、読み進めるうちに旅の道連れが増えて、離れて、最後にまた集まってとRPGのようなワクワク感もあり、心地良い所在無さだった。

    日本生まれ日本育ちの日本人だから、生活していて言語や民族を意識することはあまりないけど、言語が自分のアイデンティティに与えている影響は大きいと思う。それは、それぞれの言語が持つ「音」が違うからというのが大きいのかも。
    わたしも、あなたも、一つのボールの上に暮らしている地球人ということを忘れずにいたい。

    「星に仄めかされて」が続編らしいので、読むのが楽しみ! 

  • 前読んでクリップし忘れてた✔️

全19件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

多和田葉子(たわだ・ようこ)
小説家、詩人。1960年東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。ハンブルク大学大学院修士課程修了。文学博士(チューリッヒ大学)。1982年よりドイツに在住し、日本語とドイツ語で作品を手がける。1991年『かかとを失くして』で群像新人文学賞、1993年『犬婿入り』で芥川賞、2000年『ヒナギクのお茶の場合』で泉鏡花文学賞、2002年『球形時間』でBunkamuraドゥマゴ文学賞、2003年『容疑者の夜行列車』で伊藤整文学賞、谷崎潤一郎賞、2005年にゲーテ・メダル、2009年に早稲田大学坪内逍遙大賞、2011年『尼僧とキューピッドの弓』で紫式部文学賞、『雪の練習生』で野間文芸賞、2013年『雲をつかむ話』で読売文学賞、芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。2016年にドイツのクライスト賞を日本人で初めて受賞し、2018年『献灯使』で全米図書賞翻訳文学部門、2020年朝日賞など受賞多数。著書に『ゴットハルト鉄道』『飛魂』『エクソフォニー 母語の外へ出る旅』『旅をする裸の眼』『ボルドーの義兄』『地球にちりばめられて』『星に仄めかされて』などがある。

「2022年 『太陽諸島』 で使われていた紹介文から引用しています。」

多和田葉子の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
凪良 ゆう
劉 慈欣
乗代 雄介
永井 みみ
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×