- 講談社 (2021年7月12日発売)
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感想 : 11件
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Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784065241332
作品紹介・あらすじ
――わたしの旅は言葉の旅でもある。多言語の中を通過しながら、日本語の中をも旅する――
「エッセイの元祖」モンテーニュ縁のサンテミリオン、神田神保町を彷彿させる「本の町」ヴュンスドルフ、腕利きのすりが集まるバーゼル、ヘルダーリンがこもったチュービンゲン、エミリー・ディキンソンが生涯過ごしたアマスト、重い記憶を残すアウシュヴィッツ。ブダペストからリガ、アンマンまで、自作の朗読と読者との対話をしながら世界四十八の町を巡り、「旅する作家」が見て、食べて、出逢って、話して、考えた。心と身体を静かに揺さぶる、五十一の断章。
みんなの感想まとめ
さまざまな街を舞台に、筆者が移民の視点を通じて人々や文化の変化を描く旅のエッセイは、読者に新たな視点を提供します。多言語の世界を巡りながら、軽やかな筆致で描かれる各地の風景や人々との出会いは、まるでそ...
感想・レビュー・書評
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文庫で再読…というか単行本で既読なのを忘れて再読してしまった(苦笑)読みながらどうもこれ読んだ気がする…と思ったら案の定。でもせっかくだから読んでしまう。久しぶりの旅の新幹線の中で読んだのでまあちょうど良かった。
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多和田葉子(1960年~)氏は、早大文学部ロシア語学科卒業後、ドイツ・ハンブルクの書籍取次会社に入社し、ハンブルク大学大学院修士課程を修了。1982~2006年ハンブルク、2006年~ベルリン在住。1987年にドイツで2ヶ国語の詩集を出版してデビュー。チューリッヒ大学大学院博士課程(ドイツ文学)修了。ドイツ語でも20冊以上の著作を出版し、それらはフランス語、英語、イタリア語、スペイン語、ロシア語、スウェーデン語、中国語、韓国語などにも翻訳されている、本格的なバイリンガル作家。1993年に芥川賞、2016年にはドイツの有力な文学賞クライスト賞を受賞。今や日本人で最もノーベル文学賞に近い作家との声もある。
本書は、著者が2005年春から2006年暮れまでに訪れた、主に欧州・北米の48の街について、日経新聞の土曜版に2006年1~12月に連載したエッセイをまとめ、2007年に出版(現在は絶版)、2021年に文庫化されたものである。
登場する街は、大半が、著者が作品の朗読会などの仕事で訪れた街であり、フランクフルト、ベルリン、チューリッヒ、パリ、ニューヨークなどの一部の主要都市は含まれるものの、(少なくとも日本人にとって)観光地として認識されている街は少ない。私は、1990年代にチューリッヒとフランクフルトに駐在し、本書に取り上げられた街の20ほどを訪れたことがあるが、初めて名前を聞いた街もいくつかある。
また、内容的にも、旅好きの作家らが書く旅行エッセイとは少々趣を異にし、「わたしの旅は言葉の旅でもある」と語り、言葉と文学に類稀な感性を持ち、『エクソフォニー~母語の外へ出る旅』のような硬質なエッセイ集も書く著者ならではのフレーバーを持ちつつも、(一般紙である日経新聞の読者を意識してか)硬くなり過ぎず、読み易いものになっている。
因みに著者は、文庫版のあとがきで、次のように書いている。「旅人としてのわたしの体験はマッチを擦った瞬間にその光でまわりが見えるようなもので、炎は数秒で消えて、あたりはまた暗闇に戻ってしまう。世界はなかなか見えにくい。旅をすることで見える範囲など限られている。・・・記憶の断片が光り、これまで見えなかったものが一瞬見え、それがステレオタイプになって凝固する前に消えていく。旅のエッセイはそれでいいのではないかと思う。」
多和田氏ならではの記憶の断片を読みながら、「旅」というか、知らない街、知らない文化、知らない人々との出会いはやはりいいなと思わせられるエッセイ集である。
(2021年8月了) -
さまざまな街が、そこに息づく人々とともに紹介されていく。ともに旅行をするというより、ともにそこに短期間、よそ者として住み着くような感じ。また、筆者の関心である移民に目が向けられ、またそれが幾層にも重なっていくことによって、街が変化していくことが想像される。
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多和田葉子さんのエッセイが好きでこちらで3冊目ですが、
この本は軽やかでヨーロッパ(主に)の町々を旅しているような
気分になれる本でした。
解説によると世界四十八の町をめぐっているとのこと。
自然体の文章が心地よいです。 -
多和田葉子さんて、多くの街に行ってるんだなぁというのが最初の感想だ。ヨーロッパを中心に北欧やアメリカなど、訪ねている国もたくさんだ。若い時に数カ国しか行ったことのない私には、この本を読むと旅気分になって、ワクワクする。時々旅もののエッセイを読みたくなるのだが、そんな気持ちにふさわしい本であった。
吹き替え映画のことを、『なんだか人に一度噛んでもらった物を食べているようで不満が残る』という表現が言い得て妙でよかった。 -
文章の透明感に吸い込まれそうな感じ。観光では行かないような街、全く知らなかったような街が多かったのに、実際に自分も旅している気分になった。
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優しい筆致で、それは景色に対しても事象に対しても、友人たちにも優しい眼差しが向けられている。どうして日経の日曜版連載は名エッセイが多いのだろうか。
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2021I142 915.6/Ta
配架場所:C1
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著者プロフィール
多和田葉子の作品
