- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065243008
作品紹介・あらすじ
湯豆腐やいのちのはてのうすあかり
神田川祭りの中をながれけり
なにがうそでなにがほんとの寒さかな
小説家・劇作家として大成した万太郎は、10代より亡くなる直前まで、俳句を作り続けた「文人俳句」の代表的俳人でもあった。本書は、万太郎が創刊・主宰した俳誌「春燈」の継承者が、その俳句の魅力と技術、交友関係までを哀惜と畏敬の念を込めて綴った名著であり、万太郎俳句のすぐれた入門書でもある。俳人協会評論賞受賞作。
感想・レビュー・書評
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万太郎に師事した俳人による1冊。評伝・作品論のほか、同じく俳句を作った室生犀星、芥川龍之介との比較や「万太郎の食べもの俳句」など盛りだくさん。
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万太郎の「私俳句」の抒情俳句の世界を赤裸々に解説。絢爛たる枯淡の詩。
十七音、季題、切れ字の作句三原則を堅持、人生流寓、小説・戯曲が本職、俳句は余技。松根東洋城、芥川龍之介、安住敦等、「春燈」の師弟関係を解説。俳句は、
神田川祭の中をながれけり(T14)
したゝかに水の打ちたる夕ざくら(T15)
時計屋の時計春の夜どれがほんと(同)
ゆく春の鼻の大きなロシア人(17)
(戦後)
あはゆきのつもるつもりや砂の上(21)
古暦水はくらきを流れけり(26)
水うつやとべる子がいる孫がいる(32)
まゆ玉のしだれひそかにもつれけり(36)
湯豆腐やいのちのはてのうすあかり(38)
春の灯の水にしづめり一つづつ(38)
小てまりの花に風いで来りけり(絶句)
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