天路

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 116
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (194ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065243756

作品紹介・あらすじ

国と国、言葉と言葉の〈間〉を旅する作家がたどりついた、世界の臨界点。世界の声が響きあう越境文学の達成!

アメリカを捨て日本に移り住んだ作家は、故国に残した母の死を抱えて中国の最果て、チベット高原へと赴く。
一千年の祈りの地でたどる、死と再生の旅。

30年前から日本に暮らすアメリカ国籍の「かれ」は、故国の母の死を受けいれられぬまま、漢民族の友人とともにチベット高原を旅する。「世界の屋上」と呼ばれるその土地は、一千年来、ひたすら生と死に思いをめぐらせてきた人々の文化が息づく場所だった。異質な言葉との出会いを通して死と再生の旅を描く、読売文学賞作家の新たな代表作。

・収録作「西の蔵の声」評より――
「喪失の痛みからの回復をこうやって異質な言葉との出会いを通して描くことができるというのは、ほんとにすごい。リービさんの名人芸」松浦理英子氏(群像2019年3月号創作合評)

「エクソフォニーをさまよい続ける作者の、母の死との対峙と開眼の瞬間が描かれている小説であり、非常に感銘を受けた」鴻巣友季子氏(同上)

「言語だけを携えて、作者は世界に立ち向かっていく。この作品は一人の人間の中に沸き起こる複数の言語と文化、過去と現在の共振として読まれるべきように思う」
――磯﨑憲一郎氏(朝日新聞2019年1月30日文芸時評)

感想・レビュー・書評

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  •  傑作だと思いました。感想はブログに書きましたが、とにかく、まあ、傑作です。
       https://plaza.rakuten.co.jp/simakumakun/diary/202211180000/

  • #アマー不在廻る世界の天じょうでブルーバードの国家を剥がす

  • 自己の生育歴に照らしながら、新宿の暮らしから、チベットの旅へ、祈りと遊牧の暮らし、わからない文字や、言葉と格闘しながら、天空の路を友人とめざす。
    不在という言葉が何回も出てきた。
    人は生まれてどこへいくのか。
    不思議な感覚の本。

  • [鹿大図書館・冊子体所蔵はコチラ]
    https://catalog.lib.kagoshima-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BC10556895

  • 2021I130 913.6/L
    配架場所:C1

  • 天路。天へと続く路(ティエン・ルー)を、ブルーバードとロンリープラネットで旅する巡礼の話。「かれ」が抱える「不在」が母の死だと分かるまで、物語の奥行きは砂嵐にまぎれて見えづらい。チベットの独特な文字と言葉に出会いながらルーツの複雑な主人公は、「やさしい真言」の詩のような響きに導かれて進み続ける。
    世界には自分たちの言語に訳せない言葉がある。帰る場所なんて、遠くに行かなければ見つからない。この2年ほど忘れていた、異国での発見を思い出す、彷徨の読書。蓮華に入った宝石に敬礼。

  • ポーランド系の母を持つアメリカ人の筆者。
    少年期を一時台湾で暮らす。占領時の日本人の建てた邸宅で育った作者は幼い頃から仏像の面影に親しんでいた。
    今は新宿の和室のアパートで暮らす。
    度々中国大陸に赴き、彼の地にも農村出身の友人がいる。
    二人でチベットに尋ねた時のことをモチーフに、アメリカ、日本、仏教との中に自分自身の落ち着く場所を得る。

  • 岐阜聖徳学園大学図書館OPACへ→
    http://carin.shotoku.ac.jp/scripts/mgwms32.dll?MGWLPN=CARIN&wlapp=CARIN&WEBOPAC=LINK&ID=BB00618640

    第74回野間文芸賞受賞!

    国と国、言葉と言葉の〈間〉を旅する作家がたどりついた、世界の臨界点。世界の声が響きあう越境文学の達成!

    アメリカを捨て日本に移り住んだ作家は、故国に残した母の死を抱えて中国の最果て、チベット高原へと赴く。
    一千年の祈りの地でたどる、死と再生の旅。

    30年前から日本に暮らすアメリカ国籍の「かれ」は、故国の母の死を受けいれられぬまま、漢民族の友人とともにチベット高原を旅する。「世界の屋上」と呼ばれるその土地は、一千年来、ひたすら生と死に思いをめぐらせてきた人々の文化が息づく場所だった。異質な言葉との出会いを通して死と再生の旅を描く、読売文学賞作家の新たな代表作。
    (出版社HPより)

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著者プロフィール

リービ英雄(1950・11・29~)小説家。アメリカ合衆国カリフォルニア州生まれ。少年時代を台湾、香港で過ごす。プリンストン大学とスタンフォード大学で日本文学の教鞭を執り、『万葉集』の英訳により全米図書賞を受賞。1989年から日本に定住。1987年、「群像」に「星条旗の聞えない部屋」を発表し小説家としてデビュー。1992年に作品集『星条旗の聞こえない部屋』で野間文芸新人賞を受賞し、西洋人で初の日本文学作家として注目を浴びる。2005年『千々にくだけて』で大佛次郎賞、2009年『仮の水』で伊藤整文学賞 、2016年『模範郷』で読売文学賞、2021年『天路』で野間文芸賞を受賞。法政大学名誉教授。

「2023年 『日本語の勝利/アイデンティティーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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