老虎残夢

  • 講談社 (2021年9月16日発売)
3.29
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Amazon.co.jp ・本 (338ページ) / ISBN・EAN: 9784065245620

作品紹介・あらすじ

第67回 江戸川乱歩賞受賞作。

最侠のヒロイン誕生!
湖上の楼閣で舞い、少女は大人になった。
彼女が求めるのは、復讐か恋か?

各選考委員絶賛!
綾辻行人「論理的に真相を解き明かしていくスタンスにはブレがなく、スリリングな謎解きの演出も◎」
京極夏彦「南宋の密室という蠱惑。武侠小説としての外連。特殊設定ミステリという挑戦。愉しい」


私は愛されていたのだろうか? 
問うべき師が息絶えたのは、圧倒的な密室だった。
碧い目をした武術の達人梁泰隆。その弟子で、決して癒えぬ傷をもつ蒼紫苑。料理上手な泰隆の養女梁恋華。三人慎ましく暮らしていければ、幸せだったのに。雪の降る夜、その平穏な暮らしは打ち破られた。

「館」×「孤島」×「特殊設定」×「百合」!
乱歩賞の逆襲が始まった!

みんなの感想まとめ

武侠ミステリの舞台は、中国の南宋時代。武道に厳しく鍛えられた女性主人公が、師匠の不審死を解明するために立ち上がります。密室状態の湖上の楼閣で繰り広げられる謎解きは、外功や内功といった武術の技が鍵となり...

感想・レビュー・書評

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  • 中国の宋時代の話。女性主人公は師匠について、武道を小さい時から厳しく鍛えられてきた。外功、内功、軽功という考え方が面白い。外功は力のみの技、内功は内に気をためて発する力かな。毒を飲まされてもその力で排出することができるぐらいなのだ。軽功の力を使うと、水の上をぽんぽん飛んでいけたりする。この辺のことを謎に織り込んでいるのが、この小説の肝かな。湖の真ん中にある密室状態にあった八仙堂で師匠が殺されるというのが謎なのであるが、たった数千の兵で魏を乗っ取った司馬懿やチンギスハンが関わってきたりとなかなか雄大な話になっていくのだが、真相は大山鳴動して鼠一匹という感じかなあ。でもまあ、結構推理の過程が面白かった。主人公の紫苑と師匠の義理の娘の恋華の百合関係は必要あった?小説の彩りかな。

  • 武侠ミステリー。梁泰隆(碧眼飛虎)の弟子,紫苑。紫苑の恋人,恋華。師父泰隆が湖の楼閣で不審死。武侠の秘技が謎を解く鍵(外功・内功)。事件は解決しても虚しさ残る。
    ※祥纏(商人)文和(海幇)為問(僧)

  • 中国・南宋時代の武侠ミステリ。武術の達人である師泰隆に名だたる武侠の一人に奥義を授けると告げられた紫苑。不満はあるが招待された候補者3人を師の養女恋華と歓待。楽しい時間を過ごした次の日の朝、湖の中に建つ楼閣で泰隆が死亡していた。船は楼閣側で密室状態。師の敵を討つため紫苑は楼閣内で死の真相を推理する。内功という技で湖を渡れたり解毒出来たりで謎成立しないじゃないか、な設定は面白いし登場人物は魅力的だし紫苑と恋華の百合百合もご馳走様なんだけど最後がどうも肩透かし感が拭えない。設定を上手く使って謎を成立させてはいるけどHowがWhyに負けている気がする。

  • ミステリ書評家・村上貴史さんが選ぶ、気鋭の若手ミステリ作家3作品 | レビュー | Book Bang -ブックバン-
    https://www.bookbang.jp/review/article/715377

    桃ノ雑派(桃野雑派)(@momonozappa) • Instagram写真と動画
    https://www.instagram.com/momonozappa/

    『老虎残夢』(桃野 雑派)|講談社BOOK倶楽部
    https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000354630

  • まるで金庸の描くような武侠小説を舞台建てに本格推理を展開するというのは面白い。外功・内功・軽功などの言葉が飛び交う事できっちり世界観が構築できる。金庸をむさぼり読んだ頃を懐かしく思い出す。こうなってくると本格ミステリであることを忘れ、武侠小説としての面白さを期待してしまう。しかし、本書はこの世界観の中できっちり本格推理を展開しているのだ。それも密室ものとなれば面白くないわけがない。論理による謎解きが次から次へと展開されていくとことは、卓越した構成力を感じさせる。詰将棋のように本当に論理が1本しかないのかは微妙であるが、勢いで読めてしまうしそのことに不満はない。また、途中で明らかになる大掛かりな背景は少し「やり過ぎ感」があるが、武侠小説的には「あり」だと感じる。乱歩賞受賞作らしい才気ばしった感が感じられ、次回作が待ちどおしい。

  • 密室不審死から始まる武俠ミステリー、江戸川乱歩賞受賞作品。色々な知識を盛り込みすぎてスピード感が無いって感じかな。

  • オビに書かれている設定があまりに特殊なので尻込みしてしまうが、この作品の本質は湖に浮かぶ孤島で発生する密室事件の謎を暴く本格ミステリーの要素にある。

    南宋時代の武術家達が奥義継承を巡り島に集まり、そこですったもんだのうちに師匠の死体が発見され犯人探しの捜査が始まる、と冷静に読めば実にシンプル。

    随所にぶっ込まれる百合設定はあまりミスリードの用を成しておらず、であればもっと描写を濃厚にしていれば読者の目眩しとして一役買っていたかもしれない。
    また南宋期の話という事で金や蒙古との対外情勢についても触れられるが、この辺は最低限の予備知識があった方が理解が進み易いと思う。

    何よりも結末が拍子抜け。さすがにあっさりし過ぎというか、本当に突然終ってしまった。
    登場人物は少ないし密室なので犯人推理は楽しい。

    第二章まで行けばあとは一気読みコースでした。


    1刷
    2021.10.28

  • 江戸川乱歩賞受賞作。
    南宋を舞台にした任侠小説の体裁をとっている、本格系のミステリー。

    受賞後、加筆しているらしいが、なかなか良く出来ている感じ。最近読んだ中だと、屍人荘〜と同じ系。

  • フランク・ザッパから名前を頂いたらしい桃野雑派著。図書館の予約本を取りに行ったついでに並べたての新刊を覗くとこの本が目に飛び込んだ。なんか中華風。帯には江戸川乱歩賞受賞と。館、特殊設定、孤島、百合…おぉ、魅力的ではないか。

    舞台は南宋。武侠小説×ミステリ。気の流れを操る内功と肉体を鍛えて得る外功。いわゆる気功みたいなイメージ。そんな特殊な力を操る人らの中で起こった密室殺人。キャラ同士の争いも面白いし、更に二転三転するミステリ要素もあって面白かった。意外なミスマッチに拍手。勝手に配役しながら楽しく読了でした。

  • 南宋の時代、ある孤島で事件が発生した。死んだのは武術の達人梁泰隆。それまで、弟子の蒼紫苑と料理上手な養女梁恋華の他に梁泰隆が突然呼び寄せた三人の武侠たちを招いて、会話を楽しんでいた。湖の上で起きた密室事件。果たして事件の真相とは?


    第67回江戸川乱歩賞受賞作品。武侠の要素あり、百合の要素ありと異色を放っていました。
    正直、蒼紫苑と梁恋華との百合の関係の必要性があったのかという疑問はあったのですが、愛の深さや同性愛といったタブーな部分などに着目すると、良いエッセンスとして、事件に絡んでいるなという印象はありました。

    小さな島で起きた密室事件に謎解きとしては特殊すぎたり、設定を把握するのに苦労はしました。
    まず、南宋ということで、個人的に苦手な漢文や中国読みの名前、武侠が大変でした。

    文章としては、読みやすいですが、「なんとなくこういう状況なんだ」という表面的な解釈で読み進んでいたので、魅力の半分くらいしか楽しめませんでした。

    ミステリーとしては、特殊な設定ながらも、トリックとしては意外にシンプルだなと思いました。大胆ではあるものの、自分の中での期待値が高かった分、うーんと思ってしまいました。
    それでも、少人数で展開する推理劇、意外な展開など色々楽しめました。
    達人に秘められた過去が段々と明らかになっていきますが、背景にある「復讐の連鎖」や「愛情」も相まって、楽しめ他のですが、そのスケール感が凄かった分、事件とのアンバランス加減にモヤモヤ感がありました。

    江戸川乱歩賞としては、意外なところから攻めてきたので、異色を放っていました。

  • 一人一人のキャラがとても生き生きしていて読んでいると頭の中で映像がすっと浮かび上がった。
    特殊能力×館密室×ミステリー×百合と言うなんともてんこ盛りな1冊。
    ざっくり言えばNARUTOでミステリーみたいな感覚だった。
    ただその特殊能力に関しては作者本人しか詳細が分からないから実は読者に明かされてないだけで他に湖を渡る能力とかがあるならこのミステリーは成立しないのでは?
    と思ってしまう所もちょっとあったけど、それでも面白かった。
    個人的にはミステリーより戦国物とかキャラ立ちするバトル系の小説を書いて見て欲しいなと思ってしまった。

  • 南宋の武侠が主人公の物語なのに孤島の館が舞台の密室殺人?しかも百合要素までありですって!?
    いやはや驚きの乱歩賞受賞作です。
    老齢の師が弟子以外の武侠3人のうちの1人に奥義を授ける、と決めた後に迎えた不可解な死。
    いつ、だれが、どうやって、何のために師を殺したのか。
    招かれた3人。それぞれと師との関係。解かれていく謎。明らかになる真実。
    スリリングな展開にのめりこむ。人が生きる意味、死ぬ意味、求められる道。極限まで鍛え抜かれる厳しさの果てにあるもの。その世界でしか生きられぬ彼らの人生を思う。
    外功も内功も持たぬ身でよかった。いや、武侠にもなれませんけど。

  • 昔の中国のようなところが舞台
    武人の師匠の弟子である紫苑が主人公
    師匠の昔の関係者が奥義を授けるとのことで3人集まった久しぶりの再会に宴が盛り上がるが、翌日師匠は孤島の館で亡くなっていた

    師匠の仇を討つべく犯人探しをする紫苑
    事件の真相は大きな陰謀が隠されていたが、この話のテーマは復讐よりも色んな立場の人の愛なのかなと読んでいて思った

    容疑者となる3人の関係者も主人公も主人公の恋人もキャラとしてとても良く、どの人物も犯人じゃないといいなぁなんて思いながら読んでいた

  • ワクワク、ドキドキ。一気に読了。中国の歴史大河プラス密室風ミステリー。一昼夜の謎解きの間に南宋が滅んでしまった。とても新人とは思えない構想力に端正な文章。今後が楽しみ。

  • 第67回 江戸川乱歩賞受賞作。
    武術の師が殺されたのは、何重にもなった密室の中でした。
    武術の達人梁泰隆、その弟子蒼紫苑、養女梁恋華の三人が暮らしているところに、奥義を伝授されに来た三人の武芸者。
    中国南宋の時代設定、武侠小説、特殊設定ミステリという設定が、不可解な謎を生んでいきます。
    乱歩賞毎年楽しみにしています。
    今年も面白かった。

  • 設定・文章・構成など苦手な要素が盛りだくさんだった。残念ながら読めなかった。好みが大きく分かれると思う。

  • 第67回江戸川乱歩賞作品。武俠小説×ミステリということで話題になった1冊。特殊設定を謳っているがそれは外枠だけでストーリーの骨格はよくあるパターンでサクサクと読める。師匠と弟子の関係や許されない恋といった手垢のついたプロットに武俠という奇抜さを盛り込むことで上手くエンタメ度が高められている。しかし本格ミステリとしては「まあそうだろうな」という内容でちょっと厳しい面も。ただ実際の中国史を活用する所なんかはなるほど、と思う面も多々あった。個人的には武俠バトルと百合要素はいらなかったかも。

  • 南宋を舞台の任侠もの本格ミステリー。新感覚のミステリーだけど、文体が静かで美しい。理論も筋が通っているけど、途中から展開が読めて驚愕のラスト…ではない。
    終わり方が12国記テイスト。もっといえば後半から戴国の争乱のような流れで。中華風味が加わるとああなるのかな。武器の説明パートでは、時代は違うけれど真・三国無双を小説で見ているようなワクワク感が感じられた。あと、ご飯が美味しそう!

  • 宋代・中国武術・百合がモチーフという書評を見て興味を持ちました。普段ミステリーは全く読まないのですが、物語のテンポが良く文体も読みやすくて楽しめました。トリックやオチは想像を超える物ではありませんでしたが途中、話のスケールがどんどん大きくなっていく展開がすごかった…反面、登場人物のエピソードや前述のモチーフなどに駆け足感があり、上下巻の長編でこってりと書いてもらいたかったなぁというのが正直な感想です、もっと読みたかった。次回作も期待しています。

  • 江戸川乱歩賞受賞作。勝手に賞のイメージでどろどろしてる感じかと思ってた。
    特殊な設定がちゃんと展開に必要なものになってるし、その設定も面白くて一気に読めた!

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著者プロフィール

1980年、京都府生まれ。帝塚山大学大学院法政策研究科世界経済法制専攻修了。南宋を舞台にした武侠小説『老虎残夢』で第67回江戸川乱歩賞を受賞し、デビュー。筆名は、敬愛するアメリカの伝説的ギタリスト、フランク・ザッパからとった。

「2023年 『星くずの殺人』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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