鷹将軍と鶴の味噌汁 江戸の鳥の美食学 (講談社選書メチエ)

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  • 講談社 (2021年8月12日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (288ページ) / ISBN・EAN: 9784065245873

作品紹介・あらすじ

おいしい野鳥が食べたい!――幕府の権力をもってしても、江戸のグルマンの食欲を抑え込むことはできなかった。失われた食文化の全体像を、初めて描き出す異色作!
江戸時代の人々は、多くの「野鳥」を多彩な調理法で食していた。鶴、白鳥、鴨、雁、雉子、雲雀、鷺、雀、鳩・・・それらは、食のみならず政治や経済、儀礼などをめぐって、魚やほかの動物たちには見られない、複雑で高度な文化の複合体を形作っていた。鳥は、日本文化そのものを理解するうえで欠かせない重要な動物だったのである。
歴代の徳川将軍は、鷹狩で野鳥を狩り、鶴を天皇に献上し、また大名や家臣に獲物を分け与えた。中・下級の武士たちは雁鍋や鴨鍋を楽しみ、裕福な町人は料亭で野鳥料理に舌鼓をうち、庶民は鴨南蛮や雀焼といった素朴なファストフードを頬ばった。幕府によって野鳥流通が厳しく統制され、日本橋の水鳥市場は活況を呈し、その大きな利権を狙ってアウトローたちがうごめいていた。しかし、江戸時代に隆盛を極めたこの食文化は、明治以降、衰退してしまう。そして今、数千年の歴史をもつ野鳥を食べる伝統文化が、日本から消滅しようとしている。
さまざまな野鳥料理のレシピ、江戸に鳥を送っていた村のフィールドワークなどから、語られざる食文化を総合的にとらえたガストロノミー(美食学)の誕生。

目次
序章 鳥の味にとりつかれた美食家たち
第一章 鳥料理の源流――京料理から江戸の料理へ
1 日本人はいつから鳥を食べていたのか?
2 中世の鳥料理
第二章 江戸時代の鳥料理と庖丁人――鶴の味噌汁、白鳥のゆで鳥、鷺の串焼き
1 江戸の町から出てきた大量の鳥の骨
2 『料理物語』のレシピ
3 庖丁人――一流シェフの伝統と技術
第三章 大衆化する江戸の鳥料理――富商、貧乏武士、町人の味覚
1 鶏鍋、雁鍋、鴨鍋――中級・下級武士の食卓
2 料亭・名店の味――富裕層、文人墨客の贅沢
3 鴨南蛮と雀焼――庶民の素朴なファストフード
第四章 闇の鳥商売と取り締まり――せめぎあう幕府と密売人
1 「生類憐れみの令」による危機
2 アウトローたちの鳥商売の手口
3 鳥商売と大岡裁き
第五章 侠客の鳥商人 ――東国屋伊兵衛の武勇伝
1 日本橋・水鳥市場の男伊達
2 幕臣と侠客との親密な関係
第六章 将軍様の贈り物――王権の威光を支える鳥たち
1 鷹狩と贈答による秩序維持
2 「美物」の使い回し――中世の主従関係
3 「饗応料理」の鳥の意味
第七章 江戸に鳥を送る村――ある野鳥供給地の盛衰
1 手賀沼の水鳥猟
2 西洋的狩猟の浸食
3 カモが米に負けた
終章 野鳥の味を忘れた日本人

みんなの感想まとめ

江戸時代の日本における独特な鳥食文化を探る本作は、歴代の将軍や庶民が楽しんだ多彩な野鳥料理の魅力を描き出します。鷹狩や雁鍋、鶴の味噌汁など、様々な料理が登場し、当時の人々の食生活や文化的背景が豊富な資...

感想・レビュー・書評

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  • めちゃめちゃ面白かった!これは掘り出しもの。
    日本の野鳥食についての書籍。
     手賀沼の水鳥猟。現在、私たちが行っている鳥類標識調査のヘッドクオーターは手賀沼のほとりにある。なぜ、手賀沼で我孫子にあるのか、というのが本書の最終章でなるほど、と納得。別の理由もあるかもわからないが、調査と狩猟が表裏一体だったのは西洋の鳥類学の歴史をみてもわかること。
    タイトルで江戸時代だけのように思えてしまうが、武家社会になってから、野鳥食がすたれるまでの食肉としての野鳥、料理法、流通、狩猟、法律、文化、オフィシャルやプライベートでの利用など多岐に渡り、しかし野鳥食からブレることなく、いい感じにカバーしている。
    江戸時代には確率していた野鳥食材、魚と同じ扱い、魚と並んで売られていたのは知る人も多いと思う。今でも、田舎のお年寄りは子供の頃に食べた野鳥の味を恋しく語る人もいるし、私も昔はヤマドリやスズメなどを食べたりした。今は猟師の知り合いがいなくても、インターネットでジビエが買えたりするが、”一般的”ではない。ともかく、本書では、当時、どれぐらい一般的な食材だったか、というのを熱を持って語られる。
     明治の文豪が語る野鳥食、漱石、鴎外、鏡花、綺堂、子規、直哉、そして円朝の噺。
    そういえば、二代目桂枝雀さんの語るさぎとりはめちゃ好きだったなぁ、、。
    現在、食べて良い野鳥のリスト、味の違い、現代日本人が食べることのできなくなった野鳥。
    鳥料理の歴史、京料理から江戸料理へ。縄文時代の鳥食、弥生から古代、平安時代の仏教信仰による殺生禁断策による鳥食弾圧(あまり守られなかったらしい)、中世の商業流通、鳥商売の特権、鳥座(いわゆる鳥ギルド)。鳥商売はかなり儲かったらしい。鎌倉室町時代の鳥料理レシピ。野鳥贈答時の飾り付け。
     江戸時代、記録にのこる尾張藩中級武士朝日重章『鸚鵡籠中記』がおもしろい。『万宝料理秘密箱』、『嬉遊笑覧』『料理通』『川柳江戸名物』などの紹介。高級鳥料理店、庶民向けのファストフードやフードシャック。家庭料理における、鳥種と地方名称、料理名の表がわかりやすい。
     江戸時代の”国策”がらみの野鳥。鳥事情、流通制限、「生類憐みの令」による鳥商売の存続危機により密売化。ブラックマーケットが形成され、さらに鷹狩と鷹場制度が弱体化したことによる、無法化、乱獲が起き、江戸周りの鷹場で野鳥が局地絶滅。新しい法改正がおこなわれる(鳥愛護ではなく、実質的な野鳥資源の確保のため)。野鳥肉は賄賂として有用であった。密猟の摘発、鳥問屋、鳥見役人、闇鳥取引の手口。
     鳥商人、日本橋魚河岸(水鳥市場)、任侠水鳥商売など様々な江戸の鳥食小ネタ。鳥肉贈答の作法や文化。贈答品の使い回し。
     倒幕とともに、野鳥猟の取締りや法律がなくなった時期があり、この短い期間に多くの野鳥が食べ尽くされ局地絶滅したと思われる。もちろん食用だけでなく、アホウドリ撲殺事業のように輸出用の金儲け品のための乱獲なんかもあるが、昭和までは、一般庶民的には、鳥や魚はとってもとっても勝手に湧いてくるような感覚があったのかと思う(いまでもそういう感覚の人がいらっしゃるが)。
     筆者は現代の日本で野鳥が食べられなくなったことを、嘆いているように感じられる。もしくは惜しんでいる。ただ、ここのところの鳥フル、コロナ19、モンキーポックスなど、アフリカや中国などを中心に残る野生生物食、野生の動物食由来の病気で大混乱になったりしているので、日本は現在、野鳥食は一般的でなくなっていることに、妙にほっとしている(主観)。いまだに大っぴらに野鳥食ってるとなると、日本の立ち位置とか性格的に色々国際的にややこしかろうと思う。
    人間の数が増えすぎているのと、人間の移動が300年前に比べて(いや、100年前でも全く違う)恐ろしく短時間で長距離、しかも大人数となり、病気も一緒に移動するようになったので、まあ、リスクマネージメント的にも、環境的にも野生の生物は商業(金儲けのための利用)では食べないようにした方が良いと、私は思う。もちろん、駆除生物の食用利用などはできるかぎり行いたいものだ。

  • インパクトのあるタイトルが好き笑
    坂本龍馬が近江屋で食べようとしていたシャモ鍋以外、江戸時代の人が鳥を食べるイメージは正直乏しかった。

    現代の感覚で読むとたちまち胸の内が違和感で充満してくる。
    「食用鳥」というパワーワードに、「鳥柴(としば)」とかいうゾッとする贈答品、魚問屋に水鳥が並ぶ不思議…

    「日本食=魚食」のつもりでいたから祖先達の鳥食(!)への慣れ親しみようは何だか目新しかった。
    レシピはゲテモノ的なものを想像していたけど大抵は食べられそう&美味しそうなものが多く、特に鉄火飯と一世どころか何世も風靡したという雁鍋が個人的に気になっている笑

    将軍の鷹狩や庶民による野鳥の狩猟・密猟など多様な観点から語られる鳥食ストーリーは中高で習う日本史では一瞬たりとも見かけなかったから、読み進めるにつれて自分の日本史観が揺らいでいくのが分かる。
    (狩猟が大好きな外国人だけじゃなくて日本人までもが野鳥を食用で狙っていたとは考えてもみなかった)

    ご先祖様たちが身の危険を冒してまで食べていた野鳥達を食べなくなった理由も語られているけど、野鳥グルメのように自分たちにも将来口にできなくなる/忘れられる味が出てくる、という不安が胸をよぎる。
    自分なんぞが考えても仕方のない事だけど、かの時代は密猟はしても乱獲や粗末にするような印象は読んでいてなかったからフードロスを見直すきっかけにはなるのかな、とか思ったり。

  • かつて日本では、野鳥を食し、愛でる文化があった。
    その当時、様々な分野に影響を与えた野鳥食について、考察する。
    序章 鳥の味にとりつかれた美食家たち
    第一章 鳥料理の源流
    第二章 江戸時代の鳥料理と包丁人
    第三章 大衆化する江戸の鳥料理
    第四章 闇の鳥商売と取り締まり
    第五章 侠客の鳥商人  第六章 将軍様の贈り物
    第七章 江戸に鳥を送る村
    終章 野鳥の味を忘れた日本人
    鳥食の日本史・略年表、引用・参考文献、索引有り。
    かつて読んだ『美味しんぼ』の中で、鶴の吸い物だったか?の
    話がありまして、え~鶴食べるの~!と当時は驚いたのですが、
    年を経て、そりゃ野鳥だって食料だよな~と納得の昨今、
    その野鳥食の文化を詳細に語る内容は、正に目から鱗でした。
    紹介してくれたフォロワーさんに感謝です。
    遺跡から発掘された数々の野鳥の骨。
    遥か昔からの史料や日記、物語に登場する野鳥たち。
    鎌倉時代以降の野鳥料理のレシピの解読。
    鳥料理は上方から江戸へ。料理書『料理物語』には
    18種類の鳥たちと96品目の鳥料理のレシピが!
    公家や将軍、上級武士の儀式を伴う野鳥料理は、
    時代を経るに、文人墨客が愛した名店を生み、
    中級・下級の武士たちの鍋料理、庶民の鴨南蛮や雀焼等、
    江戸時代には多彩な野鳥食を人々が味わうようになった。
    その野鳥の流通ルートや流通システムは、万事繁栄ではなく、
    生類憐みの令と、鷹狩りと鷹場制度に関係した取り締まり、
    野鳥消費の制限等で厳しい幕府の管理との攻防があった。
    また、密猟等のアンダーグラウンドな闇の部分、
    侠客の鳥商人の東国屋や、権力の象徴鷹狩りでの鳥の贈与連鎖と
    饗応料理の様子や栄枯盛衰も詳しく解き明かしている。
    特に、鳥の供給地である地域は、狩猟から農地へ、鳥獣保護へ
    という歴史の変遷に翻弄されていく様子が克明に描かれている。
    野鳥食の衰退は明治時代以降の、ヒトの都合と介在が
    主な要因であるのは否めない。結局野鳥の数は減少しているし、
    近所にあった雀焼を出す店も閉店してしまった。
    何よりも、鳥インフルエンザの出現により、止めを刺された
    感もある。日本では野鳥の味を復活させるのは難しい。
    水鳥と魚類が、産地や捕獲、問屋等の商売、料理において、
    近しいものだったのも、興味深いことでした。
    だからこそ、野鳥文化の教訓を忘れず、魚文化を衰退させぬ
    ようにして欲しいと、心から願います。

  • 江戸時代を中心に、日本の伝統的な鳥食文化のことを熱く、マニアックに語った書。

    日本の鳥食文化、とりわけ野鳥を食べる文化は、江戸時代にその隆盛を極めたという。「江戸時代に、野鳥の捕獲技術は確立し、流通システムは完備され、その統制システムも精緻化された。そして日本の料理史上、最もバラエティーに富んだ鳥料理を生み出していた」。

    この鳥食文化と切っても切れないのが鷹狩だ。「江戸時代、いやそれ以前から、鷹狩という行為、そして鷹狩で得られた鳥の贈答が、王権を支える格別の儀礼的、政治的、社会的意味を有していた」。鷹狩・鳥の贈答は「権力者の権威と社会秩序に維持とに密接に関わっており、将軍と朝廷、そして各大名や幕臣との間で、鷹狩で捕らえられた鳥による贈与関係が取り結ばれ、それが当時の社会で重大事とされていた」。「鷹狩は単なるスポーツハンティングではなく、自らの権力と威光を知らしめる象徴的行為だった」のであり、「鷹の利用者が、強大な権力を持つものに限られたとき、鷹は御鷹とよばれるものになり、多くの人民を戦慄させる生物」となったのだ。

    贈答に用いられる鳥には格付けがあり、江戸時代はツル、ガン、ヒバリの順だった(室町期まではガンの仲間であるハクチョウが最高位だった)が、「タカで捕った鳥」は鳥の種類によらず格別だった。贈答された鳥は、使い回されるのが当たり前だった(献上された鳥をさらに献上することには肯定的な意味があった)。

    幕府は、鷹狩を将軍家が行う神聖な行事と位置づけ、「それを妨害し、その威信を傷つけかねない庶民の鳥猟と鳥の流通」を厳しく制限した。幕府は、将軍が鷹狩を行う鷹場を設定し、水鳥を捕獲することを禁止したし(但し、密漁者とその他取り締まりはいたちごっこだったようだ)、鳥を扱う問屋の数も制限した。そんな鳥問屋の中に、東国屋伊兵衛という豪快な侠客もいたのだとか。

    なお、鳥食文化は、主に貴族や上級武士階級の間で育まれたものだが、江戸後期には江戸市民にも「鶏鍋や鴨鍋」という形で定着した。また、「江戸時代も半ばをすぎると、上流階級の高級な鳥料理は、町人の富裕層に浸透して」いった。

    だが、明治以降、こうした鳥食文化は徐々に衰退していく。その理由については、食文化の西洋化(ウシやブタ、ニワトリなど家畜や家禽の肉食の普及)に加え、野鳥の生息数の減少(その原因は、食糧増産のための干拓・水辺開発や、遊猟者による濫猟乱獲、戦後の水質汚染など)が挙げられるという。そして現在では、絶滅に貧した野鳥を保護するため、多くの野鳥の狩猟が禁止されている。

    著者は、「脂がのった野生のマガモの美味しさと、それを口にしたときの愉悦と幸福感を、どうにかして後世に伝えたいと念じ、この鳥の美食学を著した」と書いており、消滅の危機に貧している日本の野鳥食文化を惜しんでいる。まあ、水鳥にとって快適な自然環境の大部分が失われてしまった以上は、狩猟禁止もやむを得ないよなあ。

    本書には、江戸時代における儀式化された鷹狩・鳥贈答のシステムや、鳥流通の規制・密猟のせめぎ合いなど、歴史上好きにとって押さえておくべき内容が多かった。ただ、内容がちょっとマニアック過ぎたかな。

  • 山下につはさ(翼)ひろげし雁鍋【がんなべ】の込みあう客はお花見帰り 
     神崎清吉

     かつての日本人は、魚食の民ならぬ「鳥食の民」だった―。新刊「鷹将軍と鶴の味噌汁」は、そんな驚きの話題から始まっている。日本の鳥食文化、野鳥料理が豊富な資料とともに紹介され、文学作品も引用されている。

     たとえば、明治時代には冬の風物詩であったという「雁鍋」。現在、マガンやヒシクイなど雁の仲間は狩猟禁止のため味わえないが、文豪・夏目漱石の「吾輩は猫である」、また、森鷗外「雁」にも東京上野の名店「山下の雁鍋」が登場している。山下は1906年(明治39年)に廃業したそうだが、当時の込みあいぶりを歌った掲出歌は、錦絵に書かれていたという。

     「庖丁【ほうちょう】」という言葉が、魚や鳥の調理を意味していたことも本書で知った。現在の包丁は、もともとは「庖丁刀」と言われるもので、その刀を美しい所作で動かし、おいしい鳥料理が作られていたのだ。

     縄文時代から始まった鳥食文化だが、江戸時代には野鳥料理のレパートリーも増えていたという。料理書にもツル、ハクチョウ、サギ、ハト料理などが記され、たとえば「鶴の汁」は味噌汁仕立て。キノコをたくさん入れ、ワサビも添えるとおいしいそうだ。

     将軍たちの鷹狩や、暗躍した鳥商人の話題などもあり、庶民の食生活が、ときの政治や経済とも関連が深かったことがうかがえる。

     さて今夜は、カモ南蛮と熱燗でもいかが?
    (2021年12月4日掲載)

  • 日本の鳥食文化。この視点なかなか考えつかなかった。生類憐れみの令のくだりは愁眉。近所のニュークイックに行ってタイ産の安い冷凍合鴨を買って鴨南蛮そば初めて作ったけど、美味かった。

  • 鷹狩が将軍権威のうえで重要だったという観点は新しい。中世の鳥肉料理集コーナーが興味深い。

  • ■一橋大学所在情報(HERMES-catalogへのリンク)
    【書籍】
    https://opac.lib.hit-u.ac.jp/opac/opac_link/bibid/1001209920

  • これはかなりの労作。作者は民俗学者で歴史や料理の専門家ではないところが興味深い。千葉は柏の辺りに手賀沼という湖があってたまたまその近辺の神社を訪れた際に江戸時代に百両もの寄進を行った町民がいることを知り、興味を持ってどういう人物か調べたところいわゆる任侠でありかつ、野鳥の卸売業者であったということを知って日本の鳥食文化について調べたという作品。上野には明治39年に閉店した願鍋の有名店があり江戸時代の料理屋番付では殿堂入りというかランク外の上位に位置されていたそうで日本人イコール魚食い、というイメージがあるけれど野鳥を食べる習慣はかなり古くからそして現在の我々が想像するよりもかなり幅広く行われていたものらしい。かなり丁寧に調査をされておりまたレシピなども載っていて興味深い内容。特に面白いのは贈答やもてなしに使われる鳥には順位があって、魚は鯉が最上位で次に鯛、という順番で不変らしいのだが鳥に関しては古くは最上位が雉、中世においては白鳥で近世では鶴だったということでこれは味ではなく生き物としての優美さとかそういうことであったらしい。捕り方にも差があって最上位は鷹狩で仕留められたものらしく、将軍が鷹狩で仕留めたものなどはとてつもない価値があったらしい。魚と違って鷹狩など将軍も自ら手掛けるからか猟区に関する規制や今で言うトレーサビリティもかなり厳しく運用されていたらしい。環境問題などで野鳥があまり捕れなくなったこともあり、また安価で飼育しやすく味も良い鶏が普及したこともあって野鳥食は一気に廃れてしまったらしいがそれでもまだ捕まえて食べてもよい野鳥は28種もいるらしい。個人的にはジビエの類はそこまで好まないのだが数年前に渋谷の焼鳥屋さんで頂いた鴨は確かに美味しかったな、などと思い返したりした。食に興味のある人や鳥料理好きには是非おすすめしたい。非常に面白かった。

  • ふむ

  • SY8

  • 女子栄養大学図書館OPAC▼ https://opac.eiyo.ac.jp/detail?bbid=2000053962

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著者プロフィール

東京大学東洋文化研究所教授。
1963年生まれ。筑波大学大学院博士課程歴史・人類学研究科中退。博士(文学)。専門は民俗学。1991年国立歴史民俗博物館民俗研究部助手、1996年北海道大学文学部助教授、1999年東京大学東洋文化研究所助教授・准教授を経て2007年より現職。主な著書に『修験がつくる民俗史』(吉川弘文館、2000年)、『川は誰のものか』(吉川弘文館、2006年)、『「新しい野の学問」の時代へ』(岩波書店、2013年)、『鷹将軍と鶴の味噌汁』(講談社、2021年)など。

「2024年 『ヴァナキュラー・アートの民俗学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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