虚構推理短編集 岩永琴子の純真 (講談社タイガ)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 30
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065245972

作品紹介・あらすじ

<シリーズ累計300万部突破!>

妖怪達の知恵の神である岩永琴子のもとには日々、彼らの悩みごとが持ち込まれる。

美しき雪女から届いた依頼もそのひとつ。
愛した男が殺人の罪を着せられ窮地に陥っているという。
そのアリバイを知るのは、法廷に立てぬ「人外」の雪女のみ……。

琴子の捜査の末に明らかになる意外な真実とはーー?

アニメの2期も制作決定! 絶好調の本格ミステリ大賞受賞作シリーズの最新作!

【虚構推理シリーズ】
『虚構推理』
『虚構推理短編集 岩永琴子の出現』
『虚構推理 スリーピング・マーダー』
New『虚構推理 岩永琴子の純真』

感想・レビュー・書評

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  • '22年8月24日、Amazon audibleで、聴き終えました。

    どの作品も、楽しんで聴きました。「雪女」の2篇など、なかなか力が入っていて、感心しましたが…僕的には一番面白かったのは、「よく考えると怖くないでもない話」です。笑ってしまいました。

    シリーズ5作目は、8月下旬にaudibleにアップされるそうなので…楽しみに待ちます!

  • 【収録作品】第一話 雪女のジレンマ/第二話 よく考えると怖くないでもない話/第三話 死者の不確かな伝言/第四話 的を得ないで的を射よう/第五話 雪女を斬る
     最初と最後は雪女のロマンス。雪女も相手の人間もなかなか純情。第二話は九郎の体質を利用したアルバイト。第三話は、琴子の高校時代の友人が六花にその頃の逸話を語る形。「ダイイングメッセージ」論。第四話は「拾った」弓矢の所有権を巡る猿の争いの裁定。さくさく気軽に読めていい。
     アニメの印象が強いため、そのキャラの口調で脳内再生しながら読んだ。

  • シリーズ4作目

    収録は5編
    ・雪女のジレンマ
    ・よく考えると怖くないでもない話
    ・死者の不確かな伝言
    ・的を得ないで的を射よう
    ・雪女を斬る


    ・雪女のジレンマ
    人の裏切りなどの不幸続きで元妻の殺人事件の容疑者になってしまった男
    当日のアリバイを証言できるのは昔冬山で助けてくれた雪女のみ
    琴子さんの提示した内容とは?

    何というか、人の縁で踏んだり蹴ったり過ぎないか?
    親友だと思っていた人に山から突き落とされ、妻からは殺されかけ、立ち上げた会社は仲間から裏切られ
    その割には飄々としているように見えるんだよね
    まぁ、そんなところが却って元妻を殺そうとしていたと怪しまれる原因にもなっているわけですが

    琴子さんのやった事は、後に言及される大岡裁きめいたものを感じる
    試されるべきは雪女の覚悟ってことですね


    ・よく考えると怖くないでもない話
    九郎くんがいわく付きの建物でのアルバイトをするお話

    一般の人の視点では何も起こってないんだけど
    実際は怪異の変化は起こっているし、そもそものいわくにしても人の意図があるという構造が面白いなぁ


    ・死者の不確かな伝言
    何かと同じ話題を繰り返す叔父を黙らせたいという依頼
    真実はどうあれ、相手を納得させつつ解決に導くのが琴子さんですよね
    あと、幽霊のお引越しとかもね


    ・的を得ないで的を射よう
    琴子さんなりの大岡裁き
    というか、その予定が、妖達のせいでもっと酷いことに……

    でも、マンガで読んだときも笑ったけど、小説でもあの場面でも笑ってしまった
    顔面をギチギチされるおひいさまw


    ・雪女を斬る
    最初のエピソードと合わせて雪女でまとまっている

    剣術の先祖と雪女とのかかわり

    怪異が存在しない現実的な虚構の説明はいつもの通りなんだけど
    雪女から聞き取った本当の話をそのまま伝えるというのは琴子さんらしくない気がする
    もしかして、フェイクも混じってたのだろうか?

  • ほぼ雪女が主役。
    彼女のおかげで岩永琴子が凄く知恵の神らしくなっている。
    相変わらず下品だけど。
    そこもまた可愛い。

  • 5編の短編からなる作品集。九郎の出番は少なめで岩永との丁々発止のやり取りがあまりないのがちょっと寂しいかな。さて今回メインで語られるのは「雪女」に纏わる現在と過去の2つのエピソード。雪女といえば情が深いということですが、まさにそれがよく分かりますね。それにしても現代の雪女が可愛らしい。レギュラーになってくれないかな…。一つの事件が、怪異の関わる『真実』と、怪異など無いという『虚構』の両面から合理的に説明され得るのだ、ということを今回も見せつけられ唸りました。素晴らしいロジック。

  • 城平京『虚構推理短編集 岩永琴子の純真』読了。
    「雪女のジレンマ」「死者の不確かな伝言」「雪女を斬る」に共通するダイイングメッセージについての処理のバリエーションは、虚構推理の独自性の強い設定をうまく盛り込んでおり面白い。しかし、中休みの二編は正直なくても一向に構わない内容か(漫画版ではそう感じなかったので、これは漫画のギャグ回みたいなイメージなのかも)。全体的には虚構のロジックが弱い印象。次作への準備という意味でも、前作で十分だった感はあり、精彩を欠く。ただし、漫画原作の弾を増やすことも考えれば、これを軽く仕上げて出してくるのはやはり安定した実力に裏打ちされているように思う。

  • 以前読んで感想を書き留めていなかったので再読。
    雪女の短編2作と短編3作。雪女(妹)の性格すごく好きだなあ。コミカライズでは雪女キリン雪女の順だったけど、雪女のエピソードが1冊にまとめられていたの、うれしい。

  • 「雪女のジレンマ」
    裏切られてばかりの人生。
    これだけ酷い目にあってきたというのに、人から距離を取るだけで心を壊さずに居れるのは凄い事なのでは。
    警察も馬鹿ではないのだから、どれだけ疑わしくとも実際にその場に行くまでの経路などを辿れば彼が犯行に及ぶのは不可能だと分かるだろうな。

    「よく考えると怖くないでもない話」
    曰く付きの家の片付けを。
    疑惑が浮上してはならない遺産を一から探すとなると、相当な時間が必要だったろうし労力も半端なかったろうな。
    誰にも手を付けて欲しくないから流した噂なのだろうが、全てが終わった後で業者が引き受けてくれなくなるなど想像出来なかったのだろうか。

    「死者の不確かな伝言」
    偶然が重なってできた事。
    一言でいうと不運でしかないが、今回に関しては被害者と加害者どちらに向けても言えそうな言葉である気がするな。
    日頃から言い続けてたとしたら本人の耳にも入り違うと訂正されることはなかったのか気になるが、一人で自身の力を過信していた事に変わりはないな。

    「的を得ないで的を射よう」
    真実を聞くために試した。
    始めから全ての出来事に気付いていたからこそ、心身的に苦しい思いをするであろう勝負を持ちかけたのだろうか。
    本人たちの口から直接聞きたかったのかもしれないが、勝負という名目の事柄と同時に罰を与えるようなことを提案するなんて恐ろしすぎやしないか。

    「雪女を斬る」
    辻褄合わせに語る昔話は。
    確信はついていなくとも、自身の中で何かしら答えが浮かびかけていたからこそ今回の件を尋ねったのかもな。
    存在を否定しているにも関わらず完璧な筋書きを語られては、心のどこかで本当にあったのかもしれないと錯覚してしまうのではないだろうか。

  • シリーズ4冊目。雪女が絡むお話が最初と最後にあり、三話目と最後のお話にダイイングメッセージが出てくるので、全体的にまとまっている印象です。間に挟まる二話目と四話目は、「九郎君、お疲れ様」というお話。
    今回は九郎との会話シーンが少な目だったせいか、琴子が少し大人しいように感じました。

  • 五話の『雪女を斬る』が一番面白かった。怪異有りと無しと見事に謎解きを展開。淡々と語る岩永琴子の様子が余計に切ない。秘剣の名前もきれいだし、剣戟シーンも格好良かった。絵になる!
    今回は九郎先輩の活躍はあまり見られなかったが、岩永琴子は大事にはされていると思う。

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著者プロフィール

【城平京(しろだいら・きょう)】
奈良県出身。代表作に漫画原作『絶園のテンペスト』『スパイラル~推理の絆~』、小説『虚構推理 』『名探偵に薔薇を』『雨の日も神様と相撲を』など。

「2021年 『虚構推理(15)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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