medium 霊媒探偵城塚翡翠 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 11523
感想 : 940
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  • Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065249710

作品紹介・あらすじ

★★★★★
五冠獲得!

★第20回本格ミステリ大賞受賞
★このミステリーがすごい! 1位
★本格ミステリ・ベスト10 1位
★SRの会ミステリベスト10 1位
★2019年ベストブック

さらに2020年本屋大賞ノミネート、第41回吉川英治文学新人賞候補!

推理作家として難事件を解決してきた香月史郎は、心に傷を負った女性、城塚翡翠と出逢う。彼女は霊媒として死者の言葉を伝えることができる。しかしそこに証拠能力はなく、香月は霊視と論理の力を組み合わせながら、事件に立ち向かう。一方、巷では連続殺人鬼が人々を脅かしていた。証拠を残さない殺人鬼を追い詰められるのは、翡翠の力のみ。だが殺人鬼の魔手は密かに彼女へと迫っていた――。

感想・レビュー・書評

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  • 推理作家の香月史朗と霊媒師の城塚翡翠がコンビを組み、霊視と論理を組み合わせ、複数の殺人事件を解決していく連作短編ミステリ。

    本作の話題性、何より私のフォロー&フォロワーであるブク友さんが多く通読されていることもあり、私も便乗して手に取るに至った。

    正直に白状すると初めは偏見しかなく、装丁を好めず、裏表紙の内容紹介にも惹かれず、何度も購入を躊躇った。

    しかしいざ、読み始めると面白いではないか。
    しかも会話形式が多いので文庫の厚みも気にならず、サクサクと読み進めることができた。

    1話1話に起きる事件、霊視によって炙り出される犯人の【誰】をもとに【何故】と【何】が繰り返され、真相が暴かれていく様は実に見事であり楽しかった。


    しかしながら、総括としては不完全感情移入、読後満足値のK点は未達でフィニッシュとなった。

    完全に個人的好みとの不整合だったと言えよう。

    ここで言う個人的好みを掘り下げると、下記3点が等しく満たされた時に至福を感じるように思う。

    ・喜怒哀楽が揺さぶられ感情移入できること。
    ・理論的よりも論理的な思考を働かせること。
    ・一読で納得感かつ充実感が概ね得られること。

    本作品はロジック重視の本格ミステリであり、登場人物のキャラクターも立っていて、文体から表情まで想像ができるほど読みやすく謎解きも楽しめた。

    途中まで、上記3点は満たされつつあった。

    だが最後の最後で、私史上最大と言って良いほどコテコテの論理にボコボコにされ、置いてけぼりを食らう始末。結果上記3つ目が果たされなかった。

    私の力不足は否めないが、論理トリックにもほどがあるというのが私の率直な感想だ。

    とは言え、ミステリランキング5冠と多くの読者に支持されている作品であることに違いはない。
    多くの皆さんのように、心から本作を最後まで楽しめる脳が欲しい。


    いや、いいや、やっぱ要らないや。

    • 越智さん
      akodamさん、コメント欄はじめてお邪魔します。
      こちらのレヴューに激しく同意しましていてもたってもいられず。
      この本、たくさんの方の本棚...
      akodamさん、コメント欄はじめてお邪魔します。
      こちらのレヴューに激しく同意しましていてもたってもいられず。
      この本、たくさんの方の本棚にありますよね。書店にも平積みで、さらにこの表紙のインパクトがでかい。
      でも、このデザインだからこそ購入を躊躇う自分がいる…!(死屍荘の時もそうだった)
      いまだに手に取れないままですが、akodamさんのレヴュー読んでなんかもう込み上げました(ナニガ)
      すいません、お邪魔しました。
      akodamさんのいいねから辿ってたくさんの本に出会えています。ありがとうございます。これからもよろしくお願いします。☺️
      2021/11/14
    • akodamさん
      越智さん、こんにちは。
      コメントありがとうございます。
      私のレビューに激しく同意いただきありがとうございます!

      そうなのです。表紙のインパ...
      越智さん、こんにちは。
      コメントありがとうございます。
      私のレビューに激しく同意いただきありがとうございます!

      そうなのです。表紙のインパクトが強すぎて、書店で手に取っては、戻したりを20回ほど繰り返し、周りの方々にチラ見されつつ、最後は勢いで購入した次第です。

      私の感想はレビューの通りですが、越智さんが通読される機会がありましたら、レビュー楽しみにお待ちしております。

      また私も本棚にお邪魔させていただきますね。
      こちらこそ今後ともよろしくお願いします^ ^
      2021/11/14
    • アンシロさん
      おはようございます、akodamさん。

      こちらにもコメント失礼します。「論理トリックにも程がある…」激しく共感しました。このシリーズは3冊...
      おはようございます、akodamさん。

      こちらにもコメント失礼します。「論理トリックにも程がある…」激しく共感しました。このシリーズは3冊全て読んだのですが、何でもありな大どんでん返しなので納得出来ずに置いてけぼり感がありました。同じイラストレーターでも、他の作品よりアニメ的ですよね。

      レビューが読みやすくて深くて、とても勉強になります。今後ともお願いいたします。
      2023/12/01
  • 前半も決して嫌いでは無かった。
    ミステリーとしても、霊媒師と理論派の
    バディ物としてもしっかりと成立してた。

    でも、このまま終わっていたら
    「次回作あったら読むけど、嫌いじゃない」
    くらいで終わったかも。

    それでも、これだけ人気があるってことは
    何かあるんだろうなって思って読んでたら、
    しっかりと何かありましたよ!!

    してやられた気分です!

    • マメムさん
      初コメです。
      次回作も読まなきゃですね♪(笑)
      初コメです。
      次回作も読まなきゃですね♪(笑)
      2023/05/16
    • キョーさん
      はい!絶対に読みますw

      すごく面白かったです!
      はい!絶対に読みますw

      すごく面白かったです!
      2023/05/16
  • テレビを流し見してたので、何となくは分かってて…
    多分、霊媒のままなら、読まんかったけど、論理の塊みたいな話してて、そんな話やったんや!で手元に!^^;

    男性の気持ちからすると、前半のままの翡翠ちゃんの方が良いかも?
    私だけか…(^◇^;)
    ミステリー好きとしては、後半ないと話にならん!
    短編集の形やけど、最終話に向けての準備って感じ。「全てが伏線」というは分かるわ〜
    作者が、マジシャンらしく、そう考えると何となく納得する流れかも!まぁ、マジックに種明かしはないけどね。商売あがったりになるから。
    翡翠ちゃんは、ホントの姿は、前半でも後半でもない。そこが、魅力的!
    やっぱり、知られない過去とかある方がミステリアスで良い〜!
    シリーズらしいので、次も読も〜!

    • nikuさん
      前半のままの翡翠ちゃんもかわいくていいけど、後半もまた良き(//∇//)です〜!
      私は次は3作目、早く読みたいです♡
      前半のままの翡翠ちゃんもかわいくていいけど、後半もまた良き(//∇//)です〜!
      私は次は3作目、早く読みたいです♡
      2023/01/10
    • ultraman719さん
      確か、まだ、単行本なんですよね。
      通勤時には、ツラい…
      確か、まだ、単行本なんですよね。
      通勤時には、ツラい…
      2023/01/10
  • “さこ”さんのこと、読む前ずーっと女性だと思ってました。どの作品も装丁の美少女達が魅惑的だったし(関係ない?)、お名前と相まって。さて、読んでるうちに、どうも男性目線の妄想気味の描写が相次ぎ、あれまあ。
    霊媒師を名乗る美少女、翡翠。推理作家の香月。二人は、次々起こる殺人事件を翡翠の霊視を元に解決していきます。そして、その間にも、若い女性をターゲットにした猟奇的殺人鬼が世間を震撼させています。
    霊視と思われる情報を論理的に変換して香月に事件を解決させます。その流れがとても巧みですね。いろいろ騙されます。最終章でより一層の推理解説が楽しめます。いろんなことと一緒にね。

    うーん、でも、殺人鬼が誰かは早々にわかるし。ミステリとしてとても面白いのだけど、事件を2回解説される感じがちょっとめんどうかな。贅沢言ってごめんなさいました

    • おびのりさん
      歌舞伎座、10月第3部が源氏物語夕顔なんです。来週、チケットとってしまいました。
      3階席だけどね。
      歌舞伎座、10月第3部が源氏物語夕顔なんです。来週、チケットとってしまいました。
      3階席だけどね。
      2022/10/21
    • みんみんさん
      歌舞伎仲間がいるんです?
      もしや…お一人様?
      いいなぁ〜。゚(゚´ω`゚)゚。
      絶対いつか行こう!
      歌舞伎仲間がいるんです?
      もしや…お一人様?
      いいなぁ〜。゚(゚´ω`゚)゚。
      絶対いつか行こう!
      2022/10/21
    • おびのりさん
      昨日は友人と第一部。
      来週は、初めてのお一人歌舞伎。
      昨日は友人と第一部。
      来週は、初めてのお一人歌舞伎。
      2022/10/21
  • 美少女系の表紙の作品は自分には合わないと決めつけていて遠ざけてしまう傾向が強い。
    以前、伴名練「なめらかな世界と、その敵」に全く馴染めなかったことも記憶に新しい。

    悪霊とかドロドロした呪いに対する免疫力も弱いので、第1話の"泣き女"を読み始めて間もなく読むのをやめようかと思った。
    読み進められたのは、表紙の美少女である城塚翡翠の生真面目で少し天然系のキャラクタ設定に救われたから。
    背筋がゾクゾクする心霊ものではないので大丈夫だ。

    事件を解決する側だった城塚翡翠が殺人犯に狙われている。
    いずれ翡翠と殺人犯が対峙する場面がやってくる。
    どんな結末が待っているのか … 気になって一気に最後まで読んでいた。

    思えば表紙の美少女の姿が最後まで効いていた。
    城塚翡翠以外の登場人物は終始ぼやけたイメージのままだった。
    この物語はドラマ化されているようだが観ていない。
    実際にドラマでは誰かが演じているわけだが、私の頭の中では小悪魔的なキャラになってからは、城塚翡翠 = 中森明菜でした。

    ミステリーは殆ど読まないが、この作品は十分に楽しめた。
    最終章のテンポの良い謎解きの論理展開は圧巻で、気持ちの良い読後感だった。

    • あやたろさん
      小説→ドラマと両方みました。
      翡翠ちゃんは清原果伽さんがやってます。最初、違和感を感じましたが、最後の方には馴染んでみられました。香月先生の...
      小説→ドラマと両方みました。
      翡翠ちゃんは清原果伽さんがやってます。最初、違和感を感じましたが、最後の方には馴染んでみられました。香月先生の瀬戸康史さんの方がはまってる気がします。それなりにちゃんと3次元化出来るので一見の価値はありますよ!
      2024/03/11
    • Kazuさん
      あやたろさん、コメントありがとう。

      私は宮部みゆきファンなのですが、「火車」と「模倣犯」は映画も見ました。
      映画は原作と違いがあり、...
      あやたろさん、コメントありがとう。

      私は宮部みゆきファンなのですが、「火車」と「模倣犯」は映画も見ました。
      映画は原作と違いがあり、どちらもガッカリしました。
      宮部みゆきさん、こんな映画にされちゃって怒らないの?と思いました。
      そういうわけで、読んだ作品が映画化されても見ないようにしています。
      つい最近もマンガの原作をねじ曲げられて映像化されたことで問題が起きています。
      せっかくのお勧めなのですが、私は観たらきっと不満が残るタイプなのでダメです。
      2024/03/12
  • まことさんにご紹介頂き、直ぐにAmazonでポチっと(*^^*)

    あーなるほど、オカルト的なミステリのヤツねー(*^^*)
    などと思いながらも、ミステリは大好きな分野のため、ニマニマしながら読み進める。

    短編4作から構成されるこの作品。

    一編一編が短くて、残念だなぁなんて思っていたら、最後の最後に急展開。

    うっそーん!!
    そりゃね、ミステリ好きですもん。
    色々想像しましたよ。

    こいつか?いやいや、こいつなんじゃないの?って。

    ひゃー、本当楽しかった!びっくり!面白い!

    そして、翡翠ちゃんは可愛い!間違いない!!
    ちょっぴり恋愛小説のような甘酸っぱさも、女子には堪らない。
    いいところ盛り沢山の一冊でした!!
    大満足!(*^^*)

    • まことさん
      bmakiさん。こんばんは!

      お読みいただきありがとうございます。嬉しいです。
      気に入っていただけたようで、ほっとしました(*^^*)。
      ...
      bmakiさん。こんばんは!

      お読みいただきありがとうございます。嬉しいです。
      気に入っていただけたようで、ほっとしました(*^^*)。
      もし、よかったら、続編もあります。マイレビューもありますので、参考になれば、嬉しいです♪
      2021/10/09
    • bmakiさん
      まことさん

      最初は単調だなぁ?
      これ、何でこんなに評価高いのかなぁ??って思っていたんです。

      文章が読みやすいからかなぁ?
      ...
      まことさん

      最初は単調だなぁ?
      これ、何でこんなに評価高いのかなぁ??って思っていたんです。

      文章が読みやすいからかなぁ?
      翡翠ちゃんが可愛いからかなぁ??と。

      後半凄いですね。びっくりしました。
      このパターンは私が読んだ中では初めてですね。◯◯◯が犯人役なのは読んだことがありましたが、、、、

      是非とも続編も読んでみたいと思います。いつもありがとうございます。
      2021/10/09
  • ぶっちぎりの評判、面白いとの声が続出している本作。読んでみてとても驚いた。
    最初は、翡翠と香月のコンビが霊能力という超常的なモノで謎を解いていく形式で進んでいくが、最終章でそれが一気にひっくり返されたところにすごく驚かされた。

    この後はネタバレ
    まさか、香月が犯人で翡翠の霊能力がウソだとは思わなかった。最後の章の香月の正体明かしと香月の本性を現わした場面はとても鳥肌が立った。前3章は霊能力があるという体で騙されている香月が推理を論理的に重ねていくが、最後では論理の力を翡翠が存分に発揮していく。まるで人をあざけるように推理をする彼女だが、香月逮捕後の部屋での描写を見る限りホントに香月に好意を寄せていたとも取れ、とても複雑な感情になった。彼女の本性は冷徹なマジシャンかそれとも孤独な少女か...それは次の『invert』で明らかになるのだろうか...とても楽しみである。

    最後に、この作品をアニメ化した際の声優陣を自分なりのキャスティングしてみたので読む際に参考にしてください(敬称略)。
    城塚翡翠:沢城みゆき
    香月史郎:宮野真守
    千和崎真:倉知玲鳳
    鐘場正和:乃村健次

  • 評価が高い作品なのは知っていたのだが、ライトノベル的なものなのだろうと表紙から推測して読んでいなかった作品。

    謎解き系の連作短編集になるのか?
    短編同士の繋がりが緻密なので全体を通してみればまとまりは凄く感じる。
    序盤はオカルト的な推理ものかと感じるのだが、終盤につれての展開が傑作で凄く引き込まれていくような作品だった。

    頭が良くてキレて鋭い感覚と深い観察力、羨ましいようでしかし生きにくいだろうなと感じた。
    ある程度の敏感と鈍感の中で生きているからこそ知っていいものと知らなければいいものを区別しながら生きていける。
    知ってしまうという事はその結末の悲しさをも読みとってしまうという事。
    なんだか気味の悪い印象を受ける作品だった。

  • 気持ちよく騙されました。^_^
    初めから少々違和感はあったものの、素直に楽しんでいたら最終話での快進撃に圧倒され、まさに一気読みでした。
    表紙のイラストの意味も分かりました。
    次の作品も早めに読みたいと思います。
    ワクワクしました!

  • ドラマ放送より1年経ったからそろそろ記憶が薄れるだろうと原作を手に取りました。しかしながらドラマを観た時の衝撃が大きすぎて1年経っても忘れられません。
    普段なら絶対に原作を先に読んでいるはずなのに今作は装丁が好みではなかったが為に映像が先になってしまいました。
    映像が先でなければ、恐らく私の読書史上でベスト1になるくらいのどんでん返しを味わえたかと思うと残念でなりません。

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著者プロフィール

1983年埼玉県生まれ。2009年『午前零時のサンドリヨン』で第19回鮎川哲也賞を受賞しデビュー。繊細な筆致で、登場人物たちの心情を描き、ミステリ、青春小説、ライトノベルなど、ジャンルをまたいだ活躍を見せている。『小説の神様』(講談社タイガ)は、読書家たちの心を震わせる青春小説として絶大な支持を受け、実写映画化された。本作で第20回本格ミステリ大賞受賞、「このミステリーがすごい!」2020年版国内編第1位、「本格ミステリ・ベスト10」2020年版国内ランキング第1位、「2019年ベストブック」(Apple Books)2019ベストミステリー、2019年「SRの会ミステリーベスト10」第1位、の5冠を獲得。さらに2020年本屋大賞ノミネート、第41回吉川英治文学新人賞候補となった。本作の続編となる『invert 城塚翡翠倒叙集』(講談社)も発売中。

「2022年 『medium 霊媒探偵城塚翡翠(1)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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