凜として弓を引く (講談社文庫)

  • 講談社 (2021年10月15日発売)
3.59
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本棚登録 : 1155
感想 : 88
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  • 本 ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065257074

作品紹介・あらすじ

武道は奥深く、恋はまだほのか。弓と自分、あるのはそれだけ。
ドラマ化『書店ガール』著者の新シリーズ。
(あらすじ)高校入学目前、矢口楓がふと足を踏み入れた神社の片隅にみつけた弓道場。おとなたちに交じって弦音(つるね)を響かせる少年の凛々しい姿に魅せられ、そこの弓道会に入門することに。人見知りの女子高生が日本古来の弓道の奥深い魅力に目覚め、新しい世界の扉を開いていく青春エンタテインメント小説!【書き下ろし・講談社文庫50周年記念作品】
カバーイラストはアニメイターの新井陽次郎。

感想・レビュー・書評

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  • さわやかな青春ストーリーでした。とても面白かったです。
    弓道の魅力が伝わってきますね。
    弓道は全く馴染みがないスポーツで、知識も全くなかったので、用具の説明や基本動作などなど最初読み始めて理解するのが大変だったのでYouTube見たり用語の説明を調べたりしながら読みました。
    弓道を通じていろいろな年代の方々と接して、弓道や人生の諸々の教え受けて成長していってください^_^
    次作を読みます。

  • フォローしている方のレビューで時々見かけるシリーズ。表紙の絵にも惹かれるところがあり、最初の巻を買ってみた。
    弓道を始めた女子高生・楓の姿を描いた話だが、本のタイトルと同様、涼やか爽やかな良いお話だった。

    弓を射る場面と言えばお正月のニュースで三十三間堂の「弓の引き初め」を見るくらいしかない全く未知の世界だが、説明を聞けば古式ゆかしく伝えられてきた内容は結構小難しく、体験教室も最後にならないと的に向かって矢を射させてもらえないなどは、その世界に馴染みがない人が始めるにはかなりハードルが高いと感じられる。
    にもかかわらず、偶然が重なって地元の弓道会に入ることになった楓が、同世代だけではなくそれぞれの事情を抱えながら練習に通ってくる様々な世代の人たちとも触れ合う中で、弓が上達するだけでなく少しずつ生活の中にその精神を落とし込めるようになっていく様子が好ましい。
    初めて会心の一射を放てた時の心地よさ、『来られる時には、もっと早く来て、掃除頑張ろう』と思ったり他の人たちの道具の扱いを見て自らの雑さを恥じる素直さ、息を合わせて5人の動作で5人の射を作り上げた段級審査の場面など、読んでいてとても気持ち良かった。

    ラストは思いがけなくいい感じになってきて、どうなることやら、その内、次巻へ行ってみます。

  • 凛として弓を引くシリーズ1作目《文庫本》
    2021.10発行。字の大きさは…字が小さくて読めない大きさ。
    2023.09.03~04読了。★★★★★
    図書館から借りてくる2023.09.03

    これはいい
    弓道を通して日本古来の考え方に接する高校生の青春小説です。

    名古屋から引っ越してきたばかりの都立武蔵野西高校一年生の矢口楓は、近所の神社にある弓道場で、一心に弓を射る同じ年頃の姿のいい高校生を見て胸をときめかせる。そして、弓道場で開かれている六日間の体験教室を経て弓道場に入門する。

    友達も出来ず、孤独感を味わっていた楓は、弓道場でみんなに支えられ、しだいに溶け込んでいく様子が爽やかで、古武道の厳しさと相まってとてもよかったです。
    碧野(あおの)圭さんの本は、初めて読みます。

    【読後】
    字が小さくて読むのに苦労しましたが、読後感がよく、凛とした気持ちが伝わってきます。この本を手に取ったのは、みなさんの本の表紙を見て、すぐに図書館に行って借りてきました。図書館で手に取ったらすごく字が小さくて、借りるのを止めようとしたのですが、少し読んだら面白そうで借りてきました。
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    凛として弓を引くシリーズ一覧
    02.青雲篇
    01.凛として弓を引く 2023.09.04読了
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  • 本作は中学卒業からほどなくして東京へ転校してきた少女・矢口楓を主人公とし、楓が弓道という日本の文化に触れ、その魅力に引き込まれていく過程を描く物語だ。

    高校入学を目前にした春休み中に、新居から目と鼻の先にある神社に立ち寄った楓は、本殿の脇にあった弓道場から聞こえてくる弦音(矢が離れる時に出る音)に導かれ、いずれ自身が所属することになる弓道会の存在を知る。
    言ってしまえばありきたりな展開なのだが、私を含め、神聖さ・静謐さのような雰囲気を纏っているこの導入部にグッと引き込まれた読者は多いのではないだろうか。

    楓は家族から「外じゃまるで借りてきた猫」と例えられるような内向的な性格で、良くも悪くも普通の女子高生。そんな彼女が弓道会で出会う人物たちは学生の会員だけでなく、歳が大きく離れているお婆さんや、外国人留学生など様々。弓道という共通の趣味によって、こうした普段は交流がないであろう人たちと関係を深めていく姿は眩しく見えた。
    中でも同じ弓道会に席を置く外国人留学生・モローの存在は、楓の行動を大きく変えたキーパーソンであると言える。
    アニメに影響を受け弓道を始めたモローだが、弓道場の取り壊しを巡る話し合いにおいて発言する気配のない楓を叱咤する場面がある。モローは多くの日本人に見られがちな他責思考を非難するのだが、私はこの場面があったからこそ、楓が弓道会の臨時総会であの発言ができたのではないだろうかと考える。
    恋愛的な感情は全く描かれていないものの、モローとの出会いは楓にとって、物語に関わってくる弓道仲間の善美や乙矢と同じか、もしくはそれ以上の価値のあるものだったのだろう。

    序盤、楓は弓道に「細かいところにこだわって、ごちゃごちゃめんどくさいなあ」と如何にも今どきの子らしい感情を抱くのだが、前述の臨時総会の場面も含め、楓のこの考え方が変わっていく様子は見ていてとても気持ちがよく、まさに私自身が弓道という名の未知の体験をしているかのように錯覚させてくれる。しかし、これはあくまで弓道に触れたことがない私の感想であるため、弓道を嗜んだことのある人がこの小説を読んだとき、どういった感想を抱くのかも、非常に気になるところである。
    ボーイ・ミーツ・ガールなラストは次巻以降の展開を期待させてくれるものだった。すでに購入済みのため、いずれ次巻「青雲篇」も読みたいと思う。

  • 青春プレイバック。
    高校の時私も弓道部でしたので、とても面白かったと同時に弓道やってない人にも楽しめるのだろうか?と少し感じた。
    また弓道をしたい気持ち、袴を着た時の凛とした気持ちが湧いてきた。

    本書でも一つ一つのことを丁寧にやったり、不便の中にある良さを見出したり、日本古来のものはそんな美しさがある。
    そういうことをこの一冊から学べるんじゃないかな。

    ただ、私にはエモさ満点の一冊。

  • 受け身で遠慮がち、まわりに流されがちな主人公の楓が、弓道を通して、芯のある人物に成長する、青春小説。もちろん、弓道の上達だけでなく、友人や憧れの先輩とイイ感じになっていく描写も期待どおり。

    私自身も弓道経験者だが、弓道は体育系と文化系の両方の要素があり、どちらかというと文化系が強いと思う。礼節に始まり、道具の手入れ、射場などの環境整備、お茶を通したメンバーとのコミュニケーションなどなど、実は弓を引いている時間よりも、こうした時間がとても多い。

    事故が無いように安全を確保し、豊かな人格を形成するために、こうした時間も含めて「弓道」であることを、恥ずかしながら学び直した。
    社会人になって、学生からの弓道を続けようと、市の道場に通ったことがあった。矢数をかけることができず、高齢者の方々のお話を聞いて、お掃除をするばかりで、正直「こんな時間の使い方は耐えられない」「定年になったら再開しよう」と辞めてしまった。

    あれから10年以上経過した。この本を読んで、再度あの道場の門を叩くか、悩んでいる。私のことを覚えている人からは叱責されるだろうが、受け止めたいと思う。

    因みに、本作の舞台となった神社は、まさに私自身が10年以上も前にお世話になり、足が遠ざかってしまった場所である。

  • 図書ガールからのファンです。弓道について丁寧な説明と神社のある場所の意味と掃除する意義と携わる人が前田さんとか多種で生徒もわかりやすいし、思った通り面白い。出だしのオトヤとの出会い弓道との出会いも良いです、妹の人との距離感が分からない、もっと何か事情があるのか思うたけども、最後のオトヤは楓のこと気にいってる発言がすんなり出ていたの良かった。高校が舞台かと思いきや、5人の切磋琢磨する姿を見せてくれるって良いですね。ラストおじいちゃん出てくるけど、もっとじっくりと何巻にもしても良かったです。

  • 日本人の核になっている部分が蘇る気がする小説。

    弓道の世界は未知だったので、この機器にこの小説に出会えてよかったです。
    弓道初心者にも優しく、日本人の『道』の考え方を深掘りできた気がします。

    『道』をいかに生活に取り入れ鍛錬するか、意識をすることから無意識にできるまで長い年月が必要でしょうけど、ものすごく価値のあるものだと思います。

    また、昔の伝統も大事にし、守っていきたい。
    そんな心の声も聞こえてきそうな小説でした。

  • 引越してきたばかりで4月から高校に進学する
    16歳の矢口楓

    家族構成は

    学生時代に剣道を齧ってたという
    サラリーマンの父と薬剤師の母で共働き家庭
    弟は中学でサッカーに夢中の大翔

    父方の祖母は茶道の先生
    (後に高い道具代を払ってくれる矢口家の大蔵省デス)

    春休み

    引越し先を散策中に神社の境内に入りこむ楓ちゃん。

    そこで併設の弓道場を見かける

    凛とした空気感に魅せられていたところ

    それをチェックしていた教室のイケメンに声をかけられ

    体験教室を6日間、受けることに。

    進学先の高校には弓道はなく

    中学の時のテニス部での

    最後の試合のミスの悔しさから

    高校でもテニス部に入る事で

    自分へのリベンジを決めていた楓。

    リノベというのかな…こういうの。

    確か今年の本屋大賞である“成瀬は天下をとりに行く”の挿絵と同じですよね。

    ごく普通っぽい当たり前の青春時代が描かれていて

    こんな風に、
    あるよね高校生って!という
    アルアルねた的な高校での出来事なども記されてありますので

    大人も楽しめるかと思われます。

    下腹部中央にある丹田のことも描かれてました。

    あと楓が注意される場面

    雑な動きは態度で分かると言われるんですね。

    “ちゃんとしない人”という表現方法もありますが

    この弓道での一連は若い楓ちゃんへの教育にも似通っていて

    人格を否定するものではなく

    全部やり終える前に意識が次に向いてるから

    やることが雑になると。

    せっかく弓道やるなら丁寧にと指導され反省する楓ちゃん。

    これからは気をつけようとなり

    新品だから当たり前のカケも心なしか艶が増したように見えると。

    Netflixで見た舞妓さんちの賄いさんでの台所の掃除の場面でも感じた場面でした。

    その心なしかました艶が目に浮かびます。

    だからと言ってワタシの雑さは治らないと思うけど。

    丹田、意識の置き方を繰り返しフローへ持っていくことなどは想像できる描写かなと思われます。

  • 北上次郎のこれが面白極上本だ!
    「凜として弓を引く」碧野圭著|日刊ゲンダイDIGITAL
    https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/book/297894

    『凜として弓を引く』(碧野 圭):講談社文庫|講談社BOOK倶楽部
    https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000357028

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著者プロフィール

愛知県生まれ。東京学芸大学教育学部卒業。フリーライター、出版社勤務を経て、2006年『辞めない理由』で作家デビュー。ドラマ化もされた、累計57万部を超えるベストセラー「書店ガール」シリーズや、同じく累計10万部を超す「菜の花食堂のささやかな事件簿」シリーズ、その他「銀盤のトレース」シリーズ、「凛として弓を引く」シリーズ、『スケートボーイズ』『1939年のアロハシャツ』『書店員と二つの罪』『駒子さんは出世なんてしたくなかった』『跳べ、栄光のクワド』等、多数の著書がある。

「2024年 『レイアウトは期日までに』 で使われていた紹介文から引用しています。」

碧野圭の作品

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