ミチクサ先生 上

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  • 講談社 (2021年11月17日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (306ページ) / ISBN・EAN: 9784065257227

作品紹介・あらすじ

ミチクサが多いほうが、人生は面白い!

てっぺんには裏から登ったって、足を滑らせたっていい。あちこちぶつかったほうが道は拓ける。

夏目家の「恥かきっ子」金之助は生まれてすぐに里子に出されたり、年老いた父親にガラクタ扱いされながらも、道楽者の祖父の影響で子供ながらに寄席や芝居小屋に入り浸る。学校では異例の飛び級で頭角をあらわし、心のおもむくままにミチクサをして学校を転々とするように。その才能に気付いた兄に英語を仕込まれ、東京大学予備門に一番で合格した金之助は、そこで生涯の友となる正岡子規と運命の出逢いを果たす――。

伊集院静がずっと共鳴し、いつか書きたかった夏目“漱石”金之助の青春

「日経新聞」大人気連載、待望の書籍化!

みんなの感想まとめ

青春と友情をテーマに、夏目漱石の生い立ちや人間関係を描いた物語が展開されます。金之助は、里子として育ち、独特の環境の中で成長し、友人たちとの交流を通じて自己を見つけていく様子が描かれています。物語のト...

感想・レビュー・書評

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  • 面白かった!さすが、読みやすいです。装丁を見る通り、夏目漱石先生のバイオ。漱石本はほんとうにたくさんありますが、とても優しい(物語のトーンが優しい)。この時代の有名人がたくさん登場してくることもあり、テレビとか映画のドラマになりそうな、スペクタキュラー。上巻が終わった時点では、漱石、子規、米山保三郎を中心とした、高校生のアオハルだねぇ、ってドラマです。大学時代の話とかがさくっと流されているのが、ちょっと寂しいが。フォーカスされているのが、友達付き合いだとか、漱石の主たる部分ではなく、”道草”の部分なので、気楽に漱石を身近に感じられるような描き方なのではと思う。下巻が未読なので、下巻の後、どう感じるかはわからんが。
    個人的には、漱石をやってたので書簡などを含め、論文や研究者の出版物も既読済みで、で、おもしろいと思うんですが、これはきっと、漱石本は一冊も読んだことがない人でも、きっと面白い!と感じられると思います。そして、ミチクサ先生を読んでから、坊ちゃんとか草枕とか読んでも、ああ、これかぁ!って、ハマってくれると思います。

  • ミチクサ先生の生き方、物事の捉え方は尊敬できます。特に生徒や子ども達への接し方は微笑ましく、それでいて頑固さもあって、一本スジの通った潔さがあります。

  • 1867年、パリで5回目の万国博覧会が開催された年に生まれた、夏目金之助こと、夏目漱石。
    その年はまた、大政奉還の年であり、まさに明治と共に成長した漱石先生であった。
    父51歳、母42歳の恥かきっ子。
    もうさほど子供なんかいらないと思ったのか、いったんは養子に出されてしまった。
    漱石は、肉親の愛を享受することなく育ったようだ。
    ただ、実の長兄・大助だけが、漱石に勉学を奨め、教え、将来を案じてくれた。

    一方、同じ年に生まれたのは、正岡子規。
    生い立ちのせいか、ちょっと暗い漱石に比べ、子規は陽気で人気者だった。
    二人は同じく帝国大学の予備門で出会い、無二の親友となる。

    漱石の家は、維新前は町名主だった。
    一方、子規は松山藩の士族の家柄。
    町人と、武家。
    明治以前に出会っていたら、二人は親友になることができただろうか?
    素晴らしい奇跡を感じる。

  • 夏目漱石の一生を描いた物語です。
    上巻は、漱石の英語教師時代までが描かれていました。

    正岡子規のほか、早逝したもう一人の秀才・米山保三郎や寺田寅彦との交流がとても清々しく、青春小説として楽しめました。
    初恋のくだりなんて特にかわいくて。
    ただ、先を知っているだけに下巻は辛くなりそうです。

    また、漱石の兄の存在がこんなに大きなものだとは知りませんでした。彼がいなかったら漱石の人生はまた違ったものになっていたのではないでしょうか。感動しました。偉大なお兄様でした。

  • 夏目漱石、正岡子規など歴史上の人物の人柄、家族などが浮かび上がるかのように伝わってくる。天才と言われるような人たちは、類は友を呼ぶのか、才気あふれる人と自然に出会っているのだなぁと驚く。

  • ■ Before(本の選定理由)
    筆者のエッセイや小説は10ばかり読んできたけれど、どこか鼻持ちならない・頑固な印象。そんな筆者が、ずっと描きたかったテーマを上下巻の大作として発表したらしい。さて、どんな内容だろう。

    ■ 気づき
    夏目漱石の一代記。母親が40を超えての出産だった恥かきっ子が友人の支えもあり松山→熊本に英語教師として赴任するまでの物語。なんとチャーミングな人だろう。「小さい想いなら母のため、大きい想いなら国家のため」と正岡子規が一高中退を望むのを説き伏せたり、熱い友情に触れられたことが一番嬉しい。

    ■ Todo
    下巻に続く。

  • 漱石って短気なイメージがあったけど、子供が産まれるまではそうでもなかったのかな?
    子規との交流が心温まった。
    養子に出されたことについて、実父からこういう扱いだったことは知らなかったので、苦悩を想像できた。
    でも育ての母には大事にされて良かった。
    奥さんへの愛が素敵。

  • 夏目漱石の幼い頃や大学専攻など全く知らずにいたので本当に良かった。

    明治初期に作られ始めた大学や高校、まだわずかな人数で専攻した学問を追求していく姿勢など、当時の時代背景も分かる作品であり、伊集院さんの歴史的な知識の膨大さに圧巻しながら読み進めました。

  • 漱石と正岡子規の友情は、司馬遼太郎の『坂の上の雲』を彷彿させて、面白い。憂鬱な漱石を、明るく描いている。

  • 夏目漱石を描く大河小説の上巻。

    とはいっても、重苦しくなく、気軽に読めました。
    上巻は学生時代を経て、教員時代までを描いています。
    漱石に大きな影響を与えた人物として、長兄の大輔と同級生の米山保三郎については知らなかったので勉強になりました。
    よくある手法ですが、正岡子規がもう一人の主人公かというほど詳述されています。
    これは、先の二人以上に漱石に影響を与えたためだと思います。

  • 穏やかでおっとりしていて少し神経質な金之助が、シニカルで飄々とした天才肌の米山保三郎、快活で豪放な正岡子規ら個性的な友人達囲まれて過ごす学生時代の様子が夏目漱石の小説の風景をそのままで、時代の息遣いや匂いを強く感じる。
    淡々とした語り口の中で、理解者の兄大助や保三郎の死に際しての金之助の心情が切なく、病気や戦争で死がずっと身近にあった現実を実感させられた。
    有名すぎて扱いが難しいであろう「月が綺麗ですね」は、思いの外深々とロマンチックに描かれていて好きな場面。
    (下)に続く

  • オーディブル6作目は伊集院先生。そしてこれは期待どおり。牛込の名主のもとに生まれるも、恥かきっ子、塩原家に里子にやられる金之助。そして、父は江戸っ子気質か素っ気なく描かれるも母や長兄が注いでくれた愛情。
    妻の実家近くなので、町名からどの辺りか想像つくけど、今とは全く景色の異なる江戸からの転換期の東京。各地の秀才が集まる帝大での畏友ノボさんとの出会い。牧歌的にも映るけど、新橋で嗅ぐ潮の香りなど、新しい街「東京」の生まれていく様も描かれ、この時代の躍動感がうまく描写された素敵な1冊でした!明治の文豪の本が読みたくなったな。

  • 伊集院静が描きたい夏目漱石像。

    上巻はとにかく良い人。
    多少影が差しても、とにかくダンディ。

    ということは、下巻でやばくなるのか?
    絶対こんな聖人君子みたいな人じゃないと思うのだが。

  • 漱石先生の幼少の頃から、青年時代、愛媛・熊本での教諭時代まで

    ・冒頭、ヨーロッパの情勢から
    ・生家と養子先
    ・気にかけてくれた実兄と実母、義母
    ・親友たちとの出逢いと学生時代
    ・初恋
    ・正岡子規と米山保三郎
    ・漢文と俳句と英語、建築
    ・漱石先生と教え子たち
    ・鏡子さん
    ・ネコ
    ・大切な人、血縁との死別

    〇エピソードの一つ一つが愛おしい
    業績よりも、漱石先生の“みちくさ”をたどった小説
    〇のぼさんとのパートは胸にくる
    〇当時、写真の修正が大切な仕事の一つだった写真館。鏡子さんのお見合い写真に修正されていたらお見合いを断るとうそぶきながら、自分の写真には修正を加えていた先生が面白い。←そして鏡子夫人にはそっこうバレていた。

  • 夏目漱石さんを主人公にした淡々としながら、少しずつ人は大人になっていくことを描いたお話。
    それほど「ミチクサ」をしている感じがしなかったのは、淡々とした伊集院さんのクセのない文章だからか。

    以前、愛媛県の松山市に行ったときに夏目漱石さんと正岡子規さんはお友達だったことを知ったけれど、この本を読んでその友情が篤いモノであったことがよくわかりました。

    学生時代にともに成長できる友人に会えるというのは素晴らしいこと。
    お互い落ちていくような「友情」もあるけれど、やはりレベルの高い学校で学ぼうという意識のある面々の友情は良き…と思いました。

  • 漱石と親友正岡子規、米山保三郎らとの情交が爽やか。また妻鏡子との夫婦の交わりも豊かだ。悪妻と呼ばれた鏡子はどこにもいない。

  • 明治は江戸の地続き。人が死ぬのが見えた時代。すでに昭和から見た江戸よりも明治は遠い。坊ちゃんの時代をちょっと思った。

  • 明治のこの時代、多くの著名な作家が輩出した。正直夏目漱石の作品はあmり好きではないというか読んで面白いと感じたことがない。ただ、この時代に生まれ、多くの作家との交流があったという背景を読むのはいかがなものかと興味をもったので読んでみた。
    物語としては普通に一人の人間の生涯を淡々と描いたもので盛り上がりなどがないから面白いとはいえないが、正岡子規とこれだけの交流があったのかぁといったことがこの本で初めて分かり、夏目漱石がなぜ俳句を詠んだのかとかを知る事が出来た。また柿食えば~の歌を詠んだ正岡子規のその時の心情もこの物語で描かれてちょっとへぇって感心した。そういったこの時代の作家の下積みの過程を読むという意味では非常に貴重な資料ともいうべき物語であり、ほんとに言ったかどうか、猫に名前などないという件もちょっと面白かった。
    さて、後半の下巻はどうだろう?
    ちなみに、後年に登場した宮沢賢治の物語「銀河鉄道の父」の方が物語としては面白かったなぁ。

  • 長兄の大助が何かと弟の(夏目金之助)めんどうをみてくれたり、英語を勧めて勉強をみてくれたりと、落語に連れていってくれたりとか、父親との関係は薄かったけど、この兄の影響はのちの夏目漱石にとって大きかったのではと思う。
    でも、あっけなく肺炎で亡くなってしまったのは残念。
    あと、帝国大時代の朋友、米山保三郎、漱石を英文学へと導き小説家の足がかりにもなった人なのに、この天才も29歳という若さで病死してしまうのよね。
    この時代ほんとに人は病気であっけなく死んでしまう。
    死はとても身近にあったんだろうな。
    それにしても、正岡子規との友情が胸にしみる。
    彼も漱石を畏友と崇め、ほんとに心底好いていたよう。
    お互いがお互いを親友と認めていたんだね。
    漱石にとって米山保三郎、正岡子規、寺田寅彦(松山時代の教え子)の出逢いは大きかったんだろう。
    あと小説を書くことを勧めてくれた高浜虚子。
    それと以外だったのは悪妻と言われていた鏡子夫人、
    お嬢様でおおらかで美人で、めっちゃ魅力的に描かれている。
    下巻ではリュウマチだと思っていた正岡子規がカリエスで命を落としてしまうんだろうか。
    ぞな、もしの食欲旺盛な子規、この人物がすごく好きなので、辛い下巻になりそう。

  • 夏目漱石が生家から養子に出されて出戻りしたことは著者年表とかで知っていたけれど、こんな経緯があったのは知らなかった。
    養親の家にも実家にも居場所のなかった幼少時代が漱石の心に生涯暗い影を残したんだなあ。そして実母と養母の面影が清に投影されているのだろう。

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著者プロフィール

1950年山口県生まれ。’81年短編小説「皐月」でデビュー。’91年『乳房』で吉川英治文学新人賞、’92年『受け月』で直木賞、’94年『機関車先生』で柴田錬三郎賞、2002年『ごろごろ』で吉川英治文学賞、’14年『ノボさん 小説 正岡子規と夏目漱石』で司馬遼太郎賞をそれぞれ受賞する。’16年紫綬褒章を受章。著書に『三年坂』『白秋』『海峡』『春雷』『岬へ』『駅までの道をおしえて』『ぼくのボールが君に届けば』『いねむり先生』、『琥珀の夢 小説 鳥井信治郎』『いとまの雪 新説忠臣蔵・ひとりの家老の生涯』、エッセイ集『大人のカタチを語ろう』「大人の流儀」シリーズなどがある。

「2023年 『ミチクサ先生(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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