毎日世界が生きづらい

  • 講談社 (2021年10月28日発売)
3.58
  • (12)
  • (42)
  • (35)
  • (6)
  • (2)
本棚登録 : 368
感想 : 41
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (314ページ) / ISBN・EAN: 9784065258903

作品紹介・あらすじ

メフィスト賞作家の新境地。

小説家と会社員。二人の幸せを探す物語。

「やっぱり、小説を書きたいよ。自分の本が書店に並んでいるところを見たい。私、器用じゃないから、全部をやるのは無理。……子供を産んで、作家になれなくて、『子供がいなかったら作家になれたのにな』なんて言うような大人にはなりたくないの」――本文より

あなたの居場所もきっと見つかる。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 少し前に読んだ「黒猫を飼い始めた」で宮西さんの短編を初めて読んで、興味が湧いたので図書館で借りてきました。
    タイトル通りに、生きづらいと感じている雄大と美景が、お互いにぶつかり合いながらもちゃんと向き合って前に進んでいく姿はすごい!の一言です。なかなか夫婦といえども、自分の意見ばかりを押し付けてしまってお互い歩み寄るのは難しいことだと思うので。雄大の器の大きさが羨ましいですね。

  • 無神経な周りの声にも

    自分の気持ちも

    なかなか折り合いがつけれず

    夫婦そろって 自己嫌悪の日々



    毎日 生きづらさを感じながらも

    二人はだんだん成長していき

    世界と折り合いをつけていきます

    二人の成長物語に

    明るい希望が見えて ほっとします

  • 夫婦って不満や困難があっても受け入れあったり、時には受け流したりしつつも向き合うことを諦めない関係性なのかなと思った。

    タイトルに惹かれて手に取った一冊。

    繊細というか、刺激に敏感な人間ほど生きづらいのだなと思う。
    もっとマイペースでいられたらな。


    We are not perfect, so we can’t live alone.
    It’s essential to support and shore up each other.

  • 自分を好きになれず変に人を意識するがゆえに生きづらさを毎日かかえる2人。
    ケンカするにも関わらず離れない夫婦はどこか気が合うんでしょうね。

    そして美景は私に近いなと思いました。
    変に人のことが気になって気を遣おうとしてるのにうまくいかない。
    怠けてるつもりはないのに仕事も満足にできない。
    ホントどうしたらいいんだ…。

  • 周りができていることが自分にはできなかったり、自分の気持ちをうまく言語化できなかったりすることが続くと生きづらさを感じやすいと改めて思いました。
    甘えと言われるかもしれませんが、時には心の底にあることを誰かに吐き出したり、心配してくれる人がいると、踏みとどまれるのかなと思いました。

  • この夫婦、お互いに言いたいこと飲み込んで相手に気を遣ってるような、でも妙に気が付く事もあるし言語化も上手いし…という丁度良さがありました。
    ふたりとも生きづらそうだけれど、お互いがいるからなんとか毎日続けられるんだ、と。
    「いてくれるだけでいい」というのが一番難しいけれど、話し合いが出来るならふたりは大丈夫です。

    恋愛というより、共同体みたいなこういう夫婦が増えていくんじゃないかと思ったりします。
    「あなたに幸せでいてほしい」って尊いなぁ…愛とかいうぼんやりしたものよりしっくりきました。
    いくらたわんでも易易と折れはしない、そんな強さも感じました。
    読んでる最中はもっと落ち込む話かと思ったけど、読み終えたらそんなに沈んでもいないです。
    カウンセリングの先生と、高津さんがよかった。目の前が晴れるみたい

  • タイトルに興味をひかれて購入したのだけれど、読めてよかった。
    はじめての作家さんだったので、どきどきしながら読み始めたのだけれど、めちゃめちゃ読みやすかったです。

    ずーっと美景の気持ちがわかってて苦しかった!どうして雄大に伝わらないんだろう?わかってくれないんだろう?と思いながら読んだ。

    どうしても自分の境遇に照らし合わせて読んでしまうんだけれど、わたしも働いていながら大した稼ぎではなく、毎日旦那さんに支えてもらってるなあと申し訳ない気持ちいっぱいで生きているので、美景が雄大に「自分に縛られることなくやりたいことやってほしい」と思う、言うのがほんとうにほんとうに気持ちがわかって苦しかった。
    ずっと雄大のことがわからなかったけど、↑の言葉を受けての返答で雄大が美景のことをどう思っているかわかって、そんなに懐の深い人なんだな、素敵な人だなと思いました。

  • 休職した時の安堵と不安の狭間に苦しむ気持ちや
    夢が叶った瞬間から不安になる気持ち。繊細な心の動きがわかるお話です。また、衝突があっても、お互い必要として補い合える関係にホッとする、出会えて良かったお話でした。

  • 社会人になって2〜3年目まで、ずっとお金のことや将来が不安で仕方なかった。だから、仕事を辞めるなんてとんでもないと、ストレスで半年間生理が止まっても働き続けた。

    その頃に感じていた気持ちをを具体的に現したような状態が描かれている。どん詰まりの様に感じたり、自分のことにいつも自信がなかったり、誰かの棘のある発言にいちいち反応してしまったり。

    もうだめかもと、限界を察知できるのは自分しかいない。周りが何と言おうと、自分をかばってくれるのは自分しかいないのだ。どんな手を使ったって、思い切り逃げ出したってかまわない。
    そう気づくことができると、生きるのが途端にしんどくなくなった。

    そんな今までを少し思い出した。

  • 他人と上手く付き合えない、自分を愛せない2人の出口のないモノローグと思ったら、ちゃんと自分の欠点を見つめて、そこから再生出来る、という希望を見た。でも物語の大半が自分探しでおじいにはだいぶしんどかったよー。

  • ナックスの名前が出てきて嬉しかったです!ありがとう!!

    さて置き、生きていくって大変です。日常の繰り返しにウンザリする事さえも日常になっていて、生活をするって大変。
    だけども、いるだけでいい。って言ってくれて、お互いが生活しやすいように改善策をだしてくれる雄大の存在は大きい。

    読み終わって改めて、私の生きづらさをフォローしてくれている家族に感謝だなぁと。

  • 学生の頃に描いていた未来と現実とのギャップ。
    多かれ少なかれ誰もが感じるものだと思う。
    それに対して感じるストレスは人それぞれなんだけど、過敏な人は「毎日世界が生きづらい」のだと思う。
    でも、一番身近なところに良き理解者がいてくれるなんて、美景と雄大は幸せなんだろうな。

  • 結婚したばかりの30代の夫婦の心境を描いた物語。
    妻の方は子供の頃から感情的な母親にキツい言葉を言われて育ってきた。
    彼女の夢は小説家になること。
    結婚を機に書店のパートをやめて別の仕事を探し始める。
    夫の仕事はゲームのプログラマー。
    妻とは学生時代からのつきあいで、遠距離恋愛の末に結婚した。
    結婚式の時はおどけて明るい雰囲気だった夫が結婚後、何故か不機嫌で妻の些細な行動に腹を立てるようになった。
    仕事の人間関係で悩み精神的に限界にきた彼は三か月仕事を休む事となった。
    そんな二人のまだ始まったばかりの結婚後の物語。

    最初、妻の心境から話が始まりずっとそうだと思っていたら夫の側のパートが始まり、おや?となった。
    だからと言って、妻側、夫側から見たお互いの印象が大きく変わる訳じゃない。
    私が読んでいてずっと思ったのは、最近の夫婦はこんな感じなのか・・・という事。
    お互いを「あなた」と呼んで敬語を使って大人な感じのくせに何故か子供っぽく感じられる言動。
    私とは二人と世代がかけ離れていて、感覚が違うからしょうがないのかと思いつつ、ちょくちょく違和感があった。
    妻がADHDと突然診断されるくだり。
    私がこの小説で読んだ限りの彼女は普通だと思う。
    ゴミ箱に袋がちゃんとかかってない、ヘアピンがそこらに転がってる、ひとつの事に集中したら他がおろそかになる。
    私だってそんな事あるし、それをいちいち気にする夫が神経質という見方をして読んでただけに、そこも感覚の違いがあると思った。

    客観的に見ると、このご時世にこの夫婦は結構恵まれてると思う。
    夫は大きな会社に勤めていて、妻は夢である小説家の一歩を踏み出し、マイホームも手に入れた。
    だから、そんな恵まれている人が悩むのはおかしいとは思わない。
    彼らが生きづらさを抱えて生きているというのはちゃんと伝わった。
    伝わりつつもちょっと贅沢かな・・・と思ってしまった。

  • 社会人になったって、完璧な大人になれるわけじゃない。
    結婚して夫婦になったって、相手のことを支え切れるわけでもない。
    自分だけで力んで生きなくても、お互いさま、自分の足りないところは相手を頼りにしていいんだということをじんわりほっこり感じられる話でした。

    最後のシーンみたいなセリフ、私も言われてみたい。本好きとしては。

  • 主人公(妻)がカウンセリングを受けるところがある。
    私が、色々な本を読んで心の中を知るのに似てる気がする。

    自分を知るためにする行動を大切にしたい。

    夫→一つのことに気になったら解決しない、進めない。

    時計の秒針の音がしない時計、CDの音飛びなど
    妻は気にならないらしい。

    (本文では、几帳面とあるが言い換えは真面目とのこと。真面目な性格だと思う。鬱病も関係しているのかな。)

    妻、夫、それぞれ自分と似たような所があったので興味深く集中して読んだ。

    あなたはいてくれるだけでいい。
    そう言える人に出会いたい。出会ったら、大切にしたい。

    ピピさんの所や祖母が亡くなって、お母さんがお葬式に出席しないと言い出すところなども印象に残った。
    時間が、進んでるのでそこも読みやすかった。

    読みやすかったのでこの作者さんの別作品も機会があれば読んでみようと思う。

  • 生きづらいね。そんな中でも時にぶつかって時に協力している2人が素敵。
    人は変化に抗う生き物だし、その日その日によって気持ちや体調に波があるのは当たり前。自分に優しく自分が大事にしたい人に優しくなりたいな。
    0か100か思考になりがちだし、つい周りと比べがちだからカウンセリングの部分は勉強になった。ほどほどに手を抜くことを覚えたい。
    きちんとした仕事にお金を払いたいスタンスを見習う!

  • タイトル借り。これは…もっともっと読まれてほしい…!!

    内容は、どこにでもいそうな夫婦が、それぞれの生きづらさと危機に寄り添い、助け合いながらパートナーシップを築いていく話。
    妻は人付き合いが苦手で仕事が長続きしない、家事の同時進行ができない。夫は真面目過ぎて仕事で苦戦、感覚過敏あり。という特性がある。
    お互いがお互いの特性をなんとなく察して、必要があればフォローしているのがよかった。

    「足りないものを補い合える関係」に至るまでは色々失敗というか行き違いもあるけど、相手主体で考えれば乗り越えられるのかもしれない。(それが一番難しいんだけど…)
    妻の生きづらさはとくに共感した。周りの人の言動や価値観が合わずに苦しくなるの、あるあるだよね。いい人だけど違和感のある発言をするとか、そういうのを「我慢できない」人が生きづらくなる社会だけど、何を我慢するかは人それぞれなんだから、というくらいの余裕は社会に必要だよね。

    特性に必ずしも名前をつけるべきかどうか、まで踏み込んだ感じも良かった。
    全体的にはそんなに明るくなかったけど、なんとなく希望を感じるので毎日世界が生きづらい人は読んでみてもいいかもしれない。

  • いい夫婦だな。みんな出っ張り引っ込みがあるよね。寄り添うってこういうことかな。
    正しい答えが欲しいわけでも、代わってほしいわけでも無く、心の声を出したい時があって。
    カウンセラーさんに話すように自分に問いかけるっていいかも。
    タイトルに惹かれ手にしましたが、読みやすくて良かったです。

  • 毎日世界が生きづらい
    宮西真冬さん。

    ADHDであったり、
    適応障害であったり、
    生きづらい世の中であったり、

    わたしは、主人公の父に似て、
    まぁ、いいか。
    と、気持ちを切り替えられるほう。

    でも、
    ちゃんと、合う人が側に居るんだなぁー。
    いい夫婦だなぁー。
    と、思いました。

    毎日世界が生きづらくても、
    ゆっくり自分のペースで歩いていけたらよいな。

    表紙のセキセイインコ
    ピピ
    が可愛いなー。

  • 二択では言い表せない感情があったのに、それに耳を傾けてくれなかった、理解しようとしてくれなかったという悲しみは、いつしか、「母には何を言っても無駄だ」という失望に変わった。

    夫の悩みを解決する方法が分からず、家計を担えるようにパートを始めてもそこでストレスを溜めるばかりで、家事も疎かになって、うまくいかない自分を責める妻の気持ちを、想像することもできないのだろう。

    確かに、書店に行くと、何か新しいことをしてみようかと、前向きになる気がする。ネットとは違って、自分が意図しないところで、新しい情報が目に飛び込んでくる。

    仕様書、目を通しました。プログラマーになって十五年経ちますが、こんなに丁寧な書類が、こんなに早くあがってきたのは初めてです。ありがとうございます。
    素直に、嬉しかった。
    なるべく相手に伝わるように、見やすい書類を目指してきた。伝わったんだ、と思う。

    復職して大切にしてきたことが、少しずつ評価されるようになってきていた。それは無理をして相手に合わせることではなく、自分の中で譲れないと思って、敢えて空気を読まずに貫き通してきたことだった。

    「・・・ひきこもり主婦が、いきなり東京の出版社のエリートに会うのは、荷が重い」

    夢が叶えば、すべてうまくいくと思っていた。ずっと非正規雇用で働いてきて、立派な学歴や、特別な技術もない。そんな自分が、いつかまた夫が辛くなったとき、「お金のことは私がなんとかするから、なにも考えずに休んで」と言えるようになるには、夢を叶えるしか、作家になって小説を出版するくらいのことが起こらなければ、無理だと疑わなかった。

    「いろいろ買ってきましたよー」
    「俺は考えたのよ。なんで穿くパンツがなくなるのか。どうしたあrなくならないのか。その結果がこれよ。なくなるなら、増やせばいい」
    「これで平日、一度も洗濯しなくてもパンツがなくならない!」
    パンツの横で決め顔。その落差に涙と笑いが一度に押し寄せた。いい夫でしょ、もっと褒めてもいいよ、とタグを切る雄大は、本当によく美景のことが分かっていた。洗濯ができないからといって、通勤前や帰宅後に夫に選択をいてもらいたい訳ではなかった。きっと申し訳なさと不甲斐なさで、もっと自分を責めると思う。それに、動ける日もあるのだった。自分のペースで、できると思った瞬間になら動ける。雄大が「できないなら俺がやる」と仕事を取り上げず、二人ともが困らない方法を考えてくれたのが嬉しかった。

    「・・・前は自分自身を疑っている感じがしました。自分が悪いんじゃないか、がんばれていないんじゃないか。そういう風に。だけど今は、ただ、行きたくない、と。でも」
    「・・・夫は多分、今、自分のことは疑ってないと思うんです。自分の仕事のやり方が間違っているとは思っていなくて。ちゃんと自信を持っていて。でも、行きたくないって。どうして行きたくないんだろう」

    「すべてにお金をかけるのは無理だけど、自分が大切なものには、ちゃんとお金を使いたいなって思った。それが、自分の価値観なんだろうなぁって。ついついケチになっちゃうけど」

全37件中 1 - 20件を表示

著者プロフィール

1984年山口県生まれ。2017年、『誰かが見ている』が精緻に組み立てられた心理サスペンスとして高く評価され、第52回メフィスト賞を受賞しデビュー。他の著書に、全寮制女子高で不審な事件が次々と起こる『友達未遂』、介護に悩む女性とDVに苦しむ男性を描いた『首の鎖』がある。

「2022年 『彼女の背中を押したのは』 で使われていた紹介文から引用しています。」

宮西真冬の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×