R.I.P. 安らかに眠れ

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 289
感想 : 37
  • Amazon.co.jp ・本 (266ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065261378

作品紹介・あらすじ

優しかった兄が、三人もの自殺志願者を殺めた――。世間から極悪人と糾弾される村瀬真也。連続凶悪事件を犯した兄が語り始める不可解な動機を解き明かそうと、妹の薫子は奔走するが、一線を越えてしまった真也の「知らなかった一面」に衝撃を受ける。自殺志願者を次々殺めた男の告白から見えてきた真実とは――。行きすぎた正義と、無関心な親切は、どちらが正しいのだろうか。誰もが目を逸らしたくなる問題に、著者自身も懸命に向き合い書き下ろした長編小説。

感想・レビュー・書評

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  • 医師作家による「人間の尊厳」を問い続ける内容であり、とても重く答えが出せなかった。

    薫子の次兄が、自殺志願者を3人も殺害するという凶悪事件が起きたことから物語は始まる。

    検察官のあざとい法廷戦略にも臆するとこなく、自分の意思を告げる次兄。

    優しい次兄が、世間から極悪人と糾弾されるのが納得出来ず、以前通っていた心療内科医に相談したりと奔走する。

    兄のことを善良なサイコパスだと言っていた心療内科医師こそが…。

    すんなり納得できる結末ではなかったものの、テーマ事態が、自殺を容認できるか…につきると思ったので、自分にとっても重い課題を背負ったようだ。

    昨今、特にコロナ禍になってからも感じるのだが自殺者が多くなっている。
    有名人ですら、そうだ。

    いじめ、病気、リストラ、借金、さまざまな要因で死を望むのだろう…。

    生きることがいいと判断する根拠も無いが、
    やはり完全に否定できるか…と問われると
    自分が、難病になり苦しみ、周りに迷惑をかけるのなら、考えるかもしれない…と。

  • 「善良なサイコパス」か「邪悪な健常者」か各人が安楽死を真剣に考えるときが来ているのかもしれない。

  • 後味の悪さとか評価はいろいろわかれるが、私はやはり、面白かった。ただし、わかりにくいところも随所に見られたが。

  • 小説としてはあまり好みではないが、ノンフィクション風味として読むと大変興味深い本だった

    私自身、死は救済だと思っているところがあるので、始終薫子の意見には疑問を抱きつつ読み進めた

    亡くなった方の気持ちに寄り添うとしたら、今世から解放されてよかったねと思うけど
    亡くなった人が親しい人だった場合、諸手を挙げてよかったねとは思えない、それこそ薫子のように相談してくれたらよかったのにと思ってしまう気がする
    希死念慮と長年同居している私でさえそう思うのだから、通常の死を恐れる人たちにとっては自殺した人に寄り添うことなんてとてもじゃないができないのではないかと思った

    生きる自由があるのだから死ぬ自由もあればいいのに

    身体の自由が効かなくなる恐怖と戦えというのは生き残る側のエゴだなと
    いじめを苦にして亡くなる人に対して頑張って生きろというのは残酷以外の何物でもない
    私は優しくないので真也氏のように自殺願望者の方を今世から解き放ってあげることはできないけど
    考え方は真也氏に同調してしまった

    死ぬなというだけなら簡単だもんね、そもそも死にたいという感情を解決することは難しいし
    死にたいなら死なせてあげればいいと思う
    早く安楽死制度が充実すればいいのになと改めて思った

    薫子は何の問題を抱えていたんだろうか?サイコパスという言葉はあまり好きではないが(誰でもサイコパスの要素もっていると思うので)
    客観的に立てないというのも要素の一つなのではと思ったりした

    モヤモヤしながら終わってしまった…

  • 評価が難しい。一気に読ませる、とても思い内容、考えなければならない、哲学的要素、安楽死とは、且つ終盤に急にミステリー要素を入れてきてフィクション感溢れされる…医師だから書ける内容なんだろう。

    R. I. P.
    Rest in pease タイトル通り。

    次兄が3名の自殺願望者を殺し、裁判に。
    妹が調べて手記にしている、という体で話が進む。
    最後はあっけなく収束。

    あっけなさ過ぎて星1つ減な感じはあるが、1冊読みながら、自分ならどうする?と答えは決まっているもののなんとなくうじうじ考えてしまう、かなり引きづってしまう作品力に星5つ

    「それはもちろんいいでしょう。本人が望んでいるのだから」
    「本当の思いやりについて、もう少し真剣に考えてみてください」

    冒頭の2行が全てを体現しているかと。


    理屈ではそうだが、まるで人間味が感じられない。まるでAIの判断じゃないか。 82

    フロイトは死の欲動(タナトス)の存在を主張。
    生の欲動(エロス)と両方ある。 202

    それは二者択一ではなくてグラデーションなの。203

    ほんとうに相手のことを思いやるのいうのは、自分の想いを殺すことなんですね。 212

    自殺者の遺族は自分の悲しみと怒りばかり大きくて、亡くなった本人を更迭してあげる気持ちはもちえないのか。かわいそうに、辛かったんだねと、思いやってあげることはできないのか。 220

  • 久坂部さんの著書はどれも引き込まれる

    「Rest in peace」

    「善良なサイコパス」と「邪悪な健常者」

    ある日突然殺人容疑者の妹になった薫子の思いも常識的なものだが、真也の発言も当事者の気持ちに寄り添ったものだったりしてわからなくなる

    「生きることを無意識にいいことだと思い込んでいる」 
     死の欲動が強い人として女の太宰治といわれた久坂葉子という作家をあげている

    真也は最後に自殺について
    「漫然と憐れむことの無神経さ、思慮のなさにおまえは気づかないのか、そういう悪気のないふつうの感覚が、浅はかな自殺の否定につながっているんだ。」と薫子に言っている

    ほんとうの思いやりとは…

    薫子の最後は…

  • 休日午後の二時間読書

    自殺の助けって重いお話。真相があっけなく、反則っぽく感じるけれど、そこがテーマではないから気にすることはないのかな。

    サクッと読めたのは、ひたすら速いテンポ。小気味よい。無駄なくストーリーがサクサク進む。非常にわかりやすい。結論はないし、ハッピーエンドでもない。余韻?難しいな。確かにそんな考え方もできるかな?って感じ。肯定はしないけれど否定できないかな。

  • +++
    優しかった兄が、三人もの自殺志願者を殺めた――。世間から極悪人と糾弾される村瀬真也。連続凶悪事件を犯した兄が語り始める不可解な動機を解き明かそうと、妹の薫子は奔走するが、一線を越えてしまった真也の「知らなかった一面」に衝撃を受ける。自殺志願者を次々殺めた男の告白から見えてきた真実とは――。行きすぎた正義と、無関心な親切は、どちらが正しいのだろうか。誰もが目を逸らしたくなる問題に、著者自身も懸命に向き合い書き下ろした長編小説。
    +++

    自殺したい者とそれを幇助した者、という現実を描いているが、本質はそこにとどまらず、個人の苦しみと他者の関わり方、誰の気持ちを優先するか、等々、立場や視点によって見え方が変わってくるものごとに焦点を当てているように思える。三人の自殺に手を貸した慎也の考え方には、最初は拒否感しかなかったが、読み進めるうちに、納得できるとは言えないまでも、そういう側面もあるかもしれないと、見方を変えて考えてみるきっかけを与えてくれた。だからと言って、慎也を擁護しようとは思えないのではあるが。そして、さらには、信頼して心を預けた人の影響がどれほど計り知れないかということも思い知らされる。導き方によって、人の進む道は変わってしまうのだと、改めて怖ささえ感じる。読後も重いものが胸に沈む一冊である。


  • 本当の思いやりとは……人に寄り添うということは……

    優しい次兄が自殺志願者 3人を殺め、死刑宣告……
    彼は自殺志願者を殺したことは、悪いことではなく、寧ろ人助けをしたと、淡々と述べる。
    殺めることは、その人に寄り添い、理解した上で行っていることと。なかなか理解はできないが、自分に置き換えてみたとき、自分勝手な考えで動いている自分が身に詰まされる思い……

  • ひぇぇえ、、
    でも納得&自分も真也的な考えをすることあるなと思わされた

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著者プロフィール

大阪府生まれ。大阪大学医学部卒業。作家・医師。2003年、小説『廃用身』でデビュー。小説に、『破裂』『無痛』『悪意』『芥川症』『いつか、あなたも』『介護士K』、エッセイに『大学病院のウラは墓場』『日本人の死に時』など、医療分野を中心に執筆。

「2022年 『オカシナ記念病院』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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